コラム2005年12月19日 【ML耳より情報】 LLPでの損益分配の割合と残余財産の分割割合(2005年12月19日号・№143)
LLPでの損益分配の割合と残余財産の分割割合
LLPの損益分配の割合と残余財産の分割割合
有限責任事業組合(LLP)の損益分配の割合は、LLP法33条で規定されています。そこでは、総組合員の同意で「組合員の損益分配の割合に関する書面」を作成すれば、各組合員の出資価額に応じない自由な分配割合を定めることも認めています。
一方、残余財産の分割割合は、LLP法56条による民法688条2項の準用により、各組合員の出資価額に応じると定められています。
では、自由な損益分配の割合を定めたとしても、残余財産の分割は各組合員の出資価額に応じてなすとのLLP法の規定は、どう理解したらいいのでしょうか。
準用される民法688条2項の立法趣旨
民法上の組合(任意組合)の損益分配の割合は、民法674条で、割合を定めなかったときは、各組合員の出資価額に応じると定めています。一方、残余財産の分割割合は、民法688条2項により、単に各組合員の出資価額に応じると定めているにすぎません。任意組合の場合も、自由な損益分配の割合を定めたとしても、残余財産の分割は各組合員の出資価額の割合に縛られるのでしょうか。
任意組合が解散すると、債権を取立て、債務を弁済した後、なお残余財産があれば、それを組合員で分割し、清算が結了します。残余財産の分割時点では、原則として、債権者・債務者は存在せず、残余財産に関する利害関係者は組合員だけになります。
それならば、組合員全員が納得する分割割合でも、何も問題はないはずです。
通説では、民法688条2項は、残余財産の分割割合を定めなかった場合には、各組合員の出資価額に応じた分割が最も合理的と考えられるため、その場合に備えた規定であると解釈されています。したがって、組合員総意による各組合員の出資価額に応じない自由な残余財産の分割割合も有効、と解釈されています。
LLP法も、民法688条2項を準用していますから、同じように、組合員総意による自由な残余財産の分割割合も、有効と解されます。
LLPでの残余財産の分割割合の定め
LLPでも、自由な損益分配の割合を定めたとしても、残余財産の分割が各組合員の出資価額に応じるのなら、清算時に内部留保額(累計利益金から累計分配金を控除した額)が残っていた場合には、出資価額によらずに分配された損益の内部留保額が、各組合員の出資価額に応じて分割されてしまい、組合員の総意とは異なる結果となってしまいます。
このような事態を避けるには、LLP契約締結時に残余財産の分割割合を損益分配の割合と同じになるよう予め定めておくか、解散の前までにLLP契約をそのように変更しておくことが必要でしょう。
taxMLグループ 公認会計士・税理士 荻野芳夫
LLPの損益分配の割合と残余財産の分割割合
有限責任事業組合(LLP)の損益分配の割合は、LLP法33条で規定されています。そこでは、総組合員の同意で「組合員の損益分配の割合に関する書面」を作成すれば、各組合員の出資価額に応じない自由な分配割合を定めることも認めています。
一方、残余財産の分割割合は、LLP法56条による民法688条2項の準用により、各組合員の出資価額に応じると定められています。
では、自由な損益分配の割合を定めたとしても、残余財産の分割は各組合員の出資価額に応じてなすとのLLP法の規定は、どう理解したらいいのでしょうか。
準用される民法688条2項の立法趣旨
民法上の組合(任意組合)の損益分配の割合は、民法674条で、割合を定めなかったときは、各組合員の出資価額に応じると定めています。一方、残余財産の分割割合は、民法688条2項により、単に各組合員の出資価額に応じると定めているにすぎません。任意組合の場合も、自由な損益分配の割合を定めたとしても、残余財産の分割は各組合員の出資価額の割合に縛られるのでしょうか。
任意組合が解散すると、債権を取立て、債務を弁済した後、なお残余財産があれば、それを組合員で分割し、清算が結了します。残余財産の分割時点では、原則として、債権者・債務者は存在せず、残余財産に関する利害関係者は組合員だけになります。
それならば、組合員全員が納得する分割割合でも、何も問題はないはずです。
通説では、民法688条2項は、残余財産の分割割合を定めなかった場合には、各組合員の出資価額に応じた分割が最も合理的と考えられるため、その場合に備えた規定であると解釈されています。したがって、組合員総意による各組合員の出資価額に応じない自由な残余財産の分割割合も有効、と解釈されています。
LLP法も、民法688条2項を準用していますから、同じように、組合員総意による自由な残余財産の分割割合も、有効と解されます。
LLPでの残余財産の分割割合の定め
LLPでも、自由な損益分配の割合を定めたとしても、残余財産の分割が各組合員の出資価額に応じるのなら、清算時に内部留保額(累計利益金から累計分配金を控除した額)が残っていた場合には、出資価額によらずに分配された損益の内部留保額が、各組合員の出資価額に応じて分割されてしまい、組合員の総意とは異なる結果となってしまいます。
このような事態を避けるには、LLP契約締結時に残余財産の分割割合を損益分配の割合と同じになるよう予め定めておくか、解散の前までにLLP契約をそのように変更しておくことが必要でしょう。
taxMLグループ 公認会計士・税理士 荻野芳夫
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.