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解説記事2014年12月01日 【ニュース特集】 会社法施行規則案の見直しに関するポイント(2014年12月1日号・№573)

内部統制システムは子会社ごとでの整備が前提
会社法施行規則案の見直しに関するポイント

法務省は11月25日、会社法の改正に伴う会社更生法施行令及び会社法施行規則等の改正に関する意見募集を開始した(12月25日まで意見募集)。6月27日に公布された「会社法の一部を改正する法律」(平成26年法律第90号)等に伴うもの。すでにお伝えしているとおり、施行日は原則として平成27年5月1日とされている(本誌572号13頁参照)。
 会社法施行規則案では、社外取締役を選任していない会社が開示することになる「相当でない理由」の記載事項や、内部統制システムの整備規定として、子会社の損失の危機の管理に関する規程その他の体制が盛り込まれた。また、主要な事業内容など、事業報告等のウェブ開示の対象事項の拡大が図られている。本特集では会社法施行規則案の見直しのポイントについてみてみることにする。

「相当でない理由」は会社のその時点の事情に応じて記載
 会社法施行規則案で一番の注目点であった「相当でない理由」の開示に関しては、①事業年度末日に社外取締役を置いていない場合には事業報告に、②株主総会に提出する取締役選任議案に社外取締役の候補者が含まれない場合には株主総会参考書類に、それぞれ社外取締役を置くことが相当でない理由を記載しなければならないとされた(会社法施行規則案74条の2、124条2項、図1参照)。

 「相当でない理由」については、当該株式会社のその時点における事情に応じて記載しなければならず、社外監査役が2人以上あることのみをもって当該理由とすることはできないこととされた。すでに国会答弁で法務省が示していたとおり、具体例は示されなかった(本誌550号40頁参照)。社外取締役を選任していない企業は、社外取締役を置くことがかえってその企業にマイナスの影響を及ぼすおそれがあるというような事情を説明することになる。
 改正会社法の施行日は平成27年5月1日からとなるため、2月決算法人の5月総会から適用となる。なお、3月決算会社の場合は平成27年6月総会から適用される。仮に社外取締役の選任議案を提出する場合であっても、事業年度末時点で社外取締役を選任してないケースについては、「相当でない理由」を説明することとされている。

過去に役員であった場合は記載  その他、社外取締役の要件が改正されたことに伴い、社外取締役候補者に関する株主総会参考書類の記載事項が見直されている(会社法施行規則案74条4項6号)。例えば、候補者が①過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行者又は役員であったことがあること、②当該株式会社の親会社等であり、又は過去5年間に当該株式会社の親会社等であったことがあることなどに該当することを株式会社が知っているときは、その旨を株主総会参考書類に記載することになる。
 また、事業報告では、内部統制システムの運用状況の概要(会社法施行規則案118条2号)や、株式会社とその親会社等との間の一定の利益相反が当該株式会社の利益を害さないかどうかについての取締役の判断及びその理由等(同条5号)を記載することが追加されている。

多重代表訴訟制度、提起請求の方法を規定
 改正会社法では、多重代表訴訟制度が創設されているが、会社法施行規則案では、提起請求の方法や不提訴理由の通知方法が規定された(会社法施行規則案218条の5、218条の7)。
 多重代表訴訟制度とは、親会社の株主がその子会社の取締役等の責任を追及する訴えを提起することができるというものである(図2参照)。ただし、濫訴になるおそれがあるといった懸念から同制度の適用範囲は限定されるものとなっている。

