資料2007年04月13日 【税務関係資料】 移転価格税制に関する事前確認の申出及び事前相談について
移転価格税制に関する事前確認の申出及び事前相談について
移転価格税制に関する事前確認(APA: Advance Pricing Arrangement)とは、移転価格課税に関する納税者の皆様の予測可能性を確保するため、納税者の皆様の申出に基づき、その申出の対象となった国外関連取引に係る独立企業間価格の算定方法及びその具体的内容等(以下「独立企業間価格の算定方法等」といいます。)について、税務署長等が事前に確認を行うことをいい、昭和62年(1987年)に我が国が世界に先駆けて導入した施策です。その後、米国(1991年)に続き、カナダ(1994年)、豪州(1995年)、韓国(1996年)、中国(1998年)に導入され、現在では30ヶ国以上で導入されています。
(注)移転価格税制は、国外の関連企業(国外関連者)との取引を通じた海外への所得移転に対処し、適正な国際課税の実現を図る観点から、昭和61年度税制改正で導入された制度で、現在、主要先進国をはじめ40ヶ国以上で導入されています。本税制の基本的仕組みは、法人と国外関連者との取引価格が第三者間の取引価格(独立企業間価格)と異なることにより、我が国の課税所得が減少している場合に、その取引が独立企業間価格で行われたとみなして所得を計算するというものです。
事前確認については、近年の国際取引の増加を反映し、その申出件数が増加してきていることから、国税庁においては、担当者を増員するなど、処理促進のための体制整備を図ってきているところです。
これまでも、事前確認の申出の前に税務当局が相談を受ける事前相談を行っていましたが、納税者の皆様に事前相談を更にご活用いただくことにより、事前確認審査が迅速かつ円滑に行われるよう、今般、事前相談の担当窓口を設けるなど、事前相談がより利用しやすい環境を整備することとしたところです。
事前相談は、納税者の皆様と税務当局の双方が申出内容について基本的な理解を共有するためのものであり、この事前相談を行うことにより、納税者の皆様にとっては、申出時に必要な資料作成事務を効率的に行うことができ、また税務当局における申出後の審査の円滑化・迅速化の効果が期待されるため、事前相談を積極的にご活用されることをお勧めします。また、申出を行うかどうかのご判断がつきかねている納税者の方々のご相談も受け付けています。
○ 事前確認の申出について
事前確認の申出は、事前確認を受けようとする最初の事業年度に係る確定申告書の提出期限まで(事前確認の更新の申出の場合は、原則として確認を受けようとする事業年度(以下「確認対象事業年度」といいます。)開始の日の前日まで)に、確認対象事業年度、国外関連者、事前確認の対象となる国外関連取引及び独立企業間価格の算定方法等を記載した申出書を提出していただくことが必要です。
事前確認の詳細については、平成13年6月1日付査調7-1ほか3課共同「移転価格事務運営要領の制定について(事務運営指針)」の「第5章:事前確認手続」又は平成17年4月28日付査調7―4ほか3課共同「連結法人に係る移転価格事務運営要領の制定について(事務運営指針)」の「第5章:連結法人の事前確認手続」をご覧ください。
なお、申出書の様式及び記載要領については、上記事務運営指針の「独立企業間価格の算定方法等の確認に関する申出書」をご参照ください。
その他、事前確認につきましては、「よくあるご質問とその回答」をご参照ください。
○ 事前相談について
事前相談では、確認申出書の添付資料の作成要領など事前確認手続に必要な事項及び事前確認手続に移行した場合の審査のポイント等について税務当局の担当者がご説明いたします。
また、納税者の皆様から寄せられる以下のような項目に関するご相談に応じます。
(1) 国外関連取引について、事前確認を行うことが必要かどうか
(2) 事前確認手続のためには、どのような資料を作成する必要があるか
(3) 事前確認を申し出ようとする独立企業間価格の算定方法等は妥当か
(4) 国外関連者が所在する国の税務当局(以下「外国税務当局」といいます。)との相互協議の合意に基づいて行う事前確認(以下「相互協議を伴う事前確認」といいます。)と我が国のみによる事前確認のどちらを申し出ればよいか
なお、事前相談の際には、法人の財務諸表、資本関係図、事業概況、確認対象取引及び確認対象取引を行う組織の概要等に関する資料のご提出やご説明が不可欠ですので、ご理解・ご協力をお願いいたします。
その他、事前相談につきましては、「よくあるご質問とその回答」をご参照ください。
(注)(1)相互協議を伴う事前確認と(2)我が国のみによる事前確認の相違点や留意点については、「よくあるご質問とその回答」をご参照ください。
○ 事前相談及び事前確認の担当窓口
事前相談及び事前確認の申出については、以下の区分により、納税地の管轄国税局で応じています。なお、事前相談は、原則として予約制としておりますので、相談を希望される納税者の方は、管轄国税局の担当部署に事前にご連絡の上、予約をお願いいたします。
● 調査課所管法人である場合には、以下のとおりです。
東京国税局:調査第一部国際情報第二課
大阪国税局:調査第一部国際情報課
名古屋国税局:調査部国際調査課
関東信越国税局:調査査察部国際調査課
札幌、仙台、金沢、広島、高松、福岡、熊本の各国税局:調査査察部調査管理課
沖縄国税事務所:調査課
● 調査課所管法人以外の法人である場合には、以下のとおりです。
札幌、仙台、関東信越、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の各国税局:課税第二部法人課税課
金沢、高松、熊本の各国税局:課税部法人課税課
沖縄国税事務所:法人課税課
(注)全国の国税局の所在地及び電話番号は、「国税局・税務署の所在地・管轄」をご覧ください。
○ よくあるご質問とその回答
1 事前確認関係【質問1-イ】事前確認には、どのような類型があるのですか。
