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解説記事2011年10月24日 【平成23年度税制改正解説】 平成23年度税制改正における所得税関係の改正について(2011年10月24日号・№424)

平成23年度税制改正解説
平成23年度税制改正における所得税関係の改正について
 井内正和

Ⅰ 寄附税制の改正

(1)認定特定非営利活動法人に寄附をした場合の寄附金控除の特例の改正(所得税額の特別控除制度の創設)
① 個人が、認定特定非営利活動法人に対して支出したその認定特定非営利活動法人の行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附に係る支出金(以下「特定非営利活動に関する寄附金」という。)については、次のイに掲げる金額がロに掲げる金額を超える場合には、その年分の所得税の額から、その超える金額の100分の40に相当する金額(その金額に100円未満の端数があるときはその端数を切り捨てる。)を控除することとされた。この場合において、その控除する金額が、個人のその年分の所得税の額の100分の25に相当する金額を超えるときは、その控除する金額は、100分の25に相当する金額(その金額に100円未満の端数があるときはその端数を切り捨てる。)が限度となる(措法41の18の2②)。
 イ その年中に支出したその特定非営利活動に関する寄附金の合計額(その合計額にその年中に支出した特定寄附金等の金額を加算した金額が、その個人のその年分の総所得金額等の合計額の100分の40に相当する金額を超える場合には、その100分の40に相当する金額からその特定寄附金等の金額を控除した残額)
 ロ 2,000円(その年中に支出したその特定寄附金等の金額がある場合には、2,000円からその特定寄附金等の金額を控除した残額)
② 上記①の特例は、確定申告書に、その控除を受ける金額についてのその控除に関する記載があり、かつ、その金額の計算に関する明細書及びその計算の基礎となる金額その他の事項を証する書類の添付がある場合に限り適用される(措法41の18の2③)。なお、その他の事項を証する書類とは、その寄附金を受領した認定特定非営利活動法人の次に掲げる事項を証する書類(その寄附金を支出した者の氏名及び住所の記載があるものに限る。)とされる(措法41の18の2③、措規19の10の3①)。
 イ その寄附金の額
 ロ その寄附金を受領した旨及びその受領した年月日
 ハ その寄附金が、認定特定非営利活動法人の特定非営利活動に係る事業に関連する寄附に該当するものである旨
 ニ その寄附金を受領した認定特定非営利活動法人の名称
(注)前記①及び②の改正は、平成23年分以後の所得税について適用される(改正法附則23)。
(2)公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除制度の創設  個人が支出した所得税法第78条第2項に規定する特定寄附金のうち、公益社団法人及び公益財団法人、学校法人等、社会福祉法人並びに更生保護法人(その運営組織及び事業活動が適正であること並びに市民から支援を受けていることにつき一定の要件を満たすものに限る。)に対するもの(所得控除による寄附金控除の適用を受けるものを除く。以下「税額控除対象寄附金」という。)については、次の①に掲げる金額が②に掲げる金額を超える場合には、その年分の所得税の額から、その超える金額の100分の40に相当する金額(その金額に100円未満の端数があるときはその端数を切り捨てる。)を控除することとされた。この場合において、その控除する金額が、個人のその年分の所得税の額の100分の25に相当する金額を超えるときは、その控除する金額は、100分の25に相当する金額(その金額に100円未満の端数があるときはその端数を切り捨てる。)が限度となる(措法41の18の3①)。
① その年中に支出した税額控除対象寄附金の額の合計額(その年中に支出した特定寄附金等の金額が、その個人のその年分の総所得金額等の合計額の100分の40に相当する金額を超える場合には、その100分の40に相当する金額からその所得控除対象寄附金の額(その特定寄附金等の金額から税額控除対象寄附金の額の合計額を控除した残額をいう。)を控除した残額)
② 2,000円(その年中に支出した所得控除対象寄附金の額がある場合には、2,000円からその所得控除対象寄附金の額を控除した残額)
(注)前記の制度は、平成23年分以後の所得税について適用される(改正法附則23)。
(3)特定寄附信託の利子所得の非課税の創設  特定寄附信託契約に基づき設定された信託の信託財産につき生ずる公社債等の利子等(その公社債等がその信託財産に引き続き属していた期間に対応する部分の額に限る。)については、所得税を課さないこととされた。
 なお、特定寄附信託契約に基づき公益法人等に対して寄附した金額のうち、この特例により非課税となった利子等に相当する金額に係る部分は、寄附金控除及び寄附金に係る所得税額控除の対象とはならない。
(注)前記の制度は、居住者が平成23年6月30日以後に締結する特定寄附信託契約に基づき設定された信託の信託財産につき生ずる利子等について適用される(改正法附則24)。

