カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2006年06月12日 【会社法関連解説】 会社法の施行に伴う商業・法人登記関係政省令の改正の要点(1)(2006年6月12日号・№166)

解説
会社法の施行に伴う商業・法人登記関係政省令の改正の要点(1)

 法務省民事局商事課法規係長 西田淳二
 法務省民事局商事課法規係員 吉田一作

Ⅰ はじめに


 平成17年6月29日、第162回通常国会において「会社法」(平成17年法律第86号)及び「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成17年法律第87号。以下「整備法」という)が成立し、同年7月26日に公布された。整備法においては、商業登記法(昭和38年法律第125号。以下「商登法」という)等の登記手続規定の改正が併せて行われた。
 会社法及び新商登法の内容としては、株式会社と有限会社を1つの類型としたことに伴う取締役会等の機関に関する改正、類似商号制度の廃止に伴う商号仮登記制度の廃止、支店所在地における登記事項の簡略化等が主要なものであるが、会社以外の法人について登記義務や登記申請の添付書面を定めるとともに、登記手続の技術的・細目的事項を定めるため、組合等登記令(昭和39年政令第29号。以下「組登令」という)等の関係政令及び商業登記規則(昭和39年法務省令第23号。以下「商登規」という)等の関係省令についても、改正が必要となった。
 そこで、平成17年12月14日、「会社法及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う法務省関係政令の整備等に関する政令」(平成17年政令第366号。以下「整備政令」という)が、平成18年2月9日、「商業登記規則等の一部を改正する省令」(平成18年法務省令第15号。以下「改正省令」という)がそれぞれ公布されたものである。いずれも会社法の施行の日(平成18年5月1日)から施行されている。
 本稿は、整備政令及び改正省令のうち、組登令等の関係政令及び商登規等の関係省令の主要な改正点について、解説を行うものである(本稿で解説する関係政省令については、図表1参照)。なお、文中意見にわたる部分は私見であるので、あらかじめお断りしておく。また、引用する条文は、特に「旧」の文字を冠したものを除き、いずれも改正後のものをいう。


Ⅱ 整備政令による改正点

1 商号仮登記制度の廃止
(1)商号の仮登記に関する供託金の額を定める政令の廃止(整備政令1条1号関係)

 商号の仮登記の制度の廃止(整備法135条による旧商登法35条から41条までの削除)に伴い、本政令についても廃止された。
(2)経過措置(整備政令2条関係)
 施行日前に商号の仮登記の申請があった場合(整備法136条3項)及び施行日前に商号の仮登記についての予定期間の伸長の登記の申請があった場合(同条6項)については、なお従前の例によるとされており、一定の金銭を供託する必要があるため、その供託金の額についても、なお従前の例によるとされた。
 なお、商号の仮登記に関する供託金の額を定める政令1条及び2条では、商登法に基づく仮登記(会社の仮登記)のみならず、「他の法令において準用する場合を含む」とされているため、本条の経過措置についても、次の①から④までの場合を含めて規律された。
① 投資信託及び投資法人に関する法律182条(投資法人。経過措置は、整備法192条36項及び38項)
② 保険業法65条(相互会社。経過措置は、整備法216条55項及び57項)
③ 資産の流動化に関する法律134条(特定目的会社。経過措置は、整備法221条46項及び48項)
④ 特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律附則2条1項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法1条の規定による改正前の特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律134条(旧特定目的会社。経過措置は、整備法233条14項及び16項)