〔回答〕事前確認の類型としては、(1)相互協議を伴う事前確認と(2)我が国のみによる事前確認があります。
(1)相互協議を伴う事前確認
相互協議を伴う事前確認は、独立企業間価格の算定方法等について、日本の税務当局と外国税務当局との間で相互協議を行い、その合意に基づいて確認するものです。外国税務当局による課税についての予測可能性も確保されます。
このようなメリットがあるため、日本を含む多くの国で相互協議を伴う事前確認が行われています。
【基本的な手続の流れ(イメージ)】
なお、相互協議を伴う事前確認の場合には、事前確認の申出とは別に、相互協議の申立てが必要となります。相互協議の申立てについては、平成13年6月25日官協1-39ほか7課共同「相互協議の手続について(事務運営指針)」をご覧ください。また、相互協議を伴う事前確認の概要については、「相互協議を伴う事前確認の状況(APAレポート)」をご覧ください。
(2)我が国のみによる事前確認
我が国のみによる事前確認は、日本の税務当局が外国税務当局との相互協議を行わずに独立企業間価格の算定方法等について確認するものです。国外関連者が外国税務当局により課税されるリスクの回避までは保証されませんが、相互協議を伴う事前確認に比べ、通常、処理が早くなります。
【基本的な手続の流れ(イメージ)】
【質問1-ロ】国外関連取引の規模が小さいため、移転価格課税を受けるリスクが小さいと考えられる場合でも、事前確認の申出を行った方がよいのですか。
〔回答〕事前確認を受けることにより、移転価格課税の回避や予測可能性の確保が図られるのは確かですが、他方で書類作成等のための事務や費用等もかかることになりますので、仮に納税者の皆様が移転価格課税を受けるリスクが小さいとお考えになるのであれば、事前確認の申出を行わないという選択肢もあります。
ご質問に関して、移転価格課税を受けるリスクが小さいと考えられるような場合に、事前確認の申出を行うべきかどうかについては、あくまで納税者の皆様ご自身のご判断になりますが、事前相談においては、このようなご相談も受け付けています。
【質問1-ハ】国外関連取引の規模が小さいため、外国税務当局から移転価格課税を受けるリスクが小さいと考えられる場合でも、相互協議を伴う事前確認の申出を行った方がよいのですか。
〔回答〕【質問1-イ】の回答のとおり、我が国のみの事前確認の場合には外国税務当局からの課税リスクが残ることになりますが、相互協議を伴う事前確認と比較して、一般的に、処理期間が短縮され、書類作成等のための事務や費用等が軽減されますので、仮に納税者の皆様が外国税務当局から移転価格課税を受けるリスクが小さいとお考えになるのであれば、我が国のみの事前確認の申出を行うという選択肢もあります。
ご質問に関して、外国税務当局から移転価格課税を受けるリスクが小さいと考えられるような場合に、相互協議を伴う事前確認の申出と我が国のみの事前確認の申出のいずれを行うべきかについては、あくまで納税者の皆様ご自身のご判断になりますが、事前相談においては、このようなご相談も受け付けています。
【質問1-ニ】事前確認の申出書を書いたり、提出資料を準備するのは難しそうですが、税理士などに依頼しなければいけないのですか。
〔回答〕事前確認の申出書や提出資料を準備していただくためには、独立企業間価格の算定方法等をご理解頂いた上で資料の作成等を行っていただくことが必要になります。事前相談の際に、国税局の担当者が説明いたしますが、不安な方は、税務代理を委嘱した税理士にご相談されるのも一案です。
【質問1-ホ】事前確認審査はどのように行われるのですか。
〔回答〕事前確認審査においては、国税局の審査担当者が実際に会社や事業所に臨場し、独立企業間価格の算定方法等に関する説明をお聞きすることになります。その際、事前確認申出書の添付資料(後述の「事前確認申出時の提出書類」をご覧ください。)以外の各種のデータや分析資料の提出及び説明をお願いすることもありますが、的確かつ迅速な審査のために、ご理解・ご協力をお願いいたします。
【質問1-ヘ】事前確認審査においてポイントとなるのはどのような項目ですか。
〔回答〕事前確認審査のポイントは、個々の申出内容によって異なりますが、基本的に以下のような項目を中心に審査を行うことになります。(以下の用語については、「用語の解説」をご覧ください。)
独立企業間価格の算定方法と検証対象法人
確認対象取引の範囲と取引単位
比較対象法人の選定と差異調整
利益分割要因の決定と測定
利益率等の範囲の設定と補償調整
重要な前提条件
【質問1-ト】事前確認にはどれくらいの期間がかかるのですか。
〔回答〕事前確認に要する期間については、我が国のみによる事前確認か相互協議を伴う事前確認か、新規申出か更新申出か、更には内容の複雑性や納税者の皆様の資料の提出状況などによって異なるほか、外国税務当局との関係もありますので一概には言えませんが、これまでの実績によれば1件当たりの処理期間は平均2年程度です。
納税者の皆様のご理解をいただくとともに、的確かつ迅速な審査のため、資料の早期提出にご協力をお願いいたします。
【質問1-チ】確定申告の内容が事前確認の内容と異なった場合は、どのように取り扱われるのですか。
〔回答〕事前確認の対象となる事業年度に関しては、確定申告の内容が当該事前確認の内容に適合せず、確認対象取引に係る所得が増加する場合には、自主的に修正申告書を提出していただくこととなります。この修正申告書については、国税通則法第65条(過少申告加算税)第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」には該当しないこととなるため、加算税は賦課されません。これは、確認通知前になされた確定申告であっても同様です。
なお、上記の取扱いは、あくまで事前確認の対象となる確認対象取引に係る加算税に関するものであり、修正申告に伴い増加する本税額の納付が必要であることはもとより、確認対象取引以外の取引に係る修正申告については加算税が賦課されることにご留意ください。