Ⅱ 金融・証券税制の改正

(1)上場株式等に係る配当所得の分離課税等の改正
① 上場株式等の配当等に対する7%軽減税率の適用期限を2年延長し、平成25年12月31日まで適用することとされた(平成20年改正法附則32①、33②)。
② 上場株式等に係る配当所得の課税の特例及び上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率等の特例の対象とならない大口株主等が支払を受ける配当等並びに上場株式等の配当等の支払をする内国法人から支払の取扱者に対する情報の通知の対象となる大口株主等が支払を受ける配当等の要件について、その配当等の支払を受ける者が保有する株式等の発行済株式等の総数等に占める割合を100分の3以上(改正前100分の5以上)に引き下げることとされた(措法8の4①一、9の3一、措令4の6の2⑫)。
(注)前記②の改正は、平成23年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用し、同日前に支払を受けるべき配当等については、従前どおりとされる(改正法附則26、27、改正措令附則3)。
(2)上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例の改正  上場株式等に係る譲渡所得等に対する7%軽減税率の適用期限を2年延長し、平成25年12月31日まで適用することとされた(平成20年改正法附則43②)。
(3)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等の改正 ① 源泉徴収選択口座内調整所得金額に対する源泉徴収税率及び還付の際の税率について、7%軽減税率の適用期限を2年延長し、平成25年12月31日まで適用することとされた(平成20年改正法附則45①②)。
② 特定口座に受入れ可能な上場株式等の範囲に次の上場株式等が追加された。
 イ 特定口座以外の口座で管理されていた被相続人等の上場株式等で、その口座が開設されていた金融商品取引業者等以外の金融商品取引業者等の営業所にその被相続人等に係る相続人、受贈者又は受遺者が開設している特定口座に移管がされるもの(措令25の10の2⑮四)
 ロ 株式無償割当てにより取得する上場株式等又は新株予約権無償割当てにより取得する上場新株予約権でその割当ての際に特定口座に受け入れられるもの(措令25の10の2⑮六)
 ハ 特定口座内保管上場株式等である新株予約権の行使により取得する上場株式等で、その行使による取得の際に特定口座に受け入れられるもの(措令25の10の2⑮十二ハ)
 ニ 新株予約権等の行使により取得した上場株式等で、その行使による取得の際に特定口座に受け入れられるもの(措令25の10の2⑮十二ニ)
 ホ 生命保険会社の相互会社から株式会社への組織変更に伴いその社員に割り当てられた上場株式等(当該割当ての際に、社債、株式等の振替に関する法律に規定する特別口座で管理されることとなったものに限る。以下「割当株式」という。)で、その特別口座から特定口座への受入れの際に、その特定口座を開設している金融商品取引業者等の営業所の長を通じてその居住者等の住所地の所轄税務署長に対し、その特別口座以外の口座においてその割当株式と同一銘柄の株式を有していない旨の申出書を提出して受け入れられるもの(措令25の10の2⑮二十二)
③ 適用関係
 イ 前記②イの改正は、贈与、相続又は遺贈により平成23年6月30日以後に特定口座に受け入れる上場株式等について適用される(改正措令附則8①)。
 ロ 上記②ロの改正は、平成23年6月30日以後に行われる株式無償割当て又は新株予約権無償割当てにより取得する上場株式等について適用される(改正措令附則8②)。
 ハ 上記②ハ及びニの改正は、平成23年6月30日以後の権利の行使により取得する上場株式等について適用される(改正措令附則8③)。
 ニ 上記②ホの改正は、平成23年6月30日以後に特定口座に受け入れる割当株式について適用される(改正措令附則8④)。
(4)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税の改正 ① 施行日を延長し、平成26年1月1日からの適用とすることとされた(平成22年改正法附則1、52、61、64)。
② 非課税口座に受入れ可能な上場株式等の範囲に次の上場株式等が追加された。
 イ 非課税口座を開設している金融商品取引業者等が行う募集により取得した上場株式等(措法37の14⑤二イ)
 ロ 非課税口座内上場株式等について無償で割り当てられた上場新株予約権で、その割当ての際に非課税口座に受け入れられるもの(措令25の13⑨二)
 ハ 2以上の非課税口座で管理している同一銘柄の非課税口座内上場株式等について行われた株式分割等により取得した上場株式等(措令25の13⑨九)
③ 配当所得に係る非課税措置の対象とならない大口株主等が支払を受ける配当等の要件について、その配当等の支払を受ける者が保有する株式等の発行済株式等の総数等に占める割合を100分の3以上(改正前100分の5以上)に引き下げることとされた(措法9の8一)。
④ 適用関係
 イ 前記②イの改正は、平成26年1月1日以後に行われる上場株式等の募集により取得する上場株式等について適用される(改正法附則37)。
 ロ 前記②ロの改正は、平成26年1月1日以後に行われる新株予約権無償割当てにより取得する上場株式等について適用される(改正措令附則11①)。
 ハ 前記②ハの改正は、平成26年1月1日以後に生ずる事由により取得する上場株式等について適用される(改正措令附則11②)。
 ニ 前記③の改正は、平成26年1月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用される(改正法附則29)。
(5)先物取引に係る雑所得等の課税の特例等の改正  特例の適用対象に、次に掲げる取引に係る雑所得等を加えることとされた(措法41の14①一~三)。
① 商品先物取引法第2条第14項第1号から第5号までに掲げる取引で同法に規定する店頭商品デリバティブ取引に該当するものの差金等決済
② 金融商品取引法第2条第22項第1号から第4号までに掲げる取引で同法に規定する店頭デリバティブ取引に該当するものの差金等決済
③ 金融商品取引所に上場されていない金融商品取引法第2条第1項第19号に掲げる有価証券に表示される権利の行使若しくは放棄又は当該有価証券の譲渡
(注)前記の改正は、先物取引に係る差金等決済で平成24年1月1日以後に行うものについて適用される(改正法附則43)。
(6)償還差益に対する発行時源泉徴収免除の特例の改正  特例の適用対象となる短期公社債の範囲について、新たに財政法第4条の規定により発行される国債及び特例国債を追加することとされた。これに伴い、対象となる国債を限定列挙する方式を改め、発行日から償還期限までの期間が1年以下である全ての国債が対象とされた(措法41の12⑨一)。
(注)前記の改正は、平成23年6月30日以後に発行される特定短期公社債について適用される(改正法附則42①)。
(7)特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の改正  特例の適用対象となる株式の範囲に、平成26年3月31日までに総合特別区域法の規定による指定を受けた同法に規定する指定会社により発行される株式でその指定の日から同日以後3年を経過する日までの間に発行されるものを追加することとされた(措法41の19①)。
(注)前記の改正は、総合特別区域法の施行の日(平成23年8月1日)以後に払込みにより取得をする特定新規株式について適用される(改正法附則45)。
(8)特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等の改正  特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法の制定に伴い、特例の対象となる新株予約権等の範囲に、特定外国株式会社が会社法に相当する外国の法令の規定に基づく付与決議等により発行する新株予約権で、その特定外国株式会社が設立した認定研究開発事業者又は認定統括事業者(以下「認定事業会社」という。)の取締役、執行役又は使用人である個人に付与されるもの(同法の認定の日から起算して3年を経過する日までに付与契約が締結されたものに限る。)が追加された(措法29の3①本文)。また、その認定事業会社が解散をした場合その他一定の事由が生じた場合には、その事由が生じた時において、その時の価額で本特例の適用を受けて取得した株式の譲渡があったものとみなして、所得税を課すこととされた(措法29の3③、措令19の4⑥)。
(注)前記の改正は、多国籍企業促進法の施行の日以後に行う特定外国新株予約権の行使について適用される(改正法附則34)。
(9)金融機関等が支払を受ける利子所得に対する源泉徴収の不適用の特例の改正  特例の適用対象に、振替口座簿に記載又は記録がされた社債的受益権の剰余金の配当でその記載又は記録がされていた期間内に生じたものを追加することとされた(措法8①~③)。
(注)前記の改正は、資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律の公布の日(平成23年5月25日)から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行される(同法附則1二)。

