コラム2013年10月21日 【レポート】 近隣に暴力団事務所が存在、土地の取引価額への影響は?(2013年10月21日号・№520)
近隣に暴力団事務所が存在、土地の取引価額への影響は?
裁判所、購入金額の「10%」を損害と認定
売主が買主に対して、土地の近隣に暴力団事務所が存在することを告げなかったことが発端となっていた訴訟事案で裁判所は、売主の説明義務違反を認め、約2,000万円の損害賠償を命じた(東京地裁平成25年8月21日判決)。 裁判所は、暴力団事務所の存在による減価率を「10%」と認定し、売買代金2億円のうち2,000万円を減額すべきとしている。
売買の対象とされた土地そのものではなく、近隣の暴力団事務所の存在を土地の減価要因と認めた点が注目されそうな裁判所の判断内容をレポートする。
原告会社は土地購入後に存在を認識 発端は、被告が原告会社に本件土地(約200㎡)を譲渡する際に、本件土地の近隣に暴力団事務所が存在することを認識しながら、その旨を告げなかったことから始まる(図参照)。
原告会社は、本件土地の購入後に、近隣に暴力団事務所が存在することが判明したため、被告に対して損害賠償等を請求していた。
具体的には、①詐欺による売買の取消し、②売買契約の錯誤無効、③瑕疵担保責任、④説明義務違反という4つの点から被告に対して損害賠償等を求める訴訟を提起していた。
売主(被告)の説明義務違反を認定 原告会社の主張に対して、裁判所は、「④説明義務違反」についてのみ被告の責任を認め、被告に対して損害賠償を命じる判決を言い渡している。
具体的にみると、裁判所はまず、一般に、契約の当事者が契約の締結に先立ち、その契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき事情を知っていたときは、これを説明し告知する信義則上の義務があると指摘した。本事案については、被告が原告会社に対し、本件売買契約に先立ち本件事務所の存在を告げなかった点において説明義務違反があると認定した。
そのうえで、被告が説明義務を尽くし、原告会社に本件事務所の存在を告げていれば、原告会社は本件土地を2億円の価値のあるものとは評価しなかったはずであるため、本件土地の代金額2億円を基準に本件事務所の存在による減価率として客観的に相当と認められる減価率1割を乗じた2,000万円をもって原告会社の損害と認める旨の判断を示した(表参照)。
裁判所、購入金額の「10%」を損害と認定
売主が買主に対して、土地の近隣に暴力団事務所が存在することを告げなかったことが発端となっていた訴訟事案で裁判所は、売主の説明義務違反を認め、約2,000万円の損害賠償を命じた(東京地裁平成25年8月21日判決)。 裁判所は、暴力団事務所の存在による減価率を「10%」と認定し、売買代金2億円のうち2,000万円を減額すべきとしている。
売買の対象とされた土地そのものではなく、近隣の暴力団事務所の存在を土地の減価要因と認めた点が注目されそうな裁判所の判断内容をレポートする。
原告会社は土地購入後に存在を認識 発端は、被告が原告会社に本件土地(約200㎡)を譲渡する際に、本件土地の近隣に暴力団事務所が存在することを認識しながら、その旨を告げなかったことから始まる(図参照)。

原告会社は、本件土地の購入後に、近隣に暴力団事務所が存在することが判明したため、被告に対して損害賠償等を請求していた。
具体的には、①詐欺による売買の取消し、②売買契約の錯誤無効、③瑕疵担保責任、④説明義務違反という4つの点から被告に対して損害賠償等を求める訴訟を提起していた。
売主(被告)の説明義務違反を認定 原告会社の主張に対して、裁判所は、「④説明義務違反」についてのみ被告の責任を認め、被告に対して損害賠償を命じる判決を言い渡している。
具体的にみると、裁判所はまず、一般に、契約の当事者が契約の締結に先立ち、その契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき事情を知っていたときは、これを説明し告知する信義則上の義務があると指摘した。本事案については、被告が原告会社に対し、本件売買契約に先立ち本件事務所の存在を告げなかった点において説明義務違反があると認定した。
そのうえで、被告が説明義務を尽くし、原告会社に本件事務所の存在を告げていれば、原告会社は本件土地を2億円の価値のあるものとは評価しなかったはずであるため、本件土地の代金額2億円を基準に本件事務所の存在による減価率として客観的に相当と認められる減価率1割を乗じた2,000万円をもって原告会社の損害と認める旨の判断を示した(表参照)。

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