税務ニュース2003年01月17日 平成15年度税制改正の要綱(検索対応テキスト変換バージョン) 平成15年1月17 日閣議決定
平成15年度税制改正の要綱
平成15年1月17 日
閣議決定
現下の経済・財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するための 「あるべき税制」の構築に向け、次のとおり改正を行うこととする。
具体的には、わが国産業の競争力強化のための研究開発・設備投資減税の集中・重点化、次世代への資産移転の円滑化に資する相続税・贈与税の一体化及び税率の引下げ、「貯蓄から投資へ」の改革に資する金融・証券税制の軽減・簡素化、土地の有効利用の促進に資する登録免許税の軽減、人的控除の簡素化等の観点からの配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止、消費税に対する信頼性・透明性を向上させるための免税点制度等の改革、酒税及びたばこ税の見直しその他の所要の措置を一体として講ずる。
なお、上記措置の実施により、平成15 年度において1.5 兆円程度の減税となり、多年度においては税収中立となる。
一 法人関連税制
1 研究開発減税
(1) 試験研究費の総額に係る特別税額控除制度の創設
増加試験研究費の特別税額控除制度との選択制で、試験研究費の総額に対し次の控除割合による特別税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の100 分の20 相当額を限度とする。
① 特別税額控除割合は、試験研究費の総額の売上金額(当期を含む4年間の平均売上金額)に対する割合(以下「試験研究費割合」という。)に応じ、次のとおりとする。
・試験研究費割合が100 分の10 以上 100 分の10
・試験研究費割合が100 分の10 未満 100 分の8+試験研究費割合×0.2
② 3年間の時限措置として、上記①の特別税額控除割合に100 分の2を上乗せし、
試験研究費割合に応じ、次のとおりとする。
・試験研究費割合が100 分の10 以上 100 分の12
・試験研究費割合が100 分の10 未満 100 分の10+試験研究費割合×0.2
(2) 産学官連携の共同研究・委託研究に係る特別税額控除制度の創設
大学、公的研究機関等との共同試験研究及びこれらに対する委託試験研究について、上記(1)と合わせてこれらの試験研究に係る試験研究費の額の100 分の12 相当額の特別税額控除を認める。ただし、上記特別税額控除額と合計して、当期の法人税額の100 分の20 相当額を限度とする。
なお、3年間の時限措置として、上記特別税額控除割合に100 分の3を上乗せし、特別税額控除割合を100 分の15 とする。
(3) 中小企業技術基盤強化税制の拡充
中小企業技術基盤強化税制について、増加試験研究費の特別税額控除制度並びに上記(1)及び(2)の特別税額控除制度の適用に代えて、試験研究費の総額の100 分の12(現行100 分の6(平成15 年3月31 日までは100 分の10))相当額の特別税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の100 分の20 相当額を限度とする。
なお、3年間の時限措置として、上記特別税額控除割合に100 分の3を上乗せし、特別税額控除割合を100 分の15 とする。
(4) 税額控除限度超過額の繰越控除(1年)
前1年以内に開始した事業年度において、上記(1)から(3)までの特別税額控除制度による控除をしても控除しきれない金額(税額控除限度超過額)がある場合に、その事業年度の試験研究費の総額が前事業年度の試験研究費の総額を超えるときは、税額控除限度超過額の繰越控除を認める。ただし、当期における上記(1)から(3)までの特別税額控除額と合計して、当期の法人税額の100 分の20 相当額を限度とする。
(5) 試験研究費等の範囲の見直し
試験研究費の範囲から、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法の商工組合等が賦課する負担金等を、特別試験研究費の範囲から、エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法の承認事業者等が行う試験研究に係る試験研究費を除外する。
(6) 増加試験研究費の特別税額控除制度の適用期限の延長
増加試験研究費の特別税額控除制度の適用期限を平成18 年3月31 日まで3年延長する。
(7) 適用関係
上記(1)から(3)までの措置は、平成15 年1月1日以後に開始する事業年度で、かつ、平成15 年4月1日以後に終了する事業年度について適用する。
2 設備投資減税
(1) IT投資促進税制の創設
平成15 年1月1日から平成18 年3月31 日までの期間内に、一定のIT関連設備等(別紙参照)の取得等をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、取得価額の100 分の50 相当額の特別償却と取得価額の100 分の10 相当額の特別税額控除との選択適用を認める。また、資本金が3億円以下の法人にあっては、一定のリース資産(別紙参照)の賃借をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、リース費用の総額の100 分の60 相当額について100 分の10 相当額の特別税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の100 分の20 相当額を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しを認める。
(2) 開発研究用設備の特別償却制度の創設
平成15 年1月1日から平成18 年3月31 日までの期間内に、一定の開発研究用設備(別紙参照)の取得等をして、これを国内にある開発研究の用に供した場合には、その取得価額の100 分の50 相当額の特別償却を認める。
(3) 適用関係等
上記(1)及び(2)の措置は、平成15 年4月1日以後に終了する事業年度について適用する。
なお、同日前に終了する事業年度において平成15 年1月1日から平成15 年3月31 日までの間に対象設備等の取得等をした場合には、平成15 年4月1日を含む事業年度において、特別税額控除相当額又は特別償却相当額の繰越控除又は償却を認める。
(注) 連結納税制度についても上記1及び2と同様の措置を講ずる。
3 中小企業・ベンチャー企業支援
(1) 中小企業技術基盤強化税制の拡充(再掲)
(2) 同族会社の留保金課税制度について、自己資本比率(総資産に占める自己資本(同族関係者からの借入金を含む。)の割合)が100 分の50 以下の中小法人(資本金1億円以下の法人)の、平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までの間に開始する事業年度については、留保金課税を適用しない措置を講ずるとともに、現行の課税留保金額に対する税額の5%軽減措置を廃止する。
(3) 交際費等の損金不算入制度について、400 万円の定額控除を認める対象法人の範囲を資本金1億円以下の中小法人(現行資本金5,000 万円以下の中小法人)に拡大するとともに、定額控除額までの金額の損金不算入割合を100 分の20 から100 分の10 に引き下げた上、その適用期限を3年延長する。
(4) 中小企業の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度を創設することとし、中小企業者等が、平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までの間に、取得価額30 万円未満の減価償却資産を取得した場合には、取得価額の全額の損金算入を認める措置を講ずる。
(5) 特定中小会社が発行した株式に係る課税の特例(いわゆる「エンジェル税制」)について、次の措置を講ずる。
① 特定中小会社の特定株式の取得時における投資促進税制の創設
中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法の特定中小会社の特定株式を払込みにより取得した場合に、一定の要件の下で、その取得をした年分の株式等に係る譲渡所得等の金額からその特定株式の取得に要した金額(当該株式等に係る譲渡所得等の金額を限度とする。)を控除する特例を創設する。この場合において、その取得をした特定株式の取得価額は、当該控除をした金額をその取得に要した金額から控除した金額とする。
② 適用要件の緩和
特定中小会社の特定株式を上場等の日以後に譲渡した場合の譲渡所得等の課税の特例の要件とされている譲渡期間を、当該上場等の日以後3年以内(現行1年以内)に延長する。
(6) 中小企業等基盤強化税制について、事業化設備等を取得した場合等の特別償却又は特別税額控除制度を統合するとともに、適用対象者から飲食店業を営む大規模法人、中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の認定計画に従って改善事業を実施する認定組合等及びその構成員並びに産業活力再生特別措置法の認定事業再構築計画に従って事業再構築を行う中小企業者を除外するほか、特定旅館業者の対象設備を見直した上、その適用期限を2年延長する。
(7) 商業施設等の特別償却制度について、中小企業流通業務効率化促進法の認定計画に係る共同利用施設の範囲を拡充するとともに、中小小売商業振興法の連鎖化事業計画に係る措置及び商店街整備等支援計画に係る措置を除外した上、その適用期限を2年延長する。
二相続税・贈与税
1 相続時精算課税制度(仮称)の創設
次により相続時精算課税制度を創設する。
(1) 概要
生前贈与については、受贈者の選択により、現行の贈与税制度に代えて、贈与時に贈与財産に対する贈与税を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払ったその贈与税を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税をすることができることとする。
(2) 適用対象者
本制度の適用対象となる贈与者は65 歳以上の親、受贈者は20 歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む。)とする。
(3) 適用手続
本制度の選択を行おうとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15 日までの間に所轄税務署長に対してその旨の届出を贈与税の申告書に添付することにより行うものとする。この選択は、受贈者である兄弟姉妹が各々、贈与者である父、母ごとに選択できるものとし、最初の贈与の際の届出により相続時まで本制度は継続して適用される。
(4) 適用対象財産等
贈与財産の種類、金額、贈与回数には、制限を設けない。
(5) 税額の計算
① 贈与税額の計算
本制度の選択をした受贈者(子)は、本制度に係る贈与者(親)からの贈与財産について贈与時に申告を行い、他の贈与財産と区分して、選択をした年以後の各年にわたるその贈与者(親)からの贈与財産の価額の合計額を基に計算した本制度に係る贈与税を支払うものとする。
その贈与税の額は、選択をした年以後については基礎控除110 万円を控除せず、上記の贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる非課税枠2,500 万円(特別控除)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出する。
(注)なお、本制度を選択した受贈者(子)が本制度に係る贈与者(親)以外の者から贈与を受けた場合には、その贈与財産の価額の合計額から基礎控除110万円を控除し、下記3の贈与税の税率を乗じて贈与税額を計算する。
② 相続税額の計算
本制度の選択をした受贈者(子)は、本制度に係る贈与者(親)からの相続時に、それまでの贈与財産と相続財産とを合算して現行と同様の課税方式(法定相続分による遺産取得課税方式)により計算した相続税額から、既に支払った本制度に係る贈与税相当額を控除する。その際、相続税額から控除しきれない場合には、その控除しきれない本制度に係る贈与税相当額の還付を受けることができる。
なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の時価とする。
2 相続税の税率構造の見直し
相続税の税率構造を次のように改める。
3 贈与税の税率構造の見直し
相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造を次のように改める。
(注) 上記1から3までの改正は、平成15 年1月1日以後の相続又は贈与から適用する。
4 住宅取得資金等に係る相続時精算課税制度の特例の創設
(1)相続時精算課税制度について、自己の居住の用に供する一定の家屋を取得する資金又は自己の居住の用に供する家屋の一定の増改築のための資金の贈与を受ける場合に限り、65 歳未満の親からの贈与についても適用することとするほか、これらの資金の贈与については2,500 万円の非課税枠(特別控除)に1,000 万円を上乗せし、非課税枠(特別控除)を3,500 万円とする。
(2) 上記(1).の「一定の家屋」とは、次の要件を満たす家屋をいう。
① 新築又は築後経過年数が20 年以内(一定の耐火建築物である場合には、25 年以内)であること。
② 家屋の床面積(区分所有の場合には、当該区分所有する部分の床面積)が50 ㎡以上であること。
③ その他所要の要件を満たすこと。
(3) 上記(1)の「一定の増改築」とは、その者が所有する家屋について行う増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事で次の要件を満たすものをいう。
① 増改築の工事費用が100 万円以上であること。
② 増改築後の家屋の床面積(区分所有の場合には、当該区分所有する部分の床面積)が50 ㎡以上であること。
③ その他所要の要件を満たすこと。
(4) この特例は、平成15 年1月1日から平成17 年12 月31 日までの間に贈与により取得する金銭について適用する。
(5) 現行の住宅取得資金等の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例(5分5乗方式)については、平成17 年12 月31 日まで、経過措置として存置する。
(注) 平成15 年1 月1日以後に贈与により取得した住宅取得資金等について、住宅取得資金等の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例の適用を受けた者は、当該贈与を受けた日の属する年以後5年間は、当該贈与に係る贈与者からの贈与について、相続時精算課税制度を選択できないこととする。
5 その他
(1) 相続税の申告に際し必要となる他の共同相続人等の贈与税の申告内容について、必要最小限の情報を相続人等の請求により税務署長が開示する制度を創設する。
(2) 相続税額の二割加算制度について、加算の対象となる者に被相続人の養子となった当該被相続人の孫(代襲相続人である者を除く。)を追加する。
(3) 贈与税について、更正等の期間制限(現行3年又は5年)を6年に延長する。
(4) 生命保険に関する権利の法定評価の規定について、所要の経過措置を講じた上、廃止し、原則として個々の契約に係る解約返戻金の額を用いて評価することとする。
(5) 税務職員の守秘義務違反に係る罰則を2年以下の懲役又は30 万円以下の罰金(現行2年以下の懲役又は3万円以下の罰金)とする。
