コラム2010年09月06日 【税実務Q&A】 清算事業年度における消費税の計算(2010年9月6日号・№369)
税実務Q&A
No.037 消費税>個別対応方式
清算事業年度における消費税の計算
青空税理士法人 日比谷事務所 税理士 今瀬 聡
問 内国法人A社(単体申告法人)は解散し、清算事業年度においては、土地の売却をしたのみであり、清算結了までの課税売上高はありません。
一方、解散後支出した費用としては、土地売却に係る仲介手数料がありますが、その費用に係る仕入税額控除は、どのように計算すれば良いでしょうか。
なお、A社は、消費税の計算については個別対応方式を採用しています。
答
(1)清算事業年度における消費税 消費税法上、法人の課税期間は、法人税法上の事業年度(法2①十三、法19①二、法法14①一、法基通1−2−9)と規定されており、清算事業年度であっても、基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税の申告が必要になります。
(2)個別対応方式における仕入税額控除 消費税法は、個別対応方式を採用する場合に、課税仕入れ等について、①課税資産の譲渡等にのみ要するもの、②その他の資産の譲渡等にのみ要するもの、③これらに共通して要するものに区分し、①に関しては全額を控除し、③に関しては課税売上割合を乗じた額を控除し計算することを規定しています(法30②一)。
(3)A社における仕入税額控除 A社が支出した当該費用は、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」に該当しますので、その全額について仕入税額控除の対象とすることはできません。
なお、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」とは、「課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等」(消基通11−2−12)である旨が規定されていますので、課税売上割合が0%であっても、その課税仕入れ等が仕入税額控除の対象となる場合がありますが、一般的に、営業取引以外に係る清算事務費用に限られる場合が多い清算事業年度においては、上記のような課税仕入れ等は発生しない場合が多いと考えられます。
(4)解散から清算結了まで 少額な清算事務費用に対して、建物の売却等により消費税納税額が多額になる場合等、上記を含めた様々なケースが想定されるため、法人を解散する場合には、前もって、清算結了までの消費税納税までを含めた資金繰り等のシミュレーションを行っておくことも重要です。
〈参考〉 平成22年度税制改正により、平成22年10月1日以後に解散が行われる場合に、法人税について清算所得課税は廃止され、通常の事業年度と同様の所得課税がなされます(改正法5、改正法附則10②)。
なお、連結子法人が解散した場合には、上記改正により、合併や破産手続開始の決定による解散を除き、連結事業年度開始の日から残余財産の確定の日までの期間が事業年度とみなされることになりますので留意が必要です(改正法14①十)。
No.037 消費税>個別対応方式
清算事業年度における消費税の計算
青空税理士法人 日比谷事務所 税理士 今瀬 聡
問 内国法人A社(単体申告法人)は解散し、清算事業年度においては、土地の売却をしたのみであり、清算結了までの課税売上高はありません。
一方、解散後支出した費用としては、土地売却に係る仲介手数料がありますが、その費用に係る仕入税額控除は、どのように計算すれば良いでしょうか。
なお、A社は、消費税の計算については個別対応方式を採用しています。
答
(1)清算事業年度における消費税 消費税法上、法人の課税期間は、法人税法上の事業年度(法2①十三、法19①二、法法14①一、法基通1−2−9)と規定されており、清算事業年度であっても、基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税の申告が必要になります。
(2)個別対応方式における仕入税額控除 消費税法は、個別対応方式を採用する場合に、課税仕入れ等について、①課税資産の譲渡等にのみ要するもの、②その他の資産の譲渡等にのみ要するもの、③これらに共通して要するものに区分し、①に関しては全額を控除し、③に関しては課税売上割合を乗じた額を控除し計算することを規定しています(法30②一)。
(3)A社における仕入税額控除 A社が支出した当該費用は、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」に該当しますので、その全額について仕入税額控除の対象とすることはできません。
なお、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」とは、「課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等」(消基通11−2−12)である旨が規定されていますので、課税売上割合が0%であっても、その課税仕入れ等が仕入税額控除の対象となる場合がありますが、一般的に、営業取引以外に係る清算事務費用に限られる場合が多い清算事業年度においては、上記のような課税仕入れ等は発生しない場合が多いと考えられます。
(4)解散から清算結了まで 少額な清算事務費用に対して、建物の売却等により消費税納税額が多額になる場合等、上記を含めた様々なケースが想定されるため、法人を解散する場合には、前もって、清算結了までの消費税納税までを含めた資金繰り等のシミュレーションを行っておくことも重要です。
〈参考〉 平成22年度税制改正により、平成22年10月1日以後に解散が行われる場合に、法人税について清算所得課税は廃止され、通常の事業年度と同様の所得課税がなされます(改正法5、改正法附則10②)。
なお、連結子法人が解散した場合には、上記改正により、合併や破産手続開始の決定による解散を除き、連結事業年度開始の日から残余財産の確定の日までの期間が事業年度とみなされることになりますので留意が必要です(改正法14①十)。
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