資料2011年10月05日 【税務資料】 平成23年度(第61回)税理士試験 出題のポイントについて
平成23年度(第61回)税理士試験出題のポイント
会計学科目
簿記論
財務諸表論
税法科目
所得税法
法人税法
相続税法
消費税法
酒税法
国税徴収法
住民税
事業税
固定資産税
※ 出題のポイント及び配点等の試験問題に関する問い合わせには応じられませんので、御了承ください。
国税審議会事務局(国税庁人事課試験係)
簿記論簿記論 〔第一問〕
問1
本問は、有価証券の簿記処理に関する基本問題である。特に、その他有価証券の取得に関連して、約定日基準と修正受渡日基準の違い、およびヘッジ目的の信用取引を実行した場合の簿記処理について理解していることを問うている。
問2
本問は、自己株式に関連する取引、すなわち取得、処分および消却によって、その他資本剰余金が増減した結果として、負の残高になった場合に、その処理が適切にできることを問うている。特に、自己株式に関しては、その消却と無償取得、新株発行と同時に自己株式の処分が実施された場合の取扱い、また、その他資本剰余金の負の残高の繰越利益剰余金による補てんに関しては、当該負の残高よりも繰越利益剰余金残高の方が少ない場合の取扱いが問われている。
簿記論 〔第二問〕
問1
個別の取引、具体的には、(1)外貨建貸付金の期末評価、(2)減損処理した資産の減価償却、(3)延払基準による収益と費用の計上、(4)購入したソフトウェアに対する改良等、(5)特定の研究開発目的にのみ使用する機械装置の取得、それぞれの取引に関する仕訳処理を問う基本的問題。
問2
仕入債務(支払手形と買掛金)の簿記処理に関する基本的問題。
【資料1】で示された支払手形と買掛金の平成23年6月30日と同年7月31日における勘定残高、および、【資料2】で示された同年7月の取引のデータから、平成23年7月における(1)手形による買掛金の決済高と、(2)総仕入高の金額を問う。先に言及した2つの勘定における記帳関係と【資料2】で示した内容を理解できれば解答可能な簿記の基本問題。
問3
商業簿記における勘定組織の中心となる商品勘定の記帳処理を問う問題。
通常の商品売買取引について、継続記録法(ただし、先入先出法)を前提として、(1) 単一商品勘定制(分記法)と、(2) 商品勘定三分割制(売上原価対立法)、それぞれによる場合の勘定記入を問う。分記法と売上原価対立法による記帳処理の方法を理解しておれば、日付欄や摘要欄、金額欄の記入を手がかりに、それぞれの勘定を相互に参照することにより容易に解答できる問題。
問4
「金融商品会計基準」に従い、新株予約権(新株予約権証書)の権利行使日における仕訳を問う問題。ただし、本問では、新株予約権の発行者側でなく、取得者側が権利行使日において発行者の株式を取得するとき、これを、(1)「売買目的有価証券」として保有する場合(権利行使時の時価による振替)と、(2)「その他有価証券」として保有する場合(帳簿価額による振替)とに分けて、それぞれの仕訳を問う問題。
簿記論 〔第三問〕
決算整理後残高試算表について決算整理仕訳を含めた仕訳の修正を行う問題です。この問題を解くためには、まず、会社の行った処理を推定し、仕訳がどの勘定科目の残高に影響を与えているのかを推定する必要があります。また、問題文で与えられている内容を読み、会計基準等の考え方にあてはめて、本来行うべき計算や仕訳を考える力が必要です。なぜなら、税理士業務においても、生じた事実から適用すべき法令や会計基準を見つけ出して、顧客の誤りなどを訂正する作業が求められるからです。そして、誤っている仕訳の逆仕訳を丁寧に行い、その上で正しい仕訳をしていくという「急がば回れ」式の解答を実施することを求めています。
そのため、難しい計算を必要とするような内容は減らし、また、出題の量も少なくし、じっくり問題に取り組んでもらうように作成しました。
財務諸表論財務諸表論 〔第一問〕
本問は、継続性の原則という現代財務会計の根幹にかかわる原則の本質を理解していることを前提として、この原則が、わが国会計基準の国際的な会計基準とのコンバージェンスの作業のなかで、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号:平成21年12月4日)(以下「基準」という。)として基本的専門用語の提示、諸概念の確認とそれらの相互関係、そして従来の考え方の修正等を伴って再整理されている事実を問う目的を有する。
問1は、継続性の原則と「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」で示された諸理念や基本用語を問うものである。
問2は、継続性の原則と真実性の原則との関係を問うものである。
問3は、会計上の見積りの変更の例として、過年度において設定された貸倒引当金の見積額の不足のケースと有形固定資産の耐用年数の短縮のケースを取りあげ、前者のケースに関して、(1)は「基準」が示した「会計上の見積りの変更」に伴って計上される不足差額の会計上の性格と財務諸表上での表示区分を問い、後者のケースに関して、(2)は「基準」がプロスペクティブ方式のみを認めている根拠を問うものである。
問4は、(1)で会計方針の変更が認められる場合を「正当な理由」との関連で問うものである。(2)では、有形固定資産の減価償却方法の変更のケースで、会計方針の変更と会計上の見積りの変更という用語間の整合性を確認することを問うものである。
財務諸表論 〔第二問〕
本問は、伝統的会計理論のみならず近年の新たな会計基準においても重要な概念の1つとなっている配分について、その基本的な理解を問うものである。いずれも、基準の丸暗記ではなく、基本的な理解とそれを基にした思考力が問われている。
問1は、「費用配分の原則とは原価を各期に費用として配分すること」と単純に捉えがちな当該原則を、配分されるべき支出の時点によって3種類に分類するという思考力を問うている。
問2は、費用配分の原則が適用される代表例である棚卸資産・固定資産の会計、および比較的新しい領域であるリース会計について、基本的な理解を問うものである。
問3は、個別には理解しているはずの2つの原則の関係を問うことによって、着実な理解を試すものである。
問4は、利益とキャッシュ・フローとの関係について、配分という観点からの理解を問うものである。
財務諸表論 〔第三問〕
本問は、会社法及び会社計算規則の基本的な理解度を問う問1と、連結決算の基本的理解を問う問2から構成されている。
問1では、主に決算整理事項から貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書の作成までの基礎的な理解度を問うことにより、会社法及び会社計算規則等の基本的理解を試すものである。
(1) 現金預金について、銀行からの残高確認書と会社帳簿残高とに差異がある場合の調整処理、長短区分及び外貨建預金の決算時における換算処理等の理解を問う。
(2) 外貨建売上債権について、為替予約を付した場合の処理の理解を問う。
(3) 売上債権について、金融商品に関する会計基準における債権区分の考え方と得意先の財政状態等が前年度より変化した場合の貸倒引当金の設定の理解を問う。
(4) 投資有価証券について、減損の要否等、金融商品に関する会計基準における有価証券の評価方法の理解を問う。
(5) 有価証券の受払計算の基本的理解を問う。
(6) 関係会社の範囲について、実質判断の理解を問う。
(7) 棚卸資産について、期別総平均法による払出単価の算出の理解を問う。
(8) 有形固定資産について、基本的な減価償却計算、除却処理及び建設仮勘定の処理を問う。
(9) ソフトウェアについて、償却計算の理解を問う。
(10) 従業員賞与について、引当金の繰入・取崩処理の理解を問う。
(11) 退職給付について、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務債務の処理の基本的理解を問う。
