コラム2014年08月04日 【税実務Q&A】 所在不明株主に係る株式(2014年8月4日号・№557)
税実務Q&A
No.225 法人税・所得税法
所在不明株主に係る株式
公認会計士緑川事務所 税理士 新沼 潮
問 内国法人である当社の株主で、ここ数年、所在不明となっている株主がいます。株主総会決議通知及び配当金領収書も、その株主に一切到達しておらず、未払配当金を計上しています。
この未払配当金にかかる処理について、教えてください。なお、定款において、受領されない配当につき、除斥期間を3年間とする旨の定めがあります。
また、この所在不明株主の所有株式につき、会社の自己株取得はできますか。
答
(1)未払配当金に係る処理 未払となっている配当金に係る剰余金配当請求権の消滅時効は、民法167条1項の規定によって10年とされています(民法167①)が、定款に除斥期間が定められている場合には、その定款に定めた期間経過後は、その所在不明株主の配当請求権は消滅したものとされています(商事法務、会社法コンメンタール「4」239頁参照)。
したがって、御社は、除斥期間である3年を経過した場合には、未払配当金を雑収入に計上することができます。
なお、配当に係る源泉所得税については、配当を支払う法人は、配当が未払いになっていたとしても、その配当金の支払いが確定した日から1年を経過した日において、配当金の支払いがあったものとみなして、翌月10日までに源泉所得税を国に納付しなければなりません(所税181②)。
(2)所在不明株式の自己株取得
① 自己株取得 会社法上において、所在不明株主の有する株式につき、次の要件を満たす場合には、その株主に承諾を得ることなく、その株式を競売又は売却をすることができる規定があります(会法197)。
ア)その株主に対する通知等が5年以上継続して到達しないため、その通知等を省略できること(会法196)
イ)その株主が継続して5年間配当を受領していないこと
また、競売等をする場合には利害関係人への協議として、3ヶ月の公告及び催告が必要です。なお、その売却代金はその所在不明株主に帰属することになります。
この売却につき、その株式の全部又は一部を会社が買い取ることができます(会法197③)。その場合、法人税法上も次の自己株取得の処理をすることとなります(法令8①十七他)。
(資本金等) xxx (未払金) xxx
(利益積立金) xxx (源泉預り金) xx
② 所在不明株主に係る代金交付請求権 前掲の自己株取得をした場合に、所在不明株主であった者が有することとなる代金交付請求権は、その除斥期間を定款に定めたとしても、民法上の消滅時効期間の10年を短くすることは許されないと解されています(同コンメンタール247頁参照)。
No.225 法人税・所得税法
所在不明株主に係る株式
公認会計士緑川事務所 税理士 新沼 潮
問 内国法人である当社の株主で、ここ数年、所在不明となっている株主がいます。株主総会決議通知及び配当金領収書も、その株主に一切到達しておらず、未払配当金を計上しています。
この未払配当金にかかる処理について、教えてください。なお、定款において、受領されない配当につき、除斥期間を3年間とする旨の定めがあります。
また、この所在不明株主の所有株式につき、会社の自己株取得はできますか。
答
(1)未払配当金に係る処理 未払となっている配当金に係る剰余金配当請求権の消滅時効は、民法167条1項の規定によって10年とされています(民法167①)が、定款に除斥期間が定められている場合には、その定款に定めた期間経過後は、その所在不明株主の配当請求権は消滅したものとされています(商事法務、会社法コンメンタール「4」239頁参照)。
したがって、御社は、除斥期間である3年を経過した場合には、未払配当金を雑収入に計上することができます。
なお、配当に係る源泉所得税については、配当を支払う法人は、配当が未払いになっていたとしても、その配当金の支払いが確定した日から1年を経過した日において、配当金の支払いがあったものとみなして、翌月10日までに源泉所得税を国に納付しなければなりません(所税181②)。
(2)所在不明株式の自己株取得
① 自己株取得 会社法上において、所在不明株主の有する株式につき、次の要件を満たす場合には、その株主に承諾を得ることなく、その株式を競売又は売却をすることができる規定があります(会法197)。
ア)その株主に対する通知等が5年以上継続して到達しないため、その通知等を省略できること(会法196)
イ)その株主が継続して5年間配当を受領していないこと
また、競売等をする場合には利害関係人への協議として、3ヶ月の公告及び催告が必要です。なお、その売却代金はその所在不明株主に帰属することになります。
この売却につき、その株式の全部又は一部を会社が買い取ることができます(会法197③)。その場合、法人税法上も次の自己株取得の処理をすることとなります(法令8①十七他)。
(資本金等) xxx (未払金) xxx
(利益積立金) xxx (源泉預り金) xx
② 所在不明株主に係る代金交付請求権 前掲の自己株取得をした場合に、所在不明株主であった者が有することとなる代金交付請求権は、その除斥期間を定款に定めたとしても、民法上の消滅時効期間の10年を短くすることは許されないと解されています(同コンメンタール247頁参照)。
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