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2022年11月14日 新しい資本主義実現は官民を挙げて 執筆者:長谷川徳男

2つのニュース
 最近の報道で、対極的な2つのニュースが目についた。

 国税庁の公表によると、2021年度に決算期を迎えた法人の申告所得総額が前年度比13.3%増の79兆4,790億円となり、過去最高だった。「多くの業者で申告額が上がり、新型コロナウイルス禍の影響から持ち直したとみられる」と同庁は分析しているとのこと。業種別の申告所得額は、製造業が前年度比31.4%増の24兆7,162億円で、卸売業は同25.5%増の7兆958億円だった。新型コロナの影響を大きく受けた料理・旅館・飲食店業は、ほぼ倍増し、6,676億円となった。申告法人税額は同14.9%増の13兆9,232億円。申告件数は約306万5,000件で、黒字申告の割合は前年度から0.7ポイント増え35.7%だったとのこと。
 一方、東京商工リサーチの公表によると、9月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)件数は前年同月比18.6%増の599件となり、6カ月連続で増加。9月としては3年ぶりに前年同月を上回ったそうだ。産業別の倒産件数で最も多いのは、サービス業他の202件(前年同月比:17.4%増、以下同じ)。次いで建設業が130件(27.5%増)、卸売業が78件(20.0%増)、小売業が67件(39.6%増)、製造業が58件(13.7%増)など。倒産件数が増加したのは、先の5産業の他農・林・漁・鉱業(倒産件数:12件、前年同月比:4倍、以下同じ)とのこと。

 集計時点が違うものの、法人所得が過去最高でありながら、倒産件数が増加傾向にあるという状況は、昨今の国際情勢、経済環境の変化が追い風となっている企業とそうでない企業の明暗を浮き彫りにしている。そうでない企業や産業は、市場から退場するか「変革」に挑まなければならない。

「変革」の鍵

 政府が公表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、資本主義は3回目の大きな転換の契機であり、新しい資本主義すなわち資本主義の第4ステージに向けて「変革」が必要であるとする。そのためには、①人への投資、②科学技術・イノベーションへの投資、③スタートアップへの投資、④GX及びDXへの投資の4本柱に、財政出動や税制優遇措置による投資を機動的に行うとしている。

 ということで、令和5年度の税制改正の目玉は、スタートアップ強化措置であるようだ。しかし、税制措置はあくまで呼び水であり、実際にスタートアップの育成、強化を実現するには、官民を挙げて、関わる人々が英知を結集し、懸命に働き、挑戦し続けることが必要であろう。そうすればきっと実現できるはずだ。その「希望」だけは失わないようにしたい。



<プロフィール>

小谷野税理士法人 社員税理士 長谷川徳男

立教大学経済学部卒業後、
1997年、小谷野公認会計士事務所入所。
一般的な会計・税務業務のほか、特に、事業法人の資本政策・M&A・組織再編にかかる会計・税務コンサルティング業務、富裕個人の資産税コンサルティング業務、証券会社、投資銀行のPB、法人営業アドバイザリー業務、に従事。
2017年より現職。

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