資料2009年07月02日 【税務通達等】 PFI事業の契約変更による割賦金利に係る消費税法上の取扱いについて
PFI事業の契約変更による割賦金利に係る消費税法上の取扱いについて
照会の内容
照会の内容等 | ① 事前照会の趣旨(法令解釈・適用上の疑義の要約及び事前照会者の求める見解の内容) | 別紙のとおり |
② 事前照会に係る取引等の事実関係 | 別紙のとおり | |
③ ②の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由 | 別紙のとおり | |
④関係する法令条項等 | 消費税法施行令第10条第3項第10号 | |
⑤添付書類 | 変更事業契約 |
回答
⑥回答年月日 | 平成21年7月2日 | ⑦ 回答者 | 東京国税局審理課長 |
⑧回答内容 | 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。 ただし、次のことを申し添えます。 (1) ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。 (2) この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。 |
別紙 PFI事業の契約変更による割賦金利に係る消費税法上の取扱いについて(照会)
平成21年6月19日
東京国税局
課税第一部 審理課長 殿
A株式会社
1 事前照会の趣旨
当社が国との間で契約した、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(以下「PFI法」という。)に基づく宿舎整備等事業(以下「PFI事業」という。)において、当社が国から受領する施設購入費(後述2(2)参照)に係る消費税について、消費税法上、次のとおり取り扱って差し支えないでしょうか。
(1) 当社と国の間で平成15年3月に締結した宿舎整備等事業契約(以下「当初契約」という。)においては、施設購入費の賦払金として支払を受ける金額のうちに割賦金利に該当する金額が存在せず、したがって、これを契約において明示していなかったので、当該施設購入費として支払を受ける金額の全額を消費税の課税の対象としていた。
今般、別紙1の変更事業契約(以下「変更契約」という。)を締結することにより割賦金利を明らかにして、契約においてこれを明示することになったことから、契約変更後の賦払金のうち割賦金利として明示された部分に係る金額は、消費税法施行令第10条第3項第10号に定める利子の額に該当し、これを対価とする役務の提供は非課税となる。
(2) 上記(1)の取扱いは、契約変更後における変更契約の別紙12の別表1に記載の第8回から第51回の支払に対応する賦払金につき適用され、同表の第1回から第7回(支払済額)の賦払金については、契約変更の効果が及ばないことから当初の課税関係に影響を与えず、既に支払われた賦払金は課税の対象であることに変わりはない。
2 事前照会に係る取引等の事実関係
(1) 事業の概要
当社は、PFI法に基づきBTO方式(注)によるPFI事業を行う事業者として選定され、平成15年3月に当初契約の締結を行った。
その後、当初契約の規定に従い、平成17年8月時点での当社が資金を調達する長期金利を勘案して施設購入費の額の確定を行い、その証として平成19年4月に事業契約の変更を行った。なお、当該契約書にも割賦金利の額は明示されていない。
当初契約において、当社が行うPFI事業サービスは、旧宿舎の解体及び撤去、仮宿舎の提供及び維持管理、新宿舎の設計及び建設、新宿舎に係る施設の国への譲渡、及び平成44年3月までの25年間にわたる維持管理、運営支援等を行うこととされており、平成19年4月以降において、PFI事業に対するサービス対価を25年にわたり、計51回に分割して収受することとされている。この当初契約におけるPFI事業のサービス対価は、「施設購入費」、「維持管理・運営支援費」及び「仮宿舎提供費」により構成されており、契約金額は、入札価格の100分の105に相当する金額とする旨が定められている。
当社は、当初契約に基づき、平成19年3月に宿舎の建設工事をしゅん工して施設を国に引き渡しており、宿舎は国が所管する国有財産となっている。
(注)BTO方式 Build,Transfer and Operateの略称。民間事業者が施設を建設して、施設完成直後に管理者等に所有権を移転した上で、民間事業者が維持・管理及び運営を行う事業方式
(2) 施設購入費の内容
施設購入費については、当初契約及び「入札説明書」の「サービス対価の算定方法」において次のとおり定められている。
「施設購入費には施設の設計及び整備、工事監理費、工事に伴う備品整備費、建築確認申請等の手続きに要する費用(書類作成、申請手数料、説明会開催費等)、契約に係る諸費用、建築期間中の資金調達に伴う金利、埋蔵文化財採掘調査費、その他事業に伴う費用を含むものとする。また、国はこれを事業契約に定める回数の分割払いで事業者に支払うことから、この費用の総額を元金とし、割賦支払に必要な割賦金利、手数料も含むものを施設整備費の総額とする。」
(3) 会計処理