(6) 出国時における申告書の提出期限の延長、税務職員の検査対象規定の整備、相次相続控除の規定の整備、財産の所在地に関する規定の明確化その他所要の規定の整備を行う。
(7) 特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例については、相続時精算課税制度に係る贈与財産を適用対象に加えるとともに、所要の規定の整備を行う。
(8) 上記(7)の他、相続時精算課税制度の導入に伴い、租税特別措置その他の規定について、所要の規定の整備を行う。
三金融・証券税制
1 配当課税の見直し
(1) 上場株式等の配当等に対する源泉徴収税率の特例の創設
平成15 年4月1日以後に支払を受ける一定の上場株式等の配当等について、源泉徴収税率を15%(本則20%)に軽減する特例を創設する。
平成15 年4月1日以後5年間に支払を受ける上記の上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率については、平成15 年4月1日から同年12 月31 日までは10%、平成16 年1月1日から平成20 年3月31 日までは7%の優遇税率を適用する。
(2)上場株式等の配当所得に係る申告不要の特例の適用上限額の撤廃
少額配当の申告不要の特例の対象となる配当等のうち平成15 年4月1日以後に支払を受ける一定の上場株式等の配当等については、1回の支払金額に係る適用上限額を撤廃する。
(3) 株式等に係る配当所得の35%源泉分離選択課税の特例は、平成15 年3月31 日をもって廃止する。
2 投資信託課税の見直し
公募株式投資信託については、平成16 年1月1日以後、現行の利子並み課税の対象から除外したうえ、次の措置を講ずる。
(1) 公募株式投資信託の収益の分配を上記1(1)の源泉徴収税率の特例及び1(2)の適用上限額を付さない申告不要の特例の対象とする。
(2) 公募株式投資信託の償還・中途解約による損失について、株式等に係る譲渡所得等の金額との通算を可能とする。
3 上場株式等に係る譲渡所得等に関する優遇措置の見直し
(1) 平成15 年1月1日以後5年間に上場株式等を譲渡した場合における上場株式等に係る譲渡所得等の金額について、7%の優遇税率により課税する特例を創設する。
(2) 上記(1)の特例の創設に伴い、次の特例を廃止する。
① 長期所有上場株式等に係る譲渡所得等に対する暫定税率の特例
② 長期所有上場特定株式等の譲渡所得に係る100 万円特別控除の特例
(注)上記の改正は、平成15 年分以後の所得税について適用する。
4 源泉徴収口座等の改善
(1) 源泉徴収方式の改善(年間分一括納付方式への変更)
① 平成16 年以後の源泉徴収口座(源泉徴収を選択した特定口座をいう。)における源泉徴収の方式を、譲渡等の都度、証券業者がその源泉徴収口座に係る年初からの通算所得金額の増減額の15%(平成19 年までは、7%)相当額の所得税の源泉徴収又は還付を行うとともに、年末において還付されずに残っている源泉徴収税額を原則として翌年1月10 日までに一括して納付する方式に改める。
② 平成15 年中の源泉徴収口座については、15%(同年4月以降は、7%)の税率による源泉徴収並びに月ごとの納付及び還付の仕組みを維持した上、証券業者が源泉徴収口座においてその年中に源泉徴収をした所得税の合計額(還付をした金額を除く。)のうちその源泉徴収口座に係る年間通算所得金額の7%相当額を超える部分の金額をその源泉徴収口座を開設した者に還付する措置を講ずる。
(2) 源泉徴収口座に係る特定口座年間取引報告書の提出不要
源泉徴収口座に係る特定口座年間取引報告書について、税務署長への提出を不要とする。
(3) 自己が保管している上場株式等の源泉徴収口座等への受入れ措置
平成15 年4月1日から平成16 年12 月31 日までの間に限り、一定の要件の下で、源泉徴収口座又は簡易申告口座(源泉徴収口座以外の特定口座をいう。)に、自己が保管している上場株式等その他一定の上場株式等を、実際の取得日及び取得価額又はみなし取得日(平成13 年9月30 日)及びみなし取得価額(平成13 年10 月1日の価額の80%相当額)で受け入れることができることとする。
(4) 発行日取引の追加
平成16 年1月1日以後、上場株式等の発行日取引を源泉徴収口座及び簡易申告口座において処理することができることとする。
5 その他
(1) 金融機関等の受ける利子所得に対する源泉徴収の不適用の特例制度について、次の措置を講ずる。
① 適用対象となる証券業者等の範囲に、証券取引法に規定する証券取引清算機関を加える。
② 適用対象に、公社債市場における円滑な流通に資する一定の法人(資本金額が1億円以上のもの)が支払を受ける公社債の利子のうち、社債等の振替に関する法律に規定する振替口座簿に記載又は記録がされた公社債の利子でその記載又は記録されていた期間内に生じたものを加える。
(注) 上記の改正は、平成15 年4月1日以後に開始する計算期間に係る公社債の利子について適用する。
(2) 償還差益に対する発行時源泉徴収免除の特例の対象とされる短期公社債の範囲に、国有林野事業特別会計法の規定により発行される融通証券を加える。
(注) 上記の改正は、平成15 年4月1日以後に発行される融通証券について適用する。
四土地・住宅税制
1 登録免許税
(1) 土地に関する登記のうち、課税標準が不動産の価額であるものに係る登録免許税について、課税標準を固定資産課税台帳の登録価格の3分の1とする措置を廃止する。
(2) 不動産の価額を課税標準とする登記に係る登録免許税については、本則税率を以下のとおり改正するとともに、平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までの間の措置として、以下のとおり税率を軽減する措置を講ずる。
① 所有権の移転の登記
イ 売買その他の原因による移転
1,000 分の10 (本則1,000 分の20、現行1,000 分の50)
ロ 遺贈、贈与その他無償名義による移転
1,000 分の10 (本則1,000 分の20、現行1,000 分の25)
ハ 相続又は法人の合併による移転
1,000 分の2 (本則1,000 分の4、現行1,000 分の6)
ニ 共有物の分割による移転
1,000 分の2 (本則1,000 分の4、現行1,000 分の6)
② 所有権の保存の登記
1,000 分の2 (本則1,000 分の4、現行1,000 分の6)
③ 地上権、永小作権、賃借権又は採石権の設定、転貸又は移転の登記
イ 設定又は転貸
1,000 分の5 (本則1,000 分の10、現行1,000 分の25)
ロ 売買その他の原因による移転
1,000 分の5 (本則1,000 分の10、現行1,000 分の25)
ハ 相続又は法人の合併による移転
1,000 分の1 (本則1,000 分の2、現行1,000 分の3)
ニ 共有に係る権利の分割による移転
1,000 分の1 (本則1,000 分の2、現行1,000 分の3)
④ 信託の登記
イ 所有権の信託
1,000 分の2 (本則1,000 分の4、現行1,000 分の6)
ロ 所有権以外の権利の信託
1,000 分の1 (本則1,000 分の2、現行1,000 分の3)
⑤ 相続財産の分離の登記
イ 所有権の分離
1,000 分の2 (本則1,000 分の4、現行1,000 分の6)
ロ 所有権以外の権利の分離
1,000 分の1 (本則1,000 分の2、現行1,000 分の3)
⑥ 仮登記
イ 所有権の移転又は所有権の移転請求権の保全
1,000 分の5 (本則1,000 分の10、現行1,000 分の6)
ロ その他(本登記の課税標準が不動産の価額であるものに限る。)
本登記の税率の2分の1 (現行不動産の個数1個につき1,000 円)
(注) 上記の改正は、平成15 年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用する。
(3) 上記(1)及び(2)の改正に伴い、以下の各租税特別措置その他の規定について税率の調整その他所要の規定の整備を行う。
① 国有農地等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減
② 農地保有合理化法人が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
③ 勧告等によつてする登記に対する登録免許税の税率の軽減
④ 会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減
⑤ 民間都市開発推進機構が取得する土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑥ 特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減
(4) 法定相続人が遺贈により所有権の移転登記を受ける場合については、相続による所有権の移転登記に係る税率を適用することとする等の所要の措置を講ずる。
2 都市再生特別措置法の制定に関連して、以下の措置を講ずる。
(1) 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用対象に、都市再生特別措置法の認定を受けて一定の要件を満たす都市再生事業を行う者に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等が当該事業の用に供されるものを加える。
(2) 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例等について、次の措置を講ずる。
① 特定民間再開発事業の施行区域の範囲に、都市再生特別措置法の都市再生緊急整備地域を加える。
② 特定民間再開発事業が都市再生特別措置法の認定を受けた都市再生事業として行われる場合には、その事業が特定民間再開発事業に該当する旨の認定及びその事業の施行区域外にやむを得ない事情により転出する旨の認定は、国土交通大臣が行う。
(3) 特定再開発建築物等の割増償却制度について、対象となる特定再開発建築物等の範囲に、都市再生特別措置法の認定を受けて行われる一定の要件を満たす都市再生事業により建築された建築物を加える(割増率100 分の50)。
(注) 上記(1)から(3)までの都市再生事業につき、都市基盤整備公団及び地域振興整備公団が支援した場合にも、一定の要件の下で、これらの特例の適用を認める。
(4) 都市再生特別措置法に規定する認定事業者が、同法に定める国土交通大臣の認定を受けた民間都市再生事業計画(平成18 年3月31 日までに認定を受けるものに限る。以下「認定計画」という。)に基づき当該認定計画に係る都市再生事業のうち一定のもの(以下「特定民間都市再生事業」という。)の用に供するため、その認定後2年以内に当該特定民間都市再生事業の事業区域内の土地を取得する場合における所有権の移転登記については、登録免許税の税率を1,000 分の5(平成17 年4月1日以後に認定を受けて認定計画に基づき取得する土地について行う所有権の移転登記については、1,000 分の7)(本則1,000 分の20)に軽減する。
(5) 都市再生特別措置法に規定する認定事業者が、認定計画に基づき当該認定計画に係る特定民間都市再生事業により建築される建物を取得する場合における所有権の保存登記については、登録免許税の税率を1,000 分の1.5(本則1,000 分の4)に軽減する。
(6) 都市再生特別措置法に定める特定民間都市再生事業の事業区域内の土地に関する権利を有していた者が、認定計画に基づきその認定後2年以内に当該認定計画に係る特定民間都市再生事業を実施する同法に規定する認定事業者又は都市基盤整備公団若しくは地域振興整備公団(以下「公団」という。)にその事業区域内の土地に関する権利の譲渡をし、その譲渡をした権利に代替するものとして当該認定事業者又は公団から当該認定計画に従って建築された建築物の敷地の用に供されている土地の所有権を取得した場合における所有権の移転登記については、登録免許税の税率を1,000 分の8(本則1,000 分の20)に軽減する。
3 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講ずる。
(1) 適用対象に、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の買取請求に基づくマンション建替事業の施行者に対する土地等の譲渡又は一定の要件を満たすマンション建替事業の施行者に対する隣接施行敷地に係る土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等がこれらの事業の用に供されるものを加える。
(2) 適用対象となる優良建築物の建築事業又は特定の民間再開発事業の要件を、幹線道路の沿道の整備に関する法律の規定による沿道地区計画に定められる沿道再開発等促進区について緩和する。
(3) 適用対象に、日本郵政公社に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等が郵便業務その他一定の業務の用に供されるものを加える。
4 収用等の場合の5,000 万円特別控除等の適用対象に、再開発会社が行う都市再開発法による市街地再開発事業が施行された場合において、当該再開発会社の株主又は社員(当該事業の施行地区外に転出する者を除く。)が明渡しに伴う損失補償金を取得するときを加える。
5 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500 万円特別控除の適用対象に、やむを得ない事情により土地等がマンションの建替えの円滑化等に関する法律の買取請求に基づきマンション建替事業の施行者に買い取られる場合を加える。
6 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例の適用対象となる特定民間再開発事業の要件を、幹線道路の沿道の整備に関する法律の規定による沿道地区計画に定められる沿道再開発等促進区について緩和する。
7 不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する。
8 住宅の取得等をして住宅ローン控除の適用を受けていた居住者が、勤務先から転勤の命令その他これに準ずるやむを得ない事由によりその住宅をその者の居住の用に供しなくなった後、当該事由が解消し、当該住宅に再び入居した場合には、一定の要件の下で、当該住宅の取得等に係る住宅ローン控除の適用年のうちその者が再び入居した日の属する年(以下「再居住年」という。)以後の各適用年(当該再居住年に当該住宅を賃貸の用に供していた場合には当該再居住年の翌年以後の各適用年)について住宅ローン控除の再適用を受けることができる措置を講ずる。
(注) 上記の改正は、平成15 年4月1日以後に居住の用に供しなくなった場合について適用する。
9 既成市街地等内の既存建築物を優良賃貸住宅に改良する場合の工事費について、2年間の措置として、100 分の10 の特別償却を認める。
10 マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に対する登録免許税の免税措置の適用対象に、マンション建替組合が組合員からの買取請求により取得する区分所有権及び敷地利用権の取得の登記を追加する。
11 住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、所要の規定の整備を行った上、適用期限を2年延長する。
五個人所得課税
配偶者特別控除のうち控除対象配偶者(合計所得金額38 万円以下の配偶者)について配偶者控除に上乗せして適用される部分の控除を廃止する。
(注) 上記の改正は、平成16 年分以後の所得税について適用する。
六消費税
1 中小事業者に対する特例措置