(12) 諸税金の処理及び税効果会計について、繰延税金資産及び繰延税金負債等の処理方法の理解を問う。
(13) 株主資本等変動計算書の構造の基本的理解を問う。
問2では、資本と投資の消去、債権債務の消去、取引高の消去、及び未実現利益の消去といった連結決算における基本的事項の理解を問うている。
所得税法所得税法 〔第一問〕
問1
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、原則として、その年において収入すべき金額とされ、経済的な利益をもって収入する場合には、当該経済的な利益の価額とされている。
会社法に規定する一定の決議により特に有利な条件等で一定の新株予約権を与えられた場合の当該権利の行使による株式の取得に係る経済的利益の価額については、当該権利の行使の日における価額から一定の金額を控除した金額によるとされている。
会社法に規定する一定の決議により新株予約権を与えられる者とされた当該決議のあった株式会社の取締役等である個人が、当該新株予約権を行使することにより株式の取得をした場合には、一定の要件の下、当該株式の取得に係る経済的利益については、所得税を課さないこととされている。また、当該取締役等である個人が当該新株予約権の行使による経済的利益の非課税等の規定の適用を受けて取得した株式の取得価額については、その払込みをした金額の額となる。
本問は、発行法人から新株予約権を与えられた当該法人の従業員が、新株予約権を行使して株式を取得した場合の課税関係について、正確に理解しているか問うものである。
問2
個人が、その有する土地等で、その年1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、当該譲渡による譲渡所得については、他の所得と区分し、長期譲渡所得の金額の100分の15に相当する金額に相当する所得税を課する。この場合において、長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額は生じなかったものとみなす。
個人が所有期間5年を超える居住用財産の譲渡をし、当該個人が一定期間内に住宅借入金等で居住用財産を取得し居住の用に供した場合で、その居住用財産の取得年の12月31日現在で、当該住宅借入金等の残高を有するときにおける居住用財産の譲渡所得の計算上生じた損失の金額については、一定の要件の下、損益通算及び純損失の繰越控除の規定を適用する。
本問は、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除について、正確に理解しているか問うものである。
所得税法 〔第二問〕
問1
所得税法では、所得を10種類に分類した上でこれらの各種所得ごとにその金額を計算し、これを合算して課税標準である総所得金額等を計算することとしている。そして、その課税標準額から所得控除額を控除して課税総所得金額等を計算し、その課税総所得金額等に対する税額を計算することとしている。そこで、本問においては、以下の事項を中心に、各種所得の金額の計算から税額の計算まで総合的に理解しているかどうかを問うものである。
(1) 事業用資産の損害に関する収入及び支出の取扱い
(2) 青色事業専従者給与に関する取扱い
(3) 株式等の譲渡所得等及び配当所得並びに先物取引の雑所得等の計算及び損益通算
(4) 各種所得控除額の計算
(5) 課税総所得金額等に対する税額の計算
(6) 配当控除額及び源泉徴収税額の計算
問2
所得税法では、所得を10種類に分類した上でこれらの各種所得ごとにその金額を計算し、これを合算して課税標準である総所得金額等を計算することとしている。そこで、本問においては、以下の事項を中心に、各種所得の金額の計算を総合的に理解しているかどうかを問うものである。
(1) 不動産所得の基因となる資産の取壊し及び用途変更等に伴う支出等の取扱い
(2) 相続等により取得した資産の譲渡による所得の金額の計算
問3
所得税法では、所得を10種類に分類した上でこれらの各種所得ごとにその金額を計算し、これを合算して課税標準である総所得金額等を計算することとしている。そこで、本問においては、以下の事項を中心に、各種所得の金額、課税標準額及び課税総所得金額等の計算を総合的に理解しているかどうかを問うものである。
(1) 各種所得の金額の計算上なかったものとみなされる損失の金額の取扱い
(2) 損益通算の対象とならない損失の金額の取扱い
(3) 生命保険の年金に係る所得の取扱い
(4) 繰越控除の対象となる損失の金額の取扱い
法人税法
法人税法 〔第一問〕
平成22年度の税制改正により、いわゆるグループ法人税制が導入された。これは、企業グループが一体的に経営されている実態を踏まえ、100%持株関係(完全支配関係)のあるグループ内法人間で資産の移転が行われた場合には、その時点で課税関係を生じさせないという基本的な考え方に基づくものである。
問1は、完全支配関係のある内国法人間で行われた金銭債権の簿価譲渡を題材にして、一定の資産の譲渡損益の繰延べ、寄附金及び受贈益の処理、親法人による子法人株式の寄附修正といったグループ法人税制についての理解を問うものである。
法人が国庫補助金等の交付を受けて固定資産を取得した場合には、補助金相当額の範囲内で圧縮記帳が認められている。法人が地方公共団体から固定資産を時価よりも低い価額で取得した場合のように、国庫補助金等の交付と経済的に同様の実態にあるケースにおいても、時価と対価との差額を補助金相当額とみて、圧縮記帳と同様の取扱いが認められている。
また、法人が土地・建物等の造成・建築等に際して、地方公共団体の開発指導要領に基づき一定の負担金を支出する場合がある。本問のように、地方公共団体の所有地に緩衝緑地を設置する費用に充てられる負担金を法人が支出した場合には、その支出した金額を繰延資産として計上して償却することになる。
問2は、このような地方公共団体との取引に関する税務上の取扱いについて、基本的な理解を問うものである。
以上、いずれも法人税法における基本的な制度に関し、具体的な事例への適用についての問いかけを行い、法令等を正しく解釈・適用することができるかどうかという能力を問うこととしている。
法人税法 〔第二問〕
〔基本方針〕
法人税の申告実務を行うに際して必要となる基礎的な事項を中心に作問した。
内国法人は、確定した決算に基づいて申告書を作成しなければならない。その申告書の作成は、会計上適正な計算書類の作成と並行して行われるのが通例である。その観点から、申告調整と同時に行われる決算修正事項も重視した。また、会社法及び隣接する税目と関係する事項も問題に取り入れた。
〔個別項目〕
1 減資
無償減資を題材に、減資の法人税法上の取扱い、減資法人の処理、親法人の処理及び関連する中小企業税制について幅広く問うものである。
2 完全支配関係がある法人間の取引
土地の売買を題材に、完全支配関係がある法人間の取引を問うものである。併せて、実務上必要となる法人税法上の手続や留意事項も問題に含めた。
3 交際費等及び寄附金
交際費等及び寄附金は法人税実務に必須の項目であることから、法人税申告書別表の形式での解答を求めた。また、二重課税となっている状態の解消についての基本的な考え方も質問項目とした。
4 控除対象外消費税額等
法人が消費税について税抜経理方式を採用している場合において、消費税の課税売上割合が95%未満であるときは、控除対象外消費税額等(仕入税額控除ができない仮払消費税等の額)が生じる。この控除対象外消費税額等の法人税法上の取扱いを問うものである。
5 「法人税、住民税及び事業税」及び租税公課
「中小企業の会計に関する指針」に基づいた処理を題材にして、法人税申告書別表五(二)の基本的な構造を理解しているかどうかを問うものである。
6 貸倒引当金、減価償却
