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自治2026年04月30日 税滞納者、郵便網で追跡 公益目的限定、住所開示も 個人情報保護に留意 提供:共同通信社

 日本郵便は自治体の照会に応じて、地方税を滞納したまま行方が分からなくなっている人を追跡する取り組みを4月から始めた。全国の郵便網を活用し、現住所が見つかった場合に開示する。所管する総務省が、公益に資する目的に限定してネットワークの活用に道を開いた。個人情報保護が甘くなったり、安易な外部提供につながったりしないよう留意する。
 郵便法は原則、郵便の内容や受取人の住所といったデータの外部提供を禁じている。ただ税滞納者は住民票を変更していなくても郵便局に転居届を出している場合がある。提供の可否を議論した総務省の有識者会議は、徴収などを担う自治体側のニーズが大きいと判断。「信書の秘密」保護を前提に「必要な最小限の範囲」に絞った開示を容認した。
 手数料は1件当たり千円。照会窓口は本社に一本化し、回答までの期間の目安は1週間程度という。
 日本郵便が住所を開示するケースでは、壊れそうな空き家を放置している所有者や、地震、土砂崩れといった大規模災害の被災者に関する場合も対象としている。2024年の能登半島地震では、自治体が把握する安否不明者の消息を確かめる役割を担った。
 訴訟を提起しようとする相手側の住所が分からない場合も開示対象に含めた。ストーカー行為や児童虐待の恐れがないと各地の弁護士会が判断した照会に限って受け付ける。
 日本郵便の五味儀裕執行役員は「まずは郵便情報を公的分野で活用したいとの期待に応える。さらに日常的な配達で得られるデータを時代に合わせた形で利用することで、新たな価値の創出にもつなげたい」と話す。

 税滞納者を郵便網で追跡する取り組みは、総務省の有識者会議が可否を議論した。日本郵便が保有する膨大なデータの中から「転居届」が持つ価値に着目。転居届は「通信の秘密」にも「信書の秘密」にも当たらないとの判例があり、活用で得られる利益が秘密を守られる利益を上回る場合があると判断した。
 議論の背景には、日本郵便が国民生活や経済活動の急速なデジタル化に対応できていないとの危機感がある。全国に約2万4千に上るリアルの拠点を張り巡らし、居住者情報や転居情報、郵便物や荷物の発送・追跡データといった膨大な個人情報を保有しているが、有識者会議は「デジタル対応やデータ活用が進んでいるとは必ずしも言い難い」と分析した。
 ITや通信の業界では個人情報の大規模流出が相次いでいる。広範なネットワークを持つ日本郵便によるデータの取り扱いを巡り、有識者会議では「国民の信頼の回復とデータガバナンス体制強化は重要な課題だ」との意見が出た。一方で「公共的な目的であれば、個人のプライバシーや信書の秘密など取り返しの付かない不利益がない限り、過度に萎縮することはそもそも望ましくない」との声もあった。

(2026/04/30)

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