2 事前相談関係【質問2-イ】事前相談は、個人でも行うことができるのですか。
〔回答〕移転価格税制は「法人」のみに適用されますので、事前相談を行うことができるのは「法人」のみです。
【質問2-ロ】事前相談は、どのような法人でも利用できるのですか。
〔回答〕事前相談ができるのは、国外関連者との取引を行っており、これについて事前の確認を受けようとする法人です。
【質問2-ハ】事前相談はいつまでに行う必要があるのですか。
〔回答〕事前相談については、期限等はありません。しかし、事前確認の申出は、事前確認を受けようとする最初の事業年度に係る確定申告書の提出期限まで(事前確認の更新の申出の場合は、原則として確認対象事業年度開始の日の前日まで)に行っていただく必要があります。申出に当たっては、独立企業間価格の算定等のために必要な資料を提出していただく必要があるため、それらの準備に要する期間を考慮していただき、できるだけ早めに相談されることをお勧めします。
なお、事前相談は、原則として予約制としておりますので、相談を希望される方は管轄の国税局の担当部署に事前にご連絡の上、予約をお願いいたします。
【質問2-ニ】事前相談の際には、どのような資料を用意する必要があるのですか。
〔回答〕事前相談の際には、相談をより円滑に行うため、例えば、法人の財務諸表、資本関係図、事業概況、確認対象取引及び確認対象取引を行う組織の概要などに関する資料をできるだけご用意ください。また、資料のうち、外国語で記載されているものについては、日本語訳を添付してください。
(注)事前確認申出時の提出書類について
事前確認の申出時において必要となる資料については「事前確認申出時の提出書類」をご参照いただき、申出時までにご準備ください。なお、事前相談においては、ここに掲げる全ての資料が揃わない場合でも、お気軽にご相談ください。
【質問2-ホ】事前相談の内容は公開されるのですか。
〔回答〕事前相談の内容は非公開です。また、この相談は、税務代理を委嘱した税理士を通じた匿名の相談でも構いません。ただし、匿名の相談の場合には、事実関係の説明が不十分となり、実質的に事前相談ができなくなってしまうこともありますので、実際に事前確認を予定している取引について具体的に説明してください。
【質問2-ヘ】事前相談を行った場合、必ず事前確認の申出を行わなくてはならないのですか。
〔回答〕事前確認の申出を行う必要があるかどうかは、あくまでも納税者の皆様の判断によります。したがって、事前相談を行ったからといって必ず事前確認の申出を行わなければならないということはありません。
【質問2-ト】事前相談を行った場合、税務調査は実施されないのですか。
〔回答〕税務当局との間で事前相談を行ったとしても、移転価格に関する税務調査を妨げるものではありません。ただし、仮に税務調査が行われた場合であっても、納税者の皆様の同意を得ることなしに、事前相談において提出された資料(事実に関する資料を除きます。)を調査に使用することはありません。
3 その他共通【質問3-イ】事前相談や事前確認審査はどの部署が担当することとなりますか。
〔回答〕事前相談は、原則として、国税局審査担当部署及び国税庁担当課の担当者が対応し、相互協議を伴う事前確認の場合には、この二者に国税庁相互協議室の担当者が加わります。
また、事前確認申出後の事前確認審査は、国税局の審査担当部署が担当することになります。
【質問3-ロ】事前相談及び事前確認審査には手数料が必要ですか。
〔回答〕事前相談及び事前確認については、手数料は不要です。
【質問3-ハ】文書回答手続と移転価格税制上の事前相談及び事前確認手続とはどのように違うのですか。
〔回答〕文書回答手続は、納税者の皆様から、申告期限等の前に「具体的な取引等に係る税務上の取扱い」に関して、文書による回答を求める旨の申出があった場合に、一定の要件の下に、文書により回答するとともに、他の納税者の皆様の予測可能性の向上に役立てていただくために、その照会及び回答の内容等を公表するという納税者サービスです。詳しくは、「事前照会に対する文書回答等について」をご参照ください。
一方、移転価格税制に係る事前確認及びこれに関する事前相談は、個別性・秘密性が極めて高いという事情があるため、文書回答手続とは別の手続として設けられています。
(ご参考)事前確認申出時の提出書類
イ 確認対象取引及び当該確認対象取引を行う組織等の概要
(確認の対象となる国外関連取引の概要に関する取引規模を記載した取引関係図等、申出法人及び当該国外関連者の法人組織の概要に関する組織図等の資料です。確認対象取引以外の取引についても確認対象取引に関連する場合には、これらに含めてください。)
ロ 事前確認を求めようとする独立企業間価格の算定方法及びその具体的内容等並びにそれが最も合理的であることの説明
(確認を求めようとする独立企業間価格の算定方法、対象となる取引、対象となる国外関連者、対象となる事業年度、報告書の記載事項等について、比較対象取引の選定過程、差異の調整等当該算定方法等が最も合理的であることについての説明資料です。)
ハ 事前確認を行い、かつ、事前確認を継続する上で前提となる重要な事業上又は経済上の諸条件
(事前確認を行い、継続する上で前提となる重要な事業上、経済上の諸条件に関する資料です。例えば、確認を行う上で前提となる事業内容、売上規模、新製品等の導入、市場の状況、為替変動などが考えられます。)
ニ 確認対象取引における取引及び資金の流れ、確認対象取引に使用される通貨の種類等確認対象取引の詳細
(確認対象取引について、取引価格の決定方法、取引条件(取引通貨、引渡条件、決済条件、値引き・割戻しの有無)、契約関係、資金の流れ、為替リスクの負担状況等についての説明資料です。)
ホ 確認対象取引に係る国外関連者と確認申出法人との直接若しくは間接の資本関係又は実質的支配関係