事業年度をまたがる事例を題材にして、貸倒引当金の繰入限度額及び減価償却費の償却限度額の計算に関する基礎的な知識を問うものである。
相続税法 相続税法 〔第一問〕
問1
非上場株式等についての相続税の納税猶予(租税特別措置法第70条の7の2)は、平成21年度税制改正において措置された新しい制度である。
中小企業の事業の承継については、これらの企業が多くの雇用を抱え、様々な技術を有するなど地域経済の中核を担っている一方で、事業規模の大きい企業の場合にはその企業の資産価値等に応じて株式の価額が相対的に高額となり、株式以外の資産がほとんどない場合でも多額の相続税を納税することもあるため、後継者がこれを避けるために、株式を分散して相続することにより、安定的な事業の継続に支障をきたすこととなる。そこで、地域経済の活力を維持し、雇用を確保する観点から、この制度が措置されたものである。
この制度は、わが国の中小企業における経営者の死亡に伴う事業の承継に際して、相続税制の面から支援を行うものであり、相続税を理解する上において重要な事項である。
本問は、相続税における重要なこの制度について、その概要の説明を求めるものである。
問2
相続税法では、相続又は遺贈により財産を取得した者が、その相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(被相続人の直系卑属でその被相続人の養子となっている者で一定の者を除く。)及び配偶者以外の者である場合には、その者の相続税額については、相続税額の加算をすることとしている。
ただし、相続開始の時において被相続人の一親等の血族に該当しない相続時精算課税適用者については、その相続税額のうち被相続人の一親等の血族であった期間内に被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税の適用を受ける財産の価額に対応する相続税額については、相続税額の加算の対象とならない。
本問は、この相続税額の加算について理解しているかどうかを具体的事例に即して説明を求めるものである。
相続税法 〔第二問〕
相続税全般に関する理解度を測定するため、個別の財産評価、課税価格の算定、相続税の総額及び各相続人等の納付すべき税額までの算出を求める総合問題である。主なポイントは次のとおりである。
(1) 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価方法を理解しているかどうか。
(2) 余剰容積率の移転がある場合の宅地の評価方法を理解しているかどうか。
(3) 無道路地の評価方法を理解しているかどうか。
(4) 取引相場のない株式の評価で、類似業種比準価額による評価方法を理解しているかどうか。
(5) 海外に所在する財産の評価方法を理解しているかどうか。
(6) 小規模宅地等の特例の適用要件等を理解しているかどうか。
(7) みなし相続財産である生命保険金について理解しているかどうか。
(8) 生前贈与された財産の相続税の課税価格に加算される財産の範囲と贈与税額控除の控除対象を理解しているかどうか。
(9) 債務・葬式費用について控除範囲を理解しているかどうか。
消費税法消費税法 〔第一問〕
問1
消費税法では、資産の譲渡等を課税の対象とし、輸出免税の規定や国等に対する特例規定などが設けられている。
本問では、基本的な用語の意義のほか、具体的な事例に基づいて、これらの規定の適用関係を理解しているかどうかを問うものである。
問2
平成22年度税制改正では、平成22年4月1日以後開始する課税期間において、消費税法第9条第4項に規定する課税事業者を選択した場合及び同法第12条の2に規定する新設法人を設立した場合で、一定の課税期間中に調整対象固定資産を取得したときは、事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用が制限される等の見直しが行われた。
そこで、本問では、平成22年改正後の消費税法の適用関係について、その全体像を理解しているかどうかを問うものである。
消費税法 〔第二問〕
消費税の納付税額の計算に当たっては、課税資産の譲渡等の範囲、資産の譲渡等の時期及び課税標準の算定に関する事項を理解するとともに、仕入れに係る消費税額をはじめとする各種税額控除等について幅広く理解しておく必要がある。
また、企業会計実務においては、「税抜経理方式」が一般的な方式として採用されていることから、法人が消費税等の経理処理について「税抜経理方式」を採用している場合の消費税額の算出方法を理解していなければならない。
更に、経済環境の著しい変化に対応すべく組織再編が一般的に行われていることから、これに係る消費税等の取扱いについても正しく理解しておく必要がある。
そこで、本問においては、以下の事項を中心として法人の納付すべき消費税額を算出させることで消費税法の総合的な理解度を問うこととしている。
1 消費税等の経理処理について「税抜経理方式」を適用している場合において、課税標準額及び控除対象仕入税額等を正しく算定できるか。
2 小規模事業者に係る納税義務の免除について、基準期間がない法人の納税義務の免除の特例及び合併があった場合の納税義務の免除の特例の適用について正しく理解しているか。
3 売上げについて課税取引及び非課税取引の判定を適正に行い、課税標準額に対する消費税額が正しく算出できるか。
4 仕入税額控除の計算に当たって、課税仕入れの範囲とその時期、個別対応方式と一括比例配分方式による計算方法等を正しく理解しているか。また、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものとの区分を正しく行うことができるか。
5 課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整において、その適用対象となる資産の範囲について正しく理解しているか。また、課税売上割合が著しく変動した場合の計算方法等を正しく理解しているか。
6 合併が行われた場合の中間申告による納付税額及び確定申告による納付税額の算出方法を正しく理解しているか。
酒税法酒税法 〔第一問〕
酒税法第43条の規定において、酒類に水以外の物品(当該酒類と同一の品目の酒類を除く。)を混和した場合において、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなすこととしている(以下「みなし製造」という。)。
なお、一定の事項に該当する場合には、みなし製造の規定が適用されない場合がある。
本問は、みなし製造の規定が設けられている趣旨、みなし製造の規定が適用されない場合の要件、更には、具体的事例により、その理解を問うものである。
酒税法 〔第二問〕
酒税法の総合的な理解を問うため、製造場から移出した酒類について、酒類の品目及びその判定理由並びにその酒類の課税標準数量に対する酒税額、控除を受けようとする酒税額、納付すべき酒税額までの算出を求める問題である。
主なポイントは次のとおりである。
1 原料、製造方法等による酒類の分類、製造とみなされる範囲を理解しているか。
2 製造場からの移出とみなされる範囲を理解しているか。
3 租税特別措置法に定める酒税の税率の特例の規定を理解しているか。
国税徴収法国税徴収法 〔第一問〕
問1
(1) 徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者又は第三者の物又は住居その他の場所について捜索することができるが、捜索の相手方が第三者の場合には、滞納者の財産を所持する第三者がその引渡しをしないとき、又は滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある滞納者の親族その他の特殊関係者がその引渡しをしないときに限り、捜索することができるとされている(徴法142②)。