 具体的には、株式会社の完全親会社の総株主の議決権の1%以上の議決権又は発行済株式の1%以上の株式を有する株主(完全親会社が公開会社である場合は6か月前から引き続き1%以上の株式を有していること)は、株式会社に対し、発起人、設立時取締役、設立時監査役、取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人、清算人の責任を追及する訴えの提起を請求することができることとされている。
 総株主の議決権等の1%以上を有する株主となったことで、機関投資家などの一部の株主に限定されることになる。また、対象となる完全子会社も完全親会社が有する子会社株式の帳簿価額が完全親会社の総資産額の5分の1を超える重要な完全子会社である場合とされている。
株式交換で株主でなくなっても訴訟が可能に  また、改正会社法では、株主代表訴訟が係属中かどうかに関係なく株式交換等により株主でなくなった場合も株主代表訴訟が可能になっている。
 この点についても多重代表訴訟制度と同様の提起請求の方法や不提訴理由の通知方法が規定されている(会社法施行規則案218条の2、218条の4)。

Column 施行日前の不祥事等は多重代表訴訟の対象にならず
 改正会社法の施行日は平成27年5月1日となるが、多重代表訴訟制度については、企業に対する影響が大きいだけに経過措置が設けられている。具体的には、平成27年5月1日(施行日)よりも前に完全子会社で起きた不祥事等による取締役等の責任は対象外となる。
 また、株式交換等により株主でなくなった場合も、株主代表訴訟が可能になるが、施行日より前に株式交換等を行った場合には適用されないとの経過措置が設けられているので留意したい。

子会社の損失の危機の管理規程その他の体制などを盛り込む
 改正会社法では、内部統制システムの整備に係る規定に関して、「当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要な」体制の整備が規定されることになった。
 これに伴い会社法施行規則案では、例えば、①当該株式会社の子会社の取締役、執行役、業務を執行する社員等の職務の執行に係る事項の当該株式会社への報告に関する体制、②当該株式会社の子会社の損失の危機の管理に関する規程その他の体制、③当該株式会社の子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制、④当該株式会社の子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制が規定された(会社法施行規則案100条1項)。
 法人間の壁を越えて親会社が子会社の内部統制システムの整備をすべて行うのかといった疑問が企業側に生じていたが、今回の規定ぶりにより、内部統制システムは子会社ごとで整備することが前提となっていることが明らかになった。

株式等売渡請求、国会審議での問題点指摘を踏まえて対応
 改正会社法で創設された特別支配株主の株式等売渡請求制度については、株式等売渡請求に際して特別支配株主が定めるべき事項(会社法施行規則案33条の5)、対象会社の事前開示事項(会社法施行規則案33条の7)、事後開示事項等(会社法施行規則案33条の8)が定められている。
 特別支配株主の株式等売渡請求制度とは、対象会社の総株主の議決権の10分の9以上を有する株主(特定支配株主)が、株主全員に対して所有する株式の全部を特別支配株主に売り渡すことを請求することができる制度のことである(図3参照)。