(確認対象取引に係る確認申出法人と国外関連者との資本関係又は実質的支配関係についての説明資料です。当該国外関連者以外の法人が確認対象取引に関連する場合には、それも含めてください。)
ヘ 確認対象取引において確認申出法人及び当該国外関連者が果たす機能
(確認対象取引において、確認申出法人及び当該国外関連者が果たす機能及びリスクの負担状況についての説明資料です。例えば研究開発機能であれば、基礎研究、製品開発等についての説明、製造機能であれば、生産計画、設備投資、工程管理、品質管理、在庫管理、PL負担等についての説明、販売機能であれば、販売戦略、販売計画、広告宣伝、販売活動、顧客管理、価格決定、受注・発注、物流業務、在庫管理、製品保証等についての説明をお願いします。また、確認対象取引において、無形資産が使用されている場合には、併せてその内容等についての説明をお願いします。)
ト 確認申出法人及び当該国外関連者の過去3事業年度分の営業及び経理の状況その他事業の内容に関する資料(確認対象取引が新規事業又は新規製品に係るものであり、過去3事業年度分の資料を提出できない場合には、将来の事業計画、事業予測の資料等これに代替するもの)
(確認申出法人及び当該国外関連者の過去3事業年度分の有価証券報告書又は類似の資料です。確認対象取引が新規事業である等の理由により、これらの資料を用意できない場合には、将来の事業計画、事業予測の資料等、これに代替するものをご用意ください。)
チ 当該国外関連者について、その所在地国で移転価格に係る調査、不服申立て、訴訟等が行われている場合には、その概要及び過去の課税状況
(国外関連者について、その所在地国で移転価格に係る調査等が行われている場合には、その概要及び過去の課税状況について簡潔に説明する資料です。)
リ 申出に係る独立企業間価格の算定方法等を確認対象事業年度前3事業年度に適用した場合の結果等確認申出法人が申し出た独立企業間価格の算定方法等を具体的に説明するために必要な資料
(上記「ロ」において説明された独立企業間価格の算定方法について、当該算定方法を確認対象事業年度前3事業年度に適用した場合の結果等についての具体的な説明資料です。)
ヌ その他事前確認に当たり必要な資料
(確認申出法人及び当該国外関連者の事業の概要の説明等、確認の審査に参考となるその他の資料があればご用意ください。)
○ 用語の解説
● 国外関連者…外国法人で、法人との間に、持株関係、実質的支配関係又はそれらが連鎖する関係の「特殊の関係」のあるものをいいます。
持株関係とは、(1)いわゆる「親子関係」として、二の法人のいずれか一方が他方の法人の発行済株式等の50%以上の株式等を直接又は間接に保有する関係をいい、また、(2)いわゆる「兄弟関係」として、二の法人が同一の者によってそれぞれその発行済株式等の50%以上の株式等を直接又は間接に保有される関係をいいます。
実質的支配関係とは、例えば、他方の法人の役員の2分の1以上又は代表権を有する社員が、一方の法人の役員若しくは使用人を兼務している等の事実により、二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の事業の方針の全部又は一部につき実質的に決定できる関係をいいます。
持株関係と実質的支配関係とが連鎖する関係とは、法人と外国法人との間が、持株関係又は実質的支配関係の一方又は双方で連鎖している関係をいいます。
● 国外関連取引…法人が、その国外関連者との間で行う棚卸資産等の資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引をいいます。
● 相互協議…二重課税の排除を含め、租税条約の規定に適合しない課税を回避するため、我が国の税務当局が租税条約に基づき、相手国の税務当局と行う協議をいいます。
● 独立企業間価格…国外関連者との取引が、その取引と同様の状況の下で非関連者間において行われた場合に成立すると認められる価格をいいます。
● 独立企業間価格の算定方法…租税特別措置法第66条の4では、いわゆる「基本三法」として、独立価格比準法、再販売価格基準法及び原価基準法が規定されています。また、これらの方法を用いることができない場合の方法として、基本三法に準ずる方法並びに政令で定める方法として利益分割法及び取引単位営業利益法が規定されています。
● 検証対象法人…国外関連者との取引において、独立企業間価格の算定方法を適用する場合における一方又は双方の法人である取引当事者をいいます。
● 比較対象法人…法人が国外関連者との間で行う取引(国外関連取引)が独立企業間価格で行われているかどうかは、その取引と同様の状況下において非関連者間(又は法人と非関連者間)で行われる同種又は類似の棚卸資産等に係る取引(比較対象取引)との比較によって判断されます。この比較対象取引を行う法人を比較対象法人といいます。
● 差異調整…検証対象法人が行う取引と比較対象法人が行う取引との間に、双方の法人が果たす機能等に差異があり、その差異が利益率等に実質的な影響を与える場合に行う調整をいいます。
● 利益分割要因…独立企業間価格の算定方法として利益分割法を用いる場合には、法人と国外関連者双方の営業利益の合計額(分割対象利益)を一定の割合により分割しますが、この割合の基となるものを利益分割要因といいます。
● 利益率等の範囲…不確定要素を含む将来の事業年度を対象とする事前確認は、移転価格課税に関する予測可能性を確保する観点から、特定の水準(ポイント)ではなく、利益率等による一定の範囲(レンジ)を用いて確認することが多くなっています。
● 補償調整…確認対象取引の実績値が事前確認の内容と異なる場合に、事前確認の内容に合致するよう移転価格を調整することをいいます。
● 重要な前提条件…事前確認を行い、かつ、事前確認を継続する上で前提となる重要な事業上又は経済上の諸条件をいいます。例えば、事業内容や事業組織に大きな変更がないこと、事業を規制する法令等に大きな改正がないこと、事業を取り巻く経済条件(為替レートなど)に大きな変化がないこと等があげられます。