本問は、捜索の相手方が滞納者と第三者とでは、捜索できる場合に差異があることについての正確な理解がポイントとなる。
(2) 差押えの効力は、差押財産から生ずる法定果実には及ばないのが原則であるが、債権を差し押えた場合における差押え後の利息については、差押えの効力は及ぶとされている(徴法52②)。
本問は、この法定果実に対する差押えの効力についての理解度を問うものである。
(3) 参加差押えをした税務署長は、その参加差押えに係る滞納処分による差押財産が相当期間内に換価に付されないときは、すみやかにその換価をすべきことをその滞納処分をした行政機関等に催告することができるとされている(徴法87③)。
本問は、この参加差押権者による換価の催告についての理解度を問うものである。
(4) 第二次納税義務者の財産の換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるときを除き、納税者の財産を換価に付すまでの間(徴法32④)、又は第二次納税義務者が第二次納税義務に関する滞納処分について訴えを提起した場合におけるその訴訟の係属する間(徴法90③)は、行うことができないとされている。
本問は、この第二次納税義務者の財産についての換価制限についての理解度を問うものである。
(5) 法人が分割(分社型分割を除く。)をした場合には、当該分割により事業を承継した法人は、当該分割をした法人の分割の日前に納税義務の成立した国税(移出に係る酒税等及び航空機燃料税については分割の日の属する月の前月末日までに納税義務の成立したもの)について、当該分割をした法人から承継した財産の価額を限度として、連帯納付の責めに任ずるとされている(通法9条の2)。
本問は、この法人の分割に係る連帯納付の責任についての理解度を問うものである。
問2
差押えの解除は、差押えの効力を将来に向かって失わせるものであるが、差押えの解除には、必ず差押えを解除しなければならない場合と税務署長等の権限により差押えを解除することができる場合とがある。
本問は、「差押えを解除することができる場合」を問うものであり、「差押えを解除しなければならない場合」と「差押えを解除することができる場合」の差異についての正確な理解がポイントとなる。
国税徴収法 〔第二問〕
納税者が国税を滞納した場合において、その者が国税の法定納期限等後に譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となっているもの(譲渡担保財産)があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができるとされている(徴法24)。
譲渡担保財産から納税者の国税を徴収する場合には、譲渡担保権者は第二次納税義務者とみなされ、譲渡担保財産に対して滞納処分の執行がされることになるが、その結果、納税者の国税と譲渡担保権者の国税等とが競合する事態が生じることとなるが、そのような場合は、納税者の国税が譲渡担保権者の国税等に優先するよう差押先着手及び交付要求先着手による国税の優先の特例が設けられている(徴令9)。
本問は、滞納整理における具体的な設例の下、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収できる場合の要件及び徴収する場合の手続並びに譲渡担保財産が公売された場合の各債権者に対する換価代金の配当額を問う総合問題であり、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収できる要件(徴法24①⑧)、譲渡担保権者に対する告知(徴法24②、徴令8①)、譲渡担保権者の所轄税務署長等に対する通知(徴法24②、徴令8②)、譲渡担保権者の国税等に対する納税者の国税の優先(徴令9)、国税及び地方税等と私債権との競合の調整(徴法26)等についての正確な理解がポイントとなる。
住民税住民税 〔第一問〕
問1
道府県民税利子割の制度の概要及び特徴についての理解を問うものであり、主なポイントは以下のとおり。
(1)利子割の納税義務者、課税標準、税率
(2)道府県民税利子割と道府県民税配当割の課税団体や課税方式の相違点
(3)法人住民税における利子割額の控除
問2
個人の市町村民税の非課税制度の意義及び概要についての理解を問うものであり、主なポイントは以下のとおり。
(1)均等割が非課税となる者の範囲及び非課税措置の基準となる金額の算定方法
(2)所得割の非課税措置の基準となる金額の算定方法
(3)条例による免除を行うことができる事由の範囲
住民税 〔第二問〕
個人の住民税(市町村民税・道府県民税)の税額の算出を通じて、個人住民税に関する地方税法の規定の適用についての総合的な理解を求めるもの。特に、税額の算出過程における所得税の取扱いとの差異、非課税となる者の範囲について正しく理解しているかを問うもので、主なポイントは次のとおり。
給与所得控除
公的年金等控除
配当所得
不動産所得
事業所得
短期譲渡所得及び長期譲渡所得
一時所得
損益通算
株式等に係る譲渡所得
所得控除(人的控除、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除)
税額控除(調整控除、寄附金税額控除、配当控除、住宅借入金等特別税額控除、配当割額控除、株式等譲渡所得割額控除)
所得割額及び均等割額
非課税の判定
事業税事業税 〔第一問〕
問1
所得割の課税標準の算定について、正しく理解しているかを問うものである。主なポイントは次のとおりである。
所得の算定方法
法人税の課税標準である所得の計算の例によらない場合の事業税の取り扱い
欠損金額及び個別欠損金額の取り扱い
問2
青色事業専従者及び事業専従者に係る所得の計算の方法について、正しく理解しているかを問うものである。主なポイントは次のとおりである。。
青色事業専従者の範囲及び対象経費の考え方
事業専従者の範囲及び対象経費の考え方
事業税 〔第二問〕
外形対象法人に係る徴収猶予について、正しく理解しているかを問うものである。主なポイントは次のとおりである。
外形対象法人に係る徴収猶予の適用要件
2以上の都道府県に事務所等がある場合の申請手続き
徴収猶予期間の延長
徴収猶予取り消し
中間申告における徴収猶予の適用
延滞金の免除
事業税 〔第三問〕
解散した外形対象法人の事業税の算定について、正しく理解しているかを問うものである。主なポイントは次のとおりである。
課税対象となる割の取り扱い
報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の算定
軽減税率適用の判断
分割基準の種類及び算定方法
税額の算定(標準税率、制限税率)
固定資産税固定資産税 〔第一問〕
1 固定資産税においては、様々な情報開示制度が設けられているが、その情報開示制度の一つである縦覧帳簿の縦覧制度について、基本的な理解を問うものである。
2 固定資産税においては、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)に基づく不服申立制度とは別に、市町村長から独立した第三者機関である固定資産評価審査委員会に対する審査申出制度が定められている。この審査申出制度は、納税者の権利を保護するための重要な制度であることから、その基本的な理解を問うものである。
固定資産税 〔第二問〕
税額の計算問題を通して固定資産税制度の理解力を問うものである。
1 震災等により滅失等した区分所有家屋の敷地の用に供されていた土地については、住宅用地の範囲、区分所有家屋に係る課税按分に特例措置等が講じられている。本問は、これらについての理解を問うものである。
2 船舶等の移動性償却資産については、所在市町村に対する価格の配分に係る基準が設けられている。本問は、償却資産の評価制度とともに、船舶に係る価格の算出方法、価格の配分方法の理解を問うものである。
