コラム2005年08月08日 【ML耳より情報】 ある日突然、社長の息子が逮捕されてしまったら(2005年8月8日号・№126)
ある日突然、社長の息子が逮捕されてしまったら
「あなたの息子さんを逮捕しました」
ある日突然、警察から電話があったらどうしますか。「えっ、息子が何をしたんでしょう。」
電車内での痴漢の容疑の場合もありますし、深夜酔っぱらって暴力沙汰を起こしてしまうこともあるでしょう。普段は他人事として、ドラマやニュースの世界のことと考えていた刑事手続に、突然、巻き込まれる。「これから先、息子はどうなるんでしょうか。」
日本の刑事手続
日本の刑事手続は、成人の場合と少年(20歳未満)の場合とで大幅に異なるのですが、今回は成人の場合についてお話しします。
逮捕とは、捜査機関による「短期間」の身体拘束をいいます。被害届や告訴状を警察が受理してから、逮捕状を裁判官より入手し、自宅などを訪ねていって逮捕する通常逮捕の他、現行犯逮捕、緊急逮捕があります。
逮捕してから48時間以内に、警察は、釈放するか送検(検察官に対する事件送致)するかを決めなければなりません。酔っぱらったときのけんかなど、けがの程度も大きくなく、前科がなければ、この段階で釈放されることもあります。警察から事件送致を受けた検察官は、24時間以内に、釈放するか、裁判官に勾留を請求するかを決めなければなりません。検察官が勾留を請求すると、警察官は被疑者を裁判所まで連れて行き、裁判官は被疑者の言い分を聞いたうえで、引き続き身体を拘束するかどうかを決めます。裁判官の決定による勾留期間は、10日間であり、さらに10日間延長できるとされていますが、刑事実務では、20日間の勾留が原則との運用になってしまっています。
勾留決定時に、裁判官は接見禁止決定を付することができます。接見禁止が付されている場合は、弁護士しか面会はできません。家族は、衣服や現金、雑誌などの差し入れができるだけです。容疑を否認している場合には、接見禁止決定を付されることが多いようです。
検察官は、20日間の勾留期間中に、警察官に取り調べを命じたり、あるいは自ら取り調べをしたりして、被疑者を起訴するか否かを決めます。接見禁止が付されていない場合は、家族も面会することができますが、平日のデイタイム(午前9時頃から午後4時頃まで)の面会しか認められません。1日に何人まで面会可能か等、詳細は警察署によって異なります。
家族の心構え
逮捕された後に家族に行えることは、早急に弁護士に相談することと、家族が見放していないことを被疑者に態度を持って語ることです。弁護士は、被害者と示談交渉をすることもできます。勾留期間内に示談が成立した場合には、本来なら起訴するような事件でも検察官は、罰金で終わらせることもあります。家族と弁護士が密に連絡を取り、熱意を持って臨めば、息子さんの言い分に捜査機関が耳を傾けてくれるようになるでしょう。
taxMLグループ 弁護士・公認会計士 石田真人
「あなたの息子さんを逮捕しました」
ある日突然、警察から電話があったらどうしますか。「えっ、息子が何をしたんでしょう。」
電車内での痴漢の容疑の場合もありますし、深夜酔っぱらって暴力沙汰を起こしてしまうこともあるでしょう。普段は他人事として、ドラマやニュースの世界のことと考えていた刑事手続に、突然、巻き込まれる。「これから先、息子はどうなるんでしょうか。」
日本の刑事手続
日本の刑事手続は、成人の場合と少年(20歳未満)の場合とで大幅に異なるのですが、今回は成人の場合についてお話しします。
逮捕とは、捜査機関による「短期間」の身体拘束をいいます。被害届や告訴状を警察が受理してから、逮捕状を裁判官より入手し、自宅などを訪ねていって逮捕する通常逮捕の他、現行犯逮捕、緊急逮捕があります。
逮捕してから48時間以内に、警察は、釈放するか送検(検察官に対する事件送致)するかを決めなければなりません。酔っぱらったときのけんかなど、けがの程度も大きくなく、前科がなければ、この段階で釈放されることもあります。警察から事件送致を受けた検察官は、24時間以内に、釈放するか、裁判官に勾留を請求するかを決めなければなりません。検察官が勾留を請求すると、警察官は被疑者を裁判所まで連れて行き、裁判官は被疑者の言い分を聞いたうえで、引き続き身体を拘束するかどうかを決めます。裁判官の決定による勾留期間は、10日間であり、さらに10日間延長できるとされていますが、刑事実務では、20日間の勾留が原則との運用になってしまっています。
勾留決定時に、裁判官は接見禁止決定を付することができます。接見禁止が付されている場合は、弁護士しか面会はできません。家族は、衣服や現金、雑誌などの差し入れができるだけです。容疑を否認している場合には、接見禁止決定を付されることが多いようです。
検察官は、20日間の勾留期間中に、警察官に取り調べを命じたり、あるいは自ら取り調べをしたりして、被疑者を起訴するか否かを決めます。接見禁止が付されていない場合は、家族も面会することができますが、平日のデイタイム(午前9時頃から午後4時頃まで)の面会しか認められません。1日に何人まで面会可能か等、詳細は警察署によって異なります。
家族の心構え
逮捕された後に家族に行えることは、早急に弁護士に相談することと、家族が見放していないことを被疑者に態度を持って語ることです。弁護士は、被害者と示談交渉をすることもできます。勾留期間内に示談が成立した場合には、本来なら起訴するような事件でも検察官は、罰金で終わらせることもあります。家族と弁護士が密に連絡を取り、熱意を持って臨めば、息子さんの言い分に捜査機関が耳を傾けてくれるようになるでしょう。
taxMLグループ 弁護士・公認会計士 石田真人
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