Ⅲ 住宅・土地税制の改正

(1)既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の改正
① バリアフリー改修工事に係る税額控除額の上限額(現行:20万円)が、平成23年は20万円とし、平成24年は15万円とされた(措法41の19の3①②)。
② 省エネ改修工事に係る税額控除額の計算の基礎となる省エネ改修費用の額について、補助金等の交付がある場合は、当該補助金等の額を控除した後の金額とされた(措法41の19の3①二、措令26の28の5⑤一)。
(注)前記②の改正は、居住者が平成23年6月30日以後に省エネ改修工事に係る契約を締結する場合について適用される(改正法附則47)。
(2)既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除の改正 ① 本特例の適用対象となる地域の要件が廃止された(措法41の19の2①)。
② 税額控除額の計算の基礎となる住宅耐震改修費用の額について、補助金等の交付がある場合は、当該補助金等の額を控除した後の金額とされた(措法41の19の2①一)。
(注)前記の改正は、居住者が平成23年6月30日以後に住宅耐震改修に係る契約を締結する場合について適用される(改正法附則46)。
(3)増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の改正 ① 増改築等の工事に関し補助金等の交付を受ける場合は、その増改築等の工事に要した費用の額からその補助金等の額を控除したうえで、100万円を超えるかどうかの判定を行うこととされた(措法41⑥)。
② 省エネ要件の緩和措置が平成24年12月31日まで延長された(措令26 、平成20年国土交通省告示第513号)。
(注)前記①及び②の改正は、居住者が平成23年6月30日以後に増改築等に係る契約を締結する場合について適用される(改正法附則40)。
(4)特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除に係る特例の改正 ① 特定断熱改修工事等又は断熱改修工事等に関し補助金等の交付を受ける場合は、その特定断熱改修工事等に要した費用からその補助金等の額を控除したうえで、30万円を超えるかどうかの判定を行うこととされた(措法41の3の2⑥)。
② 省エネ要件の緩和措置が平成24年12月31日まで延長された(措令26の4⑦⑲、平成20年国土交通省告示第513号)。
(注)前記①及び②の改正は、居住者が平成23年6月30日以後に住宅の増改築等に係る契約を締結する場合について適用される(改正法附則41)。
(5)収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等の改正 ① 土地等が農地法の規定により買収され、その対価を取得した場合の措置が廃止された(旧措法33①四)。
(注)個人が平成23年6月30日前に行った土地等その他の資産の譲渡については、従前どおりとされる(改正法附則35①)。
② 収用対象事業用地の買取りに係る簡易証明制度の対象に、社会福祉法人等の設置に係る障害者通所サービス等の事業の用に供される施設が追加された(措規14⑤三)。
(注)個人が平成23年6月30日以後に行う土地等の譲渡について適用される(改正措規附則6)。
(6)特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除の改正  本特例の適用対象に、総合特別区域法に規定する共同して又は一の団地若しくは主として一の建物に集合して行う一定の事業の用に供する土地の造成に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合が追加された(措法34の2②十四の二、措令22の8 、措規17の2①十八の二)。
(注)前記の改正は、総合特別区域法の施行の日(平成23年8月1日)以後に行う土地等の譲渡について適用される(改正法附則35②)。
(7)認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の場合の譲渡所得の課税の特例の改正 ① 適用対象となる事業用地の区域が都市再生緊急整備地域とされた(措令25の7の2①一)。
② 課税の繰延べ割合を土地等の交換等に係る譲渡益の80%(現行:100%)に引き下げられた(措法37の9の2①⑤、措令25の7の2③④)。
③ 適用期限が2年延長された(措法37の9の2①)。
(注)前記①から③の改正は、平成23年6月30日以後に行う所有隣接土地等の交換又は譲渡について適用される(改正法附則35⑦)。
(8)事業用資産の買換えの場合の課税の特例等の改正 ① 既成市街地等の内から外への買換えについて、買換資産の対象区域を3大都市圏の近郊整備地帯等及び政令指定都市の市街化区域に限定するとともに、譲渡資産から店舗として使用されている建物又はその敷地の用に供されている土地等を除外することとされた(措法37①表一、旧措令25⑦)。
② 都市開発区域等及び誘致区域の外から内への買換えについて、対象区域から半島振興対策実施地域及び離島振興対策実施地域を除外するほか、買換資産の都市開発区域内における対象区域を市街化区域等に限定するとともに、既成市街地等内からの譲渡資産を事務所用等の建物等に限定することとされた(措法37①表五、措令25⑩)。
③ 船舶から船舶への買換えについて、環境への負荷の低減に係る要件を見直すほか、買い換えた船舶の船齢が譲渡した船舶の船齢を下回っていることを要件に追加することとされた(措法37①表十)。
④ 次の買換えを適用対象から除外することとされた。
 イ 大気汚染規制区域の内から外へのばい煙発生施設の買換え(旧措法37①表二)
 ロ 騒音規制地域の内から外への騒音発生施設の買換え(旧措法37①表三)
 ハ 水質汚濁規制水域の特定施設等及び公共用水域の湖沼特定施設等の買換え(旧措法37①表四)
 ニ 市街化区域又は既成市街地等の内から外への買換えのうち林業用土地等の買換え(旧措法37①表五)
 ホ 誘致区域の外から内への一定の買換え(旧措法37①表七)
 ヘ 農村地域工業等導入促進法の農村地域及び誘致区域の外から同法の実施計画において定められた工業等導入地区内への買換え(旧措法37①表八)
 ト 既成市街地等内における土地の計画的かつ効率的な利用に資する買換えのうち都市再開発法の認定再開発事業計画に係る措置(旧措令25⑭)
 チ 市街化区域又は既成市街地等の地域内の建物の高層化に伴う買換え
 リ 人口集中地区の区域内の木造貸家住宅から中高層貸家住宅への買換え
 ヌ 防災再開発促進地区内における認定建替計画による買換え
 ル 内航船舶から他の減価償却資産への買換え
⑤ 適用期限が平成26年12月31日まで延長された(措法37⑤⑩)。
⑥ 適用関係
イ 前記①から③までの改正は、個人が平成23年6月30日以後に譲渡又は取得をする譲渡資産又は買換資産について適用される(改正法附則35③⑤、改正措令附則7①④)。
ロ 個人が平成23年6月30日前に行った前記④の買換えについては、従前どおりとされる(改正法附則35④、改正措令附則7②③)。
(9)既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例の改正  特定民間再開発事業の施行による中高層耐火建築物への買換えのうち事業用資産の係る措置が廃止された(旧措法37の5①)。
(注)前記の改正は、個人が平成23年6月30日以後に行う譲渡資産の譲渡について適用される(改正法附則35⑥)。

