カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

労働基準2025年06月26日 精神障害労災、初の千件 6年連続で過去最多 カスハラ原因目立つ 提供:共同通信社

 厚生労働省は25日、仕事によるストレスが原因で精神障害を発症し、2024年度に労災認定を受けたのは1055件(前年度比172件増)だったと発表した。6年連続で過去最多となり、初めて千件を超えた。このうち自殺や自殺未遂に至ったのは88件(同9件増)。原因別では、初めて通年で集計したカスタマーハラスメント(カスハラ)が108件で、全体で3番目の多さだった。
 原因別の最多は「パワハラ」224件、次いで「仕事内容・仕事量の大きな変化」119件。カスハラは23年度から原因項目に追加され、7カ月分で52件だったが、通年の今回は、セクハラの105件を上回った。今回の108件中78件が女性だった。
 年齢別では、40代283件、30代245件、20代243件と続く。業種別では「医療、福祉」270件が最も多かった。請求件数についても3780件(同205件増)で過去最多となった。
 厚労省の担当者は「会社内の人間関係、環境の変化に強いストレスを抱えている労働者が一定数いる。検証・分析が必要だ」と見解を述べた。
 厚労省は、過重労働による脳・心臓疾患の労災認定件数も発表し、24年度は241件(同25件増)となった。死亡は67件(同9件増)。業種別では「運輸、郵便」88件が最も多かった。

カスハラ、原因の3番目に 専門家「罰則検討を」

 2024年度の精神障害による労災認定1055件のうち、原因別でカスタマーハラスメント(カスハラ)が108件に上った。カスハラが労災になるとの認識の広がりは不十分ながら、既に全体で3番目の多さだ。専門家はさらなる増加を懸念し、罰則規定も検討すべきだと主張する。
 産業別労働組合「UAゼンセン」は24年のカスハラ調査で、サービス業に従事する組合員約3万3千人から回答を得た。2年以内に迷惑行為被害に遭ったのは46・8%に上った。
 一方、カスハラが労災認定基準となったことを知っていたのは28・8%にとどまった。東洋大の桐生正幸(きりう・まさゆき)教授(犯罪心理学)は「本人も気付かないうちに健康状態を悪くしている人が多い」と述べ、カスハラは労災になるとの認識が広がれば、さらに件数は増加すると見込む。
 桐生氏は、加害者は反復して迷惑行為に及ぶ傾向があるとし、ストーカーに似た部分があると指摘。「警告や禁止命令を経て逮捕などにも至るストーカー規制法のように、段階化された制度設計が必要ではないか」と主張している。

労基署の機能強化を 識者談話

 駒沢大の今野晴貴(こんの・はるき)非常勤講師(労働社会学)の話 精神障害の労災認定件数の増加には、被害者の自衛意識の高まりが影響しているとみられる。録音や録画でハラスメント行為の証拠を残せば、認定を受けやすくなるからだ。一方、認定業務を担う全国の労働基準監督署の体制は不十分で、申請件数の増加に追い付いていない。認定に時間がかかるケースや、十分な調査が行われず不認定となるケースが見受けられる。適正な審査が行われ、当事者や遺族が請求しやすくするためにも、労基署の人員や機能強化が求められる。

カスタマーハラスメント

 カスタマー(顧客)とハラスメント(嫌がらせ)を組み合わせた造語で、略して「カスハラ」と呼ばれる。今年の通常国会で全企業に対策を義務付ける改正労働施策総合推進法が成立。カスハラを顧客や取引相手、施設利用者による「社会通念上、許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害する言動」と定義した。

(2025/06/26)

(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

ここから先は新日本法規WEB会員の方のみ
ご覧いただけます。

会員登録していただくと、会員限定記事・動画の閲覧のほか、様々なサービスをご利用いただけます。登録は簡単・無料です。是非ご利用ください。

ログイン新規会員登録

人気記事

人気商品

関連カテゴリから探す

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索