会計学科目
簿記論
財務諸表論
税法科目
所得税法
法人税法
相続税法
消費税法
酒税法
国税徴収法
住民税
事業税
固定資産税
※ 出題のポイント及び配点等の試験問題に関する問い合わせには応じられませんので、御了承ください。
国税審議会事務局(国税庁人事課試験係)
簿記論簿記論 〔第一問〕
問1
本問は、有価証券の簿記処理に関する基本問題である。特に、その他有価証券の取得に関連して、約定日基準と修正受渡日基準の違い、およびヘッジ目的の信用取引を実行した場合の簿記処理について理解していることを問うている。
問2
本問は、自己株式に関連する取引、すなわち取得、処分および消却によって、その他資本剰余金が増減した結果として、負の残高になった場合に、その処理が適切にできることを問うている。特に、自己株式に関しては、その消却と無償取得、新株発行と同時に自己株式の処分が実施された場合の取扱い、また、その他資本剰余金の負の残高の繰越利益剰余金による補てんに関しては、当該負の残高よりも繰越利益剰余金残高の方が少ない場合の取扱いが問われている。
簿記論 〔第二問〕
問1
個別の取引、具体的には、(1)外貨建貸付金の期末評価、(2)減損処理した資産の減価償却、(3)延払基準による収益と費用の計上、(4)購入したソフトウェアに対する改良等、(5)特定の研究開発目的にのみ使用する機械装置の取得、それぞれの取引に関する仕訳処理を問う基本的問題。
問2
仕入債務(支払手形と買掛金)の簿記処理に関する基本的問題。
【資料1】で示された支払手形と買掛金の平成23年6月30日と同年7月31日における勘定残高、および、【資料2】で示された同年7月の取引のデータから、平成23年7月における(1)手形による買掛金の決済高と、(2)総仕入高の金額を問う。先に言及した2つの勘定における記帳関係と【資料2】で示した内容を理解できれば解答可能な簿記の基本問題。
問3
商業簿記における勘定組織の中心となる商品勘定の記帳処理を問う問題。
通常の商品売買取引について、継続記録法(ただし、先入先出法)を前提として、(1) 単一商品勘定制(分記法)と、(2) 商品勘定三分割制(売上原価対立法)、それぞれによる場合の勘定記入を問う。分記法と売上原価対立法による記帳処理の方法を理解しておれば、日付欄や摘要欄、金額欄の記入を手がかりに、それぞれの勘定を相互に参照することにより容易に解答できる問題。
問4
「金融商品会計基準」に従い、新株予約権(新株予約権証書)の権利行使日における仕訳を問う問題。ただし、本問では、新株予約権の発行者側でなく、取得者側が権利行使日において発行者の株式を取得するとき、これを、(1)「売買目的有価証券」として保有する場合(権利行使時の時価による振替)と、(2)「その他有価証券」として保有する場合(帳簿価額による振替)とに分けて、それぞれの仕訳を問う問題。
簿記論 〔第三問〕
決算整理後残高試算表について決算整理仕訳を含めた仕訳の修正を行う問題です。この問題を解くためには、まず、会社の行った処理を推定し、仕訳がどの勘定科目の残高に影響を与えているのかを推定する必要があります。また、問題文で与えられている内容を読み、会計基準等の考え方にあてはめて、本来行うべき計算や仕訳を考える力が必要です。なぜなら、税理士業務においても、生じた事実から適用すべき法令や会計基準を見つけ出して、顧客の誤りなどを訂正する作業が求められるからです。そして、誤っている仕訳の逆仕訳を丁寧に行い、その上で正しい仕訳をしていくという「急がば回れ」式の解答を実施することを求めています。
そのため、難しい計算を必要とするような内容は減らし、また、出題の量も少なくし、じっくり問題に取り組んでもらうように作成しました。
財務諸表論財務諸表論 〔第一問〕
本問は、継続性の原則という現代財務会計の根幹にかかわる原則の本質を理解していることを前提として、この原則が、わが国会計基準の国際的な会計基準とのコンバージェンスの作業のなかで、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号:平成21年12月4日)(以下「基準」という。)として基本的専門用語の提示、諸概念の確認とそれらの相互関係、そして従来の考え方の修正等を伴って再整理されている事実を問う目的を有する。
問1は、継続性の原則と「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」で示された諸理念や基本用語を問うものである。
問2は、継続性の原則と真実性の原則との関係を問うものである。
問3は、会計上の見積りの変更の例として、過年度において設定された貸倒引当金の見積額の不足のケースと有形固定資産の耐用年数の短縮のケースを取りあげ、前者のケースに関して、(1)は「基準」が示した「会計上の見積りの変更」に伴って計上される不足差額の会計上の性格と財務諸表上での表示区分を問い、後者のケースに関して、(2)は「基準」がプロスペクティブ方式のみを認めている根拠を問うものである。
問4は、(1)で会計方針の変更が認められる場合を「正当な理由」との関連で問うものである。(2)では、有形固定資産の減価償却方法の変更のケースで、会計方針の変更と会計上の見積りの変更という用語間の整合性を確認することを問うものである。
財務諸表論 〔第二問〕
本問は、伝統的会計理論のみならず近年の新たな会計基準においても重要な概念の1つとなっている配分について、その基本的な理解を問うものである。いずれも、基準の丸暗記ではなく、基本的な理解とそれを基にした思考力が問われている。
問1は、「費用配分の原則とは原価を各期に費用として配分すること」と単純に捉えがちな当該原則を、配分されるべき支出の時点によって3種類に分類するという思考力を問うている。
問2は、費用配分の原則が適用される代表例である棚卸資産・固定資産の会計、および比較的新しい領域であるリース会計について、基本的な理解を問うものである。
問3は、個別には理解しているはずの2つの原則の関係を問うことによって、着実な理解を試すものである。
問4は、利益とキャッシュ・フローとの関係について、配分という観点からの理解を問うものである。
財務諸表論 〔第三問〕
本問は、会社法及び会社計算規則の基本的な理解度を問う問1と、連結決算の基本的理解を問う問2から構成されている。
問1では、主に決算整理事項から貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書の作成までの基礎的な理解度を問うことにより、会社法及び会社計算規則等の基本的理解を試すものである。
(1) 現金預金について、銀行からの残高確認書と会社帳簿残高とに差異がある場合の調整処理、長短区分及び外貨建預金の決算時における換算処理等の理解を問う。
(2) 外貨建売上債権について、為替予約を付した場合の処理の理解を問う。
(3) 売上債権について、金融商品に関する会計基準における債権区分の考え方と得意先の財政状態等が前年度より変化した場合の貸倒引当金の設定の理解を問う。
(4) 投資有価証券について、減損の要否等、金融商品に関する会計基準における有価証券の評価方法の理解を問う。
(5) 有価証券の受払計算の基本的理解を問う。
(6) 関係会社の範囲について、実質判断の理解を問う。
(7) 棚卸資産について、期別総平均法による払出単価の算出の理解を問う。
(8) 有形固定資産について、基本的な減価償却計算、除却処理及び建設仮勘定の処理を問う。
(9) ソフトウェアについて、償却計算の理解を問う。
(10) 従業員賞与について、引当金の繰入・取崩処理の理解を問う。
(11) 退職給付について、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務債務の処理の基本的理解を問う。
(12) 諸税金の処理及び税効果会計について、繰延税金資産及び繰延税金負債等の処理方法の理解を問う。
