解説記事2012年04月16日 【ニュース特集】 LEDランプ取替費用、質疑応答事例の射程範囲(2012年4月16日号・№447)
単純な交換のみの取扱いは明らかにされたが……
LEDランプ取替費用、質疑応答事例の射程範囲
国税庁は3月30日、質疑応答事例を更新し「自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて」を公表した。蛍光灯からLEDランプに交換した場合の取替費用については実務家の関心も高いところだが、今回の質疑応答事例により、単純な蛍光灯から蛍光灯型LEDランプへの取替費用は修繕費として処理できることが明らかにされた。蛍光灯からLEDランプに交換した場合、LEDランプの単価が高額であることから資本的支出に該当するのではないかという疑問は解消されたかたちだ。ただし、蛍光灯からLEDランプへの取替えに工事が伴う場合には、その規模や内容によって資本的支出に該当するケースも念頭に置いた対応が必要となる。
事例中の取付工事費用=蛍光灯取替えの手間賃 国税庁が公表した質疑応答事例「自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて」の射程範囲を検証するために、まず「照会要旨」の内容を見ていく(6頁参照)。
照会要旨では、節電対策として自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替える場の取替費用を修繕費として処理できるかを聞いているが、ポイントとなるのは、「当社は、これまで蛍光灯が切れた際の取替費用を消耗品費として処理しています」としている点だ。このことから、照会者は、蛍光灯が切れた場合に新しい蛍光灯に取り替えるのと同様に、単純に蛍光灯をLEDランプに取り替えたのみの場合を前提としていると考えられる。この点は、以下の「取替の概要」からも確認することができる。
(1)事務室の蛍光灯100本すべてを蛍光灯型LEDランプに取り替える。なお、この取替えに当たっては、建物の天井のピットに装着された照明設備(建物附属設備)については、特に工事は行われていない。
(2)蛍光灯型LEDランプの購入費用 10,000円/本
(3)取付工事費 1,000円/本
(4)取替えに係る費用総額 1,100,000円
ここで押えておきたいのは、事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えるに当たって、建物天井のピットに装着された照明設備(建物附属設備)に工事は行われていないということ。この工事に関しては、上記(3)の取付工事費との関係が分かりにくいのだが、取付工事費1,000円/1本とは、工事業者が蛍光灯100本を取り替える手間賃だということだ。
すなわち、今回の質疑応答事例は、蛍光灯から蛍光灯型LEDランプへの単純な取替えのみが対象であり、取替えに伴い工事等が行われたケースは、質疑応答事例の射程範囲に含まれていないことになる。
資本的支出該当性も念頭にした対応が必要 質疑応答事例で国税庁は、単純な蛍光灯から蛍光灯型LEDランプへの取替費用の取扱いについて、蛍光灯(または蛍光灯型LEDランプ)は、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための1つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられるので、修繕費として処理することが相当と回答している。
確かに、通常の蛍光灯についても、これまでに進化し、その性能は高められてきた。LEDランプも照明の性能は高まっているが、機能が変化しているわけではない。したがって、通常の蛍光灯の取替えとLEDランプへの取替えとでは取扱いが異なるものではないという整理だ。このように、蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに単純に取り替えた場合の取替費用の取扱いが明確化されたことで、LEDランプが高価であることを理由に、その取替費用が資本的支出に該当するのではないかという疑問は解消されたことになる。
ただし、前述のように、今回の質疑応答事例は、単純に蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えたのみの場合の税務上の取扱いを示したものであり、取り替えに当たって工事等が行われた場合の取扱いは示されていない。
蛍光灯からLEDランプへの取替えに当たっては、安定器取外し工事等が伴うケースがある。その工事の内容や規模によっては、税務上、資本的支出に該当するケースもあり得ることを念頭におく必要がある。
LEDの普及は進むが、当局の対応は?
