カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2014年07月14日 【税制改正解説】 平成26年度税制改正における相続税・贈与税関係の改正について(上)(2014年7月14日号・№554)

税制改正解説
平成26年度税制改正における相続税・贈与税関係の改正について(上)
 小野寺武志

相続税法の改正

Ⅰ延納に係る担保提供不要基準の見直し

1 改正前の制度の概要
 資産に対する課税である相続税及び贈与税については、金銭で一時に納付することが困難な場合のために延納制度が設けられている。税務署長は、納税義務者の申請したにより、延納の許可をする場合には、延納税額に相当する担保を徴さなければならないこととされているが、その延納税額が50万円未満(担保提供不要基準額)で、かつ、延納期間が3年以下である場合は、担保の徴取は不要とされていた(旧相法38④)。

2 改正の内容  担保提供不要基準額(改正前:50万円未満)が100万円以下とされた(相法38④)。

3 適用関係  上記2の改正は、平成27年4月1日以後に提出される延納の申請書に係る延納の許可について適用され、同日前に提出された延納の申請書に係る延納の許可については従前どおりとされている(改正法附則1三ロ、37①)。

Ⅱ 調書の提出の特例の改正

1 改正前の制度の概要
(1)調書の提出義務
 ① 保険金又は退職手当金等に関する調書
 保険会社等又は退職手当金等を支給した者でこの法律の施行地に営業所等を有する者は、その月中に支払った生命保険契約の保険金若しくは一定の損害保険契約の保険金又は退職手当金等について、原則として翌月15日までに、受取人別又は受給者別の調書をその営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない(旧相法59①、旧相令30①、旧相規30①)。
 ② 信託に関する調書  信託の受託者でこの法律の施行地に営業所等を有するものは、信託の効力が生じたことその他一定の事由が生じた場合には、原則としてその事由が生じた日の属する月の翌月末日までに、受益者別又は委託者別の調書をその営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない(旧相法59②、旧相令30②、旧相規30③)。
(2)調書の提出の特例   上記(1)①又はの調書のうち、その調書の提出期限の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの間に提出すべきであった枚数が1,000枚以上であるものについては、その調書に記載すべきものとされる事項(以下「調書記載事項」という。)を電子情報処理組織(e-tax)を使用する方法又は調書記載事項を記録した光ディスク等(注)を提出する方法のいずれかの方法により所轄税務署長に提供しなければならないこととされていた(旧相法59④)。
  上記(1)①及びの調書は、原則として書類で提出すべきものとされているが、所轄税務署長の承認を受けた場合又は提出すべき調書の提出期限の属する年以前の各年のいずれかの年において上記(2)①により光ディスク等を提出した場合には、その調書記載事項を記録した光ディスク等の提出をもって調書の提出に代えることができることとされていた(旧相法59⑤)。
(注)「光ディスク等」とは、光ディスク、磁気テープ又は磁気ディスクをいう。

2 改正の内容
(1)
調書を提出すべき者が、所轄税務署長の承認を受けた場合には、その所轄税務署長以外の税務署長に対し、調書記載事項を電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法又はその調書記載事項を記録した光ディスク等を提出する方法のいずれかの方法により提供できることとされた(相法59⑥、相令30④)。
(2)上記1(2)②又は上記2(1)の所轄税務署長の承認を受けるための申請書の提出があった場合において、その提出の日から2月を経過する日までにその申請につき承認をし、又は、承認をしないこととした旨の通知がなかったときは、その日においてその承認があったものとみなすこととされた(相令30⑥)。

3 適用関係  上記2(1)の改正は、平成26年4月1日以後に提供する調書記載事項について適用され、上記2(2)の改正は、平成26年4月1日以後に提出する申請書について適用される(改正法附則37②、改正相令附則6)。

租税特別措置法等(相続税・贈与税関係)の改正

Ⅰ 医療法人の持分に係る経済的利益についての贈与税の納税猶予及び免除(措法70の7の5)

