解説記事2015年06月29日 【税制改正解説】 平成27年度における法人税関係の改正について(2015年6月29日号・№600)
税制改正解説
平成27年度における法人税関係の改正について
田中久美子
はじめに
平成27年度税制改正においては、①成長志向に重点を置いた法人税改革、②高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じた住宅市場の活性化等のための措置、③企業の地方拠点強化、結婚・子育ての支援等のための措置、④消費税率10%への引上げの時期の変更等のための措置、⑤国境を越えた取引等に係る課税の国際的調和に向けた措置及び⑥震災からの復興を支援するための措置を行うほか、所要の措置を講ずることとされ、関係法令の改正が行われた。
このうち法人税法関係の改正では、法人税の基本税率の引下げ、これに併せた課税ベースの拡大等が行われ、法人税関係の租税特別措置法の改正では、現下の経済情勢等を踏まえ、地方創生に取り組むための投資促進税制の創設及び雇用促進税制の拡充、研究開発税制における特別試験研究費の額に係る税額控除制度の拡充、所得拡大促進税制の拡充等が行われる一方で、生産等設備投資促進税制の廃止等既存の租税特別措置の整理合理化が行われた。
本稿は、これらの改正の内容を紹介するものである。
法人税法の改正
Ⅰ 税率の引き下げ
1 改正の内容 法人税の税率について、23.9%(改正前25.5%)に引き下げられた。この国税における法人税率の引下げに加え、地方税の法人事業税所得割の税率について4.8%(改正前7.2%)に引き下げられることにより、法人実効税率は、31.33%となる。この法人実効税率の引下げは中小法人にも適用される。また、租税特別措置法において措置されている中小法人、公益法人等、協同組合等の軽減税率の特例については、適用期限が平成29年3月31日まで2年間延長された(法法66、81の12、措法42の3の2、68の8)。
2 適用関係 平成27年4月1日以後に開始する事業年度又は連結事業年度の所得に対する法人税について適用し、同日前に開始した事業年度又は連結事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則21)。
Ⅱ 欠損金の繰越控除
1 改正の内容
(1)中小法人以外の普通法人の青色欠損金及び災害損失金の控除限度額が、次のとおり、段階的に引き下げられた(法法57①、58①、81の9①一ロ、改正法附則27②、30②)。
・法人の平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度……欠損金額控除前の所得の金額の65%相当額
・法人の平成29年4月1日以後に開始する事業年度……欠損金額控除前の所得の金額の50%相当額
(2)再建中の法人や新設法人については、法人の青色欠損金及び災害損失金の繰越控除の適用を受ける事業年度(以下「控除適用年度」という。)が特例事業年度のいずれかに該当する場合には、中小法人等と同様に、その控除適用年度の控除限度額は欠損金額控除前の所得の金額とされた(法法57⑪二・三、58⑥二・三、81の9⑧二・三)。
(3)青色欠損金、災害損失金及び連結欠損金の繰越期間が10年(改正前:9年)に延長されるとともに、青色欠損金、災害損失金及び連結欠損金の帳簿書類保存要件における保存期間が10年(改正前:9年)に延長された(法法57①、58①、81の9①、法規26の3①、26の5①、37の3の2①)。
2 適用関係
(1)上記1(1)及び(2)の改正は、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則21)。連結納税制度の場合についても、同様とされている(改正法附則21、改正法令附則10①)。
(2)上記1(3)の改正は、法人の平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額について適用し、法人の同日前に開始した事業年度において生じた欠損金額については、従前どおりとされている(改正法附則27①、改正法規附則2①)。連結欠損金についても、同様とされている(改正法附則30①、改正法規附則2③)。
Ⅲ 受取配当等の益金不算入
1 改正の内容 (1)益金不算入の対象となる配当等の額
公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配の額について、受取配当等の益金不算入制度の対象となる配当等の額から除外された(旧法法23①三、旧法令19、旧法規8の4)。
ただし、外国株価指数連動型特定株式投資信託以外の特定株式投資信託の収益の分配の額については、非支配目的株式等として受取配当等の益金不算入制度の対象となる配当等の額とされている(措法67の6)。
(2)株式等の区分 株式等の区分について、受取配当等の益金不算入制度の対象となる配当等の額を、その元本である株式等につき①完全子法人株式等、②関連法人株式等、③その他株式等及び④非支配目的株式等に応じて4つに区分することとされた(法法23①、81の4①)。
(3)関連法人株式等 関連法人株式等とは、内国法人が、他の内国法人の発行済株式等の総数又は総額の3分の1を超える数又は金額のその他の内国法人の株式等を、その内国法人がその他の内国法人から受ける配当等の額の計算期間の初日からその計算期間の末日まで引き続き有している場合におけるその他の内国法人の株式等で、完全子法人株式等以外のものをいうこととされている(法法23⑥、81の4⑥、法令22の3①、155の10①)。
関連法人株式等に係る配当等の額については、その全額が益金の額に算入しないこととされているが、当該事業年度において支払う負債の利子の額がある場合には、その支払う負債の利子の額のうち関連法人株式等に係る部分の金額をその配当等の額から控除することとされている。この場合に控除することとなる負債の利子の額(関連法人株式等に係る部分の金額)の計算方法の一つである簡便法における基準年度が、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度とされた(法令22④)。
また、損害保険会社の平成16年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度の特別利子を控除することとなる負債の利子の額から除外する特例は廃止された(旧措法67の7、68の104)。
(4)その他株式等 その他株式等とは、完全子法人株式等、関連法人株式等及び非支配目的株式等のいずれにも該当しない株式等をいい、その他株式等に係る配当等の額については、その50%相当額が益金の額に算入しないこととされた(法法23①、81の4①)。なお、当該事業年度において支払う負債の利子の額がある場合においても、その他株式等に係る配当等の額から、その他株式等に係る負債の利子の額を控除する必要はない(法法23④、81の4④)。
(5)非支配目的株式等 非支配目的株式等とは、内国法人が、他の内国法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の5以下に相当する数又は金額のその他の内国法人の株式等を、その内国法人がその他の内国法人から受ける配当等の額の支払に係る基準日において有する場合におけるその他の内国法人の株式等で、完全子法人株式等以外のものをいうこととされ、非支配目的株式等に係る配当等の額については、その20%相当額を益金の額に算入しないこととされた(法法23①⑦、81の4①⑦、法令22の3の2①、155の10の2①)。
ただし、その支払を受ける内国法人が青色申告書を提出するいわゆる保険会社である場合には、その支払を受ける非支配目的株式等に係る配当等の額については、その40%相当額を益金の額に算入しないこととされた(措法67の7)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則21)。なお、連結法人については、連結親法人事業年度が平成27年4月1日以後に開始する連結事業年度の連結所得に対する法人税について適用し、連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度の連結所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則29)。
Ⅳ 退職年金等積立金に対する法人税(特別法人税)
1 改正の内容
(1)退職年金業務等の追加 退職年金業務等に次の業務が追加された(法法84①)。
① 国家公務員共済組合法第21条第2項第2号に掲げる業務② 地方公務員等共済組合法第3条の2第1項第3号に規定する退職等年金給付組合積立金の積立ての業務並びに同法第38条の2第2項第4号に規定する退職等年金給付調整積立金の管理及び運用に関する事務に係る業務
③ 日本私立学校振興・共済事業団法第23条第1項第8号に掲げる業務
(2)退職年金等積立金額の追加 上記(1)の改正に伴い、退職年金等積立金額に上記(1)①から③までの業務を行う法人の年金払い退職給付に係る積立金が追加された(法法84②九~十二)。
2 適用関係 退職年金業務等を行う法人の平成11年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度の退職年金等積立金については特別法人税の課税を停止する(措法68の4)こととされていることから、上記1の改正に係る経過措置は設けられていない。
Ⅴ その他
(1)受取配当等の益金不算入及びみなし配当等の額 ① 受取配当等の益金不算入制度の対象となる配当等の額に、投資法人の金銭の分配で出資等減少分配以外のものの額が規定上追加されるとともに、みなし配当等の額の生ずる基因となる発行法人の資本の払戻しに、出資等減少分配が規定上追加された(法法23①二、24①三)。
② みなし配当の額が生ずる事由となる自己の株式の取得から除外される特定の事由による取得における事由に株式の併合に反対する株主からのその株式の併合により端数となる株式の買取請求による買取りが追加された(法令23③九)。
連結納税制度の場合についても、同様とされている(法法81の4①)。
(2)役員給与の損金不算入 ① 利益連動給与の要件における報酬委員会の決定に準ずる適正な手続きについて、次の見直しが行われた(法令69⑨)。
イ 報酬委員会の決定に準ずる適正な手続にその内国法人が監査等委員会設置会社である場合の取締役会の決議による決定が追加された(法令69⑨二・四・五)。
ロ 報酬委員会の決定に準ずる適正な手続のうち、株主総会の決議による決定における内国法人から除外される「委員会設置会社」を「指名委員会等設置会社」とする名称変更が行われた(法令69⑨一・二)。
② 使用人兼務役員とされない役員の追加等
使用人兼務役員とされない役員のうち取締役について、次の見直しが行われた(法令71①四)。
イ 対象に監査等委員である取締役が追加された。
ロ 対象となる委員会設置会社の取締役について、「委員会設置会社」を「指名委員会等設置会社」とする名称変更が行われた。
(3)不正行為等に係る費用等の損金不算入 不正行為等に係る費用等の損金不算入制度の対象となるものに不当景品類及び不当表示防止法の規定による課徴金及び延滞金が追加された(法法55④六)。
(4)繰延ヘッジ処理による利益額若しくは損失額の繰延べ又は時価ヘッジ処理による売買目的外有価証券の評価益若しくは評価損の計上 ① ヘッジ手段として行ったオプション取引に係る有効性判定について、その有効性判定を行おうとする法人の納税地の所轄税務署長への届出書の提出によって、そのよることとされる原則的な方法に代えて、次の場合の区分に応じた次の方法によることができることとする措置が設けられた(法令121の3の2①)。
イ 資産又は負債に係るヘッジ対象資産等損失額を減少させるためにそのオプション取引を行った場合 期末時又は決済時におけるそのオプション取引に係る基礎商品変動差額とヘッジ対象資産等評価差額とを比較する方法