移転価格税制に関する事前確認(APA: Advance Pricing Arrangement)とは、移転価格課税に関する納税者の皆様の予測可能性を確保するため、納税者の皆様の申出に基づき、その申出の対象となった国外関連取引に係る独立企業間価格の算定方法及びその具体的内容等(以下「独立企業間価格の算定方法等」といいます。)について、税務署長等が事前に確認を行うことをいい、昭和62年(1987年)に我が国が世界に先駆けて導入した施策です。その後、米国(1991年)に続き、カナダ(1994年)、豪州(1995年)、韓国(1996年)、中国(1998年)に導入され、現在では30ヶ国以上で導入されています。
(注)移転価格税制は、国外の関連企業(国外関連者)との取引を通じた海外への所得移転に対処し、適正な国際課税の実現を図る観点から、昭和61年度税制改正で導入された制度で、現在、主要先進国をはじめ40ヶ国以上で導入されています。本税制の基本的仕組みは、法人と国外関連者との取引価格が第三者間の取引価格(独立企業間価格)と異なることにより、我が国の課税所得が減少している場合に、その取引が独立企業間価格で行われたとみなして所得を計算するというものです。
事前確認については、近年の国際取引の増加を反映し、その申出件数が増加してきていることから、国税庁においては、担当者を増員するなど、処理促進のための体制整備を図ってきているところです。
これまでも、事前確認の申出の前に税務当局が相談を受ける事前相談を行っていましたが、納税者の皆様に事前相談を更にご活用いただくことにより、事前確認審査が迅速かつ円滑に行われるよう、今般、事前相談の担当窓口を設けるなど、事前相談がより利用しやすい環境を整備することとしたところです。
事前相談は、納税者の皆様と税務当局の双方が申出内容について基本的な理解を共有するためのものであり、この事前相談を行うことにより、納税者の皆様にとっては、申出時に必要な資料作成事務を効率的に行うことができ、また税務当局における申出後の審査の円滑化・迅速化の効果が期待されるため、事前相談を積極的にご活用されることをお勧めします。また、申出を行うかどうかのご判断がつきかねている納税者の方々のご相談も受け付けています。
○ 事前確認の申出について
事前確認の申出は、事前確認を受けようとする最初の事業年度に係る確定申告書の提出期限まで(事前確認の更新の申出の場合は、原則として確認を受けようとする事業年度(以下「確認対象事業年度」といいます。)開始の日の前日まで)に、確認対象事業年度、国外関連者、事前確認の対象となる国外関連取引及び独立企業間価格の算定方法等を記載した申出書を提出していただくことが必要です。
事前確認の詳細については、平成13年6月1日付査調7-1ほか3課共同「移転価格事務運営要領の制定について(事務運営指針)」の「第5章:事前確認手続」又は平成17年4月28日付査調7―4ほか3課共同「連結法人に係る移転価格事務運営要領の制定について(事務運営指針)」の「第5章:連結法人の事前確認手続」をご覧ください。
なお、申出書の様式及び記載要領については、上記事務運営指針の「独立企業間価格の算定方法等の確認に関する申出書」をご参照ください。
その他、事前確認につきましては、「よくあるご質問とその回答」をご参照ください。
○ 事前相談について
事前相談では、確認申出書の添付資料の作成要領など事前確認手続に必要な事項及び事前確認手続に移行した場合の審査のポイント等について税務当局の担当者がご説明いたします。
また、納税者の皆様から寄せられる以下のような項目に関するご相談に応じます。
(1) 国外関連取引について、事前確認を行うことが必要かどうか
(2) 事前確認手続のためには、どのような資料を作成する必要があるか
(3) 事前確認を申し出ようとする独立企業間価格の算定方法等は妥当か
(4) 国外関連者が所在する国の税務当局(以下「外国税務当局」といいます。)との相互協議の合意に基づいて行う事前確認(以下「相互協議を伴う事前確認」といいます。)と我が国のみによる事前確認のどちらを申し出ればよいか
なお、事前相談の際には、法人の財務諸表、資本関係図、事業概況、確認対象取引及び確認対象取引を行う組織の概要等に関する資料のご提出やご説明が不可欠ですので、ご理解・ご協力をお願いいたします。

その他、事前相談につきましては、「よくあるご質問とその回答」をご参照ください。
(注)(1)相互協議を伴う事前確認と(2)我が国のみによる事前確認の相違点や留意点については、「よくあるご質問とその回答」をご参照ください。
○ 事前相談及び事前確認の担当窓口
事前相談及び事前確認の申出については、以下の区分により、納税地の管轄国税局で応じています。なお、事前相談は、原則として予約制としておりますので、相談を希望される納税者の方は、管轄国税局の担当部署に事前にご連絡の上、予約をお願いいたします。
● 調査課所管法人である場合には、以下のとおりです。
東京国税局:調査第一部国際情報第二課
大阪国税局:調査第一部国際情報課
名古屋国税局:調査部国際調査課
関東信越国税局:調査査察部国際調査課
札幌、仙台、金沢、広島、高松、福岡、熊本の各国税局:調査査察部調査管理課
沖縄国税事務所:調査課
● 調査課所管法人以外の法人である場合には、以下のとおりです。
札幌、仙台、関東信越、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の各国税局:課税第二部法人課税課
金沢、高松、熊本の各国税局:課税部法人課税課
沖縄国税事務所:法人課税課
(注)全国の国税局の所在地及び電話番号は、「国税局・税務署の所在地・管轄」をご覧ください。
○ よくあるご質問とその回答
1 事前確認関係【質問1-イ】事前確認には、どのような類型があるのですか。
〔回答〕事前確認の類型としては、(1)相互協議を伴う事前確認と(2)我が国のみによる事前確認があります。