1 創設された制度の概要
(1)概要
 認定医療法人の持分を有する個人(以下「贈与者」という。)がその持分の全部又は一部の放棄をしたことにより、その認定医療法人の持分を有する他の個人(以下「受贈者」という。)に対して贈与税が課される場合には、その放棄があった日の属する年分の贈与税で贈与税の申告書の提出により納付すべきものの額のうち、その放棄により受けた経済的利益の価額でその贈与税の申告書にこの特例の適用を受けようとする旨の記載があるものに係る納税猶予分の贈与税額に相当する贈与税については、贈与税の申告期限までにその納税猶予分の贈与税額に相当する担保を提供した場合に限り、認定移行計画に記載された移行期限まで、納税が猶予される(措法70の7の5①)。
(注1)「認定医療法人」とは、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日(平成26年10月1日の予定)から起算して3年を経過する日までの間に、持分の定めのない医療法人に移行する計画を作成し、その計画について厚生労働大臣の認定を受けた医療法人をいう。
(注2)「納税猶予分の贈与税額」とは、経済的利益の価額をその年分の贈与税の課税価格とみなして、相続税法第21条の5及び第21条の7の規定(租税特別措置法第70条の2の3及び第70条の2の4の規定を含む。)を適用して計算した金額をいう。
(注3)「移行期限」とは、認定移行計画に記載された持分の定めのない医療法人に移行する期限をいい、認定の日から3年以内とされている。
(注4)この納税猶予制度においては、認定を受けることができる医療法人、適用を受けることができる受贈者に関する要件はないが、受贈者が、①贈与者による放棄の時から贈与税の申告期限までの間に認定医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合又はその持分の譲渡をした場合、②後述の税額控除の適用を受ける場合には、この特例の適用を受けることはできない(措法70の7の5④)。
  また、この納税猶予制度の適用を受けた経済的利益については、相続時精算課税制度は適用できないこととされている(措法70の7の5③)。
(2)税額の計算  納税猶予額と納付税額の計算は以下のとおり(措法70の7の5①)。
① 上記(1)の経済的利益及びそれ以外の受贈財産について通常の贈与税額を算出する。
② 上記(1)の経済的利益の価額を受贈者に係るその年分の贈与税の課税価格とみなして、相続税法第21条の5及び第21条の7並びに租税特別措置法第70条の2の3及び第70条の2の4の規定を適用して計算した金額を猶予税額とする。 
③ 上記①の贈与税額から上記②の猶予税額を控除した金額が受贈者が贈与税の申告期限までに納付すべき贈与税額となる。
(3)担保  この特例の適用を受けるためには、その経済的利益に係る贈与税の申告期限までに納税猶予分の贈与税額に相当する担保を提供する必要がある。
 担保の提供は、国税通則法の規定に従って提供することが原則だが、本特例においては、受贈者が有する特例の適用に係る認定医療法人の持分の全てを担保として提供した場合には、その持分の価額が納税猶予分の贈与税額に満たないときであっても、納税猶予分の贈与税額に相当する担保が提供されたものとみなすこととされている。
(4)申告手続  この納税猶予制度の適用を受けようとする受贈者は、経済的利益に係る贈与税の期限内申告書に、その経済的利益につきこの納税猶予制度の適用を受けようとする旨を記載し、その経済的利益に係る持分の明細及び納税猶予分の贈与税額の計算に関する明細その他一定の書類を添付しなければならない(措法70の7の5⑧)。
(5)免除  移行期限までに次の①又は②に該当することとなった場合には、次の①又は②の金額に相当する贈与税は、免除される(措法70の7の5⑪)。
① 受贈者が有している認定医療法人の持分の全てを放棄した場合には、納税猶予分の贈与税額の全額
② 認定医療法人が基金拠出型医療法人へ移行する場合において、受贈者が有しているその認定医療法人の持分の一部を放棄し、その残余の部分をその基金拠出型医療法人の基金として拠出したときは、納税猶予分の贈与税額から次の(6)②で納付することとなる金額を控除した残額
(6)納付
 ① 猶予税額の全額の猶予期限が確定する場合
 次のイからへまでに該当する場合には、それぞれイからへまでの日から2か月を経過する日が納税猶予に係る猶予期限となり、猶予税額の全額を納付しなければならない(措法70の7の5⑤)。
イ 受贈者が贈与税の申告期限から移行期限までの間に認定医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合には、その払戻しの日
ロ 受贈者が贈与税の申告期限から移行期限までの間に認定医療法人の持分の譲渡をした場合には、その譲渡の日
ハ 移行期限までに新医療法人に移行しなかった場合には、その移行期限
ニ 認定移行計画の認定が取り消された場合には、その取消しの日
ホ 認定医療法人が解散をした場合(合併により消滅をする場合を除く。)には、その解散の日
ヘ 認定医療法人が合併により消滅をした場合には、その消滅の日
(注) ただし、次の場合には、納税猶予は継続される(措令40の8の5⑧)。
 (イ)合併により医療法人を設立する場合において受贈者が持分に代わる金銭その他の財産の交付を受けないとき。
 (ロ)合併後存続する医療法人がその合併により新医療法人となる場合において受贈者が持分に代わる金銭その他の財産の交付を受けないとき。
 ② 猶予税額の一部の猶予期限が確定する場合  認定医療法人が基金拠出型医療法人に移行する場合において、受贈者が有するその認定医療法人の持分の一部を放棄し、その残余の部分をその基金拠出型医療法人の基金として拠出したときは、納税猶予分の贈与税額のうち基金として拠出した額に対応する部分の金額に相当する贈与税については、基金拠出型医療法人への移行に関する都道府県知事の認可があった日から2か月を経過する日が納税猶予に係る猶予期限となり、納税猶与分の贈与税額のうち基金に拠出した金額に対応する部分の税額を納付しなければならない(措法70の7の5⑥)。
(7)利子税  上記(6)により納税猶予分の贈与税額の全部又は一部を納付する受贈者は、その納付する贈与税の金額を基礎とし、その贈与税に係る贈与税の申告期限の翌日から上記(6)の納税の猶予に係る期限までの期間に応じ、年6.6%の割合を乗じて計算した金額に相当する利子税を、上記(6)の贈与税と併せて納付しなければならない。
(注)上記の利子税の割合(6.6%)は、利子税の割合の特例の適用後は、1.7%(貸出約定平均金利の年平均が0.9%の場合)となる(措法93)。
(8)その他
 ① 納付義務の承継
 移行期限までに受贈者が死亡した場合には、その受贈者に係る納税猶予分の贈与税額に係る納付の義務は、その受贈者の相続人に承継される(措法70の7の5⑬)。
 ② 3年加算  贈与者が上記(1)の贈与者による認定医療法人の持分の放棄の時から3年以内に死亡した場合には、この納税猶予制度の適用を受ける経済的利益の価額については、いわゆる3年加算(相続税法第19条第1項)の規定は、適用されない(措令40の8の4⑭)。