ロ 金銭に係るヘッジ対象資産等損失額を減少させるためにそのオプション取引を行った場合 期末時又は決済時におけるそのオプション取引に係る受払金銭評価差額とヘッジ対象金銭受払差額とを比較する方法
② ヘッジ手段として行ったオプション取引に係る有効性判定について、その有効性判定を行おうとする法人の納税地の所轄税務署長への届出書の提出によって、そのよることとされる原則的な方法に代えて、基礎商品変動差額とヘッジ対象有価証券評価差額とを比較する方法によることができることとする措置が設けられた(法令121の9の2①)。
(5)借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入 地下について上下の範囲を定めた借地権の設定が大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の認可事業に係る施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権の設定である場合の土地の価値減少割合の算式における分子となる金額が、その土地の価値減少額に2を乗じて計算した金額に、その土地における地表から大深度地下の公共的使用に関する特別措置法第2条第1項各号に掲げる深さのうちいずれか深い方の深さ(大深度)までの距離をその借地権の設定される範囲のうち最も浅い部分の深さからその大深度までの距離で除して得た数を乗じて計算した金額とされた(法令138①一ロ)。
(6)資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入 いわゆる課税売上割合が80%未満である事業年度において生じた資産に係る控除対象外消費税額等をその事業年度において損金の額に算入することができる場合に、その資産に係る控除対象外消費税額等が特定課税仕入れに係るものである場合が追加された(法令139の4②二)。
(7)特定同族会社又は連結特定同族会社の特別税率(留保金課税) ① 所得等の金額における還付を受け又は充当される金額から道府県民税利子割額に係る部分の金額が除外されるとともに、所要の規定の整備が行われた(法法67③五)。
なお、連結納税制度における連結所得等の金額についても、同様の改正が行われている(法法81の13②四)。
② 所得等の金額のうち留保した金額から控除する道府県民税及び市町村民税の額の計算の基礎となる法人税額及び税額控除額について、次の見直しが行われた。
イ 法人税額及び税額控除額に改正法附則(経過措置)の規定によりなおその効力を有するものとされる改正前の租税特別措置法の税額控除の規定が、税額控除額に震災特例法の税額控除の規定が、それぞれ明確に規定される等の所要の規定の整備が行われた(法令139の10)。
ロ 租税特別措置法の改正に伴う所要の改正が行われた(法令139の10②)。
なお、連結納税制度における連結留保金額の計算上控除する道府県民税及び市町村民税の額についても、上記イ及びロと同様の改正が行われている(法令155の25)。
(8)青色申告の承認の取消し及び連結納税の承認の取消しに係る規定の明確化等 ① 国税庁長官により連結納税の承認が取り消された場合には、青色申告の承認を取り消す(現行:取り消すことができる)ものとする規定の明確化が行われた(法法旧127①五、127②~④)。
② 退職年金等積立金確定申告書等を青色の申告書により提出することができる法人に青色申告の承認を受けていない連結申告法人が追加された(法法121②)。
租税特別措置法(法人税関係の改正)
第一 税額控除関係
Ⅰ 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)及び試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例
1 改正の内容
(1)税額控除限度額の上限の見直し 試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制の税額控除限度額の上限が、当期の法人税額の25%相当額とされた(措法42の4①後段②後段)。また、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例は、適用期限の到来をもって廃止された(旧措法42の4の2)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の9①後段②後段、旧措法68の9の2、旧措令39の39の2)。
(2)特別試験研究費の額に係る税額控除制度の改組 特別試験研究費の額に係る税額控除制度が改組され、青色申告書を提出する法人の各事業年度において、その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究費の額がある場合に、その事業年度の所得に対する法人税額から一定の金額の合計額を控除することができる制度とされた(措法42の4③)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の9③)。
(3)繰越税額控除限度超過額に係る税額控除制度及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度の廃止 ① 繰越税額控除限度超過額に係る税額控除制度及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度は、廃止された(旧措法42の4③⑦)。
② 上記①の改正に伴い、連結納税の承認を取り消された場合の法人税額の調整(取戻し課税)も廃止された(旧措法42の4⑪)。
連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の9③⑦⑪)。
2 適用関係
(1)上記1(1)、(2)及び(3)①の改正は、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則72)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成27年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税、連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究費の額、連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度における連結繰越税額控除限度超過額及び繰越中小連結法人税額控除限度超過額並びに連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度における税額控除額の上限については、なお従前の例によることとされている(改正法附則84①~③⑥)。
(2)上記1(3)②の改正は、連結子法人が連結納税の承認を取り消された場合におけるその連結子法人のその取消しの日前5年以内に開始した各連結事業年度のうち連結親法人事業年度が平成27年4月1日前に開始した連結事業年度において税額控除された金額については、なお従前の例によることとされている(改正法附則73①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則84④)。
Ⅱ エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(環境関連投資促進税制)
1 改正の内容
(1)即時償却に係る措置の対象資産の見直し 特定エネルギー環境負荷低減推進設備等の範囲から、太陽光発電設備が除外された(措法42の5①一⑥)。
(2)即時償却に係る措置の適用期限の延長 即時償却に係る措置の適用期限が、平成28年3月31日まで1年延長された(措法42の5⑥)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の10①一⑥)。
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定エネルギー環境負荷低減推進設備等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定エネルギー環境負荷低減推進設備等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則74)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則85)。
Ⅲ 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度
1 改正の内容
(1)対象資産の追加 継続的に実施されることが確保される特定事業の用に供される建物及びその附属設備については、貸付けの用に供した場合にも本制度の適用ができることとされた(措法42の10①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の14①)。
(2)特定事業の追加 本制度の適用対象となる特定事業の範囲に、次の事業が追加される予定である。
① 一定の要件を満たすインターナショナルスクールの整備に関する事業(中核的事業以外の特定事業)
② 革新的な情報サービスを活用した農業の生産性向上に係る研究開発に関する事業(中核的事業)
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日(同法の公布の日)以後に取得又は製作若しくは建設をする特定機械装置等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則75①)。連結納税制度の場合についても同様とする(改正法附則86)。
Ⅳ 地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(創設)
1 制度の概要 この制度は、青色申告書を提出する法人で地域再生法の一部を改正する法律の施行の日から平成30年3月31日までの間に地方活力向上地域特定業務施設整備計画について地域再生法の認定を受けたものが、その認定を受けた日から同日の翌日以後2年を経過する日までの間に、その認定をした都道府県知事が作成した同法の認定地域再生計画に記載されている地方活力向上地域内において、その地方活力向上地域特定業務施設整備計画に記載された特定業務施設に該当する建物及びその附属設備並びに構築物(以下「特定建物等」という。)の取得又は建設(以下「取得等」という。)をして、その法人の営む事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、その特定建物等の取得価額の15%(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、25%)相当額の特別償却と2%(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、4%)相当額の税額控除(特別控除税額は、当期の法人税額の20%相当額を限度とする。)との選択適用ができるというものである(措法42の12①②)。
なお、地域再生法の一部を改正する法律の施行の日から平成29年3月31日までの間に地方活力向上地域特定業務施設整備計画について地域再生法の認定を受けたものが取得等をした特定建物等については、その特別償却とその取得価額の4%(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、7%)相当額の税額控除との選択適用ができることとされている(措法42の12②)。
連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の15の2)。
