カートの中身空

税務ニュース2004年03月26日 名古屋国税局、米国LPSのパス・スルー課税を認めず 国税当局、税務上の取扱いの判断基準は明らかにせず

 米国のLPS(リミテッドパートナーシップ)に出資し、LPSが所有していたアパートの減価償却費などを、個人の所得の赤字としてパス・スルー課税させていた名古屋市内の会社社長が、国税当局の税務調査を受け、2001年までの3年間で約2億円の申告漏れを指摘された。名古屋国税局は、LPSはわが国の税法上「法人」と認定し、減価償却費等を個人所得と相殺することはできず、LPSから受けた分配金は配当所得として取り扱うべきものとして、加算税を含め約8千万円の追徴課税を行った。社長は、処分を不服として国税不服審判所に審査請求を申し立てた。
 LPSとは、米国などに設立されている法人格を持たない共同出資組織“リミテッドパートナーシップ”の略で、不動産投資などに多く用いられている事業形態である。法人格を持たないため組織自体へ課税されず、出資者個人が利益や損失を申告(パス・スルー課税)できる、とされてきた。このため、バブル以降、LPSによって所有する不動産の減価償却などで生じた損失を、個人所得と通算し、所得を圧縮する節税スキームとして利用する日本の投資家も増えていた。
 米国LPSの課税上の取扱いについて当局に取材したところ、“米国LLCに係る税務上の取扱い”とは別個のものとした上で、「LPSの税務上の取扱いについても、設立準拠法、経済実態などの実情をみて、海外の制度をどう評価するか個別に判断していくしかない。司法上で判断されたことを元に、税法で手当てしていく道もある。」と回答した。LPSに係る税務上の取扱いの判断基準(公式見解)は明らかにされず、“個々の案件を実態で判断する”との主張を崩さなかった。

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