2 適用関係  上記1の特例は、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日(平成26年10月1日の予定)以後に認定医療法人の持分の放棄があった場合の経済的利益に係る贈与税について適用される(所法等改正法附則1二十二、128⑬)。

Ⅱ 医療法人の持分に係る経済的利益についての贈与税の税額控除(措法70の7の6)

1 創設された制度の概要
(1)概要
 認定医療法人の持分を有する個人(以下「贈与者」という。)がその持分の全部又は一部の放棄をしたことにより、その認定医療法人の持分を有する他の個人(以下「受贈者」という。)に対して贈与税が課される場合において、受贈者が贈与者による放棄の時から経済的利益に係る贈与税の申告期限までの間に、その認定医療法人の持分の全部又は一部を放棄したときは、その受贈者の贈与税については、通常の計算による贈与税額(経済的利益及びそれ以外の受贈財産について相続税法第21条の5から第21条の8まで並びに租税特別措置法第70条の2の3及び第70条の2の4の規定により計算した金額)から放棄相当贈与税額を控除した残額を納付税額とする(措法70の7の6①)。
(注)この特例においては、認定を受けることができる医療法人、適用を受けることができる受贈者に関する要件はないが、受贈者が贈与者による放棄の時から贈与税の申告期限までの間に認定医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合又はその持分の譲渡をした場合には、この特例の適用を受けることはできない(措法70の7の6④)。
  また、この特例の適用を受けた経済的利益については、相続時精算課税制度は適用できないこととされている(措法70の7の6③)。
(2)放棄相当贈与税額  放棄相当贈与税額は、上記Ⅰ1(5)の納税猶予適用後に免除される税額と同様の税額となるが、具体的には次のとおり(措法70の7の6②、措令40の8の5①②)。
① 受贈者が有している認定医療法人の持分の全てを放棄した場合には、経済的利益の価額を受贈者に係るその年分の贈与税の課税価格とみなして、相続税法第21条の5及び第21条の7並びに租税特別措置法第70条の2の3及び第70条の2の4の規定を適用して計算した金額となる。
② 認定医療法人が基金拠出型医療法人へ移行する場合において、受贈者が有しているその認定医療法人の持分の一部を放棄し、その残余の部分をその基金拠出型医療法人の基金として拠出したときは、上記①の金額のうち、認定医療法人の持分の放棄がされた部分に相当する金額となる。
(注)放棄がされた部分に相当する金額は、次のとおり計算する。

※イの金額がロの金額を上回る場合には、上記①の金額となる。
イ 認定医療法人の持分のうち受贈者が放棄をした部分に対応する部分のその放棄の直前における金額
ロ 受贈者による放棄の直前においてその受贈者が有していた認定医療法人の持分の価額に相当する金額に(イ)に掲げる価額が(イ)に掲げる価額と(ロ)に掲げる価額との合計額に占める割合を乗じて計算した金額
 (イ)贈与者による放棄により受けた経済的利益の価額
 (ロ)(イ)の放棄の直前において受贈者が有していた認定医療法人の持分の価額
(3)申告手続  この特例の適用を受けようとする受贈者は、経済的利益に係る贈与税の期限内申告書に、その経済的利益につきこの特例の適用を受けようとする旨を記載し、その経済的利益に係る持分の明細及び放棄相当贈与税額の計算に関する明細その他一定の書類を添付しなければならない(措法70の7の6⑤)。
(4)その他  贈与者が上記(1)の贈与者による認定医療法人の持分の放棄の時から3年以内に死亡した場合には、この特例の適用を受ける経済的利益の価額については、いわゆる3年加算(相続税法第19条第1項)の規定は、適用されない(措令40の8の5③)。

2 適用関係  上記Ⅰ2と同様(所法等改正法附則1二十二、128⑬)。

Ⅲ 個人の死亡に伴い贈与又は遺贈があったものとみなされる場合の特例(措法70の7の7)