LEDランプ取替費用、質疑応答事例の射程範囲
国税庁は3月30日、質疑応答事例を更新し「自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて」を公表した。蛍光灯からLEDランプに交換した場合の取替費用については実務家の関心も高いところだが、今回の質疑応答事例により、単純な蛍光灯から蛍光灯型LEDランプへの取替費用は修繕費として処理できることが明らかにされた。蛍光灯からLEDランプに交換した場合、LEDランプの単価が高額であることから資本的支出に該当するのではないかという疑問は解消されたかたちだ。ただし、蛍光灯からLEDランプへの取替えに工事が伴う場合には、その規模や内容によって資本的支出に該当するケースも念頭に置いた対応が必要となる。
事例中の取付工事費用=蛍光灯取替えの手間賃 国税庁が公表した質疑応答事例「自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて」の射程範囲を検証するために、まず「照会要旨」の内容を見ていく(6頁参照)。
照会要旨では、節電対策として自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替える場の取替費用を修繕費として処理できるかを聞いているが、ポイントとなるのは、「当社は、これまで蛍光灯が切れた際の取替費用を消耗品費として処理しています」としている点だ。このことから、照会者は、蛍光灯が切れた場合に新しい蛍光灯に取り替えるのと同様に、単純に蛍光灯をLEDランプに取り替えたのみの場合を前提としていると考えられる。この点は、以下の「取替の概要」からも確認することができる。
(1)事務室の蛍光灯100本すべてを蛍光灯型LEDランプに取り替える。なお、この取替えに当たっては、建物の天井のピットに装着された照明設備(建物附属設備)については、特に工事は行われていない。
(2)蛍光灯型LEDランプの購入費用 10,000円/本
(3)取付工事費 1,000円/本
(4)取替えに係る費用総額 1,100,000円
ここで押えておきたいのは、事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えるに当たって、建物天井のピットに装着された照明設備(建物附属設備)に工事は行われていないということ。この工事に関しては、上記(3)の取付工事費との関係が分かりにくいのだが、取付工事費1,000円/1本とは、工事業者が蛍光灯100本を取り替える手間賃だということだ。
すなわち、今回の質疑応答事例は、蛍光灯から蛍光灯型LEDランプへの単純な取替えのみが対象であり、取替えに伴い工事等が行われたケースは、質疑応答事例の射程範囲に含まれていないことになる。
▶法基通7-8-2(修繕費に含まれる費用) |
法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となる…(以下略)…。 |
(参考)資本的支出に係る法令等 |
法人税法施行令132条(資本的支出) 内国法人が、修理、改良その他いずれの名義をもつてするかを問わず、その有する固定資産について支出する金額で次に掲げる金額に該当するものは、その内国法人のその支出する日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。 一 当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測される当該資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額 二 当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測されるその支出の時における当該資産の価額を増加させる部分に対応する金額 法基通7-8-1(資本的支出の例示) 法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となる…(以下略)…。 |
資本的支出該当性も念頭にした対応が必要 質疑応答事例で国税庁は、単純な蛍光灯から蛍光灯型LEDランプへの取替費用の取扱いについて、蛍光灯(または蛍光灯型LEDランプ)は、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための1つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられるので、修繕費として処理することが相当と回答している。
確かに、通常の蛍光灯についても、これまでに進化し、その性能は高められてきた。LEDランプも照明の性能は高まっているが、機能が変化しているわけではない。したがって、通常の蛍光灯の取替えとLEDランプへの取替えとでは取扱いが異なるものではないという整理だ。このように、蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに単純に取り替えた場合の取替費用の取扱いが明確化されたことで、LEDランプが高価であることを理由に、その取替費用が資本的支出に該当するのではないかという疑問は解消されたことになる。
ただし、前述のように、今回の質疑応答事例は、単純に蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えたのみの場合の税務上の取扱いを示したものであり、取り替えに当たって工事等が行われた場合の取扱いは示されていない。
蛍光灯からLEDランプへの取替えに当たっては、安定器取外し工事等が伴うケースがある。その工事の内容や規模によっては、税務上、資本的支出に該当するケースもあり得ることを念頭におく必要がある。

LEDの普及は進むが、当局の対応は?
自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて 【照会要旨】 当社では、節電対策として自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることを考えていますが、その取替に係る費用については、修繕費として処理して差し支えありませんか。 なお、当社は、これまで蛍光灯が切れた際の取替費用を消耗品費として処理しています。 【取替の概要】 ① 事務室の蛍光灯100本すべてを蛍光灯型LEDランプに取り替える。 なお、この取替えに当たっては、建物の天井のピットに装着された照明設備(建物附属設備)については、特に工事は行われていない。 ② 蛍光灯型LEDランプの購入費用 10,000円/本 ③ 取付工事費 1,000円/本 ④ 取替えに係る費用総額 1,100,000円 【取替メリット】 ① 消費電力が少ない(電気代の削減) ② 寿命が長い ③ LEDランプの白色光は、紫外線をほとんど含まないため、生鮮物や化学薬品に影響が小さく、また虫の飛来抑制にもなる ④ 安全で軽量 ⑤ 発熱が少ないため、空調に与える影響が少なく、エアコンなどに係る負担を軽減できる 【回答要旨】 照会要旨に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおり解して差し支えありません。 (理由) 1 修繕費と資本的支出 法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額は修繕費となります(法基通7−8−2)。一方、法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額は資本的支出となります(法令132、法基通7−8−1)。 2 本件へのあてはめ 蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることで、節電効果や使用可能期間などが向上している事実をもって、その有する固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増しているとして資本的支出に該当するのではないかとも考えられますが、蛍光灯(又は蛍光灯型LEDランプ)は、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられますので、修繕費として処理することが相当です。 |
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