2 適用関係 上記1の制度は、地域再生法の一部を改正する法律の施行の日から施行することとされている(改正法附則1十一)。
Ⅴ 雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)
1 改正の概要 本制度に次の措置が追加された。
(1)地方事業所基準雇用者数に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人で地域再生法の認定事業者であるものが、同法の地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定を受けた日から同日の翌日以後2年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度において、雇用の増加に係る要件のうち基準雇用者割合が10%以上又は当該事業年度開始の日の前日における雇用者の数が零であることとの要件以外の要件を満たす場合で、かつ、雇用保険法の適用事業を行っている場合には、その事業年度の所得に対する法人税額から20万円(基準雇用者割合が10%以上又は当該事業年度開始の日の前日における雇用者の数が零である場合には、50万円)にその法人の地方事業所基準雇用者数(基準雇用者数を上限とする。)を乗じて計算した金額(地方事業所税額控除限度額)を控除することができるというものである(措法42の12の2②)。
(2)地方事業所特別基準雇用者数に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人で地域再生法の認定事業者であるもののうち上記(1)の措置の適用を受ける又は受けたものが、その適用を受ける事業年度以後の事業年度で同法の地方活力向上地域特定業務施設整備計画(移転型計画に限る。)の認定を受けた日から同日の翌日以後2年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度において、雇用保険法の適用事業を行っている場合には、その事業年度の所得に対する法人税額から30万円にその法人の地方事業所特別基準雇用者数を乗じて計算した金額(地方事業所特別税額控除限度額)を控除することができるというものである(措法42の12の2③)。
連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の措置が講じられている(措法68の15の3)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人の地域再生法の一部を改正する法律の施行の日以後に終了する事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則77①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則87①)。
Ⅵ 国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却又は法人税額の特別控除制度(生産等設備投資促進税制)
1 改正の内容 本制度は、適用期限(平成27年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法42の12の2、旧措令27の12の2)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の15の3、旧措令39の45の3)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人の平成27年4月1日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則72)。連結納税制度の場合には、連結親法人事業年度が平成27年4月1日前に開始した連結事業年度において連結法人が取得等をした生産等資産については、なお従前の例によることとされている(改正法附則88)。
Ⅶ 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:特定中小連結法人が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度
1 改正の内容
(1)適用対象法人の見直し 適用対象となる法人から、認定経営革新等支援機関及び認定経営革新等支援機関が行う経営の改善に関する指導及び助言に準ずる指導及び助言を行うことができる法人(以下「認定経営革新等支援機関等」という。)が除外された(措法42の12の3①)。
これに伴い、本制度の適用対象法人である中小企業等協同組合等から、農業協同組合、漁業協同組合及び森林組合が除外された(措令27の12の3②)。
(2)適用対象資産の見直し 適用対象となる資産が、認定経営革新等支援機関等による経営の改善に関する指導及び助言を受けた旨を明らかにする書類に経営の改善に資する資産として記載されたものに限ることとされた(措法42の12の3①)。
(3)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法42の12の3①)。
(4)国際課税原則の見直しに伴う整備 本制度が国際課税原則の帰属主義への移行に関する改正の施行の日である平成28年4月1日を超えて延長されたことに伴い、外国法人の税額控除の順序について、まず、本制度による控除をし、次に外国法人に係る所得税額の控除及び外国税額の控除をすること等の所要の整備が行われた(措法42の12の3⑩)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の15の4①)。
2 適用関係 上記1(1)及び(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする経営改善設備について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした経営改善設備については、なお従前の例によることとされている(改正法附則78)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則89)。
Ⅷ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(所得拡大促進税制)
1 改正の内容 次の事業年度における雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合(増加促進割合)に係る要件が次のとおり引き下げられた(措法42の12の4①②五)。
(1)平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度 4%(その法人が中小企業者等である場合には、3%)以上(改正前:5%以上)
(2)平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度 5%(その法人が中小企業者等である場合には、3%)以上(改正前:5%以上)
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の15の5①②五)。
2 適用関係 上記1の改正は、平成27年4月1日から施行されている(改正法附則1)。
第二 特別償却関係
Ⅰ 特定設備等の特別償却制度
1 改正の内容
(1)対象となる外航船舶の範囲の見直し 特定設備等の特別償却制度の対象となる外航船舶から国際総トン数が1万トン未満の外航船舶が除外された(措法43①表二、措令28③)。
(2)対象となる船舶に係る経営合理化・環境負荷低減要件の見直し
特定設備等の特別償却制度の対象となる外航船舶及び内航船舶の事業の経営の合理化及び環境への負荷の低減に係る要件(以下「経営合理化・環境負荷低減要件」という。)について、次の見直しが行われた(平27.3国土交通告473)。
① 外航船舶
イ 対象となる外航船舶のうち平成27年4月1日以後に建造契約を結び建造をする船舶(建造契約がない船舶にあっては、平成27年10月1日以後に建造に着手されたもの)の経営合理化・環境負荷低減要件にバラスト水管理条約の締約国が承認をしたバラスト水処理装置を有していることが追加された(平27.3国土交通告473別表1)。
ロ 対象となる外航船舶のうち二酸化炭素放出抑制対象船舶で海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第19条の26第1項に規定する国土交通大臣の確認を受けなければならない船舶(一定の船舶に限る。)の二酸化炭素放出抑制指標の値に係る要件が一定の船舶の用途及び船舶の大きさの区分に応じ、一定の二酸化炭素放出抑制指標の値以下であることとされた(平27.3国土交通告473別表1)。
② 内航船舶
対象となる内航船舶の経営合理化・環境負荷低減要件に、LED照明器具(船内居住空間に設置する全ての照明器具をLED照明器具とする場合のそのLED照明器具に限る。)を有していることとする要件が追加され、対象となる内航船舶のうち船舶安全法(昭和8年法律第11号)第9条第1項の船舶検査証書において平水区域のうち湖又は川のみを航行区域とする旨の記載のある船舶以外の船舶にあっては、船舶自動識別装置を有し、かつ、加水分解型の摩擦抵抗低減塗料を船底外板及び船側外板の外面で満載喫水線規則第65条の2第1項(同令第66条において読み替えて準用する場合を含む。)の規定に基づく海水満載喫水線より下方の部分に塗布していることとする要件が追加された(平27.3国土交通告473別表2、3)。
(3)適用に係る対象船舶の指定期限の延長
特定設備等の特別償却制度の適用に係る対象船舶の指定期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(昭48.5大蔵告69別表2)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の16①表二、措令39の49③)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする船舶について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした船舶については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79①、改正措令附則32①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90①、改正措令附則41①)。
(2)上記1(2)の改正は、平成27年4月1日から適用することとされている(平27.3国土交通告473前文)。
Ⅱ 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度
1 改正の内容
(1)適用対象資産の見直し 適用対象となる研究施設が、新設又は増設に係るものに限定された(措法44①)。
(2)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法44①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の19①)。
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする研究施設について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした研究施設については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90②)。
Ⅲ 共同利用施設の特別償却制度
1 改正の内容
