資料2012年05月10日 【主要判例】 刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情があるとされた事例平成24年(し)第219号 弁護人の人数超過許可請求却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告
平成24(し)219 弁護人の人数超過許可請求却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告
平成24年05月10日 最高裁判所第三小法廷 決定 その他 高松高等裁判所
事件番号 平成24(し)219
事件名 弁護人の人数超過許可請求却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告
裁判年月日 平成24年05月10日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 決定
結果 その他
判例集等巻・号・頁
原審裁判所名 高松高等裁判所
原審事件番号 平成24(く)23
原審裁判年月日 平成24年05月02日
判示事項
裁判要旨
刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情があるとされた事例平成24年(し)第219号 弁護人の人数超過許可請求却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告
平成24年5月10日 第三小法廷決定
主 文
原決定を取り消す。
本件を高松高等裁判所に差し戻す。
理 由
本件抗告の趣意は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴法433条の抗告理由に当たらない。
所論に鑑み,職権で判断する。
本件は,会社の代表取締役である申立人が,共犯者らと共謀の上,同社の業務に関し,法人税合計3600万円余りを免れたとされる被疑事実について,刑訴規則27条に基づき,弁護人の数を3人を超えて6人とすることの許可を求める旨の請求がされたところ,原々審がこれを却下する決定をし,申立人の抗告申立てに対し,原審が抗告棄却決定をしたので,特別抗告がされた事案である。
刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情については,被疑者弁護の意義を踏まえると,事案が複雑で,頻繁な接見の必要性が認められるなど,広範な弁護活動が求められ,3人を超える数の弁護人を選任する必要があり,かつ,それに伴う支障が想定されない場合には,これがあるものと解されるところ,本件においては,税務申告書に架空の減価償却費用を計上するなどして多額の所得を秘匿したという事件につき,犯意,共謀等を争っている複雑な事案であること,申立人は被疑事件につき接見禁止中であり,弁護人による頻繁な接見の必要性があること,会社の従業員,税理士事務所職員ら多数の関係者が存在し,これらの者と弁護人が接触するなどの弁護活動も必要とされることなどの事情が認められ,上記のような支障も想定されないから,刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情があるものというべきである。そうすると,原決定は,特別の事情があるとは認められないとして上記請求を却下した原々決定を是認したものであるから,刑訴規則27条1項ただし書の解釈適用を誤った違法があると言わざるを得ない。そして,3人を超えて何人の弁護人を許可するのが相当であるか改めて検討する必要がある。
よって,刑訴法411条1号,434条,426条2項により,原決定を取り消した上,本件を原裁判所に差し戻すこととし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 大橋正春 裁判官 田原睦夫 裁判官 岡部喜代子 裁判官 大谷剛彦 裁判官 寺田逸郎)
PDFファイルを表示(20120514130749.pdf)
平成24年05月10日 最高裁判所第三小法廷 決定 その他 高松高等裁判所
事件番号 平成24(し)219
事件名 弁護人の人数超過許可請求却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告
裁判年月日 平成24年05月10日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 決定
結果 その他
判例集等巻・号・頁
原審裁判所名 高松高等裁判所
原審事件番号 平成24(く)23
原審裁判年月日 平成24年05月02日
判示事項
裁判要旨
刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情があるとされた事例平成24年(し)第219号 弁護人の人数超過許可請求却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告
平成24年5月10日 第三小法廷決定
主 文
原決定を取り消す。
本件を高松高等裁判所に差し戻す。
理 由
本件抗告の趣意は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴法433条の抗告理由に当たらない。
所論に鑑み,職権で判断する。
本件は,会社の代表取締役である申立人が,共犯者らと共謀の上,同社の業務に関し,法人税合計3600万円余りを免れたとされる被疑事実について,刑訴規則27条に基づき,弁護人の数を3人を超えて6人とすることの許可を求める旨の請求がされたところ,原々審がこれを却下する決定をし,申立人の抗告申立てに対し,原審が抗告棄却決定をしたので,特別抗告がされた事案である。
刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情については,被疑者弁護の意義を踏まえると,事案が複雑で,頻繁な接見の必要性が認められるなど,広範な弁護活動が求められ,3人を超える数の弁護人を選任する必要があり,かつ,それに伴う支障が想定されない場合には,これがあるものと解されるところ,本件においては,税務申告書に架空の減価償却費用を計上するなどして多額の所得を秘匿したという事件につき,犯意,共謀等を争っている複雑な事案であること,申立人は被疑事件につき接見禁止中であり,弁護人による頻繁な接見の必要性があること,会社の従業員,税理士事務所職員ら多数の関係者が存在し,これらの者と弁護人が接触するなどの弁護活動も必要とされることなどの事情が認められ,上記のような支障も想定されないから,刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情があるものというべきである。そうすると,原決定は,特別の事情があるとは認められないとして上記請求を却下した原々決定を是認したものであるから,刑訴規則27条1項ただし書の解釈適用を誤った違法があると言わざるを得ない。そして,3人を超えて何人の弁護人を許可するのが相当であるか改めて検討する必要がある。
よって,刑訴法411条1号,434条,426条2項により,原決定を取り消した上,本件を原裁判所に差し戻すこととし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 大橋正春 裁判官 田原睦夫 裁判官 岡部喜代子 裁判官 大谷剛彦 裁判官 寺田逸郎)
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