1 創設された制度の概要
 出資額限度法人である医療法人の持分を有する個人の死亡に伴い、相続人が出資額を払い出した場合には、出資額を超える部分は、その医療法人に帰属することとなり、他の出資者の経済的利益となる。
 この場合、現在の課税実務では、相続税法第9条や第19条第1項の規定により贈与税ではなく相続税が課税される場合があるが、この特例においては、そのような場合であっても、その経済的利益については相続税ではなく贈与税を課税することとし、上記又はの特例の適用を受けることができることとされる。
 すなわち、経過措置医療法人(贈与税の申告期限において認定医療法人である法人に限る。)の持分を有する個人の死亡に伴い他の個人の持分の価額が増加した場合には、その持分の価額の増加による経済的利益に係る相続税法第9条本文の規定の適用については、同条本文中「贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)」とあるのは、「贈与」と読み替えられるとともに、その経済的利益については、相続税法第19条第1項の規定は適用されず、贈与税の課税対象となる(措法70の7の7①)。
(注1)「経過措置医療法人」とは、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律附則第10条の2に規定する経過措置医療法人をいい、具体的には持分の定めのある医療法人を指す。
(注2)この規定は、経済的利益を受けた他の出資者が上記又はの特例の適用を選択する場合のみ適用され、これらの特例の適用を受けない場合には従来どおりの課税関係となる(措法70の7の7③)。

2 適用関係  上記Ⅰ2と同様(所法等改正法附則1二十二、128⑬)。

Ⅳ 医療法人の持分についての相続税の納税猶予及び免除

1 創設された制度の概要
(1)概要
 個人が経過措置医療法人の持分を有していた他の個人(以下「被相続人」という。)から相続又は遺贈によりその経過措置医療法人の持分を取得した場合において、その経過措置医療法人が相続税の申告期限において認定医療法人であるときは、その持分を取得した個人(以下「相続人等」という。)が相続税の申告書の提出により納付すべき相続税の額のうち、その持分の価額で相続税の申告書にこの特例の適用を受けようとする旨の記載があるものに係る納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、相続税の申告期限までにその納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合に限り、認定移行計画に記載された移行期限まで、その納税が猶予される(措法70の7の8①)。
(注)この納税猶予制度においては、認定を受けることができる医療法人、適用を受けることができる相続人等に関する要件はないが、相続人等が、①被相続人の死亡の時から相続税の申告期限までの間に経過措置医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合又はその持分の譲渡をした場合、②後述の税額控除の適用を受ける場合には、この特例の適用を受けることはできない(措法70の7の8③)。
(2)税額の計算  相続人等の納付税額及び納税猶予分の相続税額の計算は以下のとおり(措令70の7の8②、措令40の8の7④~⑪)。
① 相続人等が相続又は遺贈により取得した医療法人の持分と持分以外の財産につき、通常の相続税額の計算を行い、その相続人等の相続税額を算出する。 
② 医療法人の持分を取得した相続人等以外の者の取得財産は不変とした上で、その相続人等が医療法人の持分のみを相続したものとして相続税法第15条から第19条まで並びに第21条の15第1項及び第2項の規定を適用して相続税額の計算を行い、その相続人等の相続税額を算出する。その金額がその相続人等に係る納税猶予分の相続税額となる。
③ 上記①の相続税額から上記②の納税猶予分の相続税額を控除した金額がその相続人等が相続税の申告期限までに納付すべき相続税額となる。
(3)分割要件  相続税の申告期限までに相続又は遺贈により取得した経過措置医療法人の持分の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によって分割されていない場合には、その分割されていない持分は、この特例の適用を受けることはできない(措法70の7の8④)。
(4)その他  担保の提供、申告手続、免除、納付、利子税については、上記の贈与税の納税猶予の1(3)から(7)までと同様。
 また、納付義務の承継についても上記の贈与税の納税猶予の1(8)の①と同様(措法70の7の8⑤~⑭)。

2 適用関係  上記1の特例は、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日(平成26年10月1日の予定)以後に相続又は遺贈により取得する認定医療法人の持分に係る相続税について適用される(所法等改正法附則1二十二、128⑮)。