(1) 事業者免税点制度の適用上限を1,000 万円(現行3,000 万円)に引き下げる。
(2) 簡易課税制度の適用上限を5,000 万円(現行2億円)に引き下げる。
(注) 上記の改正は、平成16 年4 月1 日以後に開始する課税期間について適用する。
2 申告納付制度等
(1) 直前の課税期間の年税額が4,800 万円(地方消費税込6,000 万円)を超える事業者は、中間申告納付を毎月(現行3月ごと)行うこととし、原則として、前年確定税額の12 分の1 ずつ申告納付する。
(2) 事業者の選択により課税期間を3月とする特例制度について、新たに課税期間を1月とする特例を設ける。
(注) 上記の改正は、平成16 年4 月1 日以後に開始する課税期間について適用する。
3 消費税法において、事業者がその相手方である消費者に対して商品の販売、役務の提供等の取引を行うに際し、予めその取引価格を表示する場合には、その商品や役務に係る消費税額(含む地方消費税額)を含めた価格を表示することを義務付けることとし、平成16 年4 月1 日から適用する。
七酒税・たばこ税
1 酒税
(1) 酒類間の税負担格差の縮小
ビール・発泡酒(麦芽比率25%未満)、清酒・果実酒、清酒・合成清酒、リキュール類・甘味果実酒及びその他の雑酒(その他のもの)の間の税負担格差の4分の1を縮小することとし、次の酒類に係る税率を次のように引き上げる。
① 税率
② 実施時期
平成15 年5月1日から実施する。
③ その他
手持品課税を実施する。
(2) ビールの原料に麦を追加するとともに、発泡酒の範囲に「麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの」を含める。
(3) 製造場に移入した課税済酒類を再移出した場合の税額控除制度の適用要件に、課税済酒類を「酒類の原料として使用したとき」を加える。
(4) 酒類の検定制度を廃止するほか、酒類の検査、申告手続等の簡素合理化を図る。
(5) ビールに係る酒税の税率の特例の創設
小規模なビール製造業(いわゆる「地ビール」)について、平成18 年3月31 日までにビールの製造免許を受けた者(前年度におけるビールの課税移出数量が1,300kl.以下の者に限る。)の当年度におけるビールの課税移出数量のうち200kl.の範囲内のものに対する酒税額を20%軽減する措置を創設する。
(注) 上記の措置は、平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までに初めてビールの製造免許を受けた者については当該免許を受けた日から3年間適用し、平成15 年3月31 日以前にビールの製造免許を受けた者については平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日まで適用する。
(6) 清酒等に係る酒税の税率の特例
① 特例措置の適用期限を5年延長するとともに、発泡酒(麦芽比率50%以上のものを除く。)及び合成清酒(租税特別措置法87 条の3第1項の適用を受けるものを除く。)を措置の対象に追加する。
② 対象とされる酒類に係る軽減割合は、それぞれ次のとおりとする。
イ 合成清酒、果実酒及び発泡酒
平成15 年4月1日から平成20 年3月31 日まで 30%
ロ しようちゆう乙類
平成15 年4月1日から平成19 年3月31 日まで 30%
平成19 年4月1日から平成20 年3月31 日まで 25%
ハ 清酒及びしようちゆう甲類
平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日まで 30%
平成18 年4月1日から平成20 年3月31 日まで 25%
(7) その他所要の規定の整備を行う。
2 たばこ税
たばこ税の税率を次のように引き上げる。
(1) 税率
(注1)旧3級品とは、専売納付金制度下において3級品とされていた紙巻たばこをいう。
(注2)上記のほか、特定販売業者以外の者により保税地域から引き取られる製造たばこに係る税率を7,072 円/千本(現行6,252 円/千本)に引き上げる。
(2) 実施時期
平成15 年7月1日から実施する。
(3) その他
① 手持品課税を実施する。
② その他所要の規定の整備を行う。
八その他
1 NPO税制
認定NPO法人制度について、次の見直しを行う。
(1) 認定NPO法人の認定要件を次のように緩和する。
① いわゆるパブリックサポートテスト(総収入金額のうちに寄附金総額の占める割合が3分の1以上であること)に関し、次の措置を講ずる。
イ 平成15 年4 月1 日から平成18 年3 月31 日までの間、当該割合を5分の1以上(現行3分の1以上)に緩和する。
ロ 一者からの寄附金等について、寄附金総額に算入できない金額を寄附金総額の100 分の5(現行100 分の2)を超える金額とする。
ハ 一者からの寄附金等について、総収入金額及び寄附金総額に含めない寄附金額を1,000 円未満(現行3,000 円未満)に引き下げる。
ニ 国・地方公共団体及び我が国が加盟している国際機関からの委託事業費並びに我が国が加盟している国際機関からの補助金の額を総収入金額に含めないこととする。
② 特定非営利活動が複数の市区町村で行われていること等の活動等の範囲に関する要件を削除する。
③ 海外への送金又は金銭の持出しを行う場合に、あらかじめ国税庁への届け出が必要な範囲を200 万円を超える場合とし、200 万円以下の海外への送金等を行う場合については、事業年度終了後報告することとする。
(2) 認定NPO法人がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額については、その収益事業に係る寄附金の額とみなすとともに、寄附金の損金算入限度額を所得の金額の100 分の20 とする。
2 石油税及び電源開発促進税
(1) 石油税
① 税率の引上げ及び課税対象の追加等
ガス状炭化水素について、税率を1トン当たり1,080 円(現行LPG670 円、LNG720 円)に引き上げるとともに、石炭(練炭、豆炭その他これらに類する固形燃料で石炭から製造したもののうち輸入されたものを含む。)を課税対象に追加し、その税率を1トン当たり700 円とする。また、石油税の名称を石油石炭税(仮称)に改める等、所要の規定の整備を行う。
(注) 上記の改正は、平成15 年10 月1日から施行する。ただし、次のとおり所要の経過措置を講ずる。
② 鉄鋼の製造に使用する石炭、コークスの製造に使用する石炭及びセメントの製造に使用する石炭については、平成15 年10 月1日から平成17 年3月31 日までの間の措置として、石油石炭税を免除する。
③ 沖縄県で発電の用に供される石炭については、平成15 年10 月1日から平成19 年3月31 日までの間の措置として、石油石炭税を免除する。
(2) 電源開発促進税
税率を1キロワット時当たり37.5 銭(現行44.5 銭)に引き下げるほか、所要の規定の整備を行う。
(注) 上記の改正は、平成15 年10 月1日から施行する。ただし、次のとおり所要の経過措置を講ずる。
3 自動車関係諸税の特例
揮発油税及び地方道路税並びに自動車重量税について、税率の特例措置の適用期限を5年延長する。
(注) このほか、自動車重量譲与税の譲与割合を3分の1(現行4分の1)に引き上げる。
4 社会経済情勢の変化への対応
(1) 産業活力再生特別措置法の改正に伴い、次の措置を講ずる。なお、現行の産業活力再生特別措置法に係る措置は、次の④の措置を除き、廃止する。
① 改正後の産業活力再生特別措置法の事業革新設備を導入する旨の記載がある計画の認定事業者等が取得等をする特定の事業革新設備について、取得価額の100分の24(同法の事業再構築計画又は経営資源再活用計画(仮称)の認定事業者等が取得等をする事業革新設備については、100 分の30 とし、同法の共同事業再編計画(仮称)の認定事業者等が取得等をする事業革新設備については、100 分の40とする。)の特別償却を認める。
② 改正後の産業活力再生特別措置法の共同事業再編計画の認定事業者が、当該共同事業再編計画に従い、共同で現物出資により共同新設会社を設立する際に生ずる譲渡益について、一定の要件の下に、課税の繰延べを認める。
③ 改正後の産業活力再生特別措置法に規定する事業再構築計画の認定等(平成15年4月1日から平成20 年3月31 日までの間にされたものに限る。)を受けた認定事業者等が、同計画に基づき行う株式会社等の設立又は増資の登記等に対する登録免許税の税率について、次のように軽減する。
イ 平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までの間に行うもの
株式会社等の設立又は資本の増加の登記等
1,000 分の1.5 (本則1,000 分の7)等
ロ 平成18 年4月1日から平成20 年3月31 日までの間に行うもの
株式会社等の設立又は資本の増加の登記等
1,000 分の2.5 (本則1,000 分の7)等
④ 産業活力再生特別措置法の設備廃棄等による欠損金額の特例措置について、その対象となる計画に改正後の産業活力再生特別措置法の共同事業再編計画及び経営資源再活用計画を加えるとともに、欠損金額の範囲を拡充した上、欠損金の繰越期間の特例につき適用期限を2年延長する。
(2) 株式会社産業再生機構法(仮称)の制定に伴い、同法の規定に基づき設立された株式会社産業再生機構(仮称)が、平成17 年3月31 日までの間に行われる金融機関等からの申込みに基づき一定の債権の買取りを行う場合において、これを担保するために受ける抵当権等の移転登記に対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。
(3)牛海綿状脳症対策特別措置法の制定に伴い定められる飼料安全法に基づく新たな製造基準に即した飼料製造設備等について、平成17 年3月31 日までの2年間の措置として、取得価額の100 分の18(建物等については、100 分の9)の特別償却を認める措置を講ずる。
(4) 地震防災対策用資産の特別償却制度について、対象地域につき東南海・南海地震防災対策推進地域を加える等の見直しを行うとともに、昭和54 年当初の地震防災対策強化地域に係る償却割合を100 分の8(現行100 分の9)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
(5) 特定電気通信設備等の特別償却制度について、高度テレビジョン放送制作等利便性充実設備の範囲にデジタル副調整設備及びデジタル送受信装置を加えるほか、電気通信基盤充実設備、電気通信役務安定提供設備及び不正アクセス対策用設備を除外する等の見直しを行うとともに、電気通信利便性充実設備に係る償却割合を100分の10(現行100 分の12)に、広帯域加入者網普及促進設備に係る償却割合を100分の15(現行100 分の18)にそれぞれ引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
(6) 再商品化設備等の特別償却制度について、対象設備に自動車破砕残さ再資源化施設を加えるほか、基準取得価額等の見直しを行う。
(7) 離島振興対策実施地域における工業用機械等の特別償却制度について、対象資産に地域特産物の消費の増進に資する事業の用に供する施設を加えた上、その適用期限を2年延長する。
(8) 医療用機器等の特別償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 看護業務省力化機器の範囲を見直すとともに、新たに医療安全に資する医療用機器等について、取得価額の100 分の20 の特別償却を認める。
② 建替え病院用建物の特別償却の対象資産に一定の有床診療所の療養病床を加える。
(9) 農業経営改善計画等を実施する法人の機械等の割増償却制度について、割増償却の対象期間を拡充し、その適用期限(認定期限)を2年延長する。
(10) 一定の金融機関等が、平成15 年4月1日から平成20 年3月31 日までの間に、金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法による主務大臣の認定を受けた経営基盤強化計画に基づき合併等の組織再編成を実施した場合の会社の設立の登記等に対する登録免許税の税率について、次のように軽減する措置を講ずる。
① 平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までの間に行うもの
会社の設立の登記等1,000 分の1.5(本則1,000 分の7)等
② 平成18 年4月1日から平成20 年3月31 日までの間に行うもの
会社の設立の登記等1,000 分の2.5(本則1,000 分の7)等
(11) 株式分割等に係る株券に対する印紙税の非課税措置の対象範囲に、協同組織金融機関の作成する優先出資証券を追加するとともに、その適用期限を2年延長する。
5 その他の租税特別措置の改正
租税特別措置について、所要の経過措置を講じた上、次の措置を講ずる。
(1) 廃止
次に掲げる租税特別措置を廃止する。
① 事業化設備等を取得した場合等の特別償却又は特別税額控除
② 中小企業者等の機械の特別償却
③ 鉱業用坑道等の特別償却
④ プログラム等準備金
⑤ 技術等海外取引に係る所得の特別控除
⑥ 農地等の贈与による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減
⑦ 中小企業者が集団化等のため取得する土地等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減(経過措置を含む。)
⑧ 公的医療機関の開設者等が国立病院等に係る土地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑨ 不動産特定共同事業者が取得する土地等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑩ 中高層耐火建築物等の所有権等の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑪ 防災街区整備権利移転等促進計画に基づき土地を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑫ 認定再開発事業計画に基づき土地を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑬ 民間都市開発の推進に関する特別措置法の認定計画に基づき土地を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑭ 認定特定事業計画等に基づき施設等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
(2) 縮減等
① 特別償却
イ エネルギー需給構造改革推進投資促進税制について、対象設備の見直しを行う。
ロ 公害防止用設備の特別償却制度について、対象設備及び取得価額要件の見直しを行った上、その適用期限を2年(家畜排せつ物処理・保管用施設については、平成16 年10 月31 日まで)延長する。
ハ 電線類地中化設備の特別償却制度について、その対象区域を見直した上、その適用期限を1年延長する。
ニ 船舶等の特別償却制度について、船員訓練設備に係る償却割合を100 分の6(現行100 分の10)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
ホ 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度について、機械装置に係る償却割合を100 分の24(現行100 分の25)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