(1)適用対象資産の見直し 適用対象となる資産が、一の共同利用施設の取得価額が100万円以上のものに限定された(措法44の3①、措令28の5)。
(2)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法44の3①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の24①、措令39の52)。
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする共同利用施設について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした共同利用施設については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90③)。
Ⅳ 特定農産加工品生産設備等の特別償却制度(改正後:特定農産加工品生産設備の特別償却制度)
1 改正の内容 新用途米穀加工品等製造設備の特別償却制度は、適用期限(平成27年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法44の4②、旧措令28の7③~⑤、旧措規20の14②)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の25②、旧措令39の52③④、旧措規22の33②)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人が平成27年4月1日前に取得又は製作をした新用途米穀加工品等製造設備については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79④)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90④)。
Ⅴ 特定信頼性向上設備等の特別償却制度
1 改正の内容 特定信頼性向上設備の特別償却制度について、次の改正が行われた。
(1)適用対象地域の見直し 適用対象となる地域が、首都直下地震対策特別措置法第3条第1項の規定により首都直下地震緊急対策区域として指定された区域(改正前:東京圏)以外の地域とされた(措令28の8②、平23.8総務告400、平23.8総務告401)。
(2)特別償却割合の見直し 特別償却割合が、10%(改正前:15%)に引き下げられた(措法44の5①)。
(3)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成28年5月31日まで1年2月延長された(措法44の5①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の26①、措令39の55②)。
2 適用関係 上記1(1)及び(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定信頼性向上設備について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定信頼性向上設備については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79⑤、改正措令附則32②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑤、改正措令附則41②)。
Ⅵ 特定地域における工業用機械等の特別償却制度
1 改正の内容
(1)過疎地域に係る措置 過疎地域に係る措置について、適用期限が平成29年3月31日まで2年延長されました(措令28の9①一)。なお、その地域のうち下記(2)の措置における対象地区に該当する地区は、この措置の対象となる地域から除かれることとされた(措法45①表一)。
(2)振興山村に係る措置 振興山村に係る措置について、山村振興法の特定振興山村市町村が作成する特定山村振興計画に記載された区域及び事業に係る割増償却措置に改組された(措法45②表四、措令28の9⑫四⑬⑭四
~
、措規20の16⑦⑨)。
(3)半島振興対策実施地域に係る措置 半島振興対策実施地域に係る措置について、半島振興法の認定産業振興促進計画に記載された区域及び事業に係る措置に改組された(措法45②表一、措令28の9⑫一⑭一⑮⑯
、措規20の16⑤⑨)。
(4)離島振興対策実施地域及び奄美群島に係る措置 離島振興対策実施地域及び奄美群島に係る措置の適用期限が平成29年3月31日まで2年延長された(措法45②、措令28の9⑫二・三)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の27②、措令39の56②二・三)。
2 適用関係
(1)上記1(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得等をする産業振興機械等について適用し、法人が同日前に取得等をした工業用機械等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79⑥⑦)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑥⑦)。
(2)上記1(3)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得等をする産業振興機械等について適用し、法人が同日前に取得等をした産業振興機械等については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則79⑦⑧、改正措令附則32④、改正措規附則19①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑦⑧、改正措令附則41④、改正措規附則23①)。
Ⅶ 医療用機器等の特別償却制度(改正後:医療用機器の特別償却制度)
1 改正の内容
(1)対象機器の見直し(58機器) 高度な医療の提供に資する機器又は先進的な機器に係る措置の対象機器のうち高度な医療の提供に資する機器について、一定の見直しが行われた(平27.3厚生労働告229)。連結納税制度の場合についても同様である。
(2)医療の安全の確保に資する機器に係る措置の除外 医療の安全の確保に資する機器に係る措置は、本制度から除外された(旧措法45の2①二、旧措令28の10③、旧平21.3厚生労働告248別表2)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の29①二、旧措令39の58③)。
(3)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法45の2①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の29①)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、平成27年4月1日から適用することとされている(改正告示前文)。連結納税制度の場合についても同様である。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成27年4月1日前に取得又は製作をした医療用機器等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79⑨)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑨)。
Ⅷ 支援事業所取引金額が増加した場合の3年以内取得資産の割増償却制度
1 改正の内容 本制度は、適用期限(平成27年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法46の2、旧措令29の2、旧措規20の18)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われた(旧措法68の32、旧措令39の61、旧措規22の39)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人の平成27年4月1日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則72)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則72)。
Ⅸ 次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の建物等の割増償却制度(改正後:次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の次世代育成支援対策資産の割増償却制度)
1 改正の内容 次世代育成支援対策推進法の改正等を踏まえ、本制度が次のように見直された。
(1)適用対象法人の追加 適用対象となる法人の範囲に、青色申告書を提出する法人で、平成27年4月1日から平成30年3月31日までの期間(以下「特例指定期間」という。)内に次世代育成支援対策に係る次世代育成支援対策推進法第15条の2に規定する基準に適合するものである旨の認定(以下「特例基準適合認定」という。)を受けた法人が追加された(措法46の2①)。
(2)適用対象資産の見直し 適用対象となる資産が、次のいずれにも該当するもので事業の用に供されているもの(以下「次世代育成支援対策資産」という。)とされた(措法46の2①)。
① 次の事業年度終了の日においてその法人の有する建物、建物附属設備、車両及び運搬具並びに器具及び備品
イ 次世代育成支援対策に係る次世代育成支援対策推進法第13条に規定する基準に適合するものである旨の認定(以下「基準適合認定」という。)を受けた日を含む事業年度(以下「適用事業年度」という。)
ロ 特例基準適合認定を受けた日以後3年以内に終了する各事業年度(以下「特例認定適用事業年度」という。)
② その法人の基準適合認定又は特例基準適合認定に係る一般事業主行動計画に記載されたもの
③ 次世代育成支援対策に資するものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して指定するもの(措令29の3①④、平27.3厚生労働告233)。
(3)割増償却割合の見直し 割増償却割合が次の次世代育成支援対策資産の区分に応じ次のとおりとされた(措法46の2①)。
① 建物及び建物附属設備 次の事業年度の区分に応じそれぞれ次の割合
イ 適用事業年度 24%(その一般事業主行動計画が次世代育成支援対策推進法第12条第4項の規定により届出をされたものである場合には、32%)
ロ 特例認定適用事業年度 15%
② 車両及び運搬具並びに器具及び備品 次の事業年度の区分に応じそれぞれ次に定める割合
イ 適用事業年度 18%(その一般事業主行動計画が次世代育成支援対策推進法第12条第4項の規定により届出をされたものである場合には、24%)
ロ 特例認定適用事業年度 12%
(4)書類の添付 特例基準適合認定を受けた法人がこの制度の適用を受ける場合には、その適用を受けようとする最初の事業年度の確定申告書等に、厚生労働大臣のその法人につき特例基準適合認定をした旨を証する書類の写し及びその特例基準適合認定に係る一般事業主行動計画の計画期間が明らかとなる書類を添付しなければならないこととされた(措令29の3②、措規20の19)。
(5)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成30年3月31日まで3年延長された(措法46の2①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(5)までと同様の改正が行われている(措法68の33①、措令39の62、措規22の40)。
