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税務ニュース2004年07月20日 最高裁、平和事件で「正当な理由」を認めず≪最新版≫ 不合理、不自然な経済的活動、課税の可能性を疑うべき

 最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は、7月20日、「本件貸付けは、3455億円を超える多額の金員を無利息、無期限、無担保で貸し付けるものであり、不合理、不自然な活動であるというほかない。所法157条の規定の適用の有無については十分な検討をすべきであった。」と判示し、控訴審判決のうち、正当な理由があるとして過少申告加算税の賦課決定を取り消した部分を破棄し、過少申告加算税の賦課決定を容認する判決を、言渡した(平成11年(行ヒ)第169号)。
解説本の記載は「正当な理由」に該当するのか?
 平和事件では、個人が、自分が株主となっている同族会社に対して行った巨額の無利息貸付に、所得税法157条に規定する同族会社の行為計算否認規定が適用され、認定利息相当部分の課税が行われるか否かが主たる争点として争われてきた。また、本件解説書において、「個人から法人に対する無利息貸付けについては(利息の認定を行っての)課税はされない。」との見解が記載されていたことから、課税処分が「信義則違反」にならないか、あるいは、過少申告加算税を課さない「正当な理由」に該当するものではないか、という点についても、争われてきた。
 控訴審判決(東京高裁平成9年(行コ)第70号)は、主たる争点について所得税法157条の適用対象になることを認めたが、本件解説書にある「個人から法人に対する無利息貸付については課税されない。」との記載内容から、「正当な理由」を認め、過少申告加算税の賦課決定を取り消していた。
納税者側、国側の双方から上告(受理申立)が行われたが、すでに、納税者側の上告(受理申立)は、平成16年4月20日、棄却(不受理)の決定がなされており、国側の上告が争点を通則法65条4項(「正当な理由」)の解釈適用に限定しているため、上告審の争点は、本件解説書の記載が「正当な理由」に該当するのかという点にしぼられていた。
解説本の記載は、本件貸付けと事案を異にする
 控訴審判決は、本件解説書を私的な著作物であるとしながらも、その編者や発行者、体裁等からして、これを「税務当局の見解を反映したものと認識し、すなわち、税務当局が個人から法人に対する無利息貸付については課税しないとの見解であると解することは無理からぬところである。」と判示して、「正当な理由」を容認してきた。
 最高裁の本判決における判断は、「本件解説書はその記述に税務当局の見解が反映されていると受け取られても仕方がない面がある。しかし、(中略)不合理、不自然な経済的活動として本件規定(所法157条)の適用が肯定される本件貸付けとは事案を異にするというべきである。」というものであり、控訴審が「正当な理由」を認めて、過少申告加算税賦課決定を取り消した部分について、破棄し、過少申告加算税の賦課決定を容認した。

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