へ 特定中核的民間施設等の特別償却制度について、次のとおり見直した上、その適用期限を2年延長する。
(イ) 中核的民間施設の特別償却制度について、取得価額の最低限度を6億5千万円(現行6億円)に引き上げる。
(ロ) 山村振興法の保全事業用資産の特別償却制度について、機械装置の取得価額の最低限度を210 万円(現行180 万円)に、建物等の取得価額の最低限度を2,300 万円(現行2,000 万円)にそれぞれ引き上げるとともに、建物等に係る償却割合を100 分の6(現行100 分の8)に引き下げる。
(ハ) 特定農山村法の農林業等活性化基盤施設の特別償却制度について、建物等の取得価額の最低限度を2,300 万円(現行2,000 万円)に引き上げるとともに、機械装置に係る償却割合を100 分の10(現行100 分の15)に引き下げる。
ト 特定余暇利用施設の特別償却制度について、償却割合を、基本構想承認後5年超8年以内の取得等については100 分の7(現行5年超7年以内100 分の10、7年超8年以内100 分の8)に、基本構想承認後10 年超12 年以内の取得等については100 分の5(現行100 分の6)に、それぞれ引き下げる。
チ 農村地域工業等導入地区における工業用機械等の特別償却制度について、機械装置に係る償却割合を100 分の8(現行100 分の9)に、建物等に係る償却割合を100 分の4(現行100 分の5)にそれぞれ引き下げる。
リ 半島振興対策実施地域における工業用機械等の特別償却制度について、対象資産の取得価額の最低限度を2,500 万円超(現行2,300 万円超)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
ヌ 過疎地域等における工業用機械等の特別償却制度について、次の見直しを行う。
(イ) 離島振興対策実施地域のうち過疎地域に類する地区に係る措置について、対象事業からソフトウエア業を除外した上、その適用期限を2年延長する。
(ロ) 水源地域に係る措置について、機械装置に係る償却割合を100 分の11(現行100 分の12)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
ル 高齢者向け優良賃貸住宅の割増償却制度について、割増率を耐用年数35 年以上のものにあっては100 分の50(現行100 分の55)に、耐用年数35 年未満のものにあっては100 分の36(現行100 分の40)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
ヲ 特定再開発建築物等の割増償却制度について、対象となる特定再開発建築物等の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長する。
ワ 鉱工業技術研究組合等に対する支出金の特別償却制度について、対象となる支出金の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長する。
② 準備金等
イ 海外投資等損失準備金制度について、資源開発事業法人等が行うことができる資源開発事業等の範囲の見直しを行う。
ロ 電子計算機買戻損失準備金制度について、特別買戻損失の発生割合の計算方法を見直した上、その適用期限を2年延長する。
ハ 原子力発電施設解体準備金制度について、積立限度額の計算方法の見直しを行う。
ニ 農業協同組合等の留保所得の特別控除制度について、対象となる協同組合等の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長する。
ホ 農用地利用集積準備金制度について、積立率を100 分の9(現行100 分の10)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
ヘ 鉱工業技術研究組合等の所得計算の特例制度について、対象となる組合の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長する。
ト 特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例制度について、適用対象となる負担金の範囲の見直しを行う。
チ 欠損金の繰越期間の特例制度について、特定通信・放送開発事業実施円滑化法の認定実施計画を実施する中小企業者に係る措置を除外した上、中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法の認定研究開発等事業計画を実施する中小企業者に係る措置の適用期限を2年延長する。
③ 農用地区域等内の農地等を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、次の見直しを行う。
イ 農業振興地域の整備に関する法律の規定による市町村長の勧告に係る協議等により農地等を取得した場合の軽減措置及び林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法の認定を受けた者が都道府県知事に対する森林所有権の移転のあつせんの申出に基づき森林に係る土地を取得した場合の軽減措置を廃止する。
ロ 農業経営基盤強化促進法に規定する利用権設定等促進事業により農地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を調整した上、その適用期限を2年延長する。
④ 農林中央金庫等が特定農業協同組合等から事業譲渡により土地等を取得した場合等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、次の見直しを行う。
イ 農林中央金庫等が特定農業協同組合等から事業譲渡により不動産に関する権利を取得した場合の軽減措置、農林中央金庫等が特定漁業協同組合等から不動産等に関する権利を取得した場合の軽減措置及び漁業協同組合が水産業協同組合法の規定により漁業協同組合連合会の権利義務を包括承継した場合の軽減措置について、軽減税率の調整を行う。
ロ 農業協同組合が農業協同組合法の規定により農業協同組合連合会から権利義務を包括承継した場合の軽減措置の適用期限を2年延長する。
ハ 森林組合が、平成15 年4月1日から平成17 年3月31 日までの間に、森林組合法の規定により森林組合連合会の権利義務を包括承継した場合について、不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率を1,000 分の2(本則1,000 分の20)等に軽減する措置を加える。
ニ 農業共済組合及び農業共済組合連合会を登録免許税法別表第三(非課税の登記等の表)に掲名するとともに、同組合が農業災害補償法の規定により同連合会の権利義務を包括承継した場合の軽減措置及び同組合が合併により不動産を取得した場合の軽減措置を廃止する。
(3) 適用期限の延長等
① 事業革新設備等の特別償却制度について、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法に係る措置の適用期限を平成17 年3月31 日まで延長する。
② 登録免許税の特例
イ 農林漁業金融公庫資金等の転貸の場合の抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
ロ 商工組合中央金庫、信用保証協会、農業信用基金協会等の抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
ハ 特定の公共的建設事業の用に供する土地を取得した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を調整した上、その適用期限を1年延長する。
③ 次に掲げる特別措置の適用期限を2年延長する。
イ 山林所得に係る森林計画特別控除
ロ 特定高度技術産業集積地域における高度技術産業用設備の特別償却
ハ 経営基盤強化計画を実施する特定組合等の構成員等の機械等の割増償却
ニ 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却
ホ 植林費の損金算入の特例
ヘ 特定災害防止準備金
ト 中小企業等の貸倒引当金の特例
チ 国産石油アスファルト等に係る石油税の還付
リ 特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例
④ 次に掲げる特別措置の適用期限を1年延長する。
イ 入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例
ロ 沖縄特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例
6 その他
(1) 国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税制度について、次の措置を講ずる。
① 私立大学等を設置する学校法人の役員等(その親族等を含む。)以外の者からの当該学校法人に対する贈与又は遺贈に係る財産で当該学校法人の基本金に組み入れられるもの等については、一定の要件の下で、公益の増進に著しく寄与すること等の承認要件を満たすものとする。
② この制度の承認申請期限をその贈与又は遺贈のあった日から4か月以内(現行3か月以内)に延長する。
(2) 内国法人が支払を受けるべき芸能人の役務の提供に関する報酬又は料金に対する源泉徴収制度を廃止する。
(注) 上記の改正は、内国法人が平成15 年4月1日以後に支払を受けるべき報酬又は料金について適用する。
(3) 商品先物取引に係る雑所得等の課税の特例について、次の措置を講ずるとともに、その適用期限を撤廃したうえ、同特例を「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」に改める。
① 適用対象に、居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成16 年1月1日以後に証券取引法に規定する有価証券先物取引、有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引(以下「有価証券先物取引等」という。)をし、かつ、当該有価証券先物取引等の差金等決済をした場合の当該差金等決済に係る当該有価証券先物取引等による事業所得及び雑所得を加える。
② 先物取引に係る課税雑所得等の金額に対する税率を15%(現行20%)に引き下げる。
③ 平成15 年1月1日以後に商品先物取引又は有価証券先物取引等に係る差金等決済をしたことにより生じた損失の金額のうちに、その差金等決済をした日の属する年分の商品先物取引又は有価証券先物取引等に係る雑所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない金額があるときは、一定の要件の下で、その控除しきれない金額についてその年の翌年以後3年内の各年分の商品先物取引又は有価証券先物取引等に係る雑所得等の金額からの繰越控除を認める。
(注)上記②及び③の改正は、平成15 年分以後の所得税について適用する。ただし、有価証券先物取引等については、平成16 年1月1日以後上記①の差金等決済をした場合について適用する。
(4) 連結納税制度について、連結子法人が離脱した場合には、その直前にみなし事業年度を設け、そのみなし事業年度を連結子法人として単体申告をする事業年度とするほか、連結事業年度等について所要の整備を図る。
(5) 受取配当等の益金不算入制度の負債の利子の計算について、損害保険会社の第三分野保険に係る保険料積立金の利子に相当する金額は、生命保険会社の保険料積立金に係る利子に相当する金額と同様の取扱いとする。
(6) 同族会社の判定について、自己株式を有する場合の判定方法を見直すほか、同族会社となる持分割合の基準を100 分の50 超(現行100 分の50 以上)とする。
(7) 一定の適格組織再編成後に再度適格合併を行うことが予定されている場合のその最初の適格組織再編成の株式保有要件等の見直しを行う。
(8) 公益法人等の収益事業に係る課税について、民間都市開発推進機構が行う都市再生特別措置法の民間立替施行型公共施設整備等無利子貸付業務等を収益事業の範囲から除外する。
(9) 寄附金控除等の対象となる特定公益増進法人の範囲に、次の法人を加える。
① 一定のインターナショナルスクールの設置を主たる目的とする学校法人又は準学校法人
② 慢性疾患にかかっている児童が医療施設において療養を受けるために当該児童及びその世話を行う家族を宿泊させることを目的とした施設の設置運営に関する業務を行うことを主たる目的とする民法法人
(10) 特定の医療法人の法人税率の特例制度について、特別の療養環境に係る病床に係る承認要件を緩和するとともに、承認を受けた法人に対して承認要件を満たすことを明らかにする書類等の提出を義務付けること等の所要の措置を講じた上、特定の医療法人の承認は、国税庁長官(現行財務大臣)が行うこととする。
(11) 退職年金等積立金に対する法人税(特別法人税)の課税停止措置を2年延長する。
(12) 特定の用途に供される揮発油に係る揮発油税及び地方道路税の免税措置について、その適用期限を5年延長する。
(13) 入国者が輸入する紙巻たばこに係るたばこ税の税率の特例措置の適用期限を1年延長したうえ、その税率を1,000 本につき6,000 円(現行5,000 円)に引き上げる。
(注)上記の改正のうち、税率の引上げについては、平成15 年7月1日から実施する。
(14) 特殊法人等整理合理化計画に基づき特殊法人等が独立行政法人等に移行することに鑑み、所得税、法人税、登録免許税、印紙税等について、各独立行政法人等の出資状況、残余財産を含む剰余金の分配規定の有無などに応じ、各独立行政法人等を公共法人又は公益法人等とする等所要の措置を講ずる。
(15) 租税条約の規定に基づき条約相手国から情報の提供要請があった場合には、当該情報の提供のために、一定の場合を除き、国税庁、国税局又は税務署の当該職員が当該要請において特定された者に対して質問検査を行うことができることとする規定(罰則等所要の規定を含む。)を整備する。
(16) その他所要の税制の整備を行う。
平成15年1月17 日
閣議決定
現下の経済・財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するための 「あるべき税制」の構築に向け、次のとおり改正を行うこととする。
具体的には、わが国産業の競争力強化のための研究開発・設備投資減税の集中・重点化、次世代への資産移転の円滑化に資する相続税・贈与税の一体化及び税率の引下げ、「貯蓄から投資へ」の改革に資する金融・証券税制の軽減・簡素化、土地の有効利用の促進に資する登録免許税の軽減、人的控除の簡素化等の観点からの配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止、消費税に対する信頼性・透明性を向上させるための免税点制度等の改革、酒税及びたばこ税の見直しその他の所要の措置を一体として講ずる。
なお、上記措置の実施により、平成15 年度において1.5 兆円程度の減税となり、多年度においては税収中立となる。
一 法人関連税制
1 研究開発減税
(1) 試験研究費の総額に係る特別税額控除制度の創設
増加試験研究費の特別税額控除制度との選択制で、試験研究費の総額に対し次の控除割合による特別税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の100 分の20 相当額を限度とする。
① 特別税額控除割合は、試験研究費の総額の売上金額(当期を含む4年間の平均売上金額)に対する割合(以下「試験研究費割合」という。)に応じ、次のとおりとする。
