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一般2020年06月17日 特別企画:新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年5月) 出典:帝国データバンク

業績へ既にマイナスの影響がある企業、初めて6割台に上昇
~中小企業は資金繰り対策、大企業はIT投資を推進~

はじめに
 新型コロナウイルス感染症の影響により、国民の生活および経済活動は依然として深刻な状態が続いている。一方で、2020年5月25日に「緊急事態宣言」が約50日ぶりに全都道府県で解除されるなど、日本の社会・経済活動は徐々に動き始めた。 また、政府は、国民や企業に対して「特別定額給付金」や「持続化給付金」などの各種支援策を発表しており、国民生活や企業経営の維持のため、さまざまな対策を進めている。
 そこで、帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年5月調査とともに行った。
※調査期間は2020年5月18日~31日、調査対象は全国2万3,675社、有効回答企業1万1,979 社(回答率50.6%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月から毎月実施し、今回で4回目
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
調査結果(要旨)
1.新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響、『マイナスの影響がある』と見込む企業は86.1%。内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」が62.8%で過去最高、「今後マイナスの影響がある」が23.3%となった
2.『マイナスの影響がある』を業界別にみると、『卸売』が88.4%と最も高い。次いで、『不動産』(88.3%)、『運輸・倉庫』(87.2%)となった。業種別では、「家具類小売」は3カ月連続、「旅館・ホテル」は2カ月連続で100%となった。以下、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(97.1%)、「娯楽サービス」(96.8%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(96.7%)が続く
3.『プラスの影響がある』は、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が31.3%で最も高く、2カ月連続で3割超となった。また「飲食料品小売」(20.3%)や「飲食料品・飼料製造」(11.6%)、「飲食料品卸売」(6.8%)など食料品を取り扱う業種が上位に並んだ
4.自社で実施もしくは検討している施策は、「政府系金融機関による特別融資の利用」が40.6%でトップとなった。以下、「雇用調整助成金の利用」(39.8%)、「民間金融機関への融資相談」(38.0%)、「テレワーク設備などIT投資の推進」(36.6%)が3割超で続く
1.企業の9割近くが2カ月連続で業績へのマイナスを実感
 新型コロナウイルス感染症により自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、『マイナスの影響がある』(「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響がある」の合計)と見込む企業は86.1%となった。前回調査(2020年4月、88.8%)と比較すると2.7ポイント減少したものの2カ月連続で9割近くにのぼった。
 内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」が62.8%(2020年4月、56.9%)。月次推移を確認すると増加傾向にあり、過去最高の6割超となっている。また、「今後マイナスの影響がある」が23.3%(同31.8%)で前回調査より8.5ポイントの減少がみられた。
 他方、「影響はない」とする企業は6.5%(同4.0%)だったほか、『プラスの影響がある』(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)と見込む企業は2月調査時点では1.7%であったが、毎月わずかながら増加し、今回は2.8%(同2.7%)となった。
 『マイナスの影響がある』と見込む企業を業界別にみると、『卸売』が88.4%で最も高かった。以下、『不動産』(88.3%)、『運輸・倉庫』(87.2%)、『製造』(86.7%)が続いた。『金融』を除く業界で依然として8割超の企業がマイナスと見込んでいる。
 企業からも、「影響が長期化することが懸念されるなか、動向に注視して先を見越した対応策を準備しなければ、大変な事態に陥ると思う」(農畜産物・水産物卸売、香川県)や「先行きがみえないところが一番の不安。景気停滞による販売減少も心配であるが、社員感染による業務停止も、信頼性の観点から大きな問題と考えている」(ソフト受託開発、東京都)といった声があげられ、先行きに対する不透明感が継続している。
 また、既に7割超の企業でマイナスの影響がでている『運輸・倉庫』や『小売』からは、「荷物の動きが悪いことによる影響が大きく、大幅な売り上げ減少となっている」(一般貨物自動車運送、佐賀県)や「大型モールを中心に出店していたが、デベロッパーの休業により業績を一気に落とすことになった」(がん具・娯楽用品小売、広島県)といった意見があげられた。
2.「旅館・ホテル」や「飲食店」などでは4カ月連続で企業の8割超が業績にマイナスと見込む