2 弁護士会登記令の一部改正(整備政令5条、6条関係)
 弁護士会の登記について次のような改正が行われたが、いずれもこれまでの取扱いを変更するものではない。
(1)合併の公告方法の登記についての位置付けの変更(弁護士会登記令9条関係)
 弁護士会の合併の公告の方法の登記は、改正前においては設立の登記事項とは別に規定されていた(旧弁護士法43条2項)が、改正後においては、設立の登記事項の1つとして規定された(弁護士法34条2項5号及び6号)。
 合併の公告の方法の登記をするために会則又はその変更を証する書面の添付を要することに変わりはないが、上記の改正に伴い、これらの書面は設立登記の添付書面(弁護士会登記令7条)又は変更登記の添付書面(同令8条)の中に含まれることとなったため、弁護士会登記令9条は削られた。
(2)同一所在場所における同一名称の登記の禁止(弁護士会登記令15条関係)
 従前の制度においても、同一所在場所における同一名称の法人の登記は却下すべきものと解されていたが(昭和40年1月13日付法務省民事甲第80号法務省民事局長回答)、弁護士会についても、明文で商登法27条を準用するとされた。

3 独立行政法人等登記令の一部改正(整備政令8条、9条関係)
 独立行政法人等の登記について次のような改正が行われたが、いずれもこれまでの取扱いを変更するものではない。



(1)代理人を従たる事務所に置いた場合における登記申請書への代表者の印鑑証明書の添付(独立行政法人等登記令15条4項関係)
 独立行政法人等が代理人を従たる事務所に置いた場合等における従たる事務所の所在地における登記の申請について、登記申請者の権限を確認するため、代表者の印鑑証明書を添付すべきことは、これまでの制度(旧独立行政法人等登記令17条において準用する旧商登法53条3項)と変わらないが、会社については、その支配人を本店の所在地において登記することに伴い旧商登法53条3項の規定が削られたため、従前に相当する条文が新たに規定されたものである。
(2)同一所在場所における同一名称の登記の禁止(独立行政法人等登記令17条関係)
 独立行政法人についても、会社や弁護士会(前述2参照)と同様に、同一所在場所における同一名称の法人の登記が禁止されることを明文化するため、商登法27条を準用するものとされた。
(3)本店移転の登記の取扱い(独立行政法人等登記令17条関係)
 会社については、支店の所在地における登記事項が簡略化された(会社法930条2項各号)ため、本店の新所在地に既に支店がある場合においても、常に登記記録を新たに設け、会社成立の年月日並びに本店を移転した旨及びその年月日を登記しなければならないとされた(商登法53条)。
 しかし、独立行政法人等については、従たる事務所の登記事項は従前のままである(同令4条1項)ため、商登法53条の準用読替規定が設けられ、これまでと同様、本店の新所在地において同令2条各号に掲げる事項を登記する場合(新所在地に既存の従たる事務所がない場合)に限り、新たに登記記録を設けることとされた。
 なお、新所在地に既存の従たる事務所がある場合には、その登記記録中の主たる事務所を変更するに過ぎず、商登法53条の準用はない。
(4)別表関係
 既に根拠法令の廃止により解散している①魚価安定基金(根拠法である魚価安定基金法は昭和43年法律第93号により廃止)、②漁業協同組合整備基金(根拠法である漁業協同組合整備促進法は昭和47年法律第68号により廃止)、③輸出振興事業協会(根拠法である軽機械の輸出の振興に関する法律は昭和44年法律第55号により廃止)が、別表から削られた。

4 組合等登記令の一部改正(整備政令10条関係)
 組合等登記令について次のような改正が行われた。次の(1)の①、(3)(5)及び(6)以外は、これまでの取扱いを変更するものではない(図表2参照)。


(1)代理人の登記について
① 代理人の共同代理の登記の削除(組登令12条1項、23条1項関係)