・試験研究費割合が100 分の10 以上 100 分の10
・試験研究費割合が100 分の10 未満 100 分の8+試験研究費割合×0.2
② 3年間の時限措置として、上記①の特別税額控除割合に100 分の2を上乗せし、
試験研究費割合に応じ、次のとおりとする。
・試験研究費割合が100 分の10 以上 100 分の12
・試験研究費割合が100 分の10 未満 100 分の10+試験研究費割合×0.2
(2) 産学官連携の共同研究・委託研究に係る特別税額控除制度の創設
大学、公的研究機関等との共同試験研究及びこれらに対する委託試験研究について、上記(1)と合わせてこれらの試験研究に係る試験研究費の額の100 分の12 相当額の特別税額控除を認める。ただし、上記特別税額控除額と合計して、当期の法人税額の100 分の20 相当額を限度とする。
なお、3年間の時限措置として、上記特別税額控除割合に100 分の3を上乗せし、特別税額控除割合を100 分の15 とする。
(3) 中小企業技術基盤強化税制の拡充
中小企業技術基盤強化税制について、増加試験研究費の特別税額控除制度並びに上記(1)及び(2)の特別税額控除制度の適用に代えて、試験研究費の総額の100 分の12(現行100 分の6(平成15 年3月31 日までは100 分の10))相当額の特別税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の100 分の20 相当額を限度とする。
なお、3年間の時限措置として、上記特別税額控除割合に100 分の3を上乗せし、特別税額控除割合を100 分の15 とする。
(4) 税額控除限度超過額の繰越控除(1年)
前1年以内に開始した事業年度において、上記(1)から(3)までの特別税額控除制度による控除をしても控除しきれない金額(税額控除限度超過額)がある場合に、その事業年度の試験研究費の総額が前事業年度の試験研究費の総額を超えるときは、税額控除限度超過額の繰越控除を認める。ただし、当期における上記(1)から(3)までの特別税額控除額と合計して、当期の法人税額の100 分の20 相当額を限度とする。
(5) 試験研究費等の範囲の見直し
試験研究費の範囲から、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法の商工組合等が賦課する負担金等を、特別試験研究費の範囲から、エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法の承認事業者等が行う試験研究に係る試験研究費を除外する。
(6) 増加試験研究費の特別税額控除制度の適用期限の延長
増加試験研究費の特別税額控除制度の適用期限を平成18 年3月31 日まで3年延長する。
(7) 適用関係
上記(1)から(3)までの措置は、平成15 年1月1日以後に開始する事業年度で、かつ、平成15 年4月1日以後に終了する事業年度について適用する。
2 設備投資減税
(1) IT投資促進税制の創設
平成15 年1月1日から平成18 年3月31 日までの期間内に、一定のIT関連設備等(別紙参照)の取得等をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、取得価額の100 分の50 相当額の特別償却と取得価額の100 分の10 相当額の特別税額控除との選択適用を認める。また、資本金が3億円以下の法人にあっては、一定のリース資産(別紙参照)の賃借をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、リース費用の総額の100 分の60 相当額について100 分の10 相当額の特別税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の100 分の20 相当額を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しを認める。
(2) 開発研究用設備の特別償却制度の創設
平成15 年1月1日から平成18 年3月31 日までの期間内に、一定の開発研究用設備(別紙参照)の取得等をして、これを国内にある開発研究の用に供した場合には、その取得価額の100 分の50 相当額の特別償却を認める。
(3) 適用関係等
上記(1)及び(2)の措置は、平成15 年4月1日以後に終了する事業年度について適用する。
なお、同日前に終了する事業年度において平成15 年1月1日から平成15 年3月31 日までの間に対象設備等の取得等をした場合には、平成15 年4月1日を含む事業年度において、特別税額控除相当額又は特別償却相当額の繰越控除又は償却を認める。
(注) 連結納税制度についても上記1及び2と同様の措置を講ずる。
3 中小企業・ベンチャー企業支援
(1) 中小企業技術基盤強化税制の拡充(再掲)
(2) 同族会社の留保金課税制度について、自己資本比率(総資産に占める自己資本(同族関係者からの借入金を含む。)の割合)が100 分の50 以下の中小法人(資本金1億円以下の法人)の、平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までの間に開始する事業年度については、留保金課税を適用しない措置を講ずるとともに、現行の課税留保金額に対する税額の5%軽減措置を廃止する。
(3) 交際費等の損金不算入制度について、400 万円の定額控除を認める対象法人の範囲を資本金1億円以下の中小法人(現行資本金5,000 万円以下の中小法人)に拡大するとともに、定額控除額までの金額の損金不算入割合を100 分の20 から100 分の10 に引き下げた上、その適用期限を3年延長する。
(4) 中小企業の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度を創設することとし、中小企業者等が、平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までの間に、取得価額30 万円未満の減価償却資産を取得した場合には、取得価額の全額の損金算入を認める措置を講ずる。
(5) 特定中小会社が発行した株式に係る課税の特例(いわゆる「エンジェル税制」)について、次の措置を講ずる。
① 特定中小会社の特定株式の取得時における投資促進税制の創設
中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法の特定中小会社の特定株式を払込みにより取得した場合に、一定の要件の下で、その取得をした年分の株式等に係る譲渡所得等の金額からその特定株式の取得に要した金額(当該株式等に係る譲渡所得等の金額を限度とする。)を控除する特例を創設する。この場合において、その取得をした特定株式の取得価額は、当該控除をした金額をその取得に要した金額から控除した金額とする。
② 適用要件の緩和
特定中小会社の特定株式を上場等の日以後に譲渡した場合の譲渡所得等の課税の特例の要件とされている譲渡期間を、当該上場等の日以後3年以内(現行1年以内)に延長する。
(6) 中小企業等基盤強化税制について、事業化設備等を取得した場合等の特別償却又は特別税額控除制度を統合するとともに、適用対象者から飲食店業を営む大規模法人、中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の認定計画に従って改善事業を実施する認定組合等及びその構成員並びに産業活力再生特別措置法の認定事業再構築計画に従って事業再構築を行う中小企業者を除外するほか、特定旅館業者の対象設備を見直した上、その適用期限を2年延長する。
(7) 商業施設等の特別償却制度について、中小企業流通業務効率化促進法の認定計画に係る共同利用施設の範囲を拡充するとともに、中小小売商業振興法の連鎖化事業計画に係る措置及び商店街整備等支援計画に係る措置を除外した上、その適用期限を2年延長する。
二相続税・贈与税
1 相続時精算課税制度(仮称)の創設
次により相続時精算課税制度を創設する。
(1) 概要
生前贈与については、受贈者の選択により、現行の贈与税制度に代えて、贈与時に贈与財産に対する贈与税を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払ったその贈与税を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税をすることができることとする。
(2) 適用対象者
本制度の適用対象となる贈与者は65 歳以上の親、受贈者は20 歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む。)とする。
(3) 適用手続
本制度の選択を行おうとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15 日までの間に所轄税務署長に対してその旨の届出を贈与税の申告書に添付することにより行うものとする。この選択は、受贈者である兄弟姉妹が各々、贈与者である父、母ごとに選択できるものとし、最初の贈与の際の届出により相続時まで本制度は継続して適用される。
(4) 適用対象財産等
贈与財産の種類、金額、贈与回数には、制限を設けない。
(5) 税額の計算
① 贈与税額の計算
本制度の選択をした受贈者(子)は、本制度に係る贈与者(親)からの贈与財産について贈与時に申告を行い、他の贈与財産と区分して、選択をした年以後の各年にわたるその贈与者(親)からの贈与財産の価額の合計額を基に計算した本制度に係る贈与税を支払うものとする。
その贈与税の額は、選択をした年以後については基礎控除110 万円を控除せず、上記の贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる非課税枠2,500 万円(特別控除)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出する。
(注)なお、本制度を選択した受贈者(子)が本制度に係る贈与者(親)以外の者から贈与を受けた場合には、その贈与財産の価額の合計額から基礎控除110万円を控除し、下記3の贈与税の税率を乗じて贈与税額を計算する。
② 相続税額の計算
本制度の選択をした受贈者(子)は、本制度に係る贈与者(親)からの相続時に、それまでの贈与財産と相続財産とを合算して現行と同様の課税方式(法定相続分による遺産取得課税方式)により計算した相続税額から、既に支払った本制度に係る贈与税相当額を控除する。その際、相続税額から控除しきれない場合には、その控除しきれない本制度に係る贈与税相当額の還付を受けることができる。
なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の時価とする。
2 相続税の税率構造の見直し
相続税の税率構造を次のように改める。
現 行 | 改 正 案 | |||
税率 | 税率 | |||
800 万円以下の金額 | 10% | 1,000 万円以下の金額 | 10% | |
1,600 万円〃 | 15% | 3,000 万円〃 | 15% | |
3,000 万円〃 | 20% | 5,000 万円〃 | 20% | |
5,000 万円〃 | 25% | |||
1億円〃 | 30% | 1億円〃 | 30% | |
2億円〃 | 40% | 3億円〃 | 40% | |
4億円〃 | 50% | 3億円超の金額 | 50% | |
20 億円〃 | 60% | |||
20 億円超の金額 | 70% |
3 贈与税の税率構造の見直し
相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造を次のように改める。
現 行 | 改 正 案 | |||
税率 | 税率 | |||
150 万円以下の金額 | 10% | 200 万円以下の金額 | 10% | |
200 万円〃 | 15% | 300 万円〃 | 15% | |
250 万円〃 | 20% | 400 万円〃 | 20% | |
350 万円〃 | 25% | |||
450 万円〃 | 30% | 600 万円〃 | 30% | |
600 万円〃 | 35% | |||
800 万円〃 | 40% | 1,000 万円〃 | 40% | |
1,000 万円〃 | 45% | |||
1,500 万円〃 | 50% | 1,000 万円超の金額 | 50% | |
2,500 万円〃 | 55% | |||
4,000 万円〃 | 60% | |||
1億円〃 | 65% | |||
1億円超の金額 | 70% |
(注) 上記1から3までの改正は、平成15 年1月1日以後の相続又は贈与から適用する。
4 住宅取得資金等に係る相続時精算課税制度の特例の創設
(1)相続時精算課税制度について、自己の居住の用に供する一定の家屋を取得する資金又は自己の居住の用に供する家屋の一定の増改築のための資金の贈与を受ける場合に限り、65 歳未満の親からの贈与についても適用することとするほか、これらの資金の贈与については2,500 万円の非課税枠(特別控除)に1,000 万円を上乗せし、非課税枠(特別控除)を3,500 万円とする。
(2) 上記(1).の「一定の家屋」とは、次の要件を満たす家屋をいう。
① 新築又は築後経過年数が20 年以内(一定の耐火建築物である場合には、25 年以内)であること。
② 家屋の床面積(区分所有の場合には、当該区分所有する部分の床面積)が50 ㎡以上であること。
③ その他所要の要件を満たすこと。
(3) 上記(1)の「一定の増改築」とは、その者が所有する家屋について行う増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事で次の要件を満たすものをいう。
① 増改築の工事費用が100 万円以上であること。
② 増改築後の家屋の床面積(区分所有の場合には、当該区分所有する部分の床面積)が50 ㎡以上であること。
③ その他所要の要件を満たすこと。
(4) この特例は、平成15 年1月1日から平成17 年12 月31 日までの間に贈与により取得する金銭について適用する。
(5) 現行の住宅取得資金等の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例(5分5乗方式)については、平成17 年12 月31 日まで、経過措置として存置する。
(注) 平成15 年1 月1日以後に贈与により取得した住宅取得資金等について、住宅取得資金等の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例の適用を受けた者は、当該贈与を受けた日の属する年以後5年間は、当該贈与に係る贈与者からの贈与について、相続時精算課税制度を選択できないこととする。
5 その他
(1) 相続税の申告に際し必要となる他の共同相続人等の贈与税の申告内容について、必要最小限の情報を相続人等の請求により税務署長が開示する制度を創設する。
(2) 相続税額の二割加算制度について、加算の対象となる者に被相続人の養子となった当該被相続人の孫(代襲相続人である者を除く。)を追加する。
(3) 贈与税について、更正等の期間制限(現行3年又は5年)を6年に延長する。
(4) 生命保険に関する権利の法定評価の規定について、所要の経過措置を講じた上、廃止し、原則として個々の契約に係る解約返戻金の額を用いて評価することとする。
(5) 税務職員の守秘義務違反に係る罰則を2年以下の懲役又は30 万円以下の罰金(現行2年以下の懲役又は3万円以下の罰金)とする。
(6) 出国時における申告書の提出期限の延長、税務職員の検査対象規定の整備、相次相続控除の規定の整備、財産の所在地に関する規定の明確化その他所要の規定の整備を行う。