(1)相互協議を伴う事前確認
相互協議を伴う事前確認は、独立企業間価格の算定方法等について、日本の税務当局と外国税務当局との間で相互協議を行い、その合意に基づいて確認するものです。外国税務当局による課税についての予測可能性も確保されます。
このようなメリットがあるため、日本を含む多くの国で相互協議を伴う事前確認が行われています。
【基本的な手続の流れ(イメージ)】

なお、相互協議を伴う事前確認の場合には、事前確認の申出とは別に、相互協議の申立てが必要となります。相互協議の申立てについては、平成13年6月25日官協1-39ほか7課共同「相互協議の手続について(事務運営指針)」をご覧ください。また、相互協議を伴う事前確認の概要については、「相互協議を伴う事前確認の状況(APAレポート)」をご覧ください。
(2)我が国のみによる事前確認
我が国のみによる事前確認は、日本の税務当局が外国税務当局との相互協議を行わずに独立企業間価格の算定方法等について確認するものです。国外関連者が外国税務当局により課税されるリスクの回避までは保証されませんが、相互協議を伴う事前確認に比べ、通常、処理が早くなります。
【基本的な手続の流れ(イメージ)】

【質問1-ロ】国外関連取引の規模が小さいため、移転価格課税を受けるリスクが小さいと考えられる場合でも、事前確認の申出を行った方がよいのですか。
〔回答〕事前確認を受けることにより、移転価格課税の回避や予測可能性の確保が図られるのは確かですが、他方で書類作成等のための事務や費用等もかかることになりますので、仮に納税者の皆様が移転価格課税を受けるリスクが小さいとお考えになるのであれば、事前確認の申出を行わないという選択肢もあります。
ご質問に関して、移転価格課税を受けるリスクが小さいと考えられるような場合に、事前確認の申出を行うべきかどうかについては、あくまで納税者の皆様ご自身のご判断になりますが、事前相談においては、このようなご相談も受け付けています。
【質問1-ハ】国外関連取引の規模が小さいため、外国税務当局から移転価格課税を受けるリスクが小さいと考えられる場合でも、相互協議を伴う事前確認の申出を行った方がよいのですか。
〔回答〕【質問1-イ】の回答のとおり、我が国のみの事前確認の場合には外国税務当局からの課税リスクが残ることになりますが、相互協議を伴う事前確認と比較して、一般的に、処理期間が短縮され、書類作成等のための事務や費用等が軽減されますので、仮に納税者の皆様が外国税務当局から移転価格課税を受けるリスクが小さいとお考えになるのであれば、我が国のみの事前確認の申出を行うという選択肢もあります。
ご質問に関して、外国税務当局から移転価格課税を受けるリスクが小さいと考えられるような場合に、相互協議を伴う事前確認の申出と我が国のみの事前確認の申出のいずれを行うべきかについては、あくまで納税者の皆様ご自身のご判断になりますが、事前相談においては、このようなご相談も受け付けています。
【質問1-ニ】事前確認の申出書を書いたり、提出資料を準備するのは難しそうですが、税理士などに依頼しなければいけないのですか。
〔回答〕事前確認の申出書や提出資料を準備していただくためには、独立企業間価格の算定方法等をご理解頂いた上で資料の作成等を行っていただくことが必要になります。事前相談の際に、国税局の担当者が説明いたしますが、不安な方は、税務代理を委嘱した税理士にご相談されるのも一案です。
【質問1-ホ】事前確認審査はどのように行われるのですか。
〔回答〕事前確認審査においては、国税局の審査担当者が実際に会社や事業所に臨場し、独立企業間価格の算定方法等に関する説明をお聞きすることになります。その際、事前確認申出書の添付資料(後述の「事前確認申出時の提出書類」をご覧ください。)以外の各種のデータや分析資料の提出及び説明をお願いすることもありますが、的確かつ迅速な審査のために、ご理解・ご協力をお願いいたします。
【質問1-ヘ】事前確認審査においてポイントとなるのはどのような項目ですか。
〔回答〕事前確認審査のポイントは、個々の申出内容によって異なりますが、基本的に以下のような項目を中心に審査を行うことになります。(以下の用語については、「用語の解説」をご覧ください。)
独立企業間価格の算定方法と検証対象法人
確認対象取引の範囲と取引単位
比較対象法人の選定と差異調整
利益分割要因の決定と測定
利益率等の範囲の設定と補償調整
重要な前提条件
【質問1-ト】事前確認にはどれくらいの期間がかかるのですか。
〔回答〕事前確認に要する期間については、我が国のみによる事前確認か相互協議を伴う事前確認か、新規申出か更新申出か、更には内容の複雑性や納税者の皆様の資料の提出状況などによって異なるほか、外国税務当局との関係もありますので一概には言えませんが、これまでの実績によれば1件当たりの処理期間は平均2年程度です。
納税者の皆様のご理解をいただくとともに、的確かつ迅速な審査のため、資料の早期提出にご協力をお願いいたします。
【質問1-チ】確定申告の内容が事前確認の内容と異なった場合は、どのように取り扱われるのですか。
〔回答〕事前確認の対象となる事業年度に関しては、確定申告の内容が当該事前確認の内容に適合せず、確認対象取引に係る所得が増加する場合には、自主的に修正申告書を提出していただくこととなります。この修正申告書については、国税通則法第65条(過少申告加算税)第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」には該当しないこととなるため、加算税は賦課されません。これは、確認通知前になされた確定申告であっても同様です。
なお、上記の取扱いは、あくまで事前確認の対象となる確認対象取引に係る加算税に関するものであり、修正申告に伴い増加する本税額の納付が必要であることはもとより、確認対象取引以外の取引に係る修正申告については加算税が賦課されることにご留意ください。
2 事前相談関係【質問2-イ】事前相談は、個人でも行うことができるのですか。