 改正会社法の国会審議では、特別支配株主が売渡株主に対してその対価を支払っていなくても、特別支配株主が定めた取得日に株式が移転してしまうことに問題があるとの指摘(本誌552号4頁参照)がされたことを踏まえて、対象会社の事前開示事項では、株式売渡対価の交付の見込みに関する事項が規定されている。
支配株主の異動、監査役等の意見も通知  会社法で創設された公開会社における支配株主の異動を伴う募集株式の発行等では、公開会社の支配権が異動する場合、つまり募集株式の引受人が総株主の議決権の過半数を有することになるような募集株式の割当等を行う場合には、情報開示を充実させるとともに、総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主が反対通知を行った場合には、株主総会の普通決議による承認が必要になることとしている。
 公開会社は金銭の払込期日の2週間前までに株主に対し、引受人の氏名又は名称及び住所、引受人が株主になった場合に有する議決権の数などを通知する必要があるとされているが、会社法施行規則案では、取締役会の判断及び理由や、監査役等の意見なども通知すべき事項として追加されている(会社法施行規則案42条の2、55条の2)。
 また、株主への通知を要しない場合として、金融商品取引法4条1項~3項に規定する有価証券の募集の届出を行っている場合で、当該書類を公衆の縦覧に供しているときと規定された(会社法施行規則案42条の3、55条の4)。
全部取得条項付種類株式等の事前開示拡大  全部取得条項付種類株式の取得に関しては、組織再編の場合と比べて情報開示が十分でないとの指摘がなされたことを踏まえ、改正会社法では、組織再編と同様の事前開示手続とするほか、事後開示手続が創設されている。
 事前開示事項については、①取得対価の相当性に関する事項、②取得対価について参考となるべき事項、③計算書類等に関する事項などが規定されている(会社法施行規則案33条の2)。
 また、事後開示事項については、①株式会社が全部取得条項付種類株式の全部を取得した日、②全部取得条項付種類株式の取得をやめることの請求に係る手続の経過、③裁判所に対する価格の決定の申立ての請求に係る手続の経過、④株式会社が取得した全部取得条項付種類株式の数、⑤全部取得条項付種類株式の取得に関する重要な事項が規定されている(会社法施行規則案33条の3)。
 なお、株式の併合についても事前開示及び事後開示事項が定められている(会社法施行規則案33条の9、33条の10)。
“見せ金”出資、設立時取締役も責任  改正会社法では、発起人が設立時発行株式についての出資の履行を仮装した場合には、仮装した払込金額の全額の支払義務を負うことになった。具体的には、出資の履行の仮装に関する職務を行った発起人及び設立時取締役が責任をとるべき発起人等として規定された(会社法施行規則案7条の2等)。また、出資の履行の仮装が創立総会の決議に基づいて行われた場合については、議案を提案した発起人、提案の決定に同意した発起人、出資の履行の仮装に関する事項について説明をした発起人及び設立時取締役が規定されている。

上位10名の株主の氏名など、事業報告等のウェブ開示が拡大
 株主参考書類及び事業報告に係るウェブ開示事項の範囲が拡大される。
 例えば、株主参考書類については、社外取締役を置くことが相当でない理由の記載がウェブ開示の対象となった(会社法施行規則案94条)。
 また、事業報告については、株式会社の現況に関する事項では、「主要な事業内容」「主要な借入先及び借入額」「直前3事業年度の財産等の状況」、会社役員に関する事項では、「監査役等が財務及び会計に関する知見を有しているときは、その事実」、株式に関する事項では、「上位10名の株主の氏名等」、新株予約権に関する事項としては、「役員等の新株予約権の保有状況」「当該事業年度中に交付した新株予約権の概要等」がウェブ開示の対象とされている(会社法施行規則案133条)。
株主資本等変動計算書もウェブ開示OK  その他、株主資本等変動計算書についてもウェブ開示の対象とされている(会社計算規則案133条)。

企業結合会計基準改正を踏まえて会社計算規則案が改正へ
 会社計算規則案では、改正会社法により創設される出資の履行の仮装に係る規律に関して、募集株式の引受人等の義務の履行により株式会社に対して支払われた金銭等の額を、その他資本剰余金の額に算入することとしている(会社計算規則案21条)ほか、改正会社法で創設された監査等委員会設置会社における計算関係書類の監査の手続に関する規定が設けられた(会社計算規則案125条、128条の2、130条)。
「少数株主持分」から「非支配株主持分」へ  企業会計基準委員会(ASBJ)が昨年9月に公表した改正企業結合会計基準等を踏まえた見直しも行われる。同会計基準等により、連結貸借対照表の表示科目の名称変更が行われたこと、連結損益計算書の当期純利益に非支配株主に帰属する部分も含めることとされたこと等を踏まえ、会社計算規則の見直しが行われている(会社計算規則案76条、93条、94条、96条2項及び8項、102条、113条)。
 また、企業結合年度の翌年度に暫定的な会計処理の確定を行い、企業結合年度の翌年度のみの表示が行われる場合には、株主資本等変動計算書において、期首残高に対する影響額を区分表示するとともに、当該影響額の反映後の期首残高を記載することとされたことを踏まえ、会社計算規則の株主資本等変動計算書の表示に関する規定が改正される(会社計算規則案96条7項)。
 なお、企業結合会計基準等の改正に伴う会社計算規則は公布の日より適用することとされている。

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