(7) 特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例については、相続時精算課税制度に係る贈与財産を適用対象に加えるとともに、所要の規定の整備を行う。
(8) 上記(7)の他、相続時精算課税制度の導入に伴い、租税特別措置その他の規定について、所要の規定の整備を行う。
三金融・証券税制
1 配当課税の見直し
(1) 上場株式等の配当等に対する源泉徴収税率の特例の創設
平成15 年4月1日以後に支払を受ける一定の上場株式等の配当等について、源泉徴収税率を15%(本則20%)に軽減する特例を創設する。
平成15 年4月1日以後5年間に支払を受ける上記の上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率については、平成15 年4月1日から同年12 月31 日までは10%、平成16 年1月1日から平成20 年3月31 日までは7%の優遇税率を適用する。
(2)上場株式等の配当所得に係る申告不要の特例の適用上限額の撤廃
少額配当の申告不要の特例の対象となる配当等のうち平成15 年4月1日以後に支払を受ける一定の上場株式等の配当等については、1回の支払金額に係る適用上限額を撤廃する。
(3) 株式等に係る配当所得の35%源泉分離選択課税の特例は、平成15 年3月31 日をもって廃止する。
2 投資信託課税の見直し
公募株式投資信託については、平成16 年1月1日以後、現行の利子並み課税の対象から除外したうえ、次の措置を講ずる。
(1) 公募株式投資信託の収益の分配を上記1(1)の源泉徴収税率の特例及び1(2)の適用上限額を付さない申告不要の特例の対象とする。
(2) 公募株式投資信託の償還・中途解約による損失について、株式等に係る譲渡所得等の金額との通算を可能とする。
3 上場株式等に係る譲渡所得等に関する優遇措置の見直し
(1) 平成15 年1月1日以後5年間に上場株式等を譲渡した場合における上場株式等に係る譲渡所得等の金額について、7%の優遇税率により課税する特例を創設する。
(2) 上記(1)の特例の創設に伴い、次の特例を廃止する。
① 長期所有上場株式等に係る譲渡所得等に対する暫定税率の特例
② 長期所有上場特定株式等の譲渡所得に係る100 万円特別控除の特例
(注)上記の改正は、平成15 年分以後の所得税について適用する。
4 源泉徴収口座等の改善
(1) 源泉徴収方式の改善(年間分一括納付方式への変更)
① 平成16 年以後の源泉徴収口座(源泉徴収を選択した特定口座をいう。)における源泉徴収の方式を、譲渡等の都度、証券業者がその源泉徴収口座に係る年初からの通算所得金額の増減額の15%(平成19 年までは、7%)相当額の所得税の源泉徴収又は還付を行うとともに、年末において還付されずに残っている源泉徴収税額を原則として翌年1月10 日までに一括して納付する方式に改める。
② 平成15 年中の源泉徴収口座については、15%(同年4月以降は、7%)の税率による源泉徴収並びに月ごとの納付及び還付の仕組みを維持した上、証券業者が源泉徴収口座においてその年中に源泉徴収をした所得税の合計額(還付をした金額を除く。)のうちその源泉徴収口座に係る年間通算所得金額の7%相当額を超える部分の金額をその源泉徴収口座を開設した者に還付する措置を講ずる。
(2) 源泉徴収口座に係る特定口座年間取引報告書の提出不要
源泉徴収口座に係る特定口座年間取引報告書について、税務署長への提出を不要とする。
(3) 自己が保管している上場株式等の源泉徴収口座等への受入れ措置
平成15 年4月1日から平成16 年12 月31 日までの間に限り、一定の要件の下で、源泉徴収口座又は簡易申告口座(源泉徴収口座以外の特定口座をいう。)に、自己が保管している上場株式等その他一定の上場株式等を、実際の取得日及び取得価額又はみなし取得日(平成13 年9月30 日)及びみなし取得価額(平成13 年10 月1日の価額の80%相当額)で受け入れることができることとする。
(4) 発行日取引の追加
平成16 年1月1日以後、上場株式等の発行日取引を源泉徴収口座及び簡易申告口座において処理することができることとする。
5 その他
(1) 金融機関等の受ける利子所得に対する源泉徴収の不適用の特例制度について、次の措置を講ずる。
① 適用対象となる証券業者等の範囲に、証券取引法に規定する証券取引清算機関を加える。
② 適用対象に、公社債市場における円滑な流通に資する一定の法人(資本金額が1億円以上のもの)が支払を受ける公社債の利子のうち、社債等の振替に関する法律に規定する振替口座簿に記載又は記録がされた公社債の利子でその記載又は記録されていた期間内に生じたものを加える。
(注) 上記の改正は、平成15 年4月1日以後に開始する計算期間に係る公社債の利子について適用する。
(2) 償還差益に対する発行時源泉徴収免除の特例の対象とされる短期公社債の範囲に、国有林野事業特別会計法の規定により発行される融通証券を加える。
(注) 上記の改正は、平成15 年4月1日以後に発行される融通証券について適用する。
四土地・住宅税制
1 登録免許税
(1) 土地に関する登記のうち、課税標準が不動産の価額であるものに係る登録免許税について、課税標準を固定資産課税台帳の登録価格の3分の1とする措置を廃止する。
(2) 不動産の価額を課税標準とする登記に係る登録免許税については、本則税率を以下のとおり改正するとともに、平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までの間の措置として、以下のとおり税率を軽減する措置を講ずる。
① 所有権の移転の登記
イ 売買その他の原因による移転
1,000 分の10 (本則1,000 分の20、現行1,000 分の50)
ロ 遺贈、贈与その他無償名義による移転
1,000 分の10 (本則1,000 分の20、現行1,000 分の25)
ハ 相続又は法人の合併による移転
1,000 分の2 (本則1,000 分の4、現行1,000 分の6)
ニ 共有物の分割による移転
1,000 分の2 (本則1,000 分の4、現行1,000 分の6)
② 所有権の保存の登記
1,000 分の2 (本則1,000 分の4、現行1,000 分の6)
③ 地上権、永小作権、賃借権又は採石権の設定、転貸又は移転の登記
イ 設定又は転貸
1,000 分の5 (本則1,000 分の10、現行1,000 分の25)
ロ 売買その他の原因による移転
1,000 分の5 (本則1,000 分の10、現行1,000 分の25)
ハ 相続又は法人の合併による移転
1,000 分の1 (本則1,000 分の2、現行1,000 分の3)
ニ 共有に係る権利の分割による移転
1,000 分の1 (本則1,000 分の2、現行1,000 分の3)
④ 信託の登記
イ 所有権の信託
1,000 分の2 (本則1,000 分の4、現行1,000 分の6)
ロ 所有権以外の権利の信託
1,000 分の1 (本則1,000 分の2、現行1,000 分の3)
⑤ 相続財産の分離の登記
イ 所有権の分離
1,000 分の2 (本則1,000 分の4、現行1,000 分の6)
ロ 所有権以外の権利の分離
1,000 分の1 (本則1,000 分の2、現行1,000 分の3)
⑥ 仮登記
イ 所有権の移転又は所有権の移転請求権の保全
1,000 分の5 (本則1,000 分の10、現行1,000 分の6)
ロ その他(本登記の課税標準が不動産の価額であるものに限る。)
本登記の税率の2分の1 (現行不動産の個数1個につき1,000 円)
(注) 上記の改正は、平成15 年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用する。
(3) 上記(1)及び(2)の改正に伴い、以下の各租税特別措置その他の規定について税率の調整その他所要の規定の整備を行う。
① 国有農地等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減
② 農地保有合理化法人が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
③ 勧告等によつてする登記に対する登録免許税の税率の軽減
④ 会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減
⑤ 民間都市開発推進機構が取得する土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑥ 特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減
(4) 法定相続人が遺贈により所有権の移転登記を受ける場合については、相続による所有権の移転登記に係る税率を適用することとする等の所要の措置を講ずる。
2 都市再生特別措置法の制定に関連して、以下の措置を講ずる。
(1) 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用対象に、都市再生特別措置法の認定を受けて一定の要件を満たす都市再生事業を行う者に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等が当該事業の用に供されるものを加える。
(2) 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例等について、次の措置を講ずる。
① 特定民間再開発事業の施行区域の範囲に、都市再生特別措置法の都市再生緊急整備地域を加える。
② 特定民間再開発事業が都市再生特別措置法の認定を受けた都市再生事業として行われる場合には、その事業が特定民間再開発事業に該当する旨の認定及びその事業の施行区域外にやむを得ない事情により転出する旨の認定は、国土交通大臣が行う。
(3) 特定再開発建築物等の割増償却制度について、対象となる特定再開発建築物等の範囲に、都市再生特別措置法の認定を受けて行われる一定の要件を満たす都市再生事業により建築された建築物を加える(割増率100 分の50)。
(注) 上記(1)から(3)までの都市再生事業につき、都市基盤整備公団及び地域振興整備公団が支援した場合にも、一定の要件の下で、これらの特例の適用を認める。
(4) 都市再生特別措置法に規定する認定事業者が、同法に定める国土交通大臣の認定を受けた民間都市再生事業計画(平成18 年3月31 日までに認定を受けるものに限る。以下「認定計画」という。)に基づき当該認定計画に係る都市再生事業のうち一定のもの(以下「特定民間都市再生事業」という。)の用に供するため、その認定後2年以内に当該特定民間都市再生事業の事業区域内の土地を取得する場合における所有権の移転登記については、登録免許税の税率を1,000 分の5(平成17 年4月1日以後に認定を受けて認定計画に基づき取得する土地について行う所有権の移転登記については、1,000 分の7)(本則1,000 分の20)に軽減する。
(5) 都市再生特別措置法に規定する認定事業者が、認定計画に基づき当該認定計画に係る特定民間都市再生事業により建築される建物を取得する場合における所有権の保存登記については、登録免許税の税率を1,000 分の1.5(本則1,000 分の4)に軽減する。
(6) 都市再生特別措置法に定める特定民間都市再生事業の事業区域内の土地に関する権利を有していた者が、認定計画に基づきその認定後2年以内に当該認定計画に係る特定民間都市再生事業を実施する同法に規定する認定事業者又は都市基盤整備公団若しくは地域振興整備公団(以下「公団」という。)にその事業区域内の土地に関する権利の譲渡をし、その譲渡をした権利に代替するものとして当該認定事業者又は公団から当該認定計画に従って建築された建築物の敷地の用に供されている土地の所有権を取得した場合における所有権の移転登記については、登録免許税の税率を1,000 分の8(本則1,000 分の20)に軽減する。
3 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講ずる。
(1) 適用対象に、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の買取請求に基づくマンション建替事業の施行者に対する土地等の譲渡又は一定の要件を満たすマンション建替事業の施行者に対する隣接施行敷地に係る土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等がこれらの事業の用に供されるものを加える。
(2) 適用対象となる優良建築物の建築事業又は特定の民間再開発事業の要件を、幹線道路の沿道の整備に関する法律の規定による沿道地区計画に定められる沿道再開発等促進区について緩和する。
(3) 適用対象に、日本郵政公社に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等が郵便業務その他一定の業務の用に供されるものを加える。
4 収用等の場合の5,000 万円特別控除等の適用対象に、再開発会社が行う都市再開発法による市街地再開発事業が施行された場合において、当該再開発会社の株主又は社員(当該事業の施行地区外に転出する者を除く。)が明渡しに伴う損失補償金を取得するときを加える。
5 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500 万円特別控除の適用対象に、やむを得ない事情により土地等がマンションの建替えの円滑化等に関する法律の買取請求に基づきマンション建替事業の施行者に買い取られる場合を加える。
6 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例の適用対象となる特定民間再開発事業の要件を、幹線道路の沿道の整備に関する法律の規定による沿道地区計画に定められる沿道再開発等促進区について緩和する。
7 不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する。
8 住宅の取得等をして住宅ローン控除の適用を受けていた居住者が、勤務先から転勤の命令その他これに準ずるやむを得ない事由によりその住宅をその者の居住の用に供しなくなった後、当該事由が解消し、当該住宅に再び入居した場合には、一定の要件の下で、当該住宅の取得等に係る住宅ローン控除の適用年のうちその者が再び入居した日の属する年(以下「再居住年」という。)以後の各適用年(当該再居住年に当該住宅を賃貸の用に供していた場合には当該再居住年の翌年以後の各適用年)について住宅ローン控除の再適用を受けることができる措置を講ずる。
(注) 上記の改正は、平成15 年4月1日以後に居住の用に供しなくなった場合について適用する。
9 既成市街地等内の既存建築物を優良賃貸住宅に改良する場合の工事費について、2年間の措置として、100 分の10 の特別償却を認める。
10 マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に対する登録免許税の免税措置の適用対象に、マンション建替組合が組合員からの買取請求により取得する区分所有権及び敷地利用権の取得の登記を追加する。
11 住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、所要の規定の整備を行った上、適用期限を2年延長する。
五個人所得課税
配偶者特別控除のうち控除対象配偶者(合計所得金額38 万円以下の配偶者)について配偶者控除に上乗せして適用される部分の控除を廃止する。
(注) 上記の改正は、平成16 年分以後の所得税について適用する。
六消費税
1 中小事業者に対する特例措置
(1) 事業者免税点制度の適用上限を1,000 万円(現行3,000 万円)に引き下げる。
