企業法務2021年10月07日 このごろ思うこと 2030年、人権を実現できるビジネスをめざす ~ビジネスと人権に関する国連指導原則 そしてSDGsを追い風に~ 執筆者:鋤柄修
1.人生の分かれ道
今年の7月12日で遂に満80歳を迎えることが出来た。男子の平均寿命に近づいた。
1970年に29歳で(株)エステムの前身である綜合施設サービスの創業に参加して51年となった。1964年の東京オリンピック後の日本は高度成長期で経済優先の中を突っ走ってきた。気がつけば日本全国いたる所で公害問題が社会問題としてクローズアップされてきた。流石に政治問題となり公害国会で論戦が開始され公害基本法始め関連法案が成立した。基準値を守らない企業は操業を停止させる厳しい措置が取られることとなった。そんな時代背景の中で汚れた水を浄化する水処理産業が生まれてきた。創業当初は金もなく組織もないので水処理メーカーのメンテナンス代行業務からスタートした。創業して10年目に小さな会社に労働組合が出来て経営側の目を覚ましてくれた。これを機に愛知中小企業家同友会に志願兵として飛び込んだ。
2.経営者としての人生の歩み
同友会に入会して初めて参加したのが岐阜で行われた全国総会であった。全国の中小企業の経営者が集まって真剣に経営の勉強をしている姿を見て目の覚める思いがした。
この幸運なスタートが同友会との長い付き合いとなる。毎月の地区(基礎組織)例会に真面目に出席すると翌年は地区幹事となる。同友会は不思議な会で役をこなしながら成長するという特徴を持っている。要するに役得で素晴らしい経営者と出会いができることになる。世の中にこんな素晴らしい経営者がいるのかという出会いが生まれてくる。40年間の同友会活動を通じて愛知同友会の代表理事を10年、中同協(中小企業家同友会全国協議会)の幹事長5年、会長10年、相談役4年を務めることができた。同友会の三つの目的(よい会社をつくろう、よい経営者になろう、よい経営環境をつくろう)と自主、民主、連帯の精神や労使見解の普及に全国を行脚した人生の後半期は実に面白く充実していた。
3.データをもとに情勢をみる
同友会では中同協はもとより各地同友会が独自の景況調査を四半期ごとに行っている。
中小企業のホットな現場の状況や生の声を分析して素早く発信するのでマスコミに注目されている。経営者にとって経済情勢をしっかり把握することは重要である。同友会では毎年の総会議案書の中に必ず情勢の章立ての記載がある。視野は世界から日本へ、そして地域にと網羅されている。データをもとに客観的に情勢分析された優れものである。担当の事務局員の苦労と能力が伺われる。世界的な大きな流れが脱炭素社会へ向かっている。中小企業といえどもSDGsを理解しないわけにはいかない。多様性を大切にして男女の格差を無くしていく等々大きな変化に対応する事が求められている。1995年頃から始まったデフレ経済は失われた10年が20年となり今になっても脱却したとは言い難い。この事実をどう見るかが経営者に問われている。
1人当たりのGDPが過去は瞬間的にも世界1位になった国が今は何と20位以下の国になっている現実をどう見るかである。アスリートのオリンピックでは多くのメダルを獲得して喜んでいるが最近の技能オリンピックでの低調さはどうしたことか?
SNSのデマ情報をうのみにせず自らがデータから本当のことは何かを読み解く事が大切である。経営のトップには時代の変化を機敏に感じ取る能力が求められる。
4.財団(愛知県中小企業研究財団)と海外視察について
同友会の先輩方が1992年に資金を集めて財団をつくり将来を見据えた議論をする集団を立ち上げた。専門家や学者、研究者の協力を集めて時代の変化にどの様に対応するか将来展望の議論が始まった。その中で海外から学ぼうという趣旨で最初はイタリアの中小企業の強さを学びに行った。2002年は愛知同友会40周年記念行事として中同協と共催でオランダとベルギーに行った。ここでEUの小企業憲章との出会いがあり、持ち帰って中同協での学習会に結び付いた。これは日本にも中小企業憲章を是非作ろうという全国運動に発展して2010年民主党政権下で閣議決定された。2011年には東日本大震災による福島第一原子力発電所事故を契機に原発の在り方が問われることになる。そこで原発の中止を打ち出したドイツやオーストリアに視察に行くことになった。そこでエネルギーシフトの考え方を学んだ。これが中同協運動の一つとなり全国に発展している。いずれも時代を先取りして学習運動にして学びながら各企業で実践をするパターンとして定着している。
5.終わりに
50歳で社長になり11年で退任した後は同友会という経営者団体の活動に身を置き人生の後半は中小企業家の組織拡大と地位向上に取り組んだ。47都道府県にある同友会はすべて訪問して会員との交流を深めた。オマケで好きなゴルフをする事も出来て47都道府県のゴルフ場ですべてプレーができた。人生における分岐点は予測抜きにやってきましたがその都度選択した道が間違っていなかった幸運に恵まれたと同時に関係した人達や家族の協力があったことを感謝して筆をおきます。
(2021年9月執筆)
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執筆者
鋤柄 修すきがら おさむ
㈱エステム取締役名誉会長
略歴・経歴
1941年07月 愛知県生まれ
1964年03月 三重大学農学部農芸化学科卒業
1964年04月 フジパン㈱に入社、製造部門に従事
1967年01月 アサヒパール製菓㈱入社 営業課長として従事
1970年07月 綜合施設サービス㈱設立
1971年04月 綜合施設サービス㈱入社
1972年11月 同社取締役業務部長として保守管理に従事
1979年10月 専務取締役営業部長として営業に従事
1987年10月 専務取締役として社長を補佐し経営全般を担当
1990年10月 株式会社エステムに社名変更
1991年12月 ㈱エステム代表取締役社長に就任
2002年12月 ㈱エステム代表取締役会長に就任
2014年12月 ㈱エステム取締役名誉会長に就任
現在に至る
同友会の会歴
1980年 愛知中小企業家同友会入会
1983年 前任地区会長倒産により半年間、地区会長代理として活躍
1984年 地区会長(~87年まで4年間)
1988年 労務労働委員長(5年間)
1992年 第3支部長・2年間(副代表理事)
1995年 愛知中小企業家同友会代表理事
2002年 中小企業家同友会全国協議会幹事長(5年間)
2007年 中小企業家同友会全国協議会会長(10年間)
2017年 中小企業家同友会全国協議会相談役幹事
2018年 愛知県中小企業研究財団理事長
2021年 中小企業家同友会全国協議会顧問
現在に至る
その他社外役職
1992年06月 (社)日本下水道施設管理業協会 中部支部長(20年間)
2004年05月 同会 副会長(5年間)
㈱エステムについて
1970年07月 綜合施設サービス㈱として設立
資本金 7,000万円
従業員数 450名
売上高 47億円
支店、営業所 東京、大阪、安城、小牧、豊橋、津、浜松、知多、豊田、長野他
資本金 7,000万円
従業員数 450名
売上高 47億円
支店、営業所 東京、大阪、安城、小牧、豊橋、津、浜松、知多、豊田、長野他
事業内容 水処理施設受託管理、水処理プラント設計施工管理、水質分析、
環境計量証明事業、環境コンサルタント事業
住所 〒457-0821 名古屋市南区弥次ヱ町2-19-1 ℡052-611-0611
(2021.8.20現在)
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