Ⅳ 「保険年金」に係る最高裁判決を受けた対応

(1)特別還付金の支給制度の創設
① 税務署長は、相続又は贈与等に係る保険年金の保険金受取人等に該当する者又はその相続人に対し、平成12年分以後の各年分(所得税の還付を受けることができる年分を除く。)の保険年金に係る所得(保険年金所得)のうち所得税が課されない部分の金額に対応する所得税に相当する給付金(特別還付金)を支給することとされた(措法97の2①)。
② 特別還付金の支給を受けようとする者は、平成23年6月30日から平成24年6月29日までの間に、特別還付金の額等を記載した特別還付金請求書に特別還付金額の計算明細書等を添付して税務署長に提出するものとし、特別還付金請求書の提出を受けた税務署長は、必要な事項を調査して支給額を決定し、その提出者に対し、特別還付金を支払うこととされた(措法97の2③)。
③ 特別還付金の額は、平成12年から平成14年までの各年分と平成15年分以降の各年分とに区分した上で、その年分の保険年金所得の金額、その他の所得の金額等に基づいて計算するものとし、特別還付金を支払う場合には、一定の加算金を加算することとされた。
④ 特別還付金(加算金を含む。)については、所得税は課されないこととされた(措法97の2⑲)。
(注)特別還付金の支給に関しては、特別還付金請求書を請求期間内に提出する等の一定の手続きが必要とされる。
(2)相続等に係る保険年金に係る雑所得の計算規定の創設 ① 相続等に係る生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算方法について、次のように改められた(所令185)。
 イ 旧相続税法対象年金については、その年金の額のうち、確定年金、終身年金有期年金、特定終身年金又は特定有期年金の種類に応じてその支払開始日における残存期間年数又は余命年数と当該年金の支払総額又は支払総額見込額を基に計算した支払年金対応額の合計額に限り、その年分の雑所得に係る総収入金額に算入することとされた。あわせて、総収入金額に対応する必要経費は、旧相続税法対象年金に係る生命保険契約等に係る支払保険料のうち、当該総収入金額算入額に対応する部分とされた。
 ロ 新相続税法対象年金については、その年金の額のうち、確定年金、終身年金、有期年金、特定終身年金又は特定有期年金の種類に応じて当該年金に係る相続税評価割合と当該年金の支払総額又は支払総額見込額を基に計算した支払年金対応額の合計額に限り、その年分の雑所得に係る総収入金額に算入することとされた。あわせて、総収入金額に対応する必要経費は、イに準じて計算することとされた。
② 相続等に係る損害保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算方法についても、前記①の生命保険契約等に基づく年金と同様の計算方法に改められた(所令186)。
(注)前記①及び②の改正は、平成22年分以後の所得税についての雑所得の金額の計算及び施行日(平成22年10月20日)以後に確定申告書を提出する場合又は同日以後に更正の請求を行う場合における生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算又は損害保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算について適用される(所令一部改正令附則2)。
(3)相続等に係る保険年金の保険金受取人等に係る更正の請求の特例の創設 (1)及び(2)の改正に関連して、保険年金の保険金受取人等が、保険年金所得を含む申告をしていたことにより、その年分の課税標準又は税額が過大であるときは、改正法施行日から1年間、更正の請求ができることとされた(措法41の20の2、措令26の29の2)。
(注)前記の更正の請求は、改正法施行日から1年間(平成24年6月30日まで)行うことができる(措法41の20の2①)。
(4)保険年金に対する源泉徴収及び支払調書制度の改正 ① 生命保険契約等、損害保険契約等に基づく年金のうち、年金の支払を受ける者と保険契約者とが異なる契約その他の一定の契約に基づく年金については、源泉徴収を要しないこととされた(所法209二、所令326⑥)。
(注)前記の改正は、平成25年1月1日以後に支払うべき年金について適用し、同日前に支払うべき年金については従前どおりとされる(改正法附則7)。
② 前記①の年金に対する支払調書については、相続等に係る保険年金に関する情報をあわせて記載するとともに、その支払金額に関わらず、支払調書を提出することとされた(所規86②、87②)。
(注)前記の改正は、平成25年1月1日以後に支払の確定する年金について適用される(改正所規附則2①、3①)。
(5)贈与等により取得した資産に係る利子所得等の金額の計算の明確化  居住者が贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)により利子所得、配当所得、一時所得又は雑所得の基因となる資産を取得した場合におけるその資産に係る利子所得の金額、配当所得の金額、一時所得の金額又は雑所得の金額の計算については、別段の定めがあるものを除き、その者が引き続きその資産を所有していたものとみなして、所得税法の規定を適用することが明確化された(所法67の4)。
(注)前記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用される(改正法附則2)。