Ⅴ 医療法人の持分についての相続税の税額控除

1 創設された制度の概要
(1)概要
 個人(以下「相続人等」という。)が経過措置医療法人の持分を有していた他の個人(以下「被相続人」という。)から相続又は遺贈により経過措置医療法人の持分を取得した場合において、その経過措置医療法人が相続の開始の時において認定医療法人(相続税の申告期限又は平成26年改正医療法施行日から起算して3年を経過する日のいずれか早い日までに厚生労働大臣認定を受けた経過措置医療法人を含む。)であり、かつ、その持分を取得した相続人等が相続の開始の時から相続税の申告期限までの間に厚生労働大臣認定を受けた経過措置医療法人の持分の全部又は一部を放棄したときは、その相続人等については、通常の計算による相続税額(持分及び持分以外の財産について相続税法第15条から第20条の2まで及び第21条の15第3項の規定により計算した金額)から放棄相当相続税額を控除した残額を納付税額とする(措法70の7の9①)。
(注1)平成26年改正医療法施行日とは、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日をいい、平成26年10月1日の予定。
(注2)相続人等が相続の開始の時から相続税の申告期限までの間に認定医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合又はその持分の譲渡をした場合には、この特例の適用を受けることはできない(措法70の7の9③)。
(2)放棄相当相続税額  放棄相当相続税額は、上記Ⅳ1の納税猶予適用後に免除される税額と同様の税額となるが、具体的には次のとおり(措法70の7の9②、措令40の8の8①②)。
① 相続人等が有している認定医療法人の持分の全てを放棄した場合には、上記の納税猶予分の相続税額と同様の方法(Ⅳ1(2)②)により計算した金額となる。
② 認定医療法人が基金拠出型医療法人へ移行する場合において、相続人等が有しているその認定医療法人の持分の一部を放棄し、その残余の部分をその基金拠出型医療法人の基金として拠出したときは、上記①の金額のうち、認定医療法人の持分の放棄がされた部分に相当する金額となる。
(注)放棄がされた部分に相当する金額は、次のとおり計算する。

※イの金額がロの金額を上回る場合には、上記①の金額となる。
イ 認定医療法人の持分のうち放棄をした部分に対応する部分のその放棄の直前における金額
ロ 放棄の直前においてその相続人等が有していた認定医療法人の持分の価額に相当する金額に(イ)に掲げる価額が(イ)に掲げる価額と(ロ)に掲げる価額との合計額に占める割合を乗じて計算した金額
 (イ)相続又は遺贈により取得した持分の価額
 (ロ)(イ)の相続又は遺贈の直前において相続人等が有していた認定医療法人の持分の価額
(3)申告手続  この特例の適用を受けようとする相続人等は、相続又は遺贈により取得した持分に係る相続税の期限内申告書に、その持分につきこの特例の適用を受けようとする旨を記載し、その持分の明細及び放棄相当相続税額の計算に関する明細その他一定の書類を添付しなければならない(措法70の7の9④)。

2 適用関係  上記Ⅳ2と同様に、平成26年10月1日以後の相続又は遺贈により取得した医療法人の持分に係る相続税について適用される(所法等改正法附則1二十二、128⑮)。

Ⅵ 農地等についての相続税及び贈与税の納税猶予制度の改正

1 改正前の制度の概要
(1)相続税の納税猶予制度
 ① 概要
 農業を営んでいた被相続人から相続又は遺贈により農業相続人が農地(特定市街化区域農地等(都市営農農地等を除く。以下同じ。)及び耕作放棄地を除く。以下同じ。)及び採草放牧地(特定市街化区域農地等を除く。以下同じ。)の取得をした場合(農地及び採草放牧地とともに準農地を取得した場合を含む。)におけるその農地及び採草放牧地並びに準農地(以下「特例適用農地等」という。)の農業投資価格を超える部分に対応する相続税については、担保の提供を条件に農業相続人の死亡等の日までその納税を猶予し、その日において猶予していた相続税は免除することとされている(旧措法70の6① )。
(注)特定市街化区域農地等とは、市街化区域内に所在する農地又は採草放牧地で三大都市圏の特定市の区域内に所在するものをいい、都市営農農地等とは、三大都市圏の特定市の区域内に所在する生産緑地をいう。
 ② 特例適用農地等の譲渡等  納税猶予期間中に特例適用農地等の譲渡等(転用、耕作権の設定・消滅、耕作の放棄を含む。以下同じ。)があった場合には、その譲渡等があった日から2カ月を経過する日に納税猶予の期限が到来することとなり、納税猶予されていた相続税及びその猶予期間に対応する利子税を納めなければならない。なお、その譲渡等をした特例適用農地等の面積によって、猶予期限が到来する相続税は以下のとおり異なる。
 イ 全部確定  その譲渡等(収用交換等による譲渡を除く。)をした特例適用農地等の面積がその譲渡等の直前の特例適用農地等の面積(その譲渡等の時前に特例適用農地等の譲渡等(収用交換等による譲渡を除く。)があった場合には、その譲渡等をした面積を加算した面積。ロにおいて同じ。)の20%を超える場合には、特例適用農地等の全てに対応する相続税(旧措法70の6①ただし書)
 ロ 一部確定  その譲渡等をした特例適用農地等の面積がその譲渡等の直前の特例適用農地等の面積の20%以下である場合には、その譲渡等をした特例適用農地等の面積に対応する相続税(旧措法70の6⑦)
(注)収用交換等とは、租税特別措置法第33条の4第1項に規定する「収用交換等」をいう。
 ③ 買換え特例  特例適用農地等を譲渡等した場合には、上記のとおり、納税猶予の期限が到来することとなり、納税猶予されていた相続税及び利子税を納付しなければならないが、その譲渡等のあった日から1年以内にその譲渡等の対価の全部又は一部をもって他の農地又は採草放牧地を取得する見込みであることについて税務署長の承認を受け、実際に1年以内に農地又は採草放牧地の取得をすれば、その取得した農地又は採草放牧地を特例適用農地等とみなして、納税猶予を継続することができる(措法70の6⑲)。
(2)贈与税の納税猶予制度  農業を営む個人が、その推定相続人のうちの1人に農地の全部及び採草放牧地の3分の2以上並びに準農地の3分の2以上の贈与をした場合におけるその特例適用農地等に係る贈与税については、担保の提供を条件に贈与者の死亡の日までその納税を猶予し、その日において猶予していた贈与税は免除することとされている(旧措法70の4①)。
 なお、贈与税の納税猶予制度においても、特例適用農地等を譲渡した場合又は買い換えた場合には上記(1)②及びと同様の制度となっている(旧措法70の4①ただし書④⑮)。