当社は、施設購入費について、長期割賦販売等に該当する資産の販売若しくは譲渡、工事の請負又は役務の提供をしたものとして、延払基準の方法により経理していることから、消費税法第16条に基づく長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例を適用し消費税の申告を行っている。
(4) 施設購入費に含まれる割賦金利の認識
上記2(1)のとおり、「入札説明書」の「契約の考え方」の「契約金額」において、PFI事業によるサービスの対価としての契約金額は、入札金額の100分の105に相当する金額とする旨が定められており、これに含まれる施設購入費についても、その全額を消費税の課税対象として当初契約を締結した。これは、当社及び国はともに、施設購入費に含まれる割賦金利相当額として計算される金額は、当社の資金調達に基づく利息相当額であって、これは単に事業原価の構成要素に過ぎないものと認識したからである。したがって、当初契約においては、消費税が非課税となる利子を対価とする役務の提供は存在しないと認識していたのである。
(5) 契約変更理由
会計検査院が国に対して、会計検査院法第34条の規定に基づき、「施設購入費の割賦支払に伴う利子等は課税されない利子等に該当するとして、割賦金利にかかる消費税相当額を契約金額に含まれないよう契約変更を求めるなど」の適宜の処置を行うことを要求したことを受けて、国より当社に対して、施設購入後の賦払金額のうち割賦金利を非課税取引として契約変更することにつき協議したい旨の申し入れがあったため、変更契約を締結しようとするものである。
3 2の事実関係に対して当社の求める見解となることの理由
(1) 消費税法における賦払金のうち非課税となる部分
資産の譲渡等の対価の額又は当該対価の額に係る金銭債権の額を2月以上の期間にわたり、かつ、3回以上に分割して受領する場合におけるその受領する賦払金のうち利子又は保証料の額に相当する額で当該賦払に係る契約において明示されている部分を対価とする役務の提供は、消費税の非課税取引とされている(消費税法別表第1三、消令10③十)。
(2) 本件への当てはめ
消費税は、取引価格に含まれて転嫁されることが予定され、取引の都度課税される方式であるため、取引の当事者同士が当該取引に係る消費税の課税関係についての認識が一致していることが必要である。したがって、上記3(1)の課税関係としては、当該契約において消費税が非課税となる役務の提供に該当するかどうかが明示されている必要があるものと考えられる。
そこで、当社と国は、変更契約において、賦払金として支払を受ける金額について割賦金利を明らかにしてこれを明示するとともに、当該割賦金利を役務の提供の対価として収受することとしたのであるから、消費税法上の取扱いにおいては、契約変更後の当該割賦金利を対価とする役務の提供は非課税取引に該当するものと考えられる。
(3) 上記3(2)のとおり、消費税の課税関係については、取引当事者間において明らかにすることが求められ、したがって契約において明示されているかが判定基準となるものと考えられる。このことからすれば、既に当初契約における課税関係が確定している割賦金利を明示していなかった第1回から第7回まで(支払済)の賦払金については、消費税の課税の対象であることに変わりがなく、変更契約によりその効果が及ぶこととなる割賦金利を明示する第8回から第51回の支払については、契約において割賦金利が明示されることから、消費税が非課税になると考える。
別紙1 (案) 宿舎整備等事業 変更事業契約
A株式会社
国(以下「甲」という。)とA株式会社(以下「乙」という。)は、甲と乙との間で締結された平成15年3月17日付「宿舎整備等事業事業契約書」(以下「原契約」という。)及び平成19年4月4日付「宿舎整備等事業事業契約書別冊の別紙12の別表1の改定に関する変更契約」(以下「第1回変更契約」という。)について、会計検査院が甲に対して、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第34条の規定に基づき、「施設購入費の割賦支払に伴う利子等は課税されない利子等に該当するとして、割賦金利に係る消費税相当額が契約金額に含まれないよう契約変更を求めるなど」の適宜の処置を行うことを要求したことを受けて、甲が乙に対して支払う平成22年度以降に効力を有するものとして対価の額を変更することに合意し、下記のとおり変更する。
本変更契約の証として、本書2通を作成し、当事者記名押印の上、各自1通を保有する。
平成21年●月●日
発注者
○○○
担当官 ○○ ○○
選定事業者
A株式会社
代表取締役 ○○ ○○
記
1.第1回変更契約締結後における原契約頭書第4項に定める契約金額 金○,○○○,○○○円(うち消費税及び地方消費税の額 金○○,○○○円)を、金○,○○○円(うち消費税及び地方消費税の額 金○,○○○円)減額し、金○,○○○,○○○円(うち消費税及び地方消費税の額 金○○,○○○円)に改める。なお、参考として、本変更契約締結後の区分に従った契約金額の内訳を別添1として示す。
2.原契約別冊の別紙12を別添2のとおり改める。
3.原契約第76条(遅延利息)を次のように変更する。
