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解説記事2025年10月20日 SCOPE 債権回収不能との主張も排斥、当該債権は混同により消滅(2025年10月20日号・№1095)

地裁、別件判決による更正の請求を認めず
債権回収不能との主張も排斥、当該債権は混同により消滅


 東京地裁民事38部(鎌野真敬裁判長)は令和7年10月7日、被相続人の納税義務の承継者として原告が行った、被相続人の分離長期譲渡所得を0円とする更正の請求に対して、更正すべき理由がないとした原処分を適法とした。
 東京地裁は、別件判決により「その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定した」(国通法23②一)とはいえないと判断。また、分離長期譲渡所得に係る債権につき回収不能が確定したとの原告の主張に対しても、当該債権は混同により消滅したとして、原告の主張を斥けた。

被相続人の相続人に対する債権は相続開始時に混同により消滅

 事案の概要はのとおり。原告の母(被相続人)は、平成23年に原告の夫に複数の土地を譲渡し(甲契約)、原告の夫はR社に当該各土地を含む複数の土地を譲渡した(乙契約)。また、原告の母は、そのほかの土地をR社に譲渡した(丙契約)。その上で原告の母は、甲契約及び丙契約に係る分離長期譲渡所得を含む平成23年分の所得税の確定申告をした。

 その後、原告の母は平成24年に死亡。原告らは遺産分割協議をし、原告の夫が甲債権及び丙債権を取得した。
 原告の夫はR社に対し、乙契約について、R社代表者の詐欺による取消しや自身の錯誤無効、R社による代金の不払いを理由による解除等を主張し、所有権移転登記の抹消登記手続等を求める訴えを提起した。
 原告の夫は平成30年に死亡したが、令和2年、R社の代金支払債務の不履行を理由とする乙契約の解除が有効であるとして上記抹消登記手続請求を認容する判決が下され、令和4年に確定した(別件判決)。
 亡母と亡夫の納税義務の承継者である原告は、甲契約及び丙契約に係る分離長期譲渡所得の金額を0円とする更正の請求をした。処分行政庁は、①丙契約に係る部分については、譲渡代金の回収不能の事実が認められ(所法64条)、所得税法152条に基づき更正の請求ができるとした一方で、②甲契約に係る部分については更正すべき理由がないとした。これを受け原告は、上記②の更正をすべき理由がないとされた部分の取消しを求め、訴訟を提起した。
別件判決は甲契約・債権につき何ら判断せず
 原告は、別件判決の理由中の判断の論理的帰結として、①別件判決は、乙契約が錯誤により無効であり、ひいては甲契約も錯誤により無効と判断したものといえる、②また、相続開始時において亡夫には資力がなく甲債権は全部回収不能で評価額は0円であったと判断したものといえるとして、別件判決が確定したことをもって国税通則法23条2項1号に規定する事由に該当すると主張した。
 これに対し東京地裁は、別件判決は、R社の代金支払債務の不履行を理由とする亡夫による乙契約の解除が有効であるとしたものであり、錯誤により無効であると判断したものではなく、また、甲契約の効力並びに甲債権の回収可能性及び評価額については何ら判断をしていないとした。
 したがって、本件申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したということはできないとして、国税通則法23条2項1号に規定する事由に該当するとはいえないと判断した。
民法520条ただし書類推適用では消滅せず
 また、原告は、本件被相続人の相続開始時に亡夫に資力はなく甲債権は回収不能であった(所法64①)ことが別件判決の確定により明らかになったとして、所得税法152条所定の要件を満たすと主張した。
 これに対し東京地裁は、上記に加えて、甲債権は本件被相続人の相続開始時に混同により消滅したものといわざるを得ないから、原告の主張する事情をもって同条所定の要件を満たすということはできないとした。
 なお、原告は、①別件判決によれば、本件被相続人の相続開始時において甲債権の評価額が0円であったから本件被相続人は担税力がなく所得税の負担をさせるべきではなく、甲債権を存続させる必要性がある、②本件相続により甲債権についての債権及び債務が同一人である亡夫に帰属するものの、本件被相続人にとって所得税の負担付きのものであるため、甲債権を存続させる必要性があるとして、民法520条ただし書類推適用により、甲債権は消滅しないと主張した。
 東京地裁は、上記①の主張については、別件判決が甲債権の評価額について判断したといえないとし、上記②の主張についても、甲債権が混同により消滅したとしても、本件被相続人が負担していた甲契約に係る分離長期譲渡所得について所得税の納税義務が消滅するとはいえないから、本件被相続人が上記納税義務を負っていたからといって、同条ただし書の類推適用により甲債権が消滅しないと解すべきとはいえないとして、いずれの主張も排斥している。

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