2 適用関係 上記1(1)から(4)までの改正は、平成27年4月1日以後に基準適合認定又は特例基準適合認定を受ける法人の同日以後に開始する事業年度(同日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度を含む。)終了の日において有する次世代育成支援対策資産について適用し、同日前に基準適合認定を受けた法人の同日前に開始した事業年度終了の日において有する特定建物等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79⑩)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑩)。
Ⅹ 特定再開発建築物等の割増償却制度(改正後:特定都市再生建築物等の割増償却制度)
1 改正の内容
(1)適用対象となる措置の除外 本制度の適用対象から、都市再開発法の市街地再開発事業によって建築される建築物に係る措置が除外された(旧措法47の2③一、旧措令29の5①②、旧措規20の21⑤一)。
(2)割増償却割合の見直し 都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置のうち、同法第2条第3項に規定する都市再生緊急整備地域(同条第5項に規定する特定都市再生緊急整備地域に該当するものを除く。)内において整備される建築物に係る措置の割増償却割合が30%(改正前:40%)に引き下げられた(措法47の2①③一)。
(3)適用対象資産の見直し 雨水貯留浸透利用施設に係る措置について、水防法等の一部を改正する法律第2条の規定による下水道法の改正に伴い、次のとおり見直された。
① 対象区域が、下水道法第25条の2に規定する浸水被害対策区域とされた(措法47の2③三)。
② 適用対象となる資産から土地の浸透性舗装が除外された(旧措令29の5⑦二、旧措規20の21④)。
③ 適用対象となる資産からその建築又は設置に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他これらに準ずるもの(以下「補助金等」という。)をもって建築し、又は設置されるその補助金等の交付の目的に適合した構築物が除外された(措令29の5④二)。
(4)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法47の2①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(4)までと同様の改正が行われている(措法68の35、措令39の64、措規22の42)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日前に取得又は新築をした建築物については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則79⑫、改正措令附則32⑤、改正措規附則19③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑫、改正措令附則41⑤、改正措規附則23③)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は新築をする特定都市再生建築物等について適用し、法人が同日前に取得又は新築をした建築物については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則79⑪⑫、改正措令附則32⑤、改正措規附則19③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑪⑫、改正措令附則41⑤、改正措規附則23③)。
(3)上記1(3)の改正は、法人が水防法等の一部を改正する法律(平成27年法律第22号)の施行の日以後に取得又は新築をする特定都市再生建築物等について適用し、法人が同日前に取得又は新築をした構築物又は機械及び装置については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則79⑬⑭、改正措令附則32⑥、改正措規附則19④)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑬⑭、改正措令附則41⑥、改正措規附則23④)。
XI 倉庫用建物等の割増償却制度
1 改正の内容
(1)適用対象資産の要件の見直し 床面積及び容積に関する要件が次のとおり見直された(措令29の6②)。
① 普通倉庫(多階建て) 6,000㎡以上(改正前:3,000㎡以上)
② 普通倉庫(平屋建て) 3,000㎡以上(改正前:1,500㎡以上)
③ 冷蔵倉庫6,000㎥以上(改正前:3,000㎥以上)
(2)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法48①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の36①)。
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は建設をする倉庫用建物等について適用し、法人が同日前に取得又は建設をした倉庫用建物等については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則32⑦)。連結納税制度の場合についても同様である。
第三 準備金等関係
Ⅰ 中小企業等の貸倒引当金の特例(連結:中小連結法人等の貸倒引当金の特例)
1 改正の内容
(1)中小企業等の法定繰入率の適用に関する特例における簡便法の基準年度の見直し 中小企業等の法定繰入率の適用に関する特例における実質的に債権とみられない金額の算定に関する簡便法を適用する場合に基準となる事業年度が、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度(改正前:平成10年4月1日から平成12年3月31日までの間に開始した各事業年度)とされた(措令33の7③二)。
これに伴い、簡便法を適用できる法人は、平成27年4月1日に存する法人とされた(措令33の7③)。
(2)公益法人等又は協同組合等の割増率の適用に関する特例の適用期限の延長 公益法人等又は協同組合等の割増率の適用に関する特例の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法57の9③)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の59③、措令39の86②)。
2 適用関係 上記(1)の改正は、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則33)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則42)。
Ⅱ 農業経営基盤強化準備金制度
1 改正の内容
(1)対象法人の見直し 対象となる法人から、農業生産法人以外の特定農業法人が除外された(措法61の2①)。
(2)対象交付金等の見直し 対象となる交付金等から、環境保全型農業直接支援対策交付金(地方公共団体がこれと一体的に交付するものを含む。)が除外された(措規21の18の2①、旧農業経営基盤強化促進法施行規則25の2四)。
(3)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法61の2①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の64①)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、特定農業法人(農業生産法人を除く。)が平成27年4月1日前に交付を受けた交付金等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則81①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則92①)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に交付を受ける交付金等について適用し、法人が同日前に交付を受けた交付金等については、なお従前の例によることとされている(改正措規附則20)。連結納税制度の場合についても同様である。
Ⅲ 農用地等を取得した場合の課税の特例
1 改正の内容 対象となる資産のうち特定農業用機械等が、農業用の機械及び装置、器具及び備品、建物及びその附属設備、構築物並びにソフトウエア(改正前:農業用の機械その他の減価償却資産)とされた(措法61の3①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の65①)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定農業用機械等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定農業用機械等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則81②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則92②)。
第四 土地税制関係
Ⅰ 土地の譲渡等がある場合の特別税率
1 改正の内容 優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡の場合の適用除外措置の対象に、国家戦略特別区域法第11条第1項に規定する認定区域計画に定められている同法第2条第2項に規定する特定事業又はその特定事業の実施に伴い必要となる施設を整備する事業で、施行区域の面積が500㎡以上であることなどの産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に特に資するものとして一定の要件を満たす事業を行う者に対する土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等がその事業の用に供されるものが追加された(措法62の3④八の二)。連結納税制度の場合についても同様である。
2 適用関係 本制度は、適用停止中であることから、経過措置は設けられていない。連結納税制度の場合についても同様である。
Ⅱ 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等
1 改正の内容
(1)適用対象の追加 特例の適用対象に福島復興再生特別措置法の一団地の復興再生拠点市街地形成施設の整備に関する事業により土地等が買い取られる場合が追加された。
(2)簡易証明制度の対象となる事業の追加 所得税関係の改正において、簡易証明制度の対象となる事業(いわゆる特掲事業)の範囲に、福島復興再生特別措置法の一団地の復興再生拠点市街地形成施設の整備に関する事業が追加され、法人税関係についても同様となる(措規14⑤四の九、22の2④一、22の64③)。
2 適用関係 上記1(2)の所得税関係の改正は、個人が福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律の施行の日(平成27年5月7日)以後に行う資産の譲渡について適用することとされている(改正措規附則9①)。法人税関係についても同様となる。
Ⅲ 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例