 会社法において旧商法39条(支配人の共同代理)に相当する規定が設けられなかったことに伴い、整備法においても、代理人の共同代理に関する規定が組登令別表一の根拠法の欄に掲げる法律(以下「根拠法」という)からすべて削られたため、代理人の共同代理の旨が登記事項から削られた(組登令12条1項)。
 なお、改正前において、代理人の共同代理に関する旧商法39条を準用する規定を有する根拠法は、(ア)旧船主相互保険組合法40条、(イ)旧たばこ耕作組合法31条3項、(ウ)旧中小漁業融資保証法36条3項、(エ)旧漁業災害補償法38条3項、(オ)旧森林組合法55条3項、(カ)旧農林中央金庫法41条2項、(キ)旧農住組合法45条3項、(ク)旧密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律76条7項であった。
② 代理人を従たる事務所に置いた場合における登記申請書への代表者の印鑑証明書の添付(組登令23条4項関係)
 独立行政法人等登記令15条4項(前述3(1)参照)と同様の改正が行われた。
(2)合併の公告方法の登記についての位置付けの変更(組登令12条の2、23条の2関係)
 合名会社や弁護士会の登記事項である「合併の公告をする方法」は、改正前は、設立の登記の登記事項とは別に規定されていた(旧商法100条8項、旧弁護士法43条2項)が、会社法及び整備法により設立の登記の登記事項とされた(会社法912条8号、弁護士法34条2項5号及び6号)ため、組合等についても同様の整理がされ(組登令2条6号の登記事項とし、別表第一の登記事項の欄に個別に規定する)、組登令12条の2の規定が削られた。
 また、合併の公告方法の登記をするのに定款又はその変更を証する書面の添付を要することは、現行制度と変わらないが、これらの書面は設立登記の添付書面(組登令16条)又は変更登記の添付書面(組登令17条)の中に含まれることとなったため、組登令23条の2は削られた。
(3)債権者保護手続を行った際の添付書面
① 出資1口の金額の減少の登記(組登令17条関係)

