税務ニュース2025年10月24日 反面調査なき仕入控除否認事案の争点(2025年10月27日号・№1096) 適格請求書発行事業者の登録通知書交付でも「活動が確認できず」
 本件は、非居住者が経営する国内仕入先から高級時計を仕入れ輸出した法人の仕入税額控除が否認されたもの(本誌1093号参照)。税務当局は、帳簿等の保存は認容したものの、更正処分の理由附記によると、仕入先の国内活動が確認できず、旧消費税法30条7項の「正しい仕入先名の記載」要件を満たさないとしている。これに対し納税者は、以下のように反論している。
(1)税務当局が登録申請を受理し、審査を行なった上で交付した「適格請求書発行事業者の登録通知書」を確認の上で取引を行なっても「国内での活動が確認できない」とされ得るのか。だとすれば、適格請求書発行事業者の登録申請に係る承認は、申請者の事業実態を何ら確認せずに行なっていることにならないか。
(2)本件は行政庁による不利益処分であることから、行政手続法8条及び14条により「特段の理由のない限り、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分がされたかを、処分の相手方においてその記載自体から知り得るものでなければならない」はずである。しかし、更正の理由欄には「仕入先の国内での活動が確認できない」との記述があるのみであり、いかなる事実に基づき活動が確認できないのかが全く記載されておらず、理由附記の不備と言わざるを得ない。
(3)仮に仕入先との取引ではないとするならば、いつ、どこの誰から仕入れたのかを明らかにすべきある。税務当局は、十分な事実確認を怠り、深度ある反面調査等も行わずに仕入先との取引を否認し、本処分に至ったと言わざるを得ない。
(4)納税者である法人は、仕入先から登記簿謄本及び「適格請求書発行事業者の登録通知書」の写しも取得した上で仕入先と売買契約書を締結している。また、メールのやり取りも保存しつつ取引を行なっており、この事実をもってしても「仕入先の国内での活動が確認できない」と判断されるのであれば、法律が想定する適用要件の範囲を逸脱している。
 特に上記(1)及び(2)が過去に争点となった裁決や判決は見当たらないだけに、税務当局がどのように反論するのか注目される。
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