税務ニュース2004年02月02日 ストック・オプションの権利行使利益は「給与所得」に該当(2004年2月2日号・№052) 横浜地裁第1民事部・「労務の対価の性質」有すると判断、国側初勝訴
ストック・オプションの権利行使利益は「給与所得」に該当
横浜地裁第1民事部・「労務の対価の性質」有すると判断、国側初勝訴
海外の親会社から付与されたストック・オプションの権利行使利益が「一時所得」か、「給与所得」に当たるかが争われた税務訴訟の判決が1月21日、横浜地方裁判所第1民事部であった。川勝隆之裁判長は、「本件ストック・オプションの権利行使利益は、所得税法上、給与所得に該当するから、本件課税処分は適法であり、原告の請求を棄却する」と述べ、国税当局の課税は適法と判断した。なお、過少申告加算税賦課決定処分は取り消された(平成13年(行ウ)第14号ほか)。
事案の概要
この事件は、日本子会社の役員等である原告が、外国親会社から付与されたストック・オプションを行使して得た権利行使利益について、課税庁が給与所得に該当するとして課税処分したのに対し、一時所得に該当するとして、各課税処分の取消しを求めている事案である。
労務の対価としての性質を有す
川勝隆之裁判長は、「所得税法上の所得区分の意義に照らせば、給与所得とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として受ける給付をいい、対価の支給者と使用者との同一性を要求すべき理由はない」とした上で、「本件ストック・オプション付与契約の内容や外国法人である親会社と日本法人である子会社の関係等からすれば、本件権利行使利益は、ストック・オプションの付与会社である外国親会社が、原告が日本子会社との雇用契約等に基づいて日本子会社に対して提供する労務によって自社(外国親会社)が得る利益を認識し、原告の当該労務に対応するものとして給付したといえるから、原告が雇用契約等に基づいて提供した労務に基因する給付、すなわち、当該労務の対価としての性質を有し、給与所得に該当する」とし、「権利行使利益の額が様々な要素によって変動することは、権利行使利益の労務の対価としての性質を否定するものではない」と述べ、原告の請求を棄却した。
ただし、「各課税庁が、従前、多くの事案で同様のストック・オプションの権利行使利益を一時所得として取り扱っていたことや、権利行使利益についての一時所得としての申告は所得区分に関する解釈問題にとどまることなどの点を考慮すると、本件原告に行政上の制裁としての過少申告加算税を賦課することが相当とはいえない」として、過少申告加算税賦課決定処分は取り消した。
判決後、記者会見した原告側の代理人は「今回の判決は国の主張そのもの。予想外の判決で残念。昨年と一昨年の東京地裁での判断が正しいと思っているので、控訴して高裁の判断を仰ぎたい」と話している。
横浜地裁第1民事部・「労務の対価の性質」有すると判断、国側初勝訴
海外の親会社から付与されたストック・オプションの権利行使利益が「一時所得」か、「給与所得」に当たるかが争われた税務訴訟の判決が1月21日、横浜地方裁判所第1民事部であった。川勝隆之裁判長は、「本件ストック・オプションの権利行使利益は、所得税法上、給与所得に該当するから、本件課税処分は適法であり、原告の請求を棄却する」と述べ、国税当局の課税は適法と判断した。なお、過少申告加算税賦課決定処分は取り消された(平成13年(行ウ)第14号ほか)。
事案の概要
この事件は、日本子会社の役員等である原告が、外国親会社から付与されたストック・オプションを行使して得た権利行使利益について、課税庁が給与所得に該当するとして課税処分したのに対し、一時所得に該当するとして、各課税処分の取消しを求めている事案である。
労務の対価としての性質を有す
川勝隆之裁判長は、「所得税法上の所得区分の意義に照らせば、給与所得とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として受ける給付をいい、対価の支給者と使用者との同一性を要求すべき理由はない」とした上で、「本件ストック・オプション付与契約の内容や外国法人である親会社と日本法人である子会社の関係等からすれば、本件権利行使利益は、ストック・オプションの付与会社である外国親会社が、原告が日本子会社との雇用契約等に基づいて日本子会社に対して提供する労務によって自社(外国親会社)が得る利益を認識し、原告の当該労務に対応するものとして給付したといえるから、原告が雇用契約等に基づいて提供した労務に基因する給付、すなわち、当該労務の対価としての性質を有し、給与所得に該当する」とし、「権利行使利益の額が様々な要素によって変動することは、権利行使利益の労務の対価としての性質を否定するものではない」と述べ、原告の請求を棄却した。
ただし、「各課税庁が、従前、多くの事案で同様のストック・オプションの権利行使利益を一時所得として取り扱っていたことや、権利行使利益についての一時所得としての申告は所得区分に関する解釈問題にとどまることなどの点を考慮すると、本件原告に行政上の制裁としての過少申告加算税を賦課することが相当とはいえない」として、過少申告加算税賦課決定処分は取り消した。
判決後、記者会見した原告側の代理人は「今回の判決は国の主張そのもの。予想外の判決で残念。昨年と一昨年の東京地裁での判断が正しいと思っているので、控訴して高裁の判断を仰ぎたい」と話している。
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