 『マイナスの影響がある』と見込む企業を業種別にみると、「家具類小売」は3カ月連 続、「旅館・ホテル」は2カ月連続で100%となった。以下、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(97.1%)、「娯楽サービス」(96.8%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(96.7%)が続いた。特に、「旅館・ホテル」や「繊維・繊維製品・服飾品小売」、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」、「飲食店」においては4カ月連続で企業の8割超が業績にマイナスと見込んでいた。企業からも「影響が長期に渡る可能性がある。資金繰りに対して、政府からの長期の支援が欲しい」(中華・東洋料理店、福岡県)や「今後においても売り上げの増加は見込めないため、無駄な仕入れをしないように注意したい」(婦人・子供服卸売、埼玉県)、「早く収束しないと死活問題である」(旅館、大阪府)といった声があがった。影響の長期化を懸念し企業活動に慎重になっている様子がうかがえた。
 また、『マイナスの影響がある』と見込む割合が初めて8割を超えた月をみると、2月調査では、「旅館・ホテル」や「飲食店」などを含む5業種、3月調査では「家具類小売」や「広告関連」などを含む25業種、4月調査では「建材・家具、窯業・土石製品製造」や「教育サービス」などを含む12業種となり、新型コロナウイルスによる影響は業種によってタイムラグがみられた。今回調査では、「飲食料品・飼料製造」が初めて8割を超える結果となった。
3.スーパーマーケットなどの「各種商品小売」では3割超の企業で業績にプラスの影響
 『プラスの影響がある』と見込む企業を業界別にみると、『小売』が8.0%で最も高く、そのうち5.8%は既に業績へプラスの影響が表れている。次いで、『金融』(3.8%)、『運輸・倉庫』(3.7%)、『製造』(3.3%)、『卸売』(3.2%)が続く。
 さらに、業種別にみると、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が31.3%で最も高く、2カ月連続で3割超となった。次いで、「飲食料品小売」(20.3%)、「飲食料品・飼料製造」(11.6%)、「飲食料品卸売」(6.8%)が続く。4月調査と同様に食料品を取り扱う業種が上位に並んだ。
 業績にプラスの影響があるとした企業では、「家庭内での食事回数が増えたことによりインスタント食品やインスタント飲料の受注が増えている」(調味料製造、岐阜県)や「既存設備を利用して除菌剤、除菌シート、除菌シールドの製造販売を開始した。影響の長期化を見据えてポジティブな活動を展開している」(環式中間物等製造、京都府)といった声が聞かれた。また、「テレワーク導入や交代勤務などを実施した結果、業務の効率化が進んだ」(食料・飲料卸売、茨城県)というように、勤務体系の変更が奏功したという意見もあげられている。
4.実施もしくは検討している施策、「政府系金融機関による特別融資の利用」がトップ
 新型コロナウイルス感染症により経済活動が制限されるなか、自社が実施もしくは検討している施策について尋ねたところ、「政府系金融機関による特別融資の利用」が40.6%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「雇用調整助成金の利用」(39.8%)、「民間金融機関への融資相談」(38.0%)、「テレワーク設備などIT投資の推進」(36.6%)が3割超で上位に並んだ。
 特に、「中小企業」では「政府系金融機関による特別融資の利用」や「民間金融機関への融資相談」、「持続化給付金の利用」などの資金繰り対策を「大企業」より進めている様子がうかがえた。他方、「大企業」においては、半数以上の企業でテレワーク設備などのIT投資を推進しており、「中小企業」より20ポイント以上高い結果となった。
 また、企業規模を問わず約4割の企業で「雇用調整助成金の利用」を進めている。企業からも「長年勤務している社員を路頭に迷わせる訳には行かない。当面は内部留保の取り崩しおよび雇用調整助成金の申請等を活用したい」(食料・飲料卸売、北海道)とあるように、経営環境が厳しいなかでも雇用の維持に努めようとする企業は多い。
まとめ
 本調査では、4月調査から減少したものの2カ月連続で約9割の企業が新型コロナウイルス感染症により業績にマイナスの影響があると見込んでいた。既にマイナスの影響が出ている企業は6割超と過去最高となった一方で、今後マイナスの影響を見込む企業は減少した。引き続き不確実な要素は残るものの、業績への悪影響がやや和らいだ様子がうかがえた。
 他方、プラスの影響を見込む企業は2020年2月調査からわずかながらも増加傾向にある。特に、4月調査と同様、外出自粛による自宅内消費の高まりで、スーパーマーケットをはじめとする食料品関連の業種においては、需要の拡大がみられていた。加えて、企業からは、テレワークなどの多様な勤務体系の導入が奏功したという意見もあげられている。
 また、経済活動が制限されるなか、「中小企業」では資金繰り対策を重点的に行い、「大企業」では、多くの企業でテレワーク設備などのIT投資を推進している。企業規模問わず4割超の企業で雇用調整助成金を利用し、雇用の維持に努めようとする動きがみられた。
 2020年5月25日、「緊急事態宣言」は解除され、日本の社会・経済は段階的に動き始めた。しかしながら、対面営業やセミナー開催などの企業活動の正常化や消費マインドの回復などについて、企業は影響の長期化を警戒している。さらに、感染拡大の第2波到来など懸念材料は多い。
 政府には、経済再生と感染拡大防止の両立について具体的な施策を継続的に実行することが求められる。
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