2 改正の概要
(1)三大都市圏の特定市に所在する特例適用農地等を収用交換等により譲渡した場合の特例の創設
 ① 買換え特例の拡充
 特例適用農地等の譲渡等をした場合において、譲渡等をした特例適用農地等に係る相続税の納税猶予を継続するためには、上記1(1)③のとおり、譲渡等の対価の全部又は一部をもって他の農地又は採草放牧地を取得する必要がある。ところで、納税猶予制度の対象となる農地又は採草放牧地には、上記1(1)①のとおり、特定市街化区域農地等は含まれていない。したがって、譲渡等をした特例適用農地等に代わるものとして三大都市圏の特定市に所在する生産緑地又は市街化調整区域農地等に該当しない特定市街化区域農地等を取得しても、この買換え特例の適用を受けることはできなかった。そこで、今般の改正では、取得時には生産緑地又は市街化調整区域農地等に該当しない土地であっても、収用交換等による譲渡のあった日から1年以内に生産緑地又は市街化調整区域農地等に該当する見込みであることにつき税務署長の承認を受け、かつ、実際にその取得した土地がその収用交換等による譲渡のあった日から1年以内に生産緑地又は市街化調整区域農地等に該当すれば、その譲渡はなかったものとみなして、納税猶予は継続することとされた(新措法70の4⑮、70の6⑲)。
 ② 自己所有農地への付替え特例の創設  この特例は、上記の買換え特例のように新たに土地を取得しなくとも、収用交換等による譲渡時に特例適用農地等以外にこれに見あう土地を有していれば、その土地に譲渡した特例適用農地等に係る猶予税額を付け替えるもの、すなわち、三大都市圏の特定市に所在する特例適用農地等を収用交換等により譲渡した場合に、その譲渡時に納税猶予適用者が有しているその譲渡対価の全部又は一部に相当する価額の特例適用農地等以外の土地を、その譲渡があった日から1年以内にその譲渡した特例適用農地等に代わるものとしてその納税猶予適用者の農業の用に供する見込みであることにつき税務署長の承認を受け、かつ、実際にその土地がその譲渡の日から1年以内にその納税猶予適用者の農業の用に供する農地又は採草放牧地となれば、その譲渡はなかったものとみなして、納税猶予は継続するという制度が創設された(新措法70の4⑯、70の6⑳)。
(2)農地法等の改正を伴う納税猶予制度の見直し  農地法の改正により、同法における耕作放棄の要件の見直しに伴い、納税猶予制度においても同様の見直しが行われたほか、農地保有合理化法人及び農地保有合理化事業が農地中間管理機構及び農地中間管理事業に改組されたことに伴う所要の措置が講じられた(新措法70の4①⑩、70の6①⑫)。

3 適用関係  上記(1)の改正は、平成26年4月1日以後に収用交換等による譲渡をする場合について適用され、上記(2)の改正は、同日以後に耕作放棄又は農地中間管理機構への貸付けがあった場合について適用される(改正法附則128③④⑤⑦⑧⑨)。

Ⅶ 農地等についての納税猶予等に係る利子税の特例の改正

1 現行制度の概要
 相続税又は贈与税の納税猶予の適用を受ける特例適用農地等を譲渡した場合には、猶予されていた相続税又は贈与税を納付しなければならないが、この際、猶予期間に対応する利子税も納付する必要がある。この特例は、この譲渡が収用交換等によるものである場合には、納付すべき利子税の額を2分の1に減額するというもの(旧措法70の8①③)。

2 改正の概要  平成26年4月1日から平成33年3月31日までの間に特例適用農地等を収用交換等により譲渡した場合に納付すべき利子税の額は、零とされた(新措法70の8①③)。

3 適用関係  上記の改正は、平成26年4月1日以後に特例適用農地等を収用交換等により譲渡する場合について適用される(改正法附則128③④⑤⑦⑧⑨⑯⑰)。

Ⅷ 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等の改正(措法70の2、70の3)

