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会社法ニュース2026年06月12日 役員報酬は利益供与も、返還報酬を減額(2026年6月15日号・№1126) 大阪高裁、元相談役は会社の業務において有益な面もあると判断

  • 地方新聞社の元相談役に支払われた役員報酬が利益供与に該当するか争われていた裁判で、大阪高裁は利益供与に該当するとした上で、5億円とされた役員報酬の返還を3億円程度に減額した(令和8年3月25日判決)。元相談役は新聞社の業務において有益な面があり、役員報酬は他の相談役と同程度の金額が相当と判断。

 本件は、地方新聞グループ各社の管理を行う会社(被控訴人HD)及びその子会社らが、地方新聞社の元相談役で大株主(控訴人)に対して支払った役員報酬の支払は利益供与(会社法120条)に該当するとして、その返還を求めた事件である(令和7年(ネ)第388号)。原審の京都地裁は利益供与に該当するとして、元相談役に約5億円の役員報酬の返還を命じる判決を下しており、これを受けて元相談役は大阪高裁に控訴していた(本誌1069号14頁参照)。元相談役は控訴審において、相談役は定款上の役職であるが、その権限及び義務についての定めはなく、代表取締役から業績等の報告を受け、助言をすることで相談役としての業務を行っていたと主張。相談役の報酬額についても定款上の定めはなく、経営判断に委ねられる問題であるとした。
 大阪高裁(森木田邦裕裁判長)は、控訴人の報酬額は被控訴人HDの代表取締役の報酬よりも高額になったこともあったことが認められ、控訴人の作業量と得ていた報酬額とは著しく均衡を失し、高額すぎると認定。被控訴人らが控訴人に高額の相談役報酬を支払うことにより、被控訴人らの経営に資するものがあるとは考えにくく、控訴人の得ていた相談役報酬はもはや会社の経営判断の裁量を逸脱するものというほかないとし、控訴人が受領した相談役報酬のうち、正当な対価と評価できる部分を超える金額について、「財産上の利益の供与」(会社法120条)に該当するとの判断を示した。
 その上で、裁判所は、控訴人は代表取締役から業績報告を受け、アドバイスするなど、相談役としての職務を行っていたことが認められ、また、控訴人は被控訴人らの中興の祖の一族の代表的存在であり、控訴人の関係業界との人脈等を活用して情報提供を受けたりするなど、被控訴人HDの業務にとって有益な面はあったと指摘。報酬額は、控訴人以外の相談役のうち、最も高額な報酬を得ていた金額と同程度とすることは許されないものとはいえないとし、裁判所は、控訴人に対して約2億円減額した3億円程度の役員報酬の返還を命じた。
 なお、本件は減額を不服とした新聞社が上告受理の申し立てを行っている。

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