(2) 簡易課税制度の適用上限を5,000 万円(現行2億円)に引き下げる。
(注) 上記の改正は、平成16 年4 月1 日以後に開始する課税期間について適用する。
2 申告納付制度等
(1) 直前の課税期間の年税額が4,800 万円(地方消費税込6,000 万円)を超える事業者は、中間申告納付を毎月(現行3月ごと)行うこととし、原則として、前年確定税額の12 分の1 ずつ申告納付する。
(2) 事業者の選択により課税期間を3月とする特例制度について、新たに課税期間を1月とする特例を設ける。
(注) 上記の改正は、平成16 年4 月1 日以後に開始する課税期間について適用する。
3 消費税法において、事業者がその相手方である消費者に対して商品の販売、役務の提供等の取引を行うに際し、予めその取引価格を表示する場合には、その商品や役務に係る消費税額(含む地方消費税額)を含めた価格を表示することを義務付けることとし、平成16 年4 月1 日から適用する。
七酒税・たばこ税
1 酒税
(1) 酒類間の税負担格差の縮小
ビール・発泡酒(麦芽比率25%未満)、清酒・果実酒、清酒・合成清酒、リキュール類・甘味果実酒及びその他の雑酒(その他のもの)の間の税負担格差の4分の1を縮小することとし、次の酒類に係る税率を次のように引き上げる。
① 税率
酒類 | アルコール分 | 現行 | 改正案 |
発泡酒 | 105,000 円/kl | 134,250 円/kl | |
(麦芽比率25%未満) | 152,700 円/kl | 178,125 円/kl | |
(麦芽比率25%以上50%未満) | |||
果実酒 | 56,500 円/kl | 70,472 円/kl | |
合成清酒 | 15 度 | 79,300 円/kl | 94,600 円/kl |
甘味果実酒 | 12 度 | 98,600 円/kl | 103,722 円/kl |
その他の雑酒 | 12 度 | 98,600 円/kl | 103,722 円/kl |
(その他のもの) |
② 実施時期
平成15 年5月1日から実施する。
③ その他
手持品課税を実施する。
(2) ビールの原料に麦を追加するとともに、発泡酒の範囲に「麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの」を含める。
(3) 製造場に移入した課税済酒類を再移出した場合の税額控除制度の適用要件に、課税済酒類を「酒類の原料として使用したとき」を加える。
(4) 酒類の検定制度を廃止するほか、酒類の検査、申告手続等の簡素合理化を図る。
(5) ビールに係る酒税の税率の特例の創設
小規模なビール製造業(いわゆる「地ビール」)について、平成18 年3月31 日までにビールの製造免許を受けた者(前年度におけるビールの課税移出数量が1,300kl.以下の者に限る。)の当年度におけるビールの課税移出数量のうち200kl.の範囲内のものに対する酒税額を20%軽減する措置を創設する。
(注) 上記の措置は、平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までに初めてビールの製造免許を受けた者については当該免許を受けた日から3年間適用し、平成15 年3月31 日以前にビールの製造免許を受けた者については平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日まで適用する。
(6) 清酒等に係る酒税の税率の特例
① 特例措置の適用期限を5年延長するとともに、発泡酒(麦芽比率50%以上のものを除く。)及び合成清酒(租税特別措置法87 条の3第1項の適用を受けるものを除く。)を措置の対象に追加する。
② 対象とされる酒類に係る軽減割合は、それぞれ次のとおりとする。
イ 合成清酒、果実酒及び発泡酒
平成15 年4月1日から平成20 年3月31 日まで 30%
ロ しようちゆう乙類
平成15 年4月1日から平成19 年3月31 日まで 30%
平成19 年4月1日から平成20 年3月31 日まで 25%
ハ 清酒及びしようちゆう甲類
平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日まで 30%
平成18 年4月1日から平成20 年3月31 日まで 25%
(7) その他所要の規定の整備を行う。
2 たばこ税
たばこ税の税率を次のように引き上げる。
(1) 税率
現行 | 改正案 | |
製造たばこ(旧3級品を除く。) | 2,716 円/千本 | 3,126 円/千本 |
旧3級品の製造たばこ | 1,289円/千本 | 1,484円/千本 |
(注1)旧3級品とは、専売納付金制度下において3級品とされていた紙巻たばこをいう。
(注2)上記のほか、特定販売業者以外の者により保税地域から引き取られる製造たばこに係る税率を7,072 円/千本(現行6,252 円/千本)に引き上げる。
(2) 実施時期
平成15 年7月1日から実施する。
(3) その他
① 手持品課税を実施する。
② その他所要の規定の整備を行う。
八その他
1 NPO税制
認定NPO法人制度について、次の見直しを行う。
(1) 認定NPO法人の認定要件を次のように緩和する。
① いわゆるパブリックサポートテスト(総収入金額のうちに寄附金総額の占める割合が3分の1以上であること)に関し、次の措置を講ずる。
イ 平成15 年4 月1 日から平成18 年3 月31 日までの間、当該割合を5分の1以上(現行3分の1以上)に緩和する。
ロ 一者からの寄附金等について、寄附金総額に算入できない金額を寄附金総額の100 分の5(現行100 分の2)を超える金額とする。
ハ 一者からの寄附金等について、総収入金額及び寄附金総額に含めない寄附金額を1,000 円未満(現行3,000 円未満)に引き下げる。
ニ 国・地方公共団体及び我が国が加盟している国際機関からの委託事業費並びに我が国が加盟している国際機関からの補助金の額を総収入金額に含めないこととする。
② 特定非営利活動が複数の市区町村で行われていること等の活動等の範囲に関する要件を削除する。
③ 海外への送金又は金銭の持出しを行う場合に、あらかじめ国税庁への届け出が必要な範囲を200 万円を超える場合とし、200 万円以下の海外への送金等を行う場合については、事業年度終了後報告することとする。
(2) 認定NPO法人がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額については、その収益事業に係る寄附金の額とみなすとともに、寄附金の損金算入限度額を所得の金額の100 分の20 とする。
2 石油税及び電源開発促進税
(1) 石油税
① 税率の引上げ及び課税対象の追加等
ガス状炭化水素について、税率を1トン当たり1,080 円(現行LPG670 円、LNG720 円)に引き上げるとともに、石炭(練炭、豆炭その他これらに類する固形燃料で石炭から製造したもののうち輸入されたものを含む。)を課税対象に追加し、その税率を1トン当たり700 円とする。また、石油税の名称を石油石炭税(仮称)に改める等、所要の規定の整備を行う。
(注) 上記の改正は、平成15 年10 月1日から施行する。ただし、次のとおり所要の経過措置を講ずる。
現 行 | 改 正 案 | |||
平成15 年10 月1日 | 平成17 年4月1日 | 平成19 年4月1日 | ||
LPG | 670 円/t | 800 円/t | 940 円/t | 1,080 円/t |
LNG | 720 円/t | 840 円/t | 960 円/t | 1,080 円/t |
石炭 | ― | 230 円/t | 460 円/t | 700 円/t |
② 鉄鋼の製造に使用する石炭、コークスの製造に使用する石炭及びセメントの製造に使用する石炭については、平成15 年10 月1日から平成17 年3月31 日までの間の措置として、石油石炭税を免除する。
③ 沖縄県で発電の用に供される石炭については、平成15 年10 月1日から平成19 年3月31 日までの間の措置として、石油石炭税を免除する。
(2) 電源開発促進税
税率を1キロワット時当たり37.5 銭(現行44.5 銭)に引き下げるほか、所要の規定の整備を行う。
(注) 上記の改正は、平成15 年10 月1日から施行する。ただし、次のとおり所要の経過措置を講ずる。
現 行 | 改 正 案 | ||
平成15 年10 月1日 | 平成17 年4月1日 | 平成19 年4月1日 | |
44.5 銭 | 42.5銭 | 40.0銭 | 37.5銭 |
3 自動車関係諸税の特例
揮発油税及び地方道路税並びに自動車重量税について、税率の特例措置の適用期限を5年延長する。
(注) このほか、自動車重量譲与税の譲与割合を3分の1(現行4分の1)に引き上げる。
4 社会経済情勢の変化への対応
(1) 産業活力再生特別措置法の改正に伴い、次の措置を講ずる。なお、現行の産業活力再生特別措置法に係る措置は、次の④の措置を除き、廃止する。
① 改正後の産業活力再生特別措置法の事業革新設備を導入する旨の記載がある計画の認定事業者等が取得等をする特定の事業革新設備について、取得価額の100分の24(同法の事業再構築計画又は経営資源再活用計画(仮称)の認定事業者等が取得等をする事業革新設備については、100 分の30 とし、同法の共同事業再編計画(仮称)の認定事業者等が取得等をする事業革新設備については、100 分の40とする。)の特別償却を認める。
② 改正後の産業活力再生特別措置法の共同事業再編計画の認定事業者が、当該共同事業再編計画に従い、共同で現物出資により共同新設会社を設立する際に生ずる譲渡益について、一定の要件の下に、課税の繰延べを認める。
③ 改正後の産業活力再生特別措置法に規定する事業再構築計画の認定等(平成15年4月1日から平成20 年3月31 日までの間にされたものに限る。)を受けた認定事業者等が、同計画に基づき行う株式会社等の設立又は増資の登記等に対する登録免許税の税率について、次のように軽減する。
イ 平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までの間に行うもの
株式会社等の設立又は資本の増加の登記等
1,000 分の1.5 (本則1,000 分の7)等
ロ 平成18 年4月1日から平成20 年3月31 日までの間に行うもの
株式会社等の設立又は資本の増加の登記等
1,000 分の2.5 (本則1,000 分の7)等
④ 産業活力再生特別措置法の設備廃棄等による欠損金額の特例措置について、その対象となる計画に改正後の産業活力再生特別措置法の共同事業再編計画及び経営資源再活用計画を加えるとともに、欠損金額の範囲を拡充した上、欠損金の繰越期間の特例につき適用期限を2年延長する。
(2) 株式会社産業再生機構法(仮称)の制定に伴い、同法の規定に基づき設立された株式会社産業再生機構(仮称)が、平成17 年3月31 日までの間に行われる金融機関等からの申込みに基づき一定の債権の買取りを行う場合において、これを担保するために受ける抵当権等の移転登記に対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。
(3)牛海綿状脳症対策特別措置法の制定に伴い定められる飼料安全法に基づく新たな製造基準に即した飼料製造設備等について、平成17 年3月31 日までの2年間の措置として、取得価額の100 分の18(建物等については、100 分の9)の特別償却を認める措置を講ずる。
(4) 地震防災対策用資産の特別償却制度について、対象地域につき東南海・南海地震防災対策推進地域を加える等の見直しを行うとともに、昭和54 年当初の地震防災対策強化地域に係る償却割合を100 分の8(現行100 分の9)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
(5) 特定電気通信設備等の特別償却制度について、高度テレビジョン放送制作等利便性充実設備の範囲にデジタル副調整設備及びデジタル送受信装置を加えるほか、電気通信基盤充実設備、電気通信役務安定提供設備及び不正アクセス対策用設備を除外する等の見直しを行うとともに、電気通信利便性充実設備に係る償却割合を100分の10(現行100 分の12)に、広帯域加入者網普及促進設備に係る償却割合を100分の15(現行100 分の18)にそれぞれ引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
(6) 再商品化設備等の特別償却制度について、対象設備に自動車破砕残さ再資源化施設を加えるほか、基準取得価額等の見直しを行う。
(7) 離島振興対策実施地域における工業用機械等の特別償却制度について、対象資産に地域特産物の消費の増進に資する事業の用に供する施設を加えた上、その適用期限を2年延長する。
(8) 医療用機器等の特別償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 看護業務省力化機器の範囲を見直すとともに、新たに医療安全に資する医療用機器等について、取得価額の100 分の20 の特別償却を認める。
② 建替え病院用建物の特別償却の対象資産に一定の有床診療所の療養病床を加える。
(9) 農業経営改善計画等を実施する法人の機械等の割増償却制度について、割増償却の対象期間を拡充し、その適用期限(認定期限)を2年延長する。
(10) 一定の金融機関等が、平成15 年4月1日から平成20 年3月31 日までの間に、金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法による主務大臣の認定を受けた経営基盤強化計画に基づき合併等の組織再編成を実施した場合の会社の設立の登記等に対する登録免許税の税率について、次のように軽減する措置を講ずる。
① 平成15 年4月1日から平成18 年3月31 日までの間に行うもの
会社の設立の登記等1,000 分の1.5(本則1,000 分の7)等
② 平成18 年4月1日から平成20 年3月31 日までの間に行うもの
会社の設立の登記等1,000 分の2.5(本則1,000 分の7)等
(11) 株式分割等に係る株券に対する印紙税の非課税措置の対象範囲に、協同組織金融機関の作成する優先出資証券を追加するとともに、その適用期限を2年延長する。
5 その他の租税特別措置の改正
租税特別措置について、所要の経過措置を講じた上、次の措置を講ずる。
(1) 廃止
次に掲げる租税特別措置を廃止する。
① 事業化設備等を取得した場合等の特別償却又は特別税額控除
② 中小企業者等の機械の特別償却
③ 鉱業用坑道等の特別償却
④ プログラム等準備金
⑤ 技術等海外取引に係る所得の特別控除
⑥ 農地等の贈与による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減
⑦ 中小企業者が集団化等のため取得する土地等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減(経過措置を含む。)
⑧ 公的医療機関の開設者等が国立病院等に係る土地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑨ 不動産特定共同事業者が取得する土地等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑩ 中高層耐火建築物等の所有権等の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑪ 防災街区整備権利移転等促進計画に基づき土地を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑫ 認定再開発事業計画に基づき土地を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑬ 民間都市開発の推進に関する特別措置法の認定計画に基づき土地を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
