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コラム2013年07月29日 【SCOPE】 不正リスク対応基準を踏まえて明確化する上場廃止基準(2013年7月29日号・№509)

東証、8月中にも実施へ
不正リスク対応基準を踏まえて明確化する上場廃止基準

 東京証券取引所は8月中にも上場廃止基準などを見直す方針だ。オリンパスの粉飾決算事件やそれを踏まえた不正リスク対応基準により企業内容等開示ガイドラインが改正されたことを受けたものである。スコープでは上場制度の見直しのポイントを解説する。

延長提出期限から8日間以内の提出が必要
 東京証券取引所は6月17日、特設注意市場銘柄の積極的な活用等のための上場制度の見直し案を公表した(7月17日で意見募集は終了)。見直し案のポイントは4点だ。具体的には、(1)有価証券報告書または四半期報告書の提出遅延に係る上場廃止基準の見直し、(2)虚偽記載または不適正意見等に起因する上場廃止基準の取扱いの明確化、(3)特設注意市場銘柄制度の見直し、(4)上場契約違約金の額の見直し(今号42頁参照)である。
 (1)の有価証券報告書等の提出延長に係る上場廃止基準の見直しは、「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定について」を踏まえて金融庁が6月11日に改正した「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」を受けてのものである。
期末までに数値が確定しない状況を懸念  不正リスク対応基準が適用されることで懸念されるのは、期末間際に虚偽記載などが見つかり、有価証券報告書の提出期限までに連結財務諸表の数値が確定せず、提出できないことが多くなるのではないかといった点だ。
 このため、従来、「やむを得ない理由」として、有価証券報告書等の提出期限の延長が認められていた①天変地異、大規模なシステムダウン等の発生、②民事再生手続開始の申立て等、③外国会社が、本国の法令等により、提出期限までに有価証券報告書等の提出ができないことに加えて、④過去に提出した有価証券報告書等に虚偽の記載が発見され、過年度の連結財務諸表等の訂正が必要であること(その旨を公表している場合に限る)、⑤連結財務諸表等に虚偽表示の疑義が発見され、監査人等による追加的な監査手続が必要であること(その旨を公表している場合に限る)が加えられた。
 今回の上場廃止基準の見直しでは、上場会社が有価証券報告書等について内閣総理大臣から提出期間の延長の承認を得た場合には、内閣総理大臣から承認を得た期間の経過後8日目の日までに当該承認に係る有価証券報告書等を提出しなかった場合には上場廃止になるとしている(参照)。

上場廃止基準の運用が不透明との指摘  (2)の虚偽記載等に起因する上場廃止基準の取扱いに関しては、現行、①上場会社が有価証券報告書等の虚偽記載を行った場合、または②上場会社の財務諸表等に添付される監査報告書等において不適正意見等が記載された場合で、かつ、「その影響が重大であると当取引所が認める場合」とされている。この点、上場廃止基準の運用が不透明といった指摘があり、今回、前述の①または②のいずれかに該当し、かつ、「直ちに上場廃止としなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかなとき」とされる方向だ。
 この「直ちに上場廃止としなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかなとき」とは、たとえば、上場前から債務超過であったケース、虚偽記載により上場基準の著しい逸脱があったケースや実態として売上高の大半が虚偽であったケースなどが該当すると説明されている。
虚偽記載なら特設注意市場銘柄へ  現行の特設注意市場銘柄制度では、①上場会社が虚偽記載または不適正意見等その他の上場廃止基準に該当するおそれがあると取引所が認めた後、上場廃止基準に該当しないと認めた場合、②改善報告書を提出した後、改善措置の実施状況等に改善が認められないと取引所が認めた場合には特設注意市場銘柄へ指定することが可能になる。
 (3)の特設注意市場銘柄制度の見直しでは、前記①に関して、虚偽記載等の場合には上場廃止基準に該当するおそれがあると認められるか否かに関係なく特設注意市場銘柄への指定を可能とするとともに、会社情報の適時開示規定に違反した場合や企業行動規範の「遵守すべき事項」に違反した場合で内部管理体制等の改善の必要性が高いと認められる場合についても特設注意市場銘柄への指定を可能にする。なお、内部管理体制等の改善期間は現行の3年以内から1年間に変更する。

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