1 改正前の制度の概要
 平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間にその直系尊属(父母、祖父母、養父母等)からの贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により住宅用家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」という。)の取得をした一定の要件を満たす受贈者(以下「特定受贈者」という。)が、一定の要件を満たす住宅用家屋の新築、取得又は増改築等を行い居住の用に供した場合等には、その贈与により取得をした住宅取得等資金のうち住宅資金非課税限度額(既にこの特例の適用を受けて贈与税の課税価格に算入しなかった金額がある場合には、その算入しなかった金額を控除した残額)までの金額については、贈与税の課税価格に算入しないこととされていた(旧措法70の2①)。
(注)上記の住宅資金非課税限度額とは、次のとおり。

※ 耐震住宅とは耐震等級2以上又は免震建築物に該当する住宅をいい、エコ住宅とは省エネ等級4の住宅をいう。

2 改正の内容
(1)適用対象となる既存住宅用家屋の範囲の拡充
 贈与により住宅取得等資金の取得をした特定受贈者が、その取得をした日の属する年の翌年3月15日(以下「取得期限」という。)までにその住宅取得等資金の全額を建築後使用されたことのある住宅用家屋(耐震基準又は経過年数基準に適合するもの以外のものに限る。)で一定のもの(以下「要耐震改修住宅用家屋」という。)の取得のための対価に充てて要耐震改修住宅用家屋の取得をした場合において、その要耐震改修住宅用家屋の取得の日までに耐震改修を行うことにつき申請等をし、かつ、取得期限までにその耐震改修によりその要耐震改修住宅用家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき証明がされたときは、その要耐震改修住宅用家屋は本非課税措置の対象となる既存住宅用家屋と、要耐震改修住宅用家屋の取得は既存住宅用家屋の取得と、それぞれみなして本非課税措置の適用を受けることができることとされた(措法70の2⑦)。
(注)上記の耐震基準とは、建築基準法施行令第三章及び第五章の四の規定又は国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準をいい、経過年数基準とは、住宅用家屋が建築された日から取得の日までの期間が20年(その住宅用家屋が耐火建築物である場合には、25年)以下であることをいう。
(2)その他  住宅取得等資金について、贈与者の年齢にかかわらず相続時精算課税制度の適用を受けることができる「特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(措法70の3)」についても、上記(1)と同様の改正がされている(措法70の3⑦)。

3 適用関係  上記2の改正は、特定受贈者が平成26年4月1日以後に贈与により取得をする住宅取得等資金に係る贈与税について適用される(改正法附則1、128①②)。

Ⅸ 東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の改正(震災税特法38の2)

1 改正前の制度の概要
 平成23年3月11日から平成26年12月31日までの間にその直系尊属(父母、祖父母、養父母等)からの贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により、住宅用家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」という。)の取得をした一定の要件を満たす受贈者(警戒区域設定指示等が行われた日においてその警戒区域設定指示等の対象区域内に所在する家屋をその居住の用に供していた者又はその居住の用に供しようとしていた者については、警戒区域設定指示等が行われた日からその警戒区域設定指示等が解除された日以後3月を経過する日までの間にその直系尊属からの贈与により住宅取得等資金の取得をした者。以下「被災受贈者」という。)が、一定の住宅用家屋の新築、取得又は増改築等を行い居住の用に供した場合等には、その贈与により取得をした住宅取得等資金のうち1,000万円(耐震住宅・エコ住宅は1,500万円。既にこの特例の適用を受けて贈与税の課税価格に算入しなかった金額がある場合には、その算入しなかった金額を控除した残額)までの金額については、贈与税の課税価格に算入しないこととされていた(旧震災税特法38の2①)。
(注)耐震住宅とは耐震等級2以上又は免震建築物に該当する住宅をいい、エコ住宅とは省エネ等級4の住宅をいう。

2 改正の内容
(1)受贈期限の延長
 警戒区域設定指示等の対象区域内に居住していた者に係る受贈期限を警戒区域設定指示等が解除された日以後1年を経過する日(改正前:3月を経過する日)とされた(震災税特法38の2①)。
(2)適用対象となる既存住宅用家屋の範囲の拡充  贈与により住宅取得等資金の取得をした被災受贈者が、その取得をした日の属する年の翌年3月15日(以下「取得期限」という。)までにその住宅取得等資金の全額を建築後使用されたことのある住宅用家屋(耐震基準又は経過年数基準に適合するもの以外のものに限る。)で一定のもの(以下「要耐震改修住宅用家屋」という。)の取得のための対価に充てて要耐震改修住宅用家屋の取得をした場合において、その要耐震改修住宅用家屋の取得の日までに耐震改修を行うことにつき申請等をし、かつ、取得期限までにその耐震改修によりその要耐震改修住宅用家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき証明がされたときは、その要耐震改修住宅用家屋は本非課税措置の対象となる既存住宅用家屋と、その要耐震改修住宅用家屋の取得は既存住宅用家屋の取得と、それぞれみなして、本非課税措置の適用を受けることができることとされた(震災税特法38の2⑨)。
(注)上記の耐震基準とは、建築基準法施行令第三章及び第五章の四の規定又は国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準をいい、経過年数基準とは、住宅用家屋が建築された日から取得の日までの期間が20年(その住宅用家屋が耐火建築物である場合には、25年)以下であることをいう。

