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税務ニュース2004年10月18日 国側の不動産鑑定の誤認を指摘し、相続税更正等の一部を取消(2004年10月18日号・№087) 容積率、接道条件等の誤認を指摘して、裁判所の職権鑑定を採用

国側の不動産鑑定の誤認を指摘し、相続税更正等の一部を取消
容積率、接道条件等の誤認を指摘して、裁判所の職権鑑定を採用


 名古屋地裁民事第9部(加藤幸雄裁判長)は、平成16年8月30日、相続税の申告について、税務署長が相続財産中の不動産の評価額に誤りがあることを理由に更正決定したことに対して、国側の鑑定評価の誤認を指摘し、裁判所の鑑定に合理性があると判断し、裁判所の鑑定に基づいた額に請求を減縮した原告の更正処分等取消請求を容認した(平成15年(行ウ)第10号)。

事案の概要
 本件では、相続財産中の2件の土地(「本件1土地」・「本件2土地」)の評価額が争点となった。
 原告は、下表の相続税申告欄に記載した評価額で相続税の申告を行ったが、被告(税務署長)は、財産評価基本通達に基づいた評価額を算定し、更正及び過少申告加算税の賦課決定を行った。
 原告が異議申立てをしたところ、被告は鑑定評価を依頼し、「本件1土地」については、被告鑑定評価額が通達評価額を上回ったが、「本件2土地」については、被告鑑定評価額が通達評価額を下回ったため、「本件2土地」の評価をし直して、更正等の一部を取消す旨の異議決定が行われた。
 原告は、審査請求が棄却された後、本件更正等(異議決定による一部取消し後のもの)の取消しを求めて本訴を提起したが、審理中において、「本件1土地」及び「本件2土地」の評価額を裁判所における鑑定の結果どおりに請求を減縮した。


被告及び裁判所の鑑定評価の優劣を判断
 原告が裁判所の鑑定どおりに請求を減縮したため、裁判所の審理は、被告の鑑定評価と裁判所の鑑定の結果との合理性の優劣を検討するものとなった。
 「本件1土地」は、「通達評価額が、本件相続開始時における時価を超えているか否か」が判断されることになったが、裁判所は通達評価額について、「いわば、簡易な不動産鑑定と定型的補正とを組み合わせた方式」と評価し、「不動産鑑定の結果が通達評価額を下回る時は、不動産鑑定の評価額が「時価」に当たると判断すべきことは当然である。」と判示している。
 裁判所は、「本件1土地」の被告鑑定には、鉄道高架の隣接による減価要因の無視や容積率の認定誤りという価額評価に重大な影響を及ぼす問題点を内包しており、その合理性に強い疑いを抱かざるを得ないと判示して、裁判所の鑑定が被告鑑定を上回る合理性を有すると判断した。
 「本件2土地」は、「被告鑑定に基づく評価額が異議決定で採用されていることから、裁判所の鑑定評価額と被告の鑑定評価額との合理性の優劣」が検討されることになったが、「本件2土地」の被告鑑定には、接道条件の誤認ないし無視という価額評価に重大な影響を及ぼす問題点を内包しており、その合理性に強い疑いを抱かざるを得ないと判示して、裁判所の鑑定が被告鑑定を上回る合理性を有すると判断した。
 国側の鑑定(被告鑑定)は、わが国において権威あるものとして知られた機関によるものであったが、本件においては、採用されるものとはならなかった。 

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