税務ニュース2026年10月16日 外交官免税巡る初争訟事案で一部取消し(2026年10月19日号・№1142) 金取引の譲渡先を個別に判断、送金決済分は名義借用と認定し重加維持
外交官免税(措法86、42頁参照)は、外交官向け販売を見込む宝飾店等でよく利用されている。同規定を巡る初の争訟事案が、令和8年5月19日裁決だ。免税指定店舗である請求人は、令和4年9月から翌年4月までの間に11回、計約19億円の金(24K、18K)を外交官に譲渡したとして免税購入表を保存し、還付申告を行った。これに対し原処分庁は、K18の代金が買取業者から清掃業者2社の口座を経て外交官名義で請求人に入金されていたことなどから、全取引の免税を否認し、重加算税を賦課した。請求人は、K18は種類物であり、仕入れと買取りの数量が一致するだけでは同一の金とはいえず、また、2社の口座は国内に口座のない外交官が借りたものだと反論した。
審判所は、請求人は免税購入表を保存しており、外交官免税の形式要件は満たすとした上で、実際の譲渡先が外交官本人だったかを取引ごとに検討。まず、送金決済の6件は、仕入れと買取業者の2社からの買取りが同日・同量で、代金がほぼそのまま両社を経て入金されたことや、両社の代表者の申述等から、名義借用による国内業者への譲渡と認定し、数量の一致も複数回にわたるため偶然でないとした。この申述は、大使館絡みの金取引だとして名義貸しを依頼したとされる関係者の死亡後に、両社の代表者が当初の申述を改めたもの。請求人は、当該関係者や請求人側に責任を転嫁する動機があるとして信用性を争ったが、審判所は客観的事実と整合するとして採用し、虚偽の免税購入表の保存は仮装に当たるとして重加算税も維持した。
他方、K18の1件を含む現金決済の5件は、免税購入表が虚偽であることや外交官以外への譲渡を示す証拠はないと認定。原処分庁は、送金決済のK18取引が外交官以外に譲渡された以上、他の取引についても免税を否認すべきとしたほか、取引前の関係者間のLINEに示された外交官名義で還付を受ける計画に基づく取引であると主張したが、審判所は、同代表者の申述は現金決済分に及ばず、請求人と外交官が計画の当事者とは認められないとして、いずれの主張も退けた。その結果、現金決済分のみの3期間は処分の全部が、送金決済分と混在する2期間は一部が取り消され、取消額は、還付税額の減額約7,500万円、重加算税約2,600万円となった。同一の外交官との取引でも、代金の流れ、買取業者側の記録、関係者の申述等により取引ごとに結論が分かれた点、注目される。
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