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コラム2006年11月27日 【間違いやすい税務事例集】 資産調整勘定の損金算入(2006年11月27日号・№188)

間違いやすい税務事例集09
資産調整勘定の損金算入
中村税法研究会 税理士 榑林一典


質 問
 法人税法62条の8の「非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等」はどのような規定か。

回 答
 合併等により移転を受ける事業の取得価額と、その取得した資産および引き受けた負債の純額との間に差額が生じることがある。この差額は、会計上はのれんまたは負ののれんと呼ばれるものであるが、法人税の取扱いにおいては、非適格合併等において生じるこれらの金額を、資産調整勘定または負債調整勘定として一定期間にわたり損金の額または益金の額に算入することになる。

解 説
 合併等により、被取得企業から事業単位で事業の移転を受ける場合において、事業の取得価額としての支払対価総額と、被取得企業から取得した資産および引き受けた負債の純額との間に差額が生じることがある。この差額は、会計上はのれんまたは負ののれんと呼ばれ、企業結合会計基準によると20年以内に規則的に償却することとされている(企業結合会計基準三2.(4)(5))。
 これに対応し、平成18年度の税制改正において、非適格合併等により事業を取得した法人に生じたのれんまたは負ののれん相当額を、資産調整勘定または負債調整勘定と定義したうえで、これらの金額を一定期間にわたり損金の額または益金の額に算入することができる取扱いが設けられた(法法62条の8)。
 本規定の対象となる非適格合併等とは、非適格合併、非適格分割、非適格現物出資および事業の譲受けのうち、これらの行為の直前において営む事業およびその事業に係る主要な資産または負債のおおむね全部が移転するものとされている(法令123条の10第1項)。この場合において、事業の取得価額が取得事業における個別資産・負債の純額を超える金額を資産調整勘定の金額といい、満たない金額を負債調整勘定の金額と定義している。なお、退職給付債務の引受額と短期重要債務の見込額がある場合には、これらの金額も事業の取得価額としての支払対価総額に影響していると考えられるため、負債調整勘定の金額とされる。
 法人税の所得計算においては、資産調整勘定は5年間で損金の額に算入し、負債調整勘定は5年間で益金の額に算入することとされた(ただし、退職給付債務の引受額は対象従業者の退職等のつど、短期重要債務の見込額は損失の発生等に応じて益金の額に算入する)。
 なお、上記の通り、企業結合会計基準では、のれんまたは負ののれんは20年以内に規則的に償却することとされている。会計と税法との償却額の調整規定には法人税法施行令61条の3の、いわゆる「みなし損金経理」の規定があるが、本規定に関してはその適用対象とはされていない。これは、法人税法の取扱いにおいて、資産調整勘定または負債調整勘定を償却対象資産(または負債)とは捉えていないことを意味している。そのため、課税所得の計算にあたっては、これらの償却につき損金経理等の要件は付されていない。会計処理にはかかわらずあくまでも法人税独自の計算として損金の額または益金の額を計算することになる。

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