 森林組合法66条3項及び農林中央金庫法52条3項においては、森林組合等や農林中央金庫が出資1口の金額を減少する場合に、債権者保護手続の公告を官報に加えて日刊新聞紙又は電子公告により重ねて行ったときは、債権者への各別の催告が不要とされたので、商登法70条と同様に、その場合の添付書面について定められた。
② 森林組合連合会の権利義務の承継の登記(組登令26条関係)
 整備法による森林組合法の改正により、森林組合連合会の会員が1人となった場合に森林組合連合会の権利義務を会員たる森林組合が承継するときの債権者保護手続について、合併の場合と同様に、債権者に対する各別の催告の省略の余地が認められた(森林組合法108条の3第2項、84条4項、66条)ため、当該承継の場合における債権者保護手続に関する添付書面についても、合併の場合と同様とされた(組登令19条3項の規定の準用読替え)。
(4)同一所在場所における同一名称の登記の禁止等(組登令25条関係)
 同一所在場所における同一の名称の登記の禁止や本店移転の登記の取扱いについては、独立行政法人等登記令と同様とされた(前述3(2)及び(3)参照)。
(5)別表一関係
 そのほか、次に掲げる根拠法の整備法による改正に対応して、各法人の登記事項について、(i)共同代表の定めが削られ、(ii)公告の方法を追加する等の改正が行われた(図表2参照)。
① 公認会計士法
 監査法人について、共同代表の制度(旧公認会計士法34条の22第4項、旧商法77条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
② 行政書士法
 行政書士法人について、共同代表の制度(旧行政書士法13条の21第4項、旧商法77条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
③ 中小漁業融資保証法
 漁業信用基金協会について、電子公告を公告方法とすることが認められた(中小漁業融資保証法55条4項)ことに伴い、登記事項の整理がされた。
 これまでの制度では、公告の方法は定款の必要的記載事項であったが登記事項とはされていなかったところ、電子公告以外の公告の方法についても新たに登記事項とされたのは、次の理由によるものである。
 (ア)電子公告に関する事項が登記事項とされること(電子公告による場合には、登記アドレスを起点とする電子公告調査を受ける必要があるため、アドレス等を登記事項とする必要がある)との均衡を図る必要があること。
 (イ)合併等の場合において、債権者保護手続の公告を官報に加えて日刊新聞紙又は電子公告により重ねて行えば各別の催告を省略することができる(中小漁業融資保証法55条4項)とするには、債権者に対し公告の方法を登記により公示していること(債権者が合併等の事実を知る蓋然性を高めること)が前提となるべきであり、平成9年法律第56号による有限会社法の改正においても、有限会社の合併について同様の整理がされていること。
 なお、既存の漁業信用基金協会は、施行日から6か月以内に、新たに登記事項とされた公告の方法の登記を申請しなければならず、その際の登記申請書には定款を添付しなければならないとされた(整備政令11条7項)。
④ 司法書士法
 司法書士法人について、共同代表の制度(旧司法書士法46条5項、旧商法77条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
⑤ 社会保険労務士法
 社会保険労務士法人について、共同代表の制度(旧社会保険労務士法25条の25第4項、旧商法77条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
⑥ 商店街振興組合法
 商店街振興組合及び商店街振興組合連合会について、共同代表の制度(旧商店街振興組合法56条、旧商法261条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
⑦ 森林組合法
 (ア)森林組合及び森林組合連合会について、共同代表の制度(旧森林組合法54条、109条3項、旧商法261条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
 (イ)森林組合、生産森林組合及び森林組合連合会について、電子公告を公告方法とすることが認められたこと(森林組合法8条の2)に伴う登記事項の整理がされた。
⑧ 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律
 生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合及び生活衛生同業組合連合会について、共同代表の制度(旧生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律39条、旧商法261条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
⑨ 税理士法
 税理士法人について、共同代表の制度(旧税理士法48条の21第4項、旧商法77条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
⑩ 船主相互保険組合法
 (ア)船主相互保険組合について、共同代表の制度(船主相互保険法35条の3第2項)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
 (イ)船主相互保険組合について、電子公告を公告方法とすることが認められたこと(船主相互保険組合法55条)に伴い、③と同様に、新たに公告の方法が登記事項とされた。既存の船主相互保険組合が施行日から6か月以内にこの登記を申請しなければならないことも、③と同様である。
⑪ 土地家屋調査士法
 土地家屋調査士法人について、共同代表の制度(旧土地家屋調査士法41条5項、旧商法77条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
⑫ 弁理士法
 特許業務法人について、共同代表の制度(旧弁理士法55条4項、旧商法77条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
⑬ 内航海運組合法
 内航海運組合及び内航海運組合連合会について、共同代表の制度(旧内航海運組合法41条、旧商法261条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
⑭ 農業信用保証保険法
 農業信用基金協会について、電子公告を公告方法とすることが認められたこと(農業信用保証保険法48条の3第4項)に伴い、③と同様に、新たに公告の方法が登記事項とされた。既存の農業信用基金協会が施行日から6か月以内にこの登記を申請しなければならないことも、③と同様である。
⑮ 農林中央金庫法
 農林中央金庫について、電子公告を公告方法とすることが認められたこと(農林中央金庫法96条の2)に伴い、③と同様に、新たに公告の方法が登記事項とされた。農林中央金庫が施行日から6か月以内にこの登記を申請しなければならないことも、③と同様である。
⑯ 弁護士法
 弁護士法人について、共同代表の制度(旧弁護士法30条の27第4項、旧商法77条の準用)の廃止に伴う登記事項の整理がされた。
(6)別表二関係
 また、「設立又は合併を無効とする判決」とい
う文言が「設立又は合併の無効の訴えに係る請求を認容する判決」に改められるなど、根拠法(公認会計士法34条の20の2、34条の22第4項)及び根拠法において準用する会社法の規定(会社法828条1項、839条)に倣って訴訟関係の用語の整理がされたほか、次の改正が行われた。
 いずれも、根拠法に嘱託登記をすべき裁判の制度について規定があるにもかかわらず、別表二において、これに対応する登記に関する規定が欠けていたものである。
① 金融先物取引法
 金融先物会員制法人について、設立の無効の訴え又は創立総会若しくは総会の決議の不存在若しくは無効の確認若しくは取消しの訴えに関する規定(金融先物取引法12条12項)に対応する規定が整備されたものである。
② 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律
 生活衛生同業小組合について、合併の無効の訴えに関する規定(生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律52条の10)に対応する規定が整備されたものである。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索