3 適用関係  上記2(1)の改正は、被災受贈者が平成26年1月1日以後に贈与により取得をする住宅取得等資金に係る贈与税について適用され、同日前に贈与により取得をした住宅取得等資金に係る贈与税については、従前どおりとされている(改正法附則1、154①)。
 また、上記2(2)の改正は、被災受贈者が平成26年4月1日以後に贈与により取得をする住宅取得等資金に係る贈与税について適用される(改正法附則1、154②)。

Ⅹ 租税特別措置の廃止
 国立公園特別保護地区等内の土地に係る相続税の物納の特例については、適用期限の到来をもって廃止された(旧措法70の12③④)。

登録免許税の改正

Ⅰ 学校法人等が取得する保育所の用に供する不動産の取得登記の非課税の改正

1 改正前の制度の概要
 登録免許税法では一定の法人が受ける一定の登記について非課税とされている(旧登法第4条及び別表第3)。
(1)学校法人  学校法人が受ける次に掲げる登記については非課税とされていた(旧登法別表第3第1号)。
イ 校舎等の所有権(賃借権を含む。以下同じ。)の取得登記及び校舎等の敷地、運動場、実習用地その他の直接に保育又は教育の用に供する土地の権利(土地の所有権及び土地の上に存する権利をいう。以下同じ。)の取得登記
ロ 自己の設置運営する保育所の用に供する建物の所有権の取得登記又は保育所の用に供する建物の敷地その他の直接に保育の用に供する土地の権利の取得登記
(注1)「校舎等」とは、校舎、寄宿舎、図書館その他保育又は教育上直接必要な附属建物をいう。
(注2)「取得登記」とは、権利の保存、設定、転貸又は移転の登記をいう。
(2)公益社団法人及び公益財団法人  公益社団法人及び公益財団法人が受ける次に掲げる登記については非課税とされていた(旧登法別表第3第5号の2)。
イ 自己の設置運営する学校(学校教育法に規定する学校又は専修学校若しくは各種学校をいう。)の校舎等の所有権の取得登記又はその校舎等の敷地、その学校の運動場、実習用地その他の直接に保育若しくは教育の用に供する土地の権利の取得登記
ロ 自己の設置運営する保育所の用に供する建物の所有権の取得登記又はその建物の敷地その他の直接に保育の用に供する土地の権利の取得登記
(3)社会福祉法人  社会福祉法人が受ける次に掲げる登記については非課税とされていた(旧登法別表第3第10号)。
イ 社会福祉事業の用に供する建物の所有権の取得登記又は社会福祉事業の用に供する土地の権利の取得登記
ロ 自己の設置運営する幼稚園の校舎等の所有権の取得登記又はその校舎等の敷地、その幼稚園の運動場、実習用地その他の直接に保育若しくは教育の用に供する土地の権利の取得登記
(4)宗教法人  宗教法人が受ける次に掲げる登記については非課税とされていた(旧登法別表第3第12号)。
イ 自己の設置運営する幼稚園の校舎等の所有権の取得登記又はその校舎等の敷地、その幼稚園の運動場、実習用地その他の直接に保育若しくは教育の用に供する土地の権利の取得登記
ロ 自己の設置運営する保育所の用に供する建物の所有権の取得登記又はその建物の敷地その他の直接に保育の用に供する土地の権利の取得登記

2 改正の内容
 1
(1)(4)の法人が受ける次に掲げる登記については登録免許税が課されないこととされた(登法別表第3第1号、第5号の2、第10号及び第12号)。
(1)児童福祉法第6条の3第9項に規定する家庭的保育事業、同条第10項に規定する小規模保育事業若しくは同条第12項に規定する事業所内保育事業の用に供する建物の所有権の取得登記又はその建物の敷地その他の直接に保育の用に供する土地の権利の取得登記
(2)自己の設置運営する認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第2条第6項に規定する認定こども園をいう。)の用に供する建物の所有権の取得登記又はその建物の敷地その他の直接に保育若しくは教育の用に供する土地の権利の取得登記

3 適用関係  上記2の改正は、子ども・子育て支援法の施行の日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1十四、38)。

Ⅱ 独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う工業再配置等業務・産炭地域経過業務に係る非課税措置の廃止

1 改正前の制度の概要
 独立行政法人中小企業基盤整備機構が受ける次に掲げる登記については登録免許税を課さないこととされていた。
(1)工業再配置等業務又は産炭地域経過業務の用に供する土地の権利の取得登記
(2)工業再配置等業務又は産炭地域経過業務に係る債権を担保するために受ける権利の取得登記

2 改正の内容  工業再配置等業務又は産炭地域経過業務は、その業務期限(平成26年3月31日)の到来をもって廃止されたことから、これらの業務に係る非課税措置についても同日の到来をもって廃止された。

3 適用関係  平成26年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索