Ⅴ 事業所得等に係る税制の改正

(1)試験研究を行った場合の所得税額の特別控除の特例の改正
 適用期限が平成24年分まで延長された(措法10の2①~③)。
(2)エネルギー需給構造改革推進設備を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除の改正  本制度における即時償却措置の適用期限が平成24年3月31日まで延長された(措法10の2の2⑥)。
(3)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除の創設  青色申告書を提出する個人が、平成23年6月30日から平成26年3月31日までの期間内に、エネルギー環境負荷低減推進設備等の取得等をして、その取得等をした日から1年以内にその個人の一定の事業の用に供した場合には、そのエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得価額の30%相当額の特別償却ができることとされた。
 また、青色申告書を提出する中小企業者に該当する個人は、エネルギー環境負荷低減推進設備等の取得価額の7%相当額の特別税額控除(その年分の事業所得に係る所得税額の20%相当額を限度とし、控除できなかった金額については1年間の繰越しが可能)との選択適用ができることとされた(措法10の2の3)。
(注)前記の制度は、個人が平成23年6月30日以後に取得等をするエネルギー環境負荷低減推進設備等について適用される(改正法附則30)。
(4)事業基盤強化設備を取得した場合等の特別償却又は所得税額の特別控除の改正  事業基盤強化設備を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の適用期限が平成24年3月31日まで、教育訓練費の総額に係る税額控除制度の適用期限が平成24年分まで、それぞれ延長された(措法10の4①③~⑥)。
(5)雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除の創設  青色申告書を提出する個人でこの制度の適用を受ける年及びその前年において離職者がいないことにつき証明がされたものが、平成24年から平成26年までの各年のうち、基準雇用者数が5人以上(中小企業者である場合には、2人以上)及び基準雇用者割合が10%以上であることにつき証明がされ、かつ、給与等支給額が比較給与等支給額以上である年において一定の事業を行っている場合には、20万円に基準雇用者数を乗じて計算した金額の特別税額控除(その年分の事業所得に係る所得税額の10%(中小企業者である場合には、20%)相当額を限度)ができることとされた(措法10の5)。
(注)前記の制度は、平成24年から平成26年までの各年分の所得税について適用される(措法10の6①)。
(6)所得税の額から控除される特別控除額の特例の改正  前記(3)のエネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除制度及び前記(5)の雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除制度の創設に伴い、所要の規定の整備が行われた(措法10の7①~③、措令5の9)。
(7)特定設備等の特別償却の改正 ① 公害防止設備の特別償却制度について、特別償却割合が8%(改正前12%)に引き下げられるとともに、対象設備のうち指定物質回収設備を指定物質回収装置内蔵型ドライクリーニング機等に見直された上、その適用期限が平成24年3月31日まで延長された(措法11①、措令5の10②③、旧措規5の12、平成23年財務省告示第220号)。
② 船舶の特別償却制度について、環境負荷低減要件のうち、船舶に設置される各種装置の環境性能要件が見直されるとともに、経営の合理化に著しく資する外航船舶のうち日本船舶以外のものに係る特別償却割合が16%(改正前18%)に引き下げられた上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措法11①、平成23年国土交通省告示第694号、平成23年財務省告示第220号)。
(注)前記①及び②の改正は、平成23年6月30日以後に取得等をする特定設備等について適用し、個人が同日前に取得等をした特定設備等については従前どおりとされる(改正法附則31①、改正措令附則4①、改正告示前文)。
(8)地震防災対策用資産の特別償却の廃止  適用期限(平成23年6月30日)の到来をもって廃止された(旧措法11の2①)。
(注)個人が平成23年6月30日前に取得等をした地震防災対策用資産については、従前どおりとされる(改正法附則31②)。
(9)事業革新設備等の特別償却制度の改正  事業革新設備の特別償却制度及び資源需給構造変化対応設備等の特別償却制度における即時償却措置の適用期限が平成24年3月31日まで延長された(措法11の2①③)。
(10)集積区域における集積産業用資産の特別償却の改正  適用期限が平成24年3月31日まで延長された(措法11の3①)。
(11)新用途米穀加工品等製造設備の特別償却の改正  対象となる米穀粉製造設備のうち、ひきうす式及び媒体式の粉砕装置が適用対象から除外された上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措法11の4①、平成23年農林水産省告示第1237号)。
(12)特定地域における工業用機械等の特別償却の改正 ① 半島振興対策実施地域に係る措置について、対象事業に農林水産物等販売業を追加されるとともに、過疎地域に類する地区の対象となる事業から旅館業を除外された上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措令6の3①⑤一)。
② 過疎地域に係る措置の適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措令6の3①)。
③ 離島振興対策実施地域に係る措置について、対象事業に情報サービス業等を追加されるとともに、農林水産物等販売業を除外されたほか、過疎地域に類する地区の要件を見直された上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措令6の3①⑤三⑥)。
④ 奄美群島に係る措置について、過疎地域に類する地区の対象事業から旅館業が除外された上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措令6の3①⑤三)。
⑤ 振興山村に係る措置について、対象事業からソフトウエア業が除外された上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措令6の3①⑤四)。
(注)前記①及び③、④、⑤の改正は、個人が平成23年6月30日以後に取得等をする減価償却資産について適用し、個人が同日前に取得等をした減価償却資産については従前どおりとされる(改正措令等附則4②③)。
(13)医療用機器等の特別償却の改正  次の見直しが行われた上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措法12の2①)。
① 高度・先進医療の提供に資する医療用機器に係る措置について、対象機器の範囲から心電図及び顕微鏡が除外され、特別償却割合が12%(改正前14%)に引き下げられた(措法12の2①一、平成23年厚生労働省告示第211号)。