〔回答〕移転価格税制は「法人」のみに適用されますので、事前相談を行うことができるのは「法人」のみです。
【質問2-ロ】事前相談は、どのような法人でも利用できるのですか。
〔回答〕事前相談ができるのは、国外関連者との取引を行っており、これについて事前の確認を受けようとする法人です。
【質問2-ハ】事前相談はいつまでに行う必要があるのですか。
〔回答〕事前相談については、期限等はありません。しかし、事前確認の申出は、事前確認を受けようとする最初の事業年度に係る確定申告書の提出期限まで(事前確認の更新の申出の場合は、原則として確認対象事業年度開始の日の前日まで)に行っていただく必要があります。申出に当たっては、独立企業間価格の算定等のために必要な資料を提出していただく必要があるため、それらの準備に要する期間を考慮していただき、できるだけ早めに相談されることをお勧めします。
なお、事前相談は、原則として予約制としておりますので、相談を希望される方は管轄の国税局の担当部署に事前にご連絡の上、予約をお願いいたします。
【質問2-ニ】事前相談の際には、どのような資料を用意する必要があるのですか。
〔回答〕事前相談の際には、相談をより円滑に行うため、例えば、法人の財務諸表、資本関係図、事業概況、確認対象取引及び確認対象取引を行う組織の概要などに関する資料をできるだけご用意ください。また、資料のうち、外国語で記載されているものについては、日本語訳を添付してください。
(注)事前確認申出時の提出書類について
事前確認の申出時において必要となる資料については「事前確認申出時の提出書類」をご参照いただき、申出時までにご準備ください。なお、事前相談においては、ここに掲げる全ての資料が揃わない場合でも、お気軽にご相談ください。
【質問2-ホ】事前相談の内容は公開されるのですか。
〔回答〕事前相談の内容は非公開です。また、この相談は、税務代理を委嘱した税理士を通じた匿名の相談でも構いません。ただし、匿名の相談の場合には、事実関係の説明が不十分となり、実質的に事前相談ができなくなってしまうこともありますので、実際に事前確認を予定している取引について具体的に説明してください。
【質問2-ヘ】事前相談を行った場合、必ず事前確認の申出を行わなくてはならないのですか。
〔回答〕事前確認の申出を行う必要があるかどうかは、あくまでも納税者の皆様の判断によります。したがって、事前相談を行ったからといって必ず事前確認の申出を行わなければならないということはありません。
【質問2-ト】事前相談を行った場合、税務調査は実施されないのですか。
〔回答〕税務当局との間で事前相談を行ったとしても、移転価格に関する税務調査を妨げるものではありません。ただし、仮に税務調査が行われた場合であっても、納税者の皆様の同意を得ることなしに、事前相談において提出された資料(事実に関する資料を除きます。)を調査に使用することはありません。
3 その他共通【質問3-イ】事前相談や事前確認審査はどの部署が担当することとなりますか。
〔回答〕事前相談は、原則として、国税局審査担当部署及び国税庁担当課の担当者が対応し、相互協議を伴う事前確認の場合には、この二者に国税庁相互協議室の担当者が加わります。
また、事前確認申出後の事前確認審査は、国税局の審査担当部署が担当することになります。
【質問3-ロ】事前相談及び事前確認審査には手数料が必要ですか。
〔回答〕事前相談及び事前確認については、手数料は不要です。
【質問3-ハ】文書回答手続と移転価格税制上の事前相談及び事前確認手続とはどのように違うのですか。
〔回答〕文書回答手続は、納税者の皆様から、申告期限等の前に「具体的な取引等に係る税務上の取扱い」に関して、文書による回答を求める旨の申出があった場合に、一定の要件の下に、文書により回答するとともに、他の納税者の皆様の予測可能性の向上に役立てていただくために、その照会及び回答の内容等を公表するという納税者サービスです。詳しくは、「事前照会に対する文書回答等について」をご参照ください。
一方、移転価格税制に係る事前確認及びこれに関する事前相談は、個別性・秘密性が極めて高いという事情があるため、文書回答手続とは別の手続として設けられています。
(ご参考)事前確認申出時の提出書類
イ 確認対象取引及び当該確認対象取引を行う組織等の概要
(確認の対象となる国外関連取引の概要に関する取引規模を記載した取引関係図等、申出法人及び当該国外関連者の法人組織の概要に関する組織図等の資料です。確認対象取引以外の取引についても確認対象取引に関連する場合には、これらに含めてください。)
ロ 事前確認を求めようとする独立企業間価格の算定方法及びその具体的内容等並びにそれが最も合理的であることの説明
(確認を求めようとする独立企業間価格の算定方法、対象となる取引、対象となる国外関連者、対象となる事業年度、報告書の記載事項等について、比較対象取引の選定過程、差異の調整等当該算定方法等が最も合理的であることについての説明資料です。)
ハ 事前確認を行い、かつ、事前確認を継続する上で前提となる重要な事業上又は経済上の諸条件
(事前確認を行い、継続する上で前提となる重要な事業上、経済上の諸条件に関する資料です。例えば、確認を行う上で前提となる事業内容、売上規模、新製品等の導入、市場の状況、為替変動などが考えられます。)
ニ 確認対象取引における取引及び資金の流れ、確認対象取引に使用される通貨の種類等確認対象取引の詳細
(確認対象取引について、取引価格の決定方法、取引条件(取引通貨、引渡条件、決済条件、値引き・割戻しの有無)、契約関係、資金の流れ、為替リスクの負担状況等についての説明資料です。)
ホ 確認対象取引に係る国外関連者と確認申出法人との直接若しくは間接の資本関係又は実質的支配関係
(確認対象取引に係る確認申出法人と国外関連者との資本関係又は実質的支配関係についての説明資料です。当該国外関連者以外の法人が確認対象取引に関連する場合には、それも含めてください。)
