税務ニュース2025年10月24日 原処分時までに新住居への移転はされず(2025年10月27日号・№1096) 審判所、生活の本拠たる実体は旧住所にあり
 本件は、原処分庁が請求人の事業所得の金額を推定の方法により算定し所得税等の更正処分等を行ったことに対し、請求人が、更正処分等は自身の転居後に処分権限を有しない税務署長によりされたものであるなどとして、原処分の全部の取消しを求めたものである。
 所得税法15条1号では、納税義務者が国内に住所を有する場合には、その住所地を所得税法の納税地とする旨を規定している。そして、所得税法上、住所の定義規定はないため、審判所は、これらの法律における住所は民法22条が規定する住所の意義のとおり、各人の生活の本拠をいうものとし、各人の生活の本拠とは、その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものであり、一定の場所がその者の住所であると認定するに当たっては、その者の住所とする意思だけでは足りず、客観的に生活の本拠たる実体を具備していることを必要とするとの見解を示した。
 本件については、請求人は令和5年2月に、同年3月7日を始期とした新住居の賃貸借契約を締結し、新住所の鍵の引き渡しを受けたのは同月6日であることから、請求人は原処分時である令和5年2月28日において、新住居の引き渡しを受けておらず、日常生活を営んでいた実体は認められないとした。また、請求人は旧住所を有し、令和元年11月30日から旧住所に居住しており、原処分時よりも相当前から請求人の姓を記した表札が掲げられ、家財道具が置かれていたといえることからすると、旧住居は、請求人が転入日として届け出た令和5年2月3日の時点はもとより、原処分時である2月28日の時点でもなお、請求人の生活の本拠たる実体を喪失することなく具備していたと認められるから、原処分時における請求人の住所地は旧住居であり、旧住居を管轄する税務署長は、更正処分等の処分権限を有していたものと認められると判断した。
 なお、請求人は、旧住所のガス及び水道などは転入届の提出時に停止の手続をしていたと主張し、その証拠として水道料金などが記載された書面を提出したが、審判所は、請求人に新住居を住所としようとする意思が原処分時よりも前にあったことが伺えることにとどまり、新住所に移転した証拠となるものではないとした。
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