② 医療の安全確保に資する機器に係る措置について、対象機器の範囲から、生体情報モニタ連動ナースコール制御機、注射薬自動払出機、医療情報読取照合装置及び特殊寝台が除外され、特別償却割合が16%(改正前20%)に引き下げられた(措法12の2①二、平成23年厚生労働省告示第211号)。
③ 新型インフルエンザ対策に資する機器に係る措置が除外された(旧措法12の2①三)。
(注)前記①から③の改正は、平成23年6月30日以後に取得又は製作をする医療用機器等について適用し、同日前に取得又は製作をした医療用機器等については従前どおりとされる(改正法附則31③)。
(14)建替え病院用等建物の特別償却の廃止  適用期限(平成23年6月30日)の到来をもって廃止された(旧措法12の3①)。
(注)個人が、平成23年6月30日前に取得又は建設をした建替え病院用等建物については、従前どおりとされる(改正法附則31④)。
(15)障害者を雇用する場合の機械等の割増償却等の改正 ① 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度について、適用要件に、法定雇用率を達成している場合で雇用障害者数が20人以上であり、かつ、雇用障害者に占める重度障害者の割合が50%以上であること及び雇用障害者数が法定雇用障害者数以上であることが追加され、改正前の要件との選択適用とされた上、その適用期限が平成26年3月31日まで延長された(措法13①)。
② 障害者対応設備等の特別償却制度について、適用期限(平成23年6月30日)の到来をもって廃止された(旧措法13③)。
③ 適用関係
 イ 前記①の改正については、平成23年分以後の所得税について適用し、平成22年分以前の所得税については、従前どおりとされる(改正法附則23)。
 ロ 前記②の廃止される措置については、改正法の施行日(平成23年6月30日)前に取得又は製作をした障害者対応設備等については、従前どおりとされる(改正法附則31⑤)。
(16)次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の建物等の割増償却の創設  青色申告書を提出する個人が、平成24年から平成26年までの各年において、次世代育成支援対策推進法の次世代育成支援対策に係る基準に適合するものである旨の認定(その期間内において最初に受けるものに限る。)を受けた場合には、その認定を受けた日の属する年の12月31日において有する建物等で事業の用に供されているもの(その認定に係る同法の一般事業主行動計画の計画期間開始の日からその年の12月31日までの間において取得等をしたものに限る。)について、その普通償却限度額の32%の割増償却ができることとされた(措法13の4)。
(注)前記の制度は、平成24年分以後の所得税について適用される(措法13の4①)。
(17)高齢者向け優良賃貸住宅の割増償却制度の改正(改正後:サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却)  対象となる住宅を高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定するサービス付き高齢者向け住宅のうち一定のものとするとともに、割増償却の対象部分を各独立部分に限定し、戸数、床面積、補助金受給等に関する要件が見直されたほか、割増償却割合が28%(耐用年数が35年以上であるものについては、40%)とされた上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措法14①)。
(注)前記の改正は、個人が高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律(平成23年法律第32号)の施行日以後に取得又は新築をしたサービス付き高齢者向け賃貸住宅について適用することとされ、個人が同日前に取得又は新築をした高齢者向け優良賃貸住宅については、なおその効力を有することとされた(改正法附則1九、31⑥⑦)。
(18)特定再開発建物等の割増償却制度の改正  次のとおり見直しを行った上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措法14の2①)。
① 対象から都市再生特別措置法の認定整備事業計画に基づく都市再生整備事業により整備される建築物に係る措置が除外された(措法14の2②)。
② 都市再開発法の施設建築物に係る措置について、対象となる建築物を地上階数4以上の中高層の耐火建築物である施設建築物とされた(措令7の2②)。
③ 都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、対象となる都市再生事業に係る要件の見直しが行われた(措令7の2③)。
④ 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の認定計画に係る特別特定建築物に係る措置について、対象となる建築物から床面積が50,000平方メートル以上の建築物が除外された(措令7の2⑤)。
⑤ 雨水貯留浸透施設に係る措置について、浸透性舗装に係る面積要件を5,000平方メートル以上(現行3,000平方メートル以上)に引き上げられた(措令7の2⑧)。
(注)前記①から⑤の改正は、平成23年6月30日以後に取得又は新築をする特定再開発建築物等について適用し、同日前に取得又は新築をした特定再開発建築物等については従前どおりとされる(改正法附則31⑧、改正措令附則4⑤~⑨)。
(19)倉庫用建物等の割増償却制度の改正  対象となる物資の流通の拠点区域から鉄道貨物駅の周辺区域が除外されたとともに、対象となる臨港地区を輸出入に係る貨物の流通の拠点となる地区として国土交通大臣が財務大臣と協議して指定する地区とされた上、その適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措法15①、措令8①)。
(注)前記の改正は、平成23年6月30日以後に取得又は建設をする倉庫用建物等について適用し、同日前に取得又は建設をした倉庫用建物等については従前どおりとされる(改正措令附則4⑩)。
(20)特定防災防止準備金制度の改正  適用期限が平成24年3月31日まで延長された(措法20の2①)。
(21)農業経営基盤強化準備金制度の改正  適用期限が平成25年3月31日まで延長された(措法24の2①)。
(22)肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の改正 ① 免税対象牛の売却頭数要件の上限を年間1,500頭(現行年間2,000頭)に引き下げることとされた。
② 免税対象牛の範囲から売却価額80万円以上(現行100万円以上)の交雑牛を除外することとされた。
③ 本特例の適用期限が平成26年まで延長された(措法25①)。
(注)上記2の改正は、平成24年分以後の所得税について適用し、平成23年分以前の所得税については従前どおりとされる(改正法附則32)。
(23)特定の基金に対する負担金等の必要経費算入の特例の改正  対象となる負担金に独立行政法人農畜産業振興機構の業務のうち一定の事業に係る業務に係る基金に充てるための負担金が追加された(租令18の4③九、措規9の9)。
(注)前記の改正は、平成23年6月30日以後に支出する豚肉の取引価格の変動により生ずる損失の補填を受けるために独立行政法人農畜産業振興機構へ資金を拠出する事業に係る業務に係る基金に充てるための負担金について適用される(改正措令附則5)。
(24)山林所得に係る森林計画特別控除の改正  本特例の適用期限が平成24年まで延長された(措法30の2①)。

