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税務ニュース2004年09月27日 企業年金資産に課税する特別法人税の廃止が税制改正の論点に(2004年9月27日号・№084) 厚生労働省や経済産業省、日本経団連などが廃止を求める

企業年金資産に課税する特別法人税の廃止が税制改正の論点に
厚生労働省や経済産業省、日本経団連などが廃止を求める


 平成17年度税制改正では、企業年金資産に課税する特別法人税の廃止が一つの論点として浮上してきそうだ。厚生労働省や経済産業省、日本経済団体連合会の各民間団体では、企業年金資産に課税する特別法人税の撤廃を求めている。特別法人税の凍結措置については、平成17年3月末までとなっているため、特別法人税が撤廃できるかどうかは、平成17年度税制改正での議論が大きな山場となる。

平成17年3月末で期限切れ
 特別法人税とは、企業年金の積立金(元本+運用益)に毎年1.173%(国税1%、地方税0.173%)課税するもの。課税対象は、確定給付型企業年金、厚生年金基金、適格退職年金、確定拠出年金など。バブル経済崩壊後の金利水準の低下などから、運用収益に占める特別法人税の比率が上昇し、事業主の負担感が増したことを配慮し、平成11年度税制改正において課税停止措置が手当てされたもの。平成17年3月末で期限切れとなる。

世界的にも類例のない税制
 特別法人税については、従来から企業年金の充実を阻害しているとの批判が経済界から寄せられている。退職後の年金受取額が大きく目減りするため、課税が停止されていても、凍結解除の可能性があれば、企業年金全体の制度設計ができないというものだ。この他、年金税制の基本原則は、掛金の拠出・運用時は非課税、課税は受給時に行うというものだが、年金の運用資産に課税する特別法人税は、この原則から逸脱し、世界的にも類例のない税制との批判もある。

大きな理由は2つ
 従来は、公的年金等控除の範囲が大きく、受給時課税が実質的に行われてこなかったことが特別法人税を廃止できない一つの理由とされてきたが、平成16年度税制改正では、公的年金等控除の縮減が行われている。
 また、前述の通り、特別法人税が凍結されたのは、金利水準が低下したことなどを理由としているが、今後の景気の回復次第では、長期金利が上昇する可能性も大きい。このため、金利水準の低下という前提が崩れれば、特別法人税が復活することが懸念されるわけだ。
 特別法人税の凍結措置は、現行通りであれば来年の3月末まで。このため、厚生労働省や経済産業省などでは、凍結措置の期限延長ではなく、特別法人税そのものの廃止を行うには、平成17年度税制改正しかないとの認識で一致している。ただ、特別法人税を廃止することによる財源は約3,000億円といわれている。年末まで、財務省と各省庁との綱引きが続きそうな状況だ。
 

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