ヘ 確認対象取引において確認申出法人及び当該国外関連者が果たす機能
(確認対象取引において、確認申出法人及び当該国外関連者が果たす機能及びリスクの負担状況についての説明資料です。例えば研究開発機能であれば、基礎研究、製品開発等についての説明、製造機能であれば、生産計画、設備投資、工程管理、品質管理、在庫管理、PL負担等についての説明、販売機能であれば、販売戦略、販売計画、広告宣伝、販売活動、顧客管理、価格決定、受注・発注、物流業務、在庫管理、製品保証等についての説明をお願いします。また、確認対象取引において、無形資産が使用されている場合には、併せてその内容等についての説明をお願いします。)
ト 確認申出法人及び当該国外関連者の過去3事業年度分の営業及び経理の状況その他事業の内容に関する資料(確認対象取引が新規事業又は新規製品に係るものであり、過去3事業年度分の資料を提出できない場合には、将来の事業計画、事業予測の資料等これに代替するもの)
(確認申出法人及び当該国外関連者の過去3事業年度分の有価証券報告書又は類似の資料です。確認対象取引が新規事業である等の理由により、これらの資料を用意できない場合には、将来の事業計画、事業予測の資料等、これに代替するものをご用意ください。)
チ 当該国外関連者について、その所在地国で移転価格に係る調査、不服申立て、訴訟等が行われている場合には、その概要及び過去の課税状況
(国外関連者について、その所在地国で移転価格に係る調査等が行われている場合には、その概要及び過去の課税状況について簡潔に説明する資料です。)
リ 申出に係る独立企業間価格の算定方法等を確認対象事業年度前3事業年度に適用した場合の結果等確認申出法人が申し出た独立企業間価格の算定方法等を具体的に説明するために必要な資料
(上記「ロ」において説明された独立企業間価格の算定方法について、当該算定方法を確認対象事業年度前3事業年度に適用した場合の結果等についての具体的な説明資料です。)
ヌ その他事前確認に当たり必要な資料
(確認申出法人及び当該国外関連者の事業の概要の説明等、確認の審査に参考となるその他の資料があればご用意ください。)
○ 用語の解説
● 国外関連者…外国法人で、法人との間に、持株関係、実質的支配関係又はそれらが連鎖する関係の「特殊の関係」のあるものをいいます。
持株関係とは、(1)いわゆる「親子関係」として、二の法人のいずれか一方が他方の法人の発行済株式等の50%以上の株式等を直接又は間接に保有する関係をいい、また、(2)いわゆる「兄弟関係」として、二の法人が同一の者によってそれぞれその発行済株式等の50%以上の株式等を直接又は間接に保有される関係をいいます。
実質的支配関係とは、例えば、他方の法人の役員の2分の1以上又は代表権を有する社員が、一方の法人の役員若しくは使用人を兼務している等の事実により、二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の事業の方針の全部又は一部につき実質的に決定できる関係をいいます。
持株関係と実質的支配関係とが連鎖する関係とは、法人と外国法人との間が、持株関係又は実質的支配関係の一方又は双方で連鎖している関係をいいます。
● 国外関連取引…法人が、その国外関連者との間で行う棚卸資産等の資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引をいいます。
● 相互協議…二重課税の排除を含め、租税条約の規定に適合しない課税を回避するため、我が国の税務当局が租税条約に基づき、相手国の税務当局と行う協議をいいます。
● 独立企業間価格…国外関連者との取引が、その取引と同様の状況の下で非関連者間において行われた場合に成立すると認められる価格をいいます。
● 独立企業間価格の算定方法…租税特別措置法第66条の4では、いわゆる「基本三法」として、独立価格比準法、再販売価格基準法及び原価基準法が規定されています。また、これらの方法を用いることができない場合の方法として、基本三法に準ずる方法並びに政令で定める方法として利益分割法及び取引単位営業利益法が規定されています。
● 検証対象法人…国外関連者との取引において、独立企業間価格の算定方法を適用する場合における一方又は双方の法人である取引当事者をいいます。
● 比較対象法人…法人が国外関連者との間で行う取引(国外関連取引)が独立企業間価格で行われているかどうかは、その取引と同様の状況下において非関連者間(又は法人と非関連者間)で行われる同種又は類似の棚卸資産等に係る取引(比較対象取引)との比較によって判断されます。この比較対象取引を行う法人を比較対象法人といいます。
● 差異調整…検証対象法人が行う取引と比較対象法人が行う取引との間に、双方の法人が果たす機能等に差異があり、その差異が利益率等に実質的な影響を与える場合に行う調整をいいます。
● 利益分割要因…独立企業間価格の算定方法として利益分割法を用いる場合には、法人と国外関連者双方の営業利益の合計額(分割対象利益)を一定の割合により分割しますが、この割合の基となるものを利益分割要因といいます。
● 利益率等の範囲…不確定要素を含む将来の事業年度を対象とする事前確認は、移転価格課税に関する予測可能性を確保する観点から、特定の水準(ポイント)ではなく、利益率等による一定の範囲(レンジ)を用いて確認することが多くなっています。
● 補償調整…確認対象取引の実績値が事前確認の内容と異なる場合に、事前確認の内容に合致するよう移転価格を調整することをいいます。
● 重要な前提条件…事前確認を行い、かつ、事前確認を継続する上で前提となる重要な事業上又は経済上の諸条件をいいます。例えば、事業内容や事業組織に大きな変更がないこと、事業を規制する法令等に大きな改正がないこと、事業を取り巻く経済条件(為替レートなど)に大きな変化がないこと等があげられます。
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