1 改正の内容 内国法人が法人税法第61条の13第1項に規定する譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額につき同項の規定の適用を受けた場合において、同条第2項に規定する譲受法人の有するその適用に係る譲渡損益調整資産の一定の換地処分等による譲渡につき本制度の適用を受けたときは、その譲渡利益額を、引き続き計上しないこととする措置が創設された(措法65⑩)。連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の72⑩)。
2 適用関係 上記1の改正は、譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額につき法人税法第61条の13第1項の規定の適用を受けた内国法人の平成27年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則82①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則93①)。
Ⅳ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(1,500万円特別控除制度)
1 改正の内容
(1)適用期限の延長 本制度の適用対象となる一団の宅地の造成に関する事業の用に供するために土地が買い取られる場合に係る措置の適用期限が、平成29年12月31日まで3年延長された(措法65の4①三)。連結納税制度の場合についても同様である。
(2)確定申告書等の添付書類の見直し 本制度の適用対象となる国土利用計画法の規制区域内の土地等が地方公共団体に買い取られる場合に係る措置について、同法の規定により土地等が買い取られた場合における確定申告書等に添付すべき買取りに係る書類の発行者として政令指定都市の長が追加された(措規22の5①二十二)。連結納税制度の場合についても同様である。
2 適用関係 上記1(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用し、法人が同日前に行った土地等の譲渡に係る法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措規附則21)。連結納税制度の場合についても同様である。
Ⅴ 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例
1 改正の内容
(1)買換資産の見直し 所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物又は構築物から国内にある一定の土地等、建物、構築物又は機械装置等への買換えに係る措置の対象となる買換資産から、機械及び装置並びにコンテナ用の貨車が除外された(措法65の7①表九下欄、措令39の7⑦)。
(2)圧縮割合の見直し 所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物又は構築物から国内にある一定の土地等、建物又は構築物等への買換えに係る措置の圧縮割合が、次のとおり見直された(措法65の7⑭、65の8⑱)。
① 譲渡資産が集中地域以外の地域内にある資産に該当し、取得をした又は取得をする見込みである買換資産が地域再生法第17条の2第1項第1号に規定する地域内にある資産に該当する場合には、圧縮割合が70%(改正前:80%)に引き下げられた。
② 譲渡資産が集中地域以外の地域内にある資産に該当し、取得をした又は取得をする見込みである買換資産が集中地域(地域再生法第17条の2第1項第1号に規定する地域を除く。)内にある資産に該当する場合には、圧縮割合が75%(改正前:80%)に引き下げられた。
(3)添付書類の見直し 上記(2)の改正に伴い、所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物又は構築物から国内にある一定の土地等、建物又は構築物等への買換えに係る措置の適用を受ける場合に確定申告書等に添付しなければならない書類について、一定の場合にそれぞれ一定の書類が追加された(措規22の7⑤二)。
(4)適用期限の延長 所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物又は構築物から国内にある一定の土地等、建物又は構築物等への買換えに係る措置の適用期限が、平成29年3月31日まで2年3月延長された(措法65の7①、65の8①、65の9)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(4)までと同様の改正が行われている(措法68の78①⑭、68の79①⑲、68の80、措令39の106③
、措規22の69⑤二)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、法人が平成27年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をして、同日以後に買換資産の取得をする場合のその買換資産及びその買換資産に係る特別勘定又は期中特別勘定について適用し、法人が同日前に譲渡資産の譲渡をした場合における同日前に取得をした買換資産又は同日以後に取得をする買換資産及びこれらの買換資産に係る特別勘定又は期中特別勘定並びに法人が同日以後に譲渡資産の譲渡をする場合における同日前に取得をした買換資産については、なお従前の例によることとされている(改正法附則82②、改正措令附則34)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則93②、改正措令附則43)。
(2)上記1(2)及び(3)の改正は、法人が地域再生法の一部を改正する法律の施行の日以後に譲渡資産の譲渡をして、同日以後に買換資産の取得をする場合のその買換資産及びその買換資産に係る特別勘定又は期中特別勘定について適用することとされている(改正法附則82③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則93③)。
第五 その他の特別措置関係
Ⅰ 認定研究開発事業法人等の課税の特例(連結:連結法人である認定研究開発事業法人等の課税の特例)
1 改正の内容 この制度は、廃止された(旧措法61、旧措令37)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の63の3、旧措令39の90の3)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人の平成27年4月1日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則72)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則72)。
Ⅱ 技術研究組合の所得の計算の特例(連結:技術研究組合の連結所得の計算の特例)
1 改正の内容
(1)試験研究用資産の範囲の見直し 試験研究用資産の範囲から、土地の上に存する権利が除外された(措令39の21)。連結納税制度の場合についても同様である。
(2)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成30年3月31日まで3年延長された(措法66の10①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の94①)。
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に技術研究組合法の規定により賦課する金額をもって取得又は製作をする試験研究用資産について適用し、法人が同日前に同法の規定により賦課した金額をもって取得又は製作をした試験研究用資産については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則37)。連結納税制度の場合についても同様である。
Ⅲ 特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例
1 改正の内容 制度の対象から独立行政法人農畜産業振興機構法第10条第2号に掲げる業務のうち畜産業の振興に資する事業に係る業務に係る基金に充てるための負担金が除外された(旧措令39の22②八)。連結納税制度の場合についても同様である。
2 適用関係 上記1の改正は、法人が平成27年4月1日前に支出した負担金については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則38)。連結納税制度の場合についても同様である。
Ⅳ 特定目的会社に係る課税の特例
1 改正の内容 平成22年4月1日前に設立された特定目的会社で平成27年3月31日までに資産の流動化に関する法律第4条第2項に規定する業務開始届出をしなかったものにあっては、平成27年4月1日に終了する事業年度において、基準特定出資に係る国内募集50%超要件を適用することとされた(平成22年改正法附則96①、平成22年改正措令附則38)。
Ⅴ 投資法人に係る課税の特例
1 改正の内容
(1)損金算入の対象となる配当等の額の範囲等の見直し 投資法人に係る課税の特例により損金の額に算入される配当等の額は、法人税法第23条第1項第2号に掲げる金額及びみなし配当等の額並びにいわゆる合併交付金の額とされた(措法67の15①、措令39の32の3①)。
また、投資法人の出資等減少分配について、みなし配当等の額を計算する場合には、前事業年度末ではなく前々事業年度末の簿価純資産価額を用いること、前々事業年度末以後の利益積立金額の変動は考慮しないこととされた(措令39の32の3⑪⑫)。
(2)支払配当要件の見直し 支払配当の額が配当可能利益の90%相当額を超えていることとする要件における配当可能利益の額の計算について、一定の見直しが行われた(措規22の19)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、平成27年4月1日以後に行われる金銭の分配について適用することとされている(改正法附則23、25、改正法令附則3①、4①)。
(2)上記1(2)の改正は、投資法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、投資法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措規附則22①)。
平成27年度における法人税関係の改正について
田中久美子
はじめに
平成27年度税制改正においては、①成長志向に重点を置いた法人税改革、②高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じた住宅市場の活性化等のための措置、③企業の地方拠点強化、結婚・子育ての支援等のための措置、④消費税率10%への引上げの時期の変更等のための措置、⑤国境を越えた取引等に係る課税の国際的調和に向けた措置及び⑥震災からの復興を支援するための措置を行うほか、所要の措置を講ずることとされ、関係法令の改正が行われた。
このうち法人税法関係の改正では、法人税の基本税率の引下げ、これに併せた課税ベースの拡大等が行われ、法人税関係の租税特別措置法の改正では、現下の経済情勢等を踏まえ、地方創生に取り組むための投資促進税制の創設及び雇用促進税制の拡充、研究開発税制における特別試験研究費の額に係る税額控除制度の拡充、所得拡大促進税制の拡充等が行われる一方で、生産等設備投資促進税制の廃止等既存の租税特別措置の整理合理化が行われた。
本稿は、これらの改正の内容を紹介するものである。
法人税法の改正
Ⅰ 税率の引き下げ