甲又は乙が本契約に基づき行うべき支払が遅延した場合には、未払額につき遅延日数に応じ、甲は当該未払債務の履行期限における政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和24年法律第256号)第8条第1項に従い財務大臣が決定する利率により、乙は当該未払債務の履行期限における国の債権の管理等に関する法律施行令(昭和31年政令第337号)第29条第1項の財務大臣の定める率により、それぞれ計算した額の遅延利息を相手方に支払わなければならない。
4.本変更契約により変更された部分を除き、原契約及び第1回変更契約の各条項は、変更なく引き続きその効力を有するものとする。
5.本変更契約において使用する用語の定義は、次に掲げるとおりとする。なお、本変更契約において定義の定めがない用語については、原契約及び第1回変更契約の定義に従う。また、各用語は五十音順に列記している。
(1)「施設購入費」
「入札説明書等」の一部である「サービスの対価の算定方法」に規定される「割賦代金」のことをいう。なお、本変更契約締結後は、消費税等の課税対象となる「元本部分」及び「元本部分に係る消費税等」並びに消費税等の課税対象とならない「金利部分」で構成されることになる。
(2)「消費税等」
消費税法(昭和63年法律第108号)に定める税及び地方税法(昭和25年法律第226号)第2章第3節に定める税をいう。
6.本変更契約の締結に伴い、事業契約書別冊 別紙1 定義集 9.「割賦金利の総額」の定義については、本変更における割賦金利とは消費税が非課税となる割賦金利への変更を意味する為、原契約より「消費税を含む」の部分を削除し、次に掲げるとおり変更するものとする。なお、本変更契約において定義の定めがない用語については、原契約及び第1回変更契約の定義に従う。また、各用語は五十音順に列記している。
(1)「割賦金利の総額」
「割賦金利の総額」とは、「施設購入費のうち、「入札参加者提案」による割賦元金(設計変更等で金額が変動した場合は、変動後の数字を指すものとする。)に対し、本契約に基づき生ずべき割賦金利の総額をいい、「基準金利」に乙が提案したスプレッドである○%及び合理的なスワップコスト(別紙14で合意した合理的な先スワップコストを含む。)を加算した利率で計算されるものをいう。
別添1
宿舎 契約金額内訳
(単位:円)

※( )内の金額は原契約規定のものではなく、今回の契約変更に当たって作成した計算上の数値である。
いずれの数値も仮定の数字である。
別添2
別紙12
「サービス対価」の支払方法
1. 「サービス対価」の総額
「サービス対価」の総額は、金○,○○○,○○○円とする。そのうち、「仮宿舎提供費」は金○○○,○○○円、「施設購入費」は金○○○,○○○円(うち、割賦元本分○○○,○○○円)、「維持管理・運営支援費」は金○○○,○○○円とする。ただし、この金額は、本契約の定めに従い変更されることがあり、又、本契約別紙14に従い改定されることがある。
2. 「サービス対価」の支払方法
(1) 「仮宿舎提供費」
「仮宿舎提供費」は、以下のとおり支払われるものとする。なお、選定事業者(以下「乙」という。)は、以下の各月の1日以降速やかに国(以下「甲」という。)に対して請求書を送付するものとし、甲は、請求書を受領した日から30日以内に乙に対する支払いをなすものとする。ただし、甲において「前払方式」(会計法22条に定める前金払のことをいう。)が法制度上不可能となった場合は、別途協議するものとする。

(2) 「施設購入費」
「施設購入費」は、別表1に定める通り、平成19年4月から平成44年4月までの年2回(10月及び翌年4月)、合計51回の元利均等払いによる割賦方式により支払われるものとする。ただし、別表1は、本契約の定めに従い変更されることがあり、又、本契約別紙14に従い改定されることがある。乙は、各支払期の1日以降速やかに甲に対して請求書を送付するものとし、甲は、請求書を受領した日から30日以内に乙に対する支払いをなすものとする。
(3) 「維持管理・運営支援費」
① 支払方法
「維持管理・運営支援費」は、平成19年10月を第1回の支払期とし、以降年2回(10月及び翌年4月)合計50回に平準化した金額により、支払われるものとする。なお、各支払期における支払額は、○○○,○○○円とする。ただし、この金額は、本契約の定めに従い変更されることがあり、又、本契約別紙14に従い改定されることがある。
② 支払手続
甲は、本契約別紙13に規定するモニタリングを実施し、各支払期の前月にかかる月次業務報告書の受領後5日以内に、モニタリングの結果を乙に通知するものとする。なお、甲がモニタリングに基づき各期における「維持管理・運営支援費」の支払額を減額する場合は、減額後の支払額を併せて乙に通知するものとする。
乙は、かかる甲からの確認の通知を受領した後速やかに甲に対して請求書を送付するものとし、甲は、請求書を受領した日から30日以内に乙に対する支払いをなすものとする。
別紙12の別表 1
施設購入費支払計画表
(支払済額)(単位:円)
(支払予定額)(単位:円)
(注)
上半期:4月~9月
下半期:10月~翌3月
※ いずれもの数値も仮定の数字である。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.