コラム2006年03月20日 【ML耳より情報】 解散・清算における消費税の留意点(2006年3月20日号・№155)
解散・清算における消費税の留意点
清算事業年度でも生じうる消費税の納税義務
債務超過会社の清算では、多くの場合、法人税の清算所得が生じません。しかし、清算事業年度中でも消費税の納税義務者となってしまう場合があります。清算会社が固定資産等換価処分する資産を多く有する場合、通常事業年度とは異なり商品仕入等による課税仕入が生じないので、資産の処分による課税売上が課税仕入を大幅に上回ることになります。この場合簡易課税を選択したほうが有利となります。反対に、換価処分すべき固定資産等を有しない場合は、消費税の課税売上が生じず、清算事務手数料等の課税仕入だけが発生します。この場合は、簡易課税選択事業者は原則課税を選択したほうが有利となります。
各種届出書の提出期限は解散日
税法では、会社が事業年度の中途において解散した場合には、その事業年度開始の日から解散の日までの期間(解散事業年度)及び解散の日の翌日からその事業年度の末日までの期間(清算事業年度)を、それぞれ一事業年度とみなします。「解散の日」とは、株主総会等で解散の日を定めたときはその定めた日、定めなかったときは解散決議の日をいいます。解散の決議の日を解散日とした場合、その日で解散事業年度は終了してしまうわけですから、清算事業年度の消費税については、清算事業年度開始の日の前日つまり決議した日までに、各種届出書を税務署に提出する必要があります。なお平成18年度改正案により、消費税の各種届出書についても通信日付で提出されたものとみなされることになります。(国通法22条)。
課税売上とならない現物による残余財産の分配
清算会社の有する建物を社長借入金と相殺してしまうと、代物弁済による資産の譲渡として消費税の課税対象となります。そこで、建物の時価が資本等の金額以下である場合は、借入金は債務免除し、建物を残余財産として株主である社長に分配すれば、消費税の課税対象とはなりません。なぜなら『残余財産の分配は、投下された資本の返戻の性格を有するものと認められることから対価性のない取引に該当する。残余財産の分配額のうちに所法25法法24により配当とみなされる部分があるが、この部分を含めて対価性のない取引となる』(消費税一問一答改訂版平成10年3月国税庁)からです。
しかし、建物の時価が資本等の金額を超える場合には、建物を残余財産として分配すると、消費税の負担はなくなりますが、その超えた部分はみなし配当となります。さらに建物の時価が解散時の資本等の金額と利益積立金額の合計額を超える場合には、清算所得が生じます。この時、解散時の利益積立金額が債務超過でマイナスである場合は、ゼロとして計算します。
現物財産による代物弁済で生じる消費税の負担と、現物財産による残余財産の分配で生じ得る清算所得に対する法人税及び株主へのみなし配当課税との負担を比較検討し、とるべき手続きを決めることがポイントです。
taxMLグループ 税理士 中谷久仁子
清算事業年度でも生じうる消費税の納税義務
債務超過会社の清算では、多くの場合、法人税の清算所得が生じません。しかし、清算事業年度中でも消費税の納税義務者となってしまう場合があります。清算会社が固定資産等換価処分する資産を多く有する場合、通常事業年度とは異なり商品仕入等による課税仕入が生じないので、資産の処分による課税売上が課税仕入を大幅に上回ることになります。この場合簡易課税を選択したほうが有利となります。反対に、換価処分すべき固定資産等を有しない場合は、消費税の課税売上が生じず、清算事務手数料等の課税仕入だけが発生します。この場合は、簡易課税選択事業者は原則課税を選択したほうが有利となります。
各種届出書の提出期限は解散日
税法では、会社が事業年度の中途において解散した場合には、その事業年度開始の日から解散の日までの期間(解散事業年度)及び解散の日の翌日からその事業年度の末日までの期間(清算事業年度)を、それぞれ一事業年度とみなします。「解散の日」とは、株主総会等で解散の日を定めたときはその定めた日、定めなかったときは解散決議の日をいいます。解散の決議の日を解散日とした場合、その日で解散事業年度は終了してしまうわけですから、清算事業年度の消費税については、清算事業年度開始の日の前日つまり決議した日までに、各種届出書を税務署に提出する必要があります。なお平成18年度改正案により、消費税の各種届出書についても通信日付で提出されたものとみなされることになります。(国通法22条)。
課税売上とならない現物による残余財産の分配
清算会社の有する建物を社長借入金と相殺してしまうと、代物弁済による資産の譲渡として消費税の課税対象となります。そこで、建物の時価が資本等の金額以下である場合は、借入金は債務免除し、建物を残余財産として株主である社長に分配すれば、消費税の課税対象とはなりません。なぜなら『残余財産の分配は、投下された資本の返戻の性格を有するものと認められることから対価性のない取引に該当する。残余財産の分配額のうちに所法25法法24により配当とみなされる部分があるが、この部分を含めて対価性のない取引となる』(消費税一問一答改訂版平成10年3月国税庁)からです。
しかし、建物の時価が資本等の金額を超える場合には、建物を残余財産として分配すると、消費税の負担はなくなりますが、その超えた部分はみなし配当となります。さらに建物の時価が解散時の資本等の金額と利益積立金額の合計額を超える場合には、清算所得が生じます。この時、解散時の利益積立金額が債務超過でマイナスである場合は、ゼロとして計算します。
現物財産による代物弁済で生じる消費税の負担と、現物財産による残余財産の分配で生じ得る清算所得に対する法人税及び株主へのみなし配当課税との負担を比較検討し、とるべき手続きを決めることがポイントです。
taxMLグループ 税理士 中谷久仁子
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