1 改正の内容 法人税の税率について、23.9%(改正前25.5%)に引き下げられた。この国税における法人税率の引下げに加え、地方税の法人事業税所得割の税率について4.8%(改正前7.2%)に引き下げられることにより、法人実効税率は、31.33%となる。この法人実効税率の引下げは中小法人にも適用される。また、租税特別措置法において措置されている中小法人、公益法人等、協同組合等の軽減税率の特例については、適用期限が平成29年3月31日まで2年間延長された(法法66、81の12、措法42の3の2、68の8)。
2 適用関係 平成27年4月1日以後に開始する事業年度又は連結事業年度の所得に対する法人税について適用し、同日前に開始した事業年度又は連結事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則21)。
Ⅱ 欠損金の繰越控除
1 改正の内容
(1)中小法人以外の普通法人の青色欠損金及び災害損失金の控除限度額が、次のとおり、段階的に引き下げられた(法法57①、58①、81の9①一ロ、改正法附則27②、30②)。
・法人の平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度……欠損金額控除前の所得の金額の65%相当額
・法人の平成29年4月1日以後に開始する事業年度……欠損金額控除前の所得の金額の50%相当額
(2)再建中の法人や新設法人については、法人の青色欠損金及び災害損失金の繰越控除の適用を受ける事業年度(以下「控除適用年度」という。)が特例事業年度のいずれかに該当する場合には、中小法人等と同様に、その控除適用年度の控除限度額は欠損金額控除前の所得の金額とされた(法法57⑪二・三、58⑥二・三、81の9⑧二・三)。
(3)青色欠損金、災害損失金及び連結欠損金の繰越期間が10年(改正前:9年)に延長されるとともに、青色欠損金、災害損失金及び連結欠損金の帳簿書類保存要件における保存期間が10年(改正前:9年)に延長された(法法57①、58①、81の9①、法規26の3①、26の5①、37の3の2①)。
2 適用関係
(1)上記1(1)及び(2)の改正は、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則21)。連結納税制度の場合についても、同様とされている(改正法附則21、改正法令附則10①)。
(2)上記1(3)の改正は、法人の平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額について適用し、法人の同日前に開始した事業年度において生じた欠損金額については、従前どおりとされている(改正法附則27①、改正法規附則2①)。連結欠損金についても、同様とされている(改正法附則30①、改正法規附則2③)。
Ⅲ 受取配当等の益金不算入
1 改正の内容 (1)益金不算入の対象となる配当等の額
公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配の額について、受取配当等の益金不算入制度の対象となる配当等の額から除外された(旧法法23①三、旧法令19、旧法規8の4)。
ただし、外国株価指数連動型特定株式投資信託以外の特定株式投資信託の収益の分配の額については、非支配目的株式等として受取配当等の益金不算入制度の対象となる配当等の額とされている(措法67の6)。
(2)株式等の区分 株式等の区分について、受取配当等の益金不算入制度の対象となる配当等の額を、その元本である株式等につき①完全子法人株式等、②関連法人株式等、③その他株式等及び④非支配目的株式等に応じて4つに区分することとされた(法法23①、81の4①)。
(3)関連法人株式等 関連法人株式等とは、内国法人が、他の内国法人の発行済株式等の総数又は総額の3分の1を超える数又は金額のその他の内国法人の株式等を、その内国法人がその他の内国法人から受ける配当等の額の計算期間の初日からその計算期間の末日まで引き続き有している場合におけるその他の内国法人の株式等で、完全子法人株式等以外のものをいうこととされている(法法23⑥、81の4⑥、法令22の3①、155の10①)。
関連法人株式等に係る配当等の額については、その全額が益金の額に算入しないこととされているが、当該事業年度において支払う負債の利子の額がある場合には、その支払う負債の利子の額のうち関連法人株式等に係る部分の金額をその配当等の額から控除することとされている。この場合に控除することとなる負債の利子の額(関連法人株式等に係る部分の金額)の計算方法の一つである簡便法における基準年度が、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度とされた(法令22④)。
また、損害保険会社の平成16年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度の特別利子を控除することとなる負債の利子の額から除外する特例は廃止された(旧措法67の7、68の104)。
(4)その他株式等 その他株式等とは、完全子法人株式等、関連法人株式等及び非支配目的株式等のいずれにも該当しない株式等をいい、その他株式等に係る配当等の額については、その50%相当額が益金の額に算入しないこととされた(法法23①、81の4①)。なお、当該事業年度において支払う負債の利子の額がある場合においても、その他株式等に係る配当等の額から、その他株式等に係る負債の利子の額を控除する必要はない(法法23④、81の4④)。
(5)非支配目的株式等 非支配目的株式等とは、内国法人が、他の内国法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の5以下に相当する数又は金額のその他の内国法人の株式等を、その内国法人がその他の内国法人から受ける配当等の額の支払に係る基準日において有する場合におけるその他の内国法人の株式等で、完全子法人株式等以外のものをいうこととされ、非支配目的株式等に係る配当等の額については、その20%相当額を益金の額に算入しないこととされた(法法23①⑦、81の4①⑦、法令22の3の2①、155の10の2①)。
ただし、その支払を受ける内国法人が青色申告書を提出するいわゆる保険会社である場合には、その支払を受ける非支配目的株式等に係る配当等の額については、その40%相当額を益金の額に算入しないこととされた(措法67の7)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則21)。なお、連結法人については、連結親法人事業年度が平成27年4月1日以後に開始する連結事業年度の連結所得に対する法人税について適用し、連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度の連結所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則29)。
Ⅳ 退職年金等積立金に対する法人税(特別法人税)
1 改正の内容
(1)退職年金業務等の追加 退職年金業務等に次の業務が追加された(法法84①)。
① 国家公務員共済組合法第21条第2項第2号に掲げる業務② 地方公務員等共済組合法第3条の2第1項第3号に規定する退職等年金給付組合積立金の積立ての業務並びに同法第38条の2第2項第4号に規定する退職等年金給付調整積立金の管理及び運用に関する事務に係る業務
③ 日本私立学校振興・共済事業団法第23条第1項第8号に掲げる業務
(2)退職年金等積立金額の追加 上記(1)の改正に伴い、退職年金等積立金額に上記(1)①から③までの業務を行う法人の年金払い退職給付に係る積立金が追加された(法法84②九~十二)。
2 適用関係 退職年金業務等を行う法人の平成11年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度の退職年金等積立金については特別法人税の課税を停止する(措法68の4)こととされていることから、上記1の改正に係る経過措置は設けられていない。
Ⅴ その他
(1)受取配当等の益金不算入及びみなし配当等の額 ① 受取配当等の益金不算入制度の対象となる配当等の額に、投資法人の金銭の分配で出資等減少分配以外のものの額が規定上追加されるとともに、みなし配当等の額の生ずる基因となる発行法人の資本の払戻しに、出資等減少分配が規定上追加された(法法23①二、24①三)。
② みなし配当の額が生ずる事由となる自己の株式の取得から除外される特定の事由による取得における事由に株式の併合に反対する株主からのその株式の併合により端数となる株式の買取請求による買取りが追加された(法令23③九)。
連結納税制度の場合についても、同様とされている(法法81の4①)。
(2)役員給与の損金不算入 ① 利益連動給与の要件における報酬委員会の決定に準ずる適正な手続きについて、次の見直しが行われた(法令69⑨)。
イ 報酬委員会の決定に準ずる適正な手続にその内国法人が監査等委員会設置会社である場合の取締役会の決議による決定が追加された(法令69⑨二・四・五)。
ロ 報酬委員会の決定に準ずる適正な手続のうち、株主総会の決議による決定における内国法人から除外される「委員会設置会社」を「指名委員会等設置会社」とする名称変更が行われた(法令69⑨一・二)。
② 使用人兼務役員とされない役員の追加等
使用人兼務役員とされない役員のうち取締役について、次の見直しが行われた(法令71①四)。
イ 対象に監査等委員である取締役が追加された。
ロ 対象となる委員会設置会社の取締役について、「委員会設置会社」を「指名委員会等設置会社」とする名称変更が行われた。
(3)不正行為等に係る費用等の損金不算入 不正行為等に係る費用等の損金不算入制度の対象となるものに不当景品類及び不当表示防止法の規定による課徴金及び延滞金が追加された(法法55④六)。
(4)繰延ヘッジ処理による利益額若しくは損失額の繰延べ又は時価ヘッジ処理による売買目的外有価証券の評価益若しくは評価損の計上 ① ヘッジ手段として行ったオプション取引に係る有効性判定について、その有効性判定を行おうとする法人の納税地の所轄税務署長への届出書の提出によって、そのよることとされる原則的な方法に代えて、次の場合の区分に応じた次の方法によることができることとする措置が設けられた(法令121の3の2①)。
イ 資産又は負債に係るヘッジ対象資産等損失額を減少させるためにそのオプション取引を行った場合 期末時又は決済時におけるそのオプション取引に係る基礎商品変動差額とヘッジ対象資産等評価差額とを比較する方法
ロ 金銭に係るヘッジ対象資産等損失額を減少させるためにそのオプション取引を行った場合 期末時又は決済時におけるそのオプション取引に係る受払金銭評価差額とヘッジ対象金銭受払差額とを比較する方法
② ヘッジ手段として行ったオプション取引に係る有効性判定について、その有効性判定を行おうとする法人の納税地の所轄税務署長への届出書の提出によって、そのよることとされる原則的な方法に代えて、基礎商品変動差額とヘッジ対象有価証券評価差額とを比較する方法によることができることとする措置が設けられた(法令121の9の2①)。
(5)借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入 地下について上下の範囲を定めた借地権の設定が大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の認可事業に係る施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権の設定である場合の土地の価値減少割合の算式における分子となる金額が、その土地の価値減少額に2を乗じて計算した金額に、その土地における地表から大深度地下の公共的使用に関する特別措置法第2条第1項各号に掲げる深さのうちいずれか深い方の深さ(大深度)までの距離をその借地権の設定される範囲のうち最も浅い部分の深さからその大深度までの距離で除して得た数を乗じて計算した金額とされた(法令138①一ロ)。