(13) 株主資本等変動計算書の構造の基本的理解を問う。
問2では、資本と投資の消去、債権債務の消去、取引高の消去、及び未実現利益の消去といった連結決算における基本的事項の理解を問うている。
所得税法所得税法 〔第一問〕
問1
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、原則として、その年において収入すべき金額とされ、経済的な利益をもって収入する場合には、当該経済的な利益の価額とされている。
会社法に規定する一定の決議により特に有利な条件等で一定の新株予約権を与えられた場合の当該権利の行使による株式の取得に係る経済的利益の価額については、当該権利の行使の日における価額から一定の金額を控除した金額によるとされている。
会社法に規定する一定の決議により新株予約権を与えられる者とされた当該決議のあった株式会社の取締役等である個人が、当該新株予約権を行使することにより株式の取得をした場合には、一定の要件の下、当該株式の取得に係る経済的利益については、所得税を課さないこととされている。また、当該取締役等である個人が当該新株予約権の行使による経済的利益の非課税等の規定の適用を受けて取得した株式の取得価額については、その払込みをした金額の額となる。
本問は、発行法人から新株予約権を与えられた当該法人の従業員が、新株予約権を行使して株式を取得した場合の課税関係について、正確に理解しているか問うものである。
問2
個人が、その有する土地等で、その年1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、当該譲渡による譲渡所得については、他の所得と区分し、長期譲渡所得の金額の100分の15に相当する金額に相当する所得税を課する。この場合において、長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額は生じなかったものとみなす。
個人が所有期間5年を超える居住用財産の譲渡をし、当該個人が一定期間内に住宅借入金等で居住用財産を取得し居住の用に供した場合で、その居住用財産の取得年の12月31日現在で、当該住宅借入金等の残高を有するときにおける居住用財産の譲渡所得の計算上生じた損失の金額については、一定の要件の下、損益通算及び純損失の繰越控除の規定を適用する。
本問は、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除について、正確に理解しているか問うものである。
所得税法 〔第二問〕
問1
所得税法では、所得を10種類に分類した上でこれらの各種所得ごとにその金額を計算し、これを合算して課税標準である総所得金額等を計算することとしている。そして、その課税標準額から所得控除額を控除して課税総所得金額等を計算し、その課税総所得金額等に対する税額を計算することとしている。そこで、本問においては、以下の事項を中心に、各種所得の金額の計算から税額の計算まで総合的に理解しているかどうかを問うものである。
(1) 事業用資産の損害に関する収入及び支出の取扱い
(2) 青色事業専従者給与に関する取扱い
(3) 株式等の譲渡所得等及び配当所得並びに先物取引の雑所得等の計算及び損益通算
(4) 各種所得控除額の計算
(5) 課税総所得金額等に対する税額の計算
(6) 配当控除額及び源泉徴収税額の計算
問2
所得税法では、所得を10種類に分類した上でこれらの各種所得ごとにその金額を計算し、これを合算して課税標準である総所得金額等を計算することとしている。そこで、本問においては、以下の事項を中心に、各種所得の金額の計算を総合的に理解しているかどうかを問うものである。
(1) 不動産所得の基因となる資産の取壊し及び用途変更等に伴う支出等の取扱い
(2) 相続等により取得した資産の譲渡による所得の金額の計算
問3
所得税法では、所得を10種類に分類した上でこれらの各種所得ごとにその金額を計算し、これを合算して課税標準である総所得金額等を計算することとしている。そこで、本問においては、以下の事項を中心に、各種所得の金額、課税標準額及び課税総所得金額等の計算を総合的に理解しているかどうかを問うものである。
(1) 各種所得の金額の計算上なかったものとみなされる損失の金額の取扱い
(2) 損益通算の対象とならない損失の金額の取扱い
(3) 生命保険の年金に係る所得の取扱い
(4) 繰越控除の対象となる損失の金額の取扱い
法人税法
法人税法 〔第一問〕
平成22年度の税制改正により、いわゆるグループ法人税制が導入された。これは、企業グループが一体的に経営されている実態を踏まえ、100%持株関係(完全支配関係)のあるグループ内法人間で資産の移転が行われた場合には、その時点で課税関係を生じさせないという基本的な考え方に基づくものである。
問1は、完全支配関係のある内国法人間で行われた金銭債権の簿価譲渡を題材にして、一定の資産の譲渡損益の繰延べ、寄附金及び受贈益の処理、親法人による子法人株式の寄附修正といったグループ法人税制についての理解を問うものである。
法人が国庫補助金等の交付を受けて固定資産を取得した場合には、補助金相当額の範囲内で圧縮記帳が認められている。法人が地方公共団体から固定資産を時価よりも低い価額で取得した場合のように、国庫補助金等の交付と経済的に同様の実態にあるケースにおいても、時価と対価との差額を補助金相当額とみて、圧縮記帳と同様の取扱いが認められている。
また、法人が土地・建物等の造成・建築等に際して、地方公共団体の開発指導要領に基づき一定の負担金を支出する場合がある。本問のように、地方公共団体の所有地に緩衝緑地を設置する費用に充てられる負担金を法人が支出した場合には、その支出した金額を繰延資産として計上して償却することになる。
問2は、このような地方公共団体との取引に関する税務上の取扱いについて、基本的な理解を問うものである。
以上、いずれも法人税法における基本的な制度に関し、具体的な事例への適用についての問いかけを行い、法令等を正しく解釈・適用することができるかどうかという能力を問うこととしている。
法人税法 〔第二問〕
〔基本方針〕
法人税の申告実務を行うに際して必要となる基礎的な事項を中心に作問した。
内国法人は、確定した決算に基づいて申告書を作成しなければならない。その申告書の作成は、会計上適正な計算書類の作成と並行して行われるのが通例である。その観点から、申告調整と同時に行われる決算修正事項も重視した。また、会社法及び隣接する税目と関係する事項も問題に取り入れた。
〔個別項目〕
1 減資
無償減資を題材に、減資の法人税法上の取扱い、減資法人の処理、親法人の処理及び関連する中小企業税制について幅広く問うものである。
2 完全支配関係がある法人間の取引
土地の売買を題材に、完全支配関係がある法人間の取引を問うものである。併せて、実務上必要となる法人税法上の手続や留意事項も問題に含めた。
3 交際費等及び寄附金
交際費等及び寄附金は法人税実務に必須の項目であることから、法人税申告書別表の形式での解答を求めた。また、二重課税となっている状態の解消についての基本的な考え方も質問項目とした。
4 控除対象外消費税額等
法人が消費税について税抜経理方式を採用している場合において、消費税の課税売上割合が95%未満であるときは、控除対象外消費税額等(仕入税額控除ができない仮払消費税等の額)が生じる。この控除対象外消費税額等の法人税法上の取扱いを問うものである。
5 「法人税、住民税及び事業税」及び租税公課
「中小企業の会計に関する指針」に基づいた処理を題材にして、法人税申告書別表五(二)の基本的な構造を理解しているかどうかを問うものである。
6 貸倒引当金、減価償却
事業年度をまたがる事例を題材にして、貸倒引当金の繰入限度額及び減価償却費の償却限度額の計算に関する基礎的な知識を問うものである。
