
2024年4月1日からの時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間、臨時的な特別な事情がある場合でも、単月で100時間未満、複数月平均80時間以内、年720時間以内)は、5年間の猶予を受けていた建設業にとって大きな影響があると同時に、これまでとは異なる働き方を求めるものとなります。上限規制を守るために様々な対策を講じる必要があるため、負担に感じている会社がある一方で、むしろこれまで抱えていた課題解決の契機とすべく奮闘している会社も存在します。
浮き彫りになった課題
国交省が公表している資料1では、他の業種と比べ、建設業の労働時間の長さ、休日数の少なさ、若い労働者が少ないことなどが読み取れます。原因としては下記が挙げられます。
<長時間労働が常態化している原因>
・天候に大きく左右される中で何よりも工期の遵守が優先される
・顧客のイレギュラーな要望への対応も求められる
・現場監督は事務処理にも時間を割く必要があり、見積りの作成、発注先・元請・下請会社との情報共有、現場への移動に時間がかかる、など
<就業者数の減少と高齢化の原因>
・給与水準があまり高くない
・「長時間労働」、「仕事がきつい」などのネガティブなイメージ
・円安により外国人労働者の確保が難しくなっている、など
業務効率化と労務管理改善の事例
これらの課題に対して、建設業はこれまで以上に柔軟かつ効率的な働き方を模索する必要があります。筆者の顧問先では、業務効率化に向けて、現場での計測や計算、検査などにデジタル技術を導入したり、図面や資料のファイリングに施工管理アプリを活用し書類をデジタル化する、また、危険な箇所での作業にICT建機やドローンを導入するなど、様々な取り組みを行っています。
中でも、労務管理上、一番効果の高い取組は、勤怠管理システムの導入です。
毎月数十か所の小規模な現場を抱える建設会社の実例ですが、これまでは1か月分の始業・終業時刻、休憩時間を現場作業員が日報に記録し、給料の締めに合わせて事務職がExcelで集計していました。集計の段階で記載漏れに気付き、これを確認するため毎月何人もの現場作業員に電話をかけていたといいます。また、Excelに転記する際の写し間違いや集計ミスも起こりがちでした。
この会社がスマホで打刻する勤怠管理システムを導入したところ、労務管理で大幅な改善が見られました。
現場作業員は、現場からスマホで始業・終業時刻等を打刻。日報用データが自動作成されることで毎日の日報作成時間が短縮され、管理職は、リアルタイムでの出勤状況チェックが可能になり、また、時間外労働が多い従業員をアラート機能により把握することで労働時間管理の手間が大幅に減りました。事務職は、勤怠管理システムの情報を会計システムや給与計算ソフトに取り込むことで、原価管理や給与計算、出面管理に要していた時間を大幅に削減できました。
時間外労働の上限規制は困難な課題を浮き彫りにしましたが、建設業界が持続可能で魅力的な未来に向けて前進する絶好の機会と捉え、新しい働き方や技術を導入するなど、発想の転換を図ってみてはいかがでしょうか。
1:国土交通省 中央建設業審議会「(資料1)最近の建設業を巡る状況について」
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/tochi_fudousan_kensetsugyo13_sg_000001_00007.html
<プロフィール>
三木 純三郎
社会保険労務士法人上條・三木事務所 代表社員
特定社会保険労務士 行政書士 宅地建物取引士 マンション管理士
略歴・経歴
公務員・土木作業員・税理士法人職員等のバラエティーに富んだ職務経歴を活かし、会社の実情に合った就業規則をカスタマイズすることを得意としている。
また、難解な法令や制度の仕組みを、相手の立場に立ってできるだけわかりやすく解説することを心掛けている。

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