カートの中身空

会社法ニュース2025年10月24日 虚偽記載巡り監査法人の賠償責任を否定(2025年10月27日号・№1096) 東京高裁、監査法人に善管注意義務違反があると認めることはできず

  • オリンパスの粉飾決算巡る会計監査人(監査法人)の責任が問題となった株主代表訴訟で控訴審判決(東京高裁令和7年9月17日判決)。
  • 東京高裁、監査法人に株主が主張する善管注意義務違反があるとは認められないと判断して損害賠償責任を認めなかった東京地裁判決を支持。株主側の控訴を斥ける。

 本件は、オリンパスが重要な事項に虚偽記載のある有価証券報告書等を提出し、分配可能額を超える違法な配当を行うなどしたことについて、当時の会計監査人であった監査法人には一般に公正妥当と認められる監査に関する基準に準拠した監査を怠る善管注意義務違反等があるとして、株主が監査法人に対して約2,200億円の損害賠償を求めていた株主代表訴訟である。本件で問題となったのは、金融商品の時価に関する情報の確認義務、預金等の残高情報の調査義務、新規事業関連株式取得についての調査義務、監査報告書に適切な意見表明を付す義務、監査業務の引継に係る義務、違法配当等及び有価証券報告書の虚偽記載の阻止義務等の各義務違反の有無であった。
 原審の東京地裁令和6年12月19日判決は、これらの義務違反を認めることができないと判断したうえで、原告である株主側の請求を棄却する判決を下していた。具体的にみると金融商品の時価に関する情報の確認義務違反については、被告監査法人が行った調査以上に独自に専門家に調査を依頼するなど、オリンパスから独立したルートで時価情報を入手し、その時価に関する情報を確認する義務があったと認めることはできないとしたうえで、被告監査法人に善管注意義務違反があるとは認められないと判断していた(東京地裁判決の詳細は本誌1077号14頁以降参照)。この地裁判決で敗訴した株主側は控訴を提起していたものの、東京高裁も原審である東京地裁判決の判断内容を支持したうえで、株主側の控訴を棄却する判決を下していたことがわかった。具体的にみると金融商品の時価に関する情報の確認義務違反については、典型的な「飛ばし」にみられる買戻し取引の方法以外の態様で「飛ばし」が行われていることを疑わせる不自然な兆候を読み取り得たとも認められないなどとしたうえで、監査法人に善管注意義務違反があるとは認められないと判断している。また新規事業関連株式取得についての調査義務違反については、のれんの金額の相当性や合理性に係る株式取得の「事業上の合理性」は相応の手段を尽くしてその確認を行ったと認められるとして、監査法人に善管注意義務違反があるとは認められないと判断した。

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