⑭ 認定特定事業計画等に基づき施設等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減
(2) 縮減等
① 特別償却
イ エネルギー需給構造改革推進投資促進税制について、対象設備の見直しを行う。
ロ 公害防止用設備の特別償却制度について、対象設備及び取得価額要件の見直しを行った上、その適用期限を2年(家畜排せつ物処理・保管用施設については、平成16 年10 月31 日まで)延長する。
ハ 電線類地中化設備の特別償却制度について、その対象区域を見直した上、その適用期限を1年延長する。
ニ 船舶等の特別償却制度について、船員訓練設備に係る償却割合を100 分の6(現行100 分の10)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
ホ 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度について、機械装置に係る償却割合を100 分の24(現行100 分の25)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
へ 特定中核的民間施設等の特別償却制度について、次のとおり見直した上、その適用期限を2年延長する。
(イ) 中核的民間施設の特別償却制度について、取得価額の最低限度を6億5千万円(現行6億円)に引き上げる。
(ロ) 山村振興法の保全事業用資産の特別償却制度について、機械装置の取得価額の最低限度を210 万円(現行180 万円)に、建物等の取得価額の最低限度を2,300 万円(現行2,000 万円)にそれぞれ引き上げるとともに、建物等に係る償却割合を100 分の6(現行100 分の8)に引き下げる。
(ハ) 特定農山村法の農林業等活性化基盤施設の特別償却制度について、建物等の取得価額の最低限度を2,300 万円(現行2,000 万円)に引き上げるとともに、機械装置に係る償却割合を100 分の10(現行100 分の15)に引き下げる。
ト 特定余暇利用施設の特別償却制度について、償却割合を、基本構想承認後5年超8年以内の取得等については100 分の7(現行5年超7年以内100 分の10、7年超8年以内100 分の8)に、基本構想承認後10 年超12 年以内の取得等については100 分の5(現行100 分の6)に、それぞれ引き下げる。
チ 農村地域工業等導入地区における工業用機械等の特別償却制度について、機械装置に係る償却割合を100 分の8(現行100 分の9)に、建物等に係る償却割合を100 分の4(現行100 分の5)にそれぞれ引き下げる。
リ 半島振興対策実施地域における工業用機械等の特別償却制度について、対象資産の取得価額の最低限度を2,500 万円超(現行2,300 万円超)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
ヌ 過疎地域等における工業用機械等の特別償却制度について、次の見直しを行う。
(イ) 離島振興対策実施地域のうち過疎地域に類する地区に係る措置について、対象事業からソフトウエア業を除外した上、その適用期限を2年延長する。
(ロ) 水源地域に係る措置について、機械装置に係る償却割合を100 分の11(現行100 分の12)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
ル 高齢者向け優良賃貸住宅の割増償却制度について、割増率を耐用年数35 年以上のものにあっては100 分の50(現行100 分の55)に、耐用年数35 年未満のものにあっては100 分の36(現行100 分の40)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
ヲ 特定再開発建築物等の割増償却制度について、対象となる特定再開発建築物等の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長する。
ワ 鉱工業技術研究組合等に対する支出金の特別償却制度について、対象となる支出金の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長する。
② 準備金等
イ 海外投資等損失準備金制度について、資源開発事業法人等が行うことができる資源開発事業等の範囲の見直しを行う。
ロ 電子計算機買戻損失準備金制度について、特別買戻損失の発生割合の計算方法を見直した上、その適用期限を2年延長する。
ハ 原子力発電施設解体準備金制度について、積立限度額の計算方法の見直しを行う。
ニ 農業協同組合等の留保所得の特別控除制度について、対象となる協同組合等の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長する。
ホ 農用地利用集積準備金制度について、積立率を100 分の9(現行100 分の10)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
ヘ 鉱工業技術研究組合等の所得計算の特例制度について、対象となる組合の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長する。
ト 特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例制度について、適用対象となる負担金の範囲の見直しを行う。
チ 欠損金の繰越期間の特例制度について、特定通信・放送開発事業実施円滑化法の認定実施計画を実施する中小企業者に係る措置を除外した上、中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法の認定研究開発等事業計画を実施する中小企業者に係る措置の適用期限を2年延長する。
③ 農用地区域等内の農地等を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、次の見直しを行う。
イ 農業振興地域の整備に関する法律の規定による市町村長の勧告に係る協議等により農地等を取得した場合の軽減措置及び林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法の認定を受けた者が都道府県知事に対する森林所有権の移転のあつせんの申出に基づき森林に係る土地を取得した場合の軽減措置を廃止する。
ロ 農業経営基盤強化促進法に規定する利用権設定等促進事業により農地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を調整した上、その適用期限を2年延長する。
④ 農林中央金庫等が特定農業協同組合等から事業譲渡により土地等を取得した場合等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、次の見直しを行う。
イ 農林中央金庫等が特定農業協同組合等から事業譲渡により不動産に関する権利を取得した場合の軽減措置、農林中央金庫等が特定漁業協同組合等から不動産等に関する権利を取得した場合の軽減措置及び漁業協同組合が水産業協同組合法の規定により漁業協同組合連合会の権利義務を包括承継した場合の軽減措置について、軽減税率の調整を行う。
ロ 農業協同組合が農業協同組合法の規定により農業協同組合連合会から権利義務を包括承継した場合の軽減措置の適用期限を2年延長する。
ハ 森林組合が、平成15 年4月1日から平成17 年3月31 日までの間に、森林組合法の規定により森林組合連合会の権利義務を包括承継した場合について、不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率を1,000 分の2(本則1,000 分の20)等に軽減する措置を加える。
ニ 農業共済組合及び農業共済組合連合会を登録免許税法別表第三(非課税の登記等の表)に掲名するとともに、同組合が農業災害補償法の規定により同連合会の権利義務を包括承継した場合の軽減措置及び同組合が合併により不動産を取得した場合の軽減措置を廃止する。
(3) 適用期限の延長等
① 事業革新設備等の特別償却制度について、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法に係る措置の適用期限を平成17 年3月31 日まで延長する。
② 登録免許税の特例
イ 農林漁業金融公庫資金等の転貸の場合の抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
ロ 商工組合中央金庫、信用保証協会、農業信用基金協会等の抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
ハ 特定の公共的建設事業の用に供する土地を取得した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を調整した上、その適用期限を1年延長する。
③ 次に掲げる特別措置の適用期限を2年延長する。
イ 山林所得に係る森林計画特別控除
ロ 特定高度技術産業集積地域における高度技術産業用設備の特別償却
ハ 経営基盤強化計画を実施する特定組合等の構成員等の機械等の割増償却
ニ 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却
ホ 植林費の損金算入の特例
ヘ 特定災害防止準備金
ト 中小企業等の貸倒引当金の特例
チ 国産石油アスファルト等に係る石油税の還付
リ 特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例
④ 次に掲げる特別措置の適用期限を1年延長する。
イ 入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例
ロ 沖縄特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例
6 その他
(1) 国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税制度について、次の措置を講ずる。
① 私立大学等を設置する学校法人の役員等(その親族等を含む。)以外の者からの当該学校法人に対する贈与又は遺贈に係る財産で当該学校法人の基本金に組み入れられるもの等については、一定の要件の下で、公益の増進に著しく寄与すること等の承認要件を満たすものとする。
② この制度の承認申請期限をその贈与又は遺贈のあった日から4か月以内(現行3か月以内)に延長する。
(2) 内国法人が支払を受けるべき芸能人の役務の提供に関する報酬又は料金に対する源泉徴収制度を廃止する。
(注) 上記の改正は、内国法人が平成15 年4月1日以後に支払を受けるべき報酬又は料金について適用する。
(3) 商品先物取引に係る雑所得等の課税の特例について、次の措置を講ずるとともに、その適用期限を撤廃したうえ、同特例を「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」に改める。
① 適用対象に、居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成16 年1月1日以後に証券取引法に規定する有価証券先物取引、有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引(以下「有価証券先物取引等」という。)をし、かつ、当該有価証券先物取引等の差金等決済をした場合の当該差金等決済に係る当該有価証券先物取引等による事業所得及び雑所得を加える。
② 先物取引に係る課税雑所得等の金額に対する税率を15%(現行20%)に引き下げる。
③ 平成15 年1月1日以後に商品先物取引又は有価証券先物取引等に係る差金等決済をしたことにより生じた損失の金額のうちに、その差金等決済をした日の属する年分の商品先物取引又は有価証券先物取引等に係る雑所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない金額があるときは、一定の要件の下で、その控除しきれない金額についてその年の翌年以後3年内の各年分の商品先物取引又は有価証券先物取引等に係る雑所得等の金額からの繰越控除を認める。
(注)上記②及び③の改正は、平成15 年分以後の所得税について適用する。ただし、有価証券先物取引等については、平成16 年1月1日以後上記①の差金等決済をした場合について適用する。
(4) 連結納税制度について、連結子法人が離脱した場合には、その直前にみなし事業年度を設け、そのみなし事業年度を連結子法人として単体申告をする事業年度とするほか、連結事業年度等について所要の整備を図る。
(5) 受取配当等の益金不算入制度の負債の利子の計算について、損害保険会社の第三分野保険に係る保険料積立金の利子に相当する金額は、生命保険会社の保険料積立金に係る利子に相当する金額と同様の取扱いとする。
(6) 同族会社の判定について、自己株式を有する場合の判定方法を見直すほか、同族会社となる持分割合の基準を100 分の50 超(現行100 分の50 以上)とする。
(7) 一定の適格組織再編成後に再度適格合併を行うことが予定されている場合のその最初の適格組織再編成の株式保有要件等の見直しを行う。
(8) 公益法人等の収益事業に係る課税について、民間都市開発推進機構が行う都市再生特別措置法の民間立替施行型公共施設整備等無利子貸付業務等を収益事業の範囲から除外する。
(9) 寄附金控除等の対象となる特定公益増進法人の範囲に、次の法人を加える。
① 一定のインターナショナルスクールの設置を主たる目的とする学校法人又は準学校法人
② 慢性疾患にかかっている児童が医療施設において療養を受けるために当該児童及びその世話を行う家族を宿泊させることを目的とした施設の設置運営に関する業務を行うことを主たる目的とする民法法人
(10) 特定の医療法人の法人税率の特例制度について、特別の療養環境に係る病床に係る承認要件を緩和するとともに、承認を受けた法人に対して承認要件を満たすことを明らかにする書類等の提出を義務付けること等の所要の措置を講じた上、特定の医療法人の承認は、国税庁長官(現行財務大臣)が行うこととする。
(11) 退職年金等積立金に対する法人税(特別法人税)の課税停止措置を2年延長する。
(12) 特定の用途に供される揮発油に係る揮発油税及び地方道路税の免税措置について、その適用期限を5年延長する。
(13) 入国者が輸入する紙巻たばこに係るたばこ税の税率の特例措置の適用期限を1年延長したうえ、その税率を1,000 本につき6,000 円(現行5,000 円)に引き上げる。
(注)上記の改正のうち、税率の引上げについては、平成15 年7月1日から実施する。
(14) 特殊法人等整理合理化計画に基づき特殊法人等が独立行政法人等に移行することに鑑み、所得税、法人税、登録免許税、印紙税等について、各独立行政法人等の出資状況、残余財産を含む剰余金の分配規定の有無などに応じ、各独立行政法人等を公共法人又は公益法人等とする等所要の措置を講ずる。
(15) 租税条約の規定に基づき条約相手国から情報の提供要請があった場合には、当該情報の提供のために、一定の場合を除き、国税庁、国税局又は税務署の当該職員が当該要請において特定された者に対して質問検査を行うことができることとする規定(罰則等所要の規定を含む。)を整備する。
(16) その他所要の税制の整備を行う。
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