相続税法 相続税法 〔第一問〕
問1
非上場株式等についての相続税の納税猶予(租税特別措置法第70条の7の2)は、平成21年度税制改正において措置された新しい制度である。
中小企業の事業の承継については、これらの企業が多くの雇用を抱え、様々な技術を有するなど地域経済の中核を担っている一方で、事業規模の大きい企業の場合にはその企業の資産価値等に応じて株式の価額が相対的に高額となり、株式以外の資産がほとんどない場合でも多額の相続税を納税することもあるため、後継者がこれを避けるために、株式を分散して相続することにより、安定的な事業の継続に支障をきたすこととなる。そこで、地域経済の活力を維持し、雇用を確保する観点から、この制度が措置されたものである。
この制度は、わが国の中小企業における経営者の死亡に伴う事業の承継に際して、相続税制の面から支援を行うものであり、相続税を理解する上において重要な事項である。
本問は、相続税における重要なこの制度について、その概要の説明を求めるものである。
問2
相続税法では、相続又は遺贈により財産を取得した者が、その相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(被相続人の直系卑属でその被相続人の養子となっている者で一定の者を除く。)及び配偶者以外の者である場合には、その者の相続税額については、相続税額の加算をすることとしている。
ただし、相続開始の時において被相続人の一親等の血族に該当しない相続時精算課税適用者については、その相続税額のうち被相続人の一親等の血族であった期間内に被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税の適用を受ける財産の価額に対応する相続税額については、相続税額の加算の対象とならない。
本問は、この相続税額の加算について理解しているかどうかを具体的事例に即して説明を求めるものである。
相続税法 〔第二問〕
相続税全般に関する理解度を測定するため、個別の財産評価、課税価格の算定、相続税の総額及び各相続人等の納付すべき税額までの算出を求める総合問題である。主なポイントは次のとおりである。
(1) 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価方法を理解しているかどうか。
(2) 余剰容積率の移転がある場合の宅地の評価方法を理解しているかどうか。
(3) 無道路地の評価方法を理解しているかどうか。
(4) 取引相場のない株式の評価で、類似業種比準価額による評価方法を理解しているかどうか。
(5) 海外に所在する財産の評価方法を理解しているかどうか。
(6) 小規模宅地等の特例の適用要件等を理解しているかどうか。
(7) みなし相続財産である生命保険金について理解しているかどうか。
(8) 生前贈与された財産の相続税の課税価格に加算される財産の範囲と贈与税額控除の控除対象を理解しているかどうか。
(9) 債務・葬式費用について控除範囲を理解しているかどうか。
消費税法消費税法 〔第一問〕
問1
消費税法では、資産の譲渡等を課税の対象とし、輸出免税の規定や国等に対する特例規定などが設けられている。
本問では、基本的な用語の意義のほか、具体的な事例に基づいて、これらの規定の適用関係を理解しているかどうかを問うものである。
問2
平成22年度税制改正では、平成22年4月1日以後開始する課税期間において、消費税法第9条第4項に規定する課税事業者を選択した場合及び同法第12条の2に規定する新設法人を設立した場合で、一定の課税期間中に調整対象固定資産を取得したときは、事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用が制限される等の見直しが行われた。
そこで、本問では、平成22年改正後の消費税法の適用関係について、その全体像を理解しているかどうかを問うものである。
消費税法 〔第二問〕
消費税の納付税額の計算に当たっては、課税資産の譲渡等の範囲、資産の譲渡等の時期及び課税標準の算定に関する事項を理解するとともに、仕入れに係る消費税額をはじめとする各種税額控除等について幅広く理解しておく必要がある。
また、企業会計実務においては、「税抜経理方式」が一般的な方式として採用されていることから、法人が消費税等の経理処理について「税抜経理方式」を採用している場合の消費税額の算出方法を理解していなければならない。
更に、経済環境の著しい変化に対応すべく組織再編が一般的に行われていることから、これに係る消費税等の取扱いについても正しく理解しておく必要がある。
そこで、本問においては、以下の事項を中心として法人の納付すべき消費税額を算出させることで消費税法の総合的な理解度を問うこととしている。
1 消費税等の経理処理について「税抜経理方式」を適用している場合において、課税標準額及び控除対象仕入税額等を正しく算定できるか。
2 小規模事業者に係る納税義務の免除について、基準期間がない法人の納税義務の免除の特例及び合併があった場合の納税義務の免除の特例の適用について正しく理解しているか。
3 売上げについて課税取引及び非課税取引の判定を適正に行い、課税標準額に対する消費税額が正しく算出できるか。
4 仕入税額控除の計算に当たって、課税仕入れの範囲とその時期、個別対応方式と一括比例配分方式による計算方法等を正しく理解しているか。また、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものとの区分を正しく行うことができるか。
5 課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整において、その適用対象となる資産の範囲について正しく理解しているか。また、課税売上割合が著しく変動した場合の計算方法等を正しく理解しているか。
6 合併が行われた場合の中間申告による納付税額及び確定申告による納付税額の算出方法を正しく理解しているか。
酒税法酒税法 〔第一問〕
酒税法第43条の規定において、酒類に水以外の物品(当該酒類と同一の品目の酒類を除く。)を混和した場合において、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなすこととしている(以下「みなし製造」という。)。
なお、一定の事項に該当する場合には、みなし製造の規定が適用されない場合がある。
本問は、みなし製造の規定が設けられている趣旨、みなし製造の規定が適用されない場合の要件、更には、具体的事例により、その理解を問うものである。
酒税法 〔第二問〕
酒税法の総合的な理解を問うため、製造場から移出した酒類について、酒類の品目及びその判定理由並びにその酒類の課税標準数量に対する酒税額、控除を受けようとする酒税額、納付すべき酒税額までの算出を求める問題である。
主なポイントは次のとおりである。
1 原料、製造方法等による酒類の分類、製造とみなされる範囲を理解しているか。
2 製造場からの移出とみなされる範囲を理解しているか。
3 租税特別措置法に定める酒税の税率の特例の規定を理解しているか。
国税徴収法国税徴収法 〔第一問〕
問1
(1) 徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者又は第三者の物又は住居その他の場所について捜索することができるが、捜索の相手方が第三者の場合には、滞納者の財産を所持する第三者がその引渡しをしないとき、又は滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある滞納者の親族その他の特殊関係者がその引渡しをしないときに限り、捜索することができるとされている(徴法142②)。
本問は、捜索の相手方が滞納者と第三者とでは、捜索できる場合に差異があることについての正確な理解がポイントとなる。