Ⅵ その他の改正

(1)年金所得者に係る確定申告不要制度の創設
 年金所得者のうちその年中の公的年金等の収入金額が400万円以下である者が、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときは、その年分の所得税について確定申告書を提出することを要しないこととされた(所法121③)。
(注)前記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用し、平成22年分以前の所得税については従前どおりとされる(改正法附則2)。
(2)公的年金等に係る源泉徴収制度の改正  公的年金等に係る源泉徴収税額の計算について、控除対象とされる人的控除の範囲に寡婦(寡夫)控除を追加するとともに、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書の記載事項について、所要の整備を行うこととされた(所法203の3①一ハ、措法41の17②)。
(注)前記の改正は、平成25年1月1日以後に支払うべき公的年金等について適用される(改正法附則6)。
(3)電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特別控除の改正  税額控除額(現行:5,000円)を平成23年分は4,000円、平成24年分は3,000円に引き下げた上、適用期限が2年延長された(措法41の19の5①)。
(注)前記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用される(改正法附則23)。
(4)所得税の確定申告書の提出期間の見直し  申告義務のある者の還付申告書については、その年の翌年1月1日(改正前:その年の翌年2月16日)から提出できることとされた(所法120⑥)。
(注)前記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用される(改正法附則2)。
(5)給与等の支払事務所等の移転をした場合の源泉所得税の納税地の見直し  給与等の支払事務所等を移転した場合のその移転前の支払に対する源泉所得税の納税地について、移転後の給与等の支払事務所等の所在地とすることとされた(所法17)。
(注)前記の改正は、平成24年1月1日以後に、源泉所得税を納付する場合について適用される(改正法附則3)。
(6)還付加算金の計算期間の見直し  更正又は決定に基づく源泉徴収税額等及び予納税額の還付に係る還付加算金の計算期間について、確定申告書の提出期限の翌日から更正の日の翌日以後1月を経過する日(当該更正が更正の請求に基づくものである場合には、その更正の請求の日の翌日以後3月を経過する日と当該更正の日の翌日以後1月を経過する日とのいずれか早い日)までの日数は、当該計算期間に算入しないこととされた。
(注)前記の改正は、平成24年1月1日以後に支払決定又は充当をする還付金に係る還付加算金について適用される(改正法附則4①)。ただし、その還付加算金の全部又は一部で、同日前の期間に対応するものの計算については、従前どおりとされる(改正法附則4①ただし書)。
(7)交通用具使用者の通勤手当の非課税の改正  交通用具使用者が交通機関を利用するとした場合に負担することとなる運賃相当額まで非課税限度額を上乗せする特例が廃止された(所令20の2)。
(注)前記の改正は、平成24年1月1日以後に受けるべき通勤手当(同日前に受けるべき通勤手当の差額として追給されるものを除く。)について適用し、同日前に受けるべき通勤手当(同日以後に受けるべき通勤手当で同日前に受けるべきものの差額として追給されるものを含む。)については、従前どおりとされる(改正所令附則3)。
(8)減価償却制度の耐用年数特例の見直し及び陳腐化償却制度の廃止 ① 耐用年数の短縮特例について、未経過使用可能期間をもって法定耐用年数とみなして償却費を計算する制度とされた(所令130①)。
(注)前記の改正は、個人が平成24年以後の各年分において耐用年数の短縮特例の承認を受ける場合のその承認に係る減価償却資産の償却費の計算について適用し、個人が平成23年以前の各年分において耐用年数の短縮特例の承認を受けた場合のその承認に係る減価償却資産の償却費の計算については、従前どおりとされる(改正所令附則4①)。
② 陳腐化償却制度が廃止された(旧所令133の2)。
(注)前記の改正について、個人が平成23年以前の各年分において陳腐化償却の承認を受けた場合のその承認に係る減価償却資産の償却費の計算については、従前どおりとされる(改正所令附則4①)。
(9)一時所得等の金額の計算上控除する保険料の明確化  居住者が支払を受けた生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得等の金額の計算上、その支払を受けた金額から控除することができる事業主が負担した保険料等は、給与所得に係る収入金額に算入された金額に限る旨を明確化することとされた(所令183④三、184③一)。
(注)前記の改正は、平成23年6月30日以後に支払を受けるべき生命保険契約等に基づく年金若しくは一時金又は損害保険契約等に基づく年金若しくは一時金に係る保険料又は掛金について適用される(改正所令附則5、6)。
(10)地方議会議員年金制度の廃止に伴う所要の措置  地方議会議員年金制度の廃止に伴い、経過措置として支給される退職年金については公的年金等控除の対象とするとともに、経過措置として支給される退職一時金については、退職手当等とみなすこととされた(所令72①二、82の2①四)。
(注)前記の改正は、平成23年6月1日から施行されている(地方公務員等共済組合法施行令等の一部を改正する等の政令(平成23年政令第151号)附則1)。
(11)金地金等の譲渡の対価の受領者の告知及び支払調書制度の創設  居住者等に対して、金地金等の譲渡の対価の支払をする者(金地金等の売買を業として行う者に限る。)は、その支払金額等を記載した支払調書を、その支払の確定した日の属する月の翌月末日までに、当該支払をする者の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされた(所法224の6、225①十四、所令350の6~350の10、所規90の6)。
(注)前記の改正は、平成24年1月1日以後に行われる金地金等の譲渡について適用される(改正法附則8②)
(12)光ディスク等による調書の提出の特例の改正  調書、源泉徴収票又は計算書(以下「調書等」という。)のうち、その調書等の提出期限の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの間に提出すべきであった調書等の枚数が1,000以上であるものについては、その調書等に記載すべきものとされる事項を電子情報処理組織を使用する方法又は光ディスク等を提出する方法のいずれかにより税務署長に提供しなければならないこととされた(所法228の4①、措法42の2の2①、国外送金等調書法4②)。
(注)前記の改正は、平成26年1月1日以後に提出すべき調書等について適用される(改正法附則9①、49①、82①)。
(13)公共法人等に係る所得税の非課税の改正  特例民法法人から一般社団法人又は一般財団法人に移行した特定退職金共済団体について、所得税法上の公共法人等とみなすこととし、従前どおり所得税を非課税とすることとされた(平成20年改正法附則8②)。
(注)前記の改正は、平成23年6月30日以後に移行登記をする特例民法法人について適用される(改正法附則83)。
(14)租税罰則の見直し(無申告ほ脱犯の創設)  確定申告書等をその提出期限までに提出しないことにより所得税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされた(所法238③④)。
(注)前記の改正は、平成23年8月30日以後にした違反行為について適用され、同日前にした違反行為については従前どおりとされる(改正法附則92)。

