コラム2008年03月17日 【ML耳より情報】 税理士の懲戒処分を考える(2008年3月17日号・№251)
税理士の懲戒処分を考える
税理士会の処分の発表方法 最近、身近に懲戒処分の事例を聞くようになりました。税理士会では、懲戒処分の発表は、各単位会ごとに会報を通じて行っています。昨年、4ケ月の業務停止処分を発表した東京税理士会会報の掲載内容は、次のとおりです。
「自己の所得税の確定申告に当たり、架空の経費を計上することにより、所得金額を不正に圧縮して申告したことは、税理士としての信用と品位を害した。このことは、信用失墜行為の禁止の規定(法第37条、会則第39条)に抵触し、会則等の遵守義務を定めた規定(法第39条、連合会会則第60条、会則第40条)に違反する」
会報では、違反行為の内容と、抵触する税理士法と会則の条文について触れられています。
他士業では、処分の開示が具体的 ところで、同じく昨年に日本公認会計士協会が税理士業務の4ケ月業務停止処分を発表した内容は、次のとおりでした。
「関係会員は、平成10年分から平成16年分の自己の所得税の確定申告に当たって、架空人件費を計上することにより、7年間で1,600万円の所得金額を脱漏し過少に申告したとして、税理士法第37条(信用失墜行為の禁止)に違反し、同法第46条(一般の懲戒)に該当する」
協会の発表では、違反行為と抵触する税理士法の条文についてばかりでなく、違反を犯した年分、違反の手法、そして違反金額についても公表されており、税理士会の発表よりも詳細です。こうした情報が協会のホームページを通じて全国に、しかも、会員のみならず一般の人々にも広く提供されている点に税理士業界との大きな違いを見出せます。
弁護士業界、司法書士業界についても、公認会計士業界と同様に、一般会員に対して懲戒処分を周知する体制が整備されています。ところが税理士会では、処分内容が単位会ごとに各会員に周知されるだけです。しかも、他士業に比べて曖昧な形ですので、懲戒処分になれば恥ずかしいという感覚はもっているものの、違反行為の類型別、金額別に、どのような懲戒処分になっていくのかについて、いつまでたっても学習できない制度になっています。
懲戒処分についての考え方が明示 ここ数年、税理士業務の禁止処分が増加しています。税理士本人の脱税と、関与先の脱税への加担が処分の主な理由と推測されます。脱税は当然に許されないことですが、後者については、実務においては税理士が時に遭遇する問題です。税法の解釈には、微妙な判断がつきまとい、税理士自身は合法的なつもりでも脱税加担とみなされる危険もあるからです。
平成19年12月には国税庁から、税理士に対する懲戒処分についての考え方が明示されました。
他の業界に倣い、より具体的な事案の公表をし、同業者のミスを業界の知識として共有できる制度を構築すべき時期が到来したように思われます。
taxMLグループ 税理士 佐藤増彦
税理士会の処分の発表方法 最近、身近に懲戒処分の事例を聞くようになりました。税理士会では、懲戒処分の発表は、各単位会ごとに会報を通じて行っています。昨年、4ケ月の業務停止処分を発表した東京税理士会会報の掲載内容は、次のとおりです。
「自己の所得税の確定申告に当たり、架空の経費を計上することにより、所得金額を不正に圧縮して申告したことは、税理士としての信用と品位を害した。このことは、信用失墜行為の禁止の規定(法第37条、会則第39条)に抵触し、会則等の遵守義務を定めた規定(法第39条、連合会会則第60条、会則第40条)に違反する」
会報では、違反行為の内容と、抵触する税理士法と会則の条文について触れられています。
他士業では、処分の開示が具体的 ところで、同じく昨年に日本公認会計士協会が税理士業務の4ケ月業務停止処分を発表した内容は、次のとおりでした。
「関係会員は、平成10年分から平成16年分の自己の所得税の確定申告に当たって、架空人件費を計上することにより、7年間で1,600万円の所得金額を脱漏し過少に申告したとして、税理士法第37条(信用失墜行為の禁止)に違反し、同法第46条(一般の懲戒)に該当する」
協会の発表では、違反行為と抵触する税理士法の条文についてばかりでなく、違反を犯した年分、違反の手法、そして違反金額についても公表されており、税理士会の発表よりも詳細です。こうした情報が協会のホームページを通じて全国に、しかも、会員のみならず一般の人々にも広く提供されている点に税理士業界との大きな違いを見出せます。
弁護士業界、司法書士業界についても、公認会計士業界と同様に、一般会員に対して懲戒処分を周知する体制が整備されています。ところが税理士会では、処分内容が単位会ごとに各会員に周知されるだけです。しかも、他士業に比べて曖昧な形ですので、懲戒処分になれば恥ずかしいという感覚はもっているものの、違反行為の類型別、金額別に、どのような懲戒処分になっていくのかについて、いつまでたっても学習できない制度になっています。
懲戒処分についての考え方が明示 ここ数年、税理士業務の禁止処分が増加しています。税理士本人の脱税と、関与先の脱税への加担が処分の主な理由と推測されます。脱税は当然に許されないことですが、後者については、実務においては税理士が時に遭遇する問題です。税法の解釈には、微妙な判断がつきまとい、税理士自身は合法的なつもりでも脱税加担とみなされる危険もあるからです。
平成19年12月には国税庁から、税理士に対する懲戒処分についての考え方が明示されました。
他の業界に倣い、より具体的な事案の公表をし、同業者のミスを業界の知識として共有できる制度を構築すべき時期が到来したように思われます。
taxMLグループ 税理士 佐藤増彦
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