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税務・会計2015年01月08日 相続税の改正と贈与税の活用について 執筆者:清田幸弘

 平成27年1月1日以降の相続税と贈与税について、大きな改正が行われた。相続税については、バブル期の地価高騰に伴い引き上げられたままであった基礎控除額が引き下げられ、税率も累進課税の一部分が引き上げられた。一方、贈与税については、若年層への財産移転を促進するための適用要件の緩和や、制度の新設など、現役世代へ早期に財産を移転することについて後押しする方向性が示された。
 これらの背景には、土地の価額が下落し続けているにもかかわらず、課税ベースが当時のままであるため、相続税を負担する者の割合が歴史上でも非常に低い水準となっており、このままでは社会格差の拡大に拍車をかける可能性があるということがある。
 具体的な改正内容であるが、まず相続税について、基礎控除額が40%も削減された(基礎控除とは、課税価格から法定相続人の数に応じた金額を差し引いて税負担を軽減できる制度のこと。)。
 平成26年までの相続では、基礎控除の定額部分である5,000万円に法定相続人1人あたり1,000万円を加えた金額を控除できたが、平成27年以降の相続では、定額部分が3,000万円、1人あたりの部分が600万円に下がった。
 例えば、課税価格が5,000万円で相続人は配偶者と子供2人の計3人、法定相続分で相続し配偶者の税額軽減を最大限利用すると仮定する。平成26年までは、課税価格が基礎控除額である8,000万円(=5,000万円+1,000万円×3人)以下であるため、相続税の申告は不要であったが、平成27年以降は、基礎控除額が4,800万円(=3,000万円+600万円×3人)となるため、申告が必要となる。首都圏で戸建の住宅に住み、預金が数千万円という被相続人の財産は、かなりの確率で申告対象になると思われる。基礎控除額の引下げにより、これまで相続税とは無縁であった層にも課税対象が拡大することとなったのである。
 次に、税率については、相続税は1人あたりの課税価格が大きくなる程に税率も引き上げられる「累進課税」をとっているが、平成27年以降は、この累進の勾配が引き上げられ、課税価格が2億円超3億円以下の部分が40%から45%へ引き上げられたほか、課税価格が6億円超の部分が新設され、50%から55%へ引き上げられた。しかも、引き上げられたとはいえ、過去の最高税率75%から鑑みると、更なる引上げの可能性も考えられるところである。
 一方、贈与税の課税制度には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があるが、このうち「相続時精算課税」について贈与者・受贈者とも適用要件が緩和された。「相続時精算課税」は、相続時に相続税と精算するため、相続税対策とはならないが、必要な時に必要な財産の移転を図りたいという希望がある場合には、贈与税の負担が軽減されるため、有効な方法である。
 また、制度の新設について、従来1種類であった贈与税の税率が、「20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合」に使用する税率構造が新設され、全体的に5~10%の減税となった(ただし、最高税率は相続税の最高税率と呼応して、50%から55%へ引き上げられている。)。加えて、「教育資金の一括贈与時の非課税」制度が新設され、まとまった金額を一括で贈与することが可能になった(今のところ、平成27年12月31日までの時限措置。従来から、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められ、必要な都度直接これらに充てるためのものについては、贈与税は非課税とされている。)。
 以上から、今後の節税の手段としては、地道に生前贈与を進めることがこれまで以上に重要な役割を果たすことになると思われる。しかし、夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除の特例にみられるように、移転コストがかかる生前贈与については、相続税の節税額との費用対効果を試算して実行することが望ましい。

(2014年12月執筆)

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