(2) 差押えの効力は、差押財産から生ずる法定果実には及ばないのが原則であるが、債権を差し押えた場合における差押え後の利息については、差押えの効力は及ぶとされている(徴法52②)。
本問は、この法定果実に対する差押えの効力についての理解度を問うものである。
(3) 参加差押えをした税務署長は、その参加差押えに係る滞納処分による差押財産が相当期間内に換価に付されないときは、すみやかにその換価をすべきことをその滞納処分をした行政機関等に催告することができるとされている(徴法87③)。
本問は、この参加差押権者による換価の催告についての理解度を問うものである。
(4) 第二次納税義務者の財産の換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるときを除き、納税者の財産を換価に付すまでの間(徴法32④)、又は第二次納税義務者が第二次納税義務に関する滞納処分について訴えを提起した場合におけるその訴訟の係属する間(徴法90③)は、行うことができないとされている。
本問は、この第二次納税義務者の財産についての換価制限についての理解度を問うものである。
(5) 法人が分割(分社型分割を除く。)をした場合には、当該分割により事業を承継した法人は、当該分割をした法人の分割の日前に納税義務の成立した国税(移出に係る酒税等及び航空機燃料税については分割の日の属する月の前月末日までに納税義務の成立したもの)について、当該分割をした法人から承継した財産の価額を限度として、連帯納付の責めに任ずるとされている(通法9条の2)。
本問は、この法人の分割に係る連帯納付の責任についての理解度を問うものである。
問2
差押えの解除は、差押えの効力を将来に向かって失わせるものであるが、差押えの解除には、必ず差押えを解除しなければならない場合と税務署長等の権限により差押えを解除することができる場合とがある。
本問は、「差押えを解除することができる場合」を問うものであり、「差押えを解除しなければならない場合」と「差押えを解除することができる場合」の差異についての正確な理解がポイントとなる。
国税徴収法 〔第二問〕
納税者が国税を滞納した場合において、その者が国税の法定納期限等後に譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となっているもの(譲渡担保財産)があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができるとされている(徴法24)。
譲渡担保財産から納税者の国税を徴収する場合には、譲渡担保権者は第二次納税義務者とみなされ、譲渡担保財産に対して滞納処分の執行がされることになるが、その結果、納税者の国税と譲渡担保権者の国税等とが競合する事態が生じることとなるが、そのような場合は、納税者の国税が譲渡担保権者の国税等に優先するよう差押先着手及び交付要求先着手による国税の優先の特例が設けられている(徴令9)。
本問は、滞納整理における具体的な設例の下、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収できる場合の要件及び徴収する場合の手続並びに譲渡担保財産が公売された場合の各債権者に対する換価代金の配当額を問う総合問題であり、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収できる要件(徴法24①⑧)、譲渡担保権者に対する告知(徴法24②、徴令8①)、譲渡担保権者の所轄税務署長等に対する通知(徴法24②、徴令8②)、譲渡担保権者の国税等に対する納税者の国税の優先(徴令9)、国税及び地方税等と私債権との競合の調整(徴法26)等についての正確な理解がポイントとなる。
住民税住民税 〔第一問〕
問1
道府県民税利子割の制度の概要及び特徴についての理解を問うものであり、主なポイントは以下のとおり。
(1)利子割の納税義務者、課税標準、税率
(2)道府県民税利子割と道府県民税配当割の課税団体や課税方式の相違点
(3)法人住民税における利子割額の控除
問2
個人の市町村民税の非課税制度の意義及び概要についての理解を問うものであり、主なポイントは以下のとおり。
(1)均等割が非課税となる者の範囲及び非課税措置の基準となる金額の算定方法
(2)所得割の非課税措置の基準となる金額の算定方法
(3)条例による免除を行うことができる事由の範囲
住民税 〔第二問〕
個人の住民税(市町村民税・道府県民税)の税額の算出を通じて、個人住民税に関する地方税法の規定の適用についての総合的な理解を求めるもの。特に、税額の算出過程における所得税の取扱いとの差異、非課税となる者の範囲について正しく理解しているかを問うもので、主なポイントは次のとおり。
給与所得控除
公的年金等控除
配当所得
不動産所得
事業所得
短期譲渡所得及び長期譲渡所得
一時所得
損益通算
株式等に係る譲渡所得
所得控除(人的控除、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除)
税額控除(調整控除、寄附金税額控除、配当控除、住宅借入金等特別税額控除、配当割額控除、株式等譲渡所得割額控除)
所得割額及び均等割額
非課税の判定
事業税事業税 〔第一問〕
問1
所得割の課税標準の算定について、正しく理解しているかを問うものである。主なポイントは次のとおりである。
所得の算定方法
法人税の課税標準である所得の計算の例によらない場合の事業税の取り扱い
欠損金額及び個別欠損金額の取り扱い
問2
青色事業専従者及び事業専従者に係る所得の計算の方法について、正しく理解しているかを問うものである。主なポイントは次のとおりである。。
青色事業専従者の範囲及び対象経費の考え方
事業専従者の範囲及び対象経費の考え方
事業税 〔第二問〕
外形対象法人に係る徴収猶予について、正しく理解しているかを問うものである。主なポイントは次のとおりである。
外形対象法人に係る徴収猶予の適用要件
2以上の都道府県に事務所等がある場合の申請手続き
徴収猶予期間の延長
徴収猶予取り消し
中間申告における徴収猶予の適用
延滞金の免除
事業税 〔第三問〕
解散した外形対象法人の事業税の算定について、正しく理解しているかを問うものである。主なポイントは次のとおりである。
課税対象となる割の取り扱い
報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の算定
軽減税率適用の判断
分割基準の種類及び算定方法
税額の算定(標準税率、制限税率)
固定資産税固定資産税 〔第一問〕
1 固定資産税においては、様々な情報開示制度が設けられているが、その情報開示制度の一つである縦覧帳簿の縦覧制度について、基本的な理解を問うものである。
2 固定資産税においては、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)に基づく不服申立制度とは別に、市町村長から独立した第三者機関である固定資産評価審査委員会に対する審査申出制度が定められている。この審査申出制度は、納税者の権利を保護するための重要な制度であることから、その基本的な理解を問うものである。
固定資産税 〔第二問〕
税額の計算問題を通して固定資産税制度の理解力を問うものである。
1 震災等により滅失等した区分所有家屋の敷地の用に供されていた土地については、住宅用地の範囲、区分所有家屋に係る課税按分に特例措置等が講じられている。本問は、これらについての理解を問うものである。
2 船舶等の移動性償却資産については、所在市町村に対する価格の配分に係る基準が設けられている。本問は、償却資産の評価制度とともに、船舶に係る価格の算出方法、価格の配分方法の理解を問うものである。
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