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コラム2013年06月24日 【SCOPE】 IFRS任意適用の要件緩和で加速する単体開示の簡素化(2013年6月24日号・№504)

B/S・P/Lは会社計算書類を流用へ
IFRS任意適用の要件緩和で加速する単体開示の簡素化

 IFRSの任意適用の要件緩和を打ち出したことを契機に、単体開示の簡素化が実現する方向となっている。企業会計審議会では、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書に関しては、会社法の計算書類と金融商品取引法の財務諸表との間で開示水準が大きく変わらないため、会社法の要求水準とする旨の報告書を取りまとめた。つまり、貸借対照表などの本表については会社計算書類を流用することが可能になり、実質、金融商品取引法の単体開示は廃止されることになる。

IFRS適用のネックとなる開示量
 企業会計審議会がIFRSの任意適用の要件緩和を打ち出したことを契機として、単体開示の簡素化が実現する方向となっている。
 IFRSの強制適用の是非はいまだ結論が出ていないが、企業会計審議会は任意適用に関しては要件を緩和することで適用会社を増やす方針だ。自民党の金融調査会に設置された企業会計に関する小委員会(小委員長:吉野正芳衆議院議員)も6月13日に取りまとめた提言において、3年後の2016年末までに300社程度が任意適用するよう数値目標が掲げられている(今号12頁参照)。
 任意適用も含め、IFRSを適用するうえでネックとなるのは開示の分量の多さだ。ただでさえ連結財務諸表の開示事項が多いなか、日本の場合は金融商品取引法上に加え、会社法上でも単体開示が求められている。諸外国の制度と大きく異なる点となっている(参照)。

経済界は連結ベースの一本化を主張  経済界は、従来からIFRSの適用の有無に関係なく、単体開示の廃止を主張している。上場会社は、会社法と金融商品取引法に基づく単体開示が求められているが、両者の開示規則は必ずしも一致しておらず、別々の書類を作成しているのが現状であり、作成負担が重いからだ。
 日本経済団体連合会が6月10日に公表した「今後のわが国の企業会計制度に関する基本的考え方」においても、「金融商品取引法上の開示は連結ベースへ一本化を図り、単体情報の開示は廃止の上、会社法計算書類を活用する仕組みとするなど、金融商品取引法は連結情報、会社法は単体情報という役割分担の明確化、見直しを図り、開示内容の簡素化・効率化を図るべきである」としている。
 また、経済産業省が主催する企業財務委員会も6月17日に「企業会計実務者分科会」報告を公表。そのなかで単体開示を一本化し、金融商品取引法上の単体開示を廃止することが重要であり、取り組むべき課題であるとしている。

金商法上の本表の単体開示は実質廃止に
 企業会計審議会が6月19日に取りまとめた「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」では、慎重な意見はあるものの、単体開示の簡素化が盛り込まれた。本誌取材によれば、平成26年3月期から実施されることになる(本誌501号参照)。秋頃には開示府令案が公表される見込みだ。
 具体的には、本表(貸借対照表、損益計算書および株主資本等変動計算書)に関しては、会社法の計算書類と金融商品取引法の財務諸表とでは開示水準が大きく変わらないため、会社法の要求水準に統一することを基本とするとしている。つまり、本表については会社計算書類が流用できることになり、実質、金融商品取引法上の単体開示は廃止されることになる。
 また、注記事項、附属明細表、主な資産・負債の内容に関しては、①会社法と金商法とで開示水準が大きく変わらない場合は会社法の要求水準に統一、②会社法の計算書類で開示されなくても、金商法の連結財務諸表において連結ベースで情報が開示されている場合には、金商法の個別ベースの開示を免除することとしている。
セグメント情報を充実へ  単体開示の簡素化については、最終的には個別の注記事項について、財務諸表利用者のニーズ、財務諸表作成者のコスト負担、国際的な整合性などを踏まえて従来どおりの開示が必要になるか否か検討が行われることになる。
 方向性としては、単体開示の情報がかなり少なくなるため、証券アナリストなどの財務諸表利用者からは懸念の声があることも事実。この懸念の声に配慮し、連結財務諸表におけるセグメント情報を充実させたり、一部の注記内容を非財務情報として開示することなどが検討されている模様だ。
非連結財務諸表作成会社は見直しなし  一方、単体開示のみの会社については、連結財務諸表の作成負担がなく、単体開示の簡素化に伴い代替する連結財務諸表の情報もないため、特に見直しは行われない。

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