Ⅶ 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(所得税関係)

(1)
東日本大震災により住宅、家財等について生じた損失の雑損控除等の適用について、次の特例が設けられた。
① その損失額を平成22年分の総所得金額等から雑損控除として控除できる(震災税特法4①、9、震災税特令3③)。
② 雑損控除を適用してその年分の総所得金額等から控除しても控除しきれない損失額についての繰越期間を5年とする(震災税特法5①、9)。
(2)東日本大震災により事業所得者等の有する棚卸資産、事業用資産等につき生じた損失の必要経費算入等について、次の特例が設けられた。
① その損失額を平成22年分の事業所得の金額等の計算上、必要経費に算入することができる。この場合において、青色申告者について平成22年分の所得において純損失が生じたときは、平成21年分の所得への繰戻し還付ができる(震災税特法6、震災税特令5~7)。
② その損失額による純損失の金額の繰越期間を5年とする(震災税特法7)。
③ その者の保有する事業用資産に占める被災した資産の割合が10パーセント以上の事業所得者等につき、平成23年において生じた純損失の金額のうち次に掲げるものの繰越期間を5年とする(震災税特法7①②④六、震災税特令9④)。
 イ 青色申告者の純損失の金額
 ロ 白色申告者の被災事業用資産の損失及び変動所得に係る損失による純損失の金額
(3)東日本大震災により住宅又は家財について被害を受けた者の災害減免法の適用について、次の特例が設けられた。
 その被害を平成22年において受けたものとして、平成22年分の所得税について災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律を適用することができる(震災税特法49)。
(4)平成23年3月11日から平成25年12月31日までの間に支出した震災関連寄附金について、次の措置を講ずることとされた。
① 震災関連寄附金に対する寄附金控除についての控除対象限度額を、総所得金額等の100分の80相当額とする(震災税特法8①、所法78①)。
② 認定特定非営利活動法人及び共同募金会連合会に対して支出した震災関連寄附金のうち被災者の支援活動に必要な資金に充てられるものについて、税額控除制度が設けられた(震災税特法8②)。
(5)勤労者が、東日本大震災により被害を受けたことにより、平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に、勤労者財産形成住宅貯蓄及び勤労者財産形成年金貯蓄の目的外払出しを行う場合には、その貯蓄に係る利子等に対する遡及課税等は行わないこととされた(震災税特法10)。
(6)住宅ローン税額控除等の適用を受けていた住宅が東日本大震災により居住の用に供することができなくなった場合において、控除対象期間の残りの期間について、引き続き住宅ローン税額控除等を適用する特例が設けられた(震災税特法13、震災税特令15)。
(7)平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、東日本大震災により滅失若しくは損壊をした建物、構築物若しくは機械装置若しくは一定の船舶、航空機若しくは車両運搬具の代替資産の取得等をしてその事業の用に供した場合又は建物、構築物若しくは機械装置の取得等をして被災区域内においてその事業の用に供した場合の特別償却制度が設けられた(震災税特法11①)。
(8)平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、一定の譲渡資産の譲渡をした場合において、その譲渡の日の属する年の12月31日までに、一定の買換資産の取得をし、かつ、その取得の日から1年以内に、その買換資産をその個人の事業の用に供したとき、又は供する見込みであるときは、一定の要件の下に、取得価額の引継ぎによる課税繰延べを認める特例が設けられた(震災特例法12①)。

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