(6)資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入 いわゆる課税売上割合が80%未満である事業年度において生じた資産に係る控除対象外消費税額等をその事業年度において損金の額に算入することができる場合に、その資産に係る控除対象外消費税額等が特定課税仕入れに係るものである場合が追加された(法令139の4②二)。
(7)特定同族会社又は連結特定同族会社の特別税率(留保金課税) ① 所得等の金額における還付を受け又は充当される金額から道府県民税利子割額に係る部分の金額が除外されるとともに、所要の規定の整備が行われた(法法67③五)。
なお、連結納税制度における連結所得等の金額についても、同様の改正が行われている(法法81の13②四)。
② 所得等の金額のうち留保した金額から控除する道府県民税及び市町村民税の額の計算の基礎となる法人税額及び税額控除額について、次の見直しが行われた。
イ 法人税額及び税額控除額に改正法附則(経過措置)の規定によりなおその効力を有するものとされる改正前の租税特別措置法の税額控除の規定が、税額控除額に震災特例法の税額控除の規定が、それぞれ明確に規定される等の所要の規定の整備が行われた(法令139の10)。
ロ 租税特別措置法の改正に伴う所要の改正が行われた(法令139の10②)。
なお、連結納税制度における連結留保金額の計算上控除する道府県民税及び市町村民税の額についても、上記イ及びロと同様の改正が行われている(法令155の25)。
(8)青色申告の承認の取消し及び連結納税の承認の取消しに係る規定の明確化等 ① 国税庁長官により連結納税の承認が取り消された場合には、青色申告の承認を取り消す(現行:取り消すことができる)ものとする規定の明確化が行われた(法法旧127①五、127②~④)。
② 退職年金等積立金確定申告書等を青色の申告書により提出することができる法人に青色申告の承認を受けていない連結申告法人が追加された(法法121②)。
租税特別措置法(法人税関係の改正)
第一 税額控除関係
Ⅰ 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)及び試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例
1 改正の内容
(1)税額控除限度額の上限の見直し 試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制の税額控除限度額の上限が、当期の法人税額の25%相当額とされた(措法42の4①後段②後段)。また、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例は、適用期限の到来をもって廃止された(旧措法42の4の2)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の9①後段②後段、旧措法68の9の2、旧措令39の39の2)。
(2)特別試験研究費の額に係る税額控除制度の改組 特別試験研究費の額に係る税額控除制度が改組され、青色申告書を提出する法人の各事業年度において、その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究費の額がある場合に、その事業年度の所得に対する法人税額から一定の金額の合計額を控除することができる制度とされた(措法42の4③)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の9③)。
(3)繰越税額控除限度超過額に係る税額控除制度及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度の廃止 ① 繰越税額控除限度超過額に係る税額控除制度及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度は、廃止された(旧措法42の4③⑦)。
② 上記①の改正に伴い、連結納税の承認を取り消された場合の法人税額の調整(取戻し課税)も廃止された(旧措法42の4⑪)。
連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の9③⑦⑪)。
2 適用関係
(1)上記1(1)、(2)及び(3)①の改正は、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則72)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成27年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税、連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究費の額、連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度における連結繰越税額控除限度超過額及び繰越中小連結法人税額控除限度超過額並びに連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度における税額控除額の上限については、なお従前の例によることとされている(改正法附則84①~③⑥)。
(2)上記1(3)②の改正は、連結子法人が連結納税の承認を取り消された場合におけるその連結子法人のその取消しの日前5年以内に開始した各連結事業年度のうち連結親法人事業年度が平成27年4月1日前に開始した連結事業年度において税額控除された金額については、なお従前の例によることとされている(改正法附則73①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則84④)。
Ⅱ エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(環境関連投資促進税制)
1 改正の内容
(1)即時償却に係る措置の対象資産の見直し 特定エネルギー環境負荷低減推進設備等の範囲から、太陽光発電設備が除外された(措法42の5①一⑥)。
(2)即時償却に係る措置の適用期限の延長 即時償却に係る措置の適用期限が、平成28年3月31日まで1年延長された(措法42の5⑥)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の10①一⑥)。
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定エネルギー環境負荷低減推進設備等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定エネルギー環境負荷低減推進設備等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則74)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則85)。
Ⅲ 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度
1 改正の内容
(1)対象資産の追加 継続的に実施されることが確保される特定事業の用に供される建物及びその附属設備については、貸付けの用に供した場合にも本制度の適用ができることとされた(措法42の10①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の14①)。
(2)特定事業の追加 本制度の適用対象となる特定事業の範囲に、次の事業が追加される予定である。
① 一定の要件を満たすインターナショナルスクールの整備に関する事業(中核的事業以外の特定事業)
② 革新的な情報サービスを活用した農業の生産性向上に係る研究開発に関する事業(中核的事業)
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日(同法の公布の日)以後に取得又は製作若しくは建設をする特定機械装置等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則75①)。連結納税制度の場合についても同様とする(改正法附則86)。
Ⅳ 地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(創設)
1 制度の概要 この制度は、青色申告書を提出する法人で地域再生法の一部を改正する法律の施行の日から平成30年3月31日までの間に地方活力向上地域特定業務施設整備計画について地域再生法の認定を受けたものが、その認定を受けた日から同日の翌日以後2年を経過する日までの間に、その認定をした都道府県知事が作成した同法の認定地域再生計画に記載されている地方活力向上地域内において、その地方活力向上地域特定業務施設整備計画に記載された特定業務施設に該当する建物及びその附属設備並びに構築物(以下「特定建物等」という。)の取得又は建設(以下「取得等」という。)をして、その法人の営む事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、その特定建物等の取得価額の15%(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、25%)相当額の特別償却と2%(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、4%)相当額の税額控除(特別控除税額は、当期の法人税額の20%相当額を限度とする。)との選択適用ができるというものである(措法42の12①②)。
なお、地域再生法の一部を改正する法律の施行の日から平成29年3月31日までの間に地方活力向上地域特定業務施設整備計画について地域再生法の認定を受けたものが取得等をした特定建物等については、その特別償却とその取得価額の4%(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、7%)相当額の税額控除との選択適用ができることとされている(措法42の12②)。
連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の15の2)。
2 適用関係 上記1の制度は、地域再生法の一部を改正する法律の施行の日から施行することとされている(改正法附則1十一)。
Ⅴ 雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)
1 改正の概要 本制度に次の措置が追加された。
(1)地方事業所基準雇用者数に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人で地域再生法の認定事業者であるものが、同法の地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定を受けた日から同日の翌日以後2年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度において、雇用の増加に係る要件のうち基準雇用者割合が10%以上又は当該事業年度開始の日の前日における雇用者の数が零であることとの要件以外の要件を満たす場合で、かつ、雇用保険法の適用事業を行っている場合には、その事業年度の所得に対する法人税額から20万円(基準雇用者割合が10%以上又は当該事業年度開始の日の前日における雇用者の数が零である場合には、50万円)にその法人の地方事業所基準雇用者数(基準雇用者数を上限とする。)を乗じて計算した金額(地方事業所税額控除限度額)を控除することができるというものである(措法42の12の2②)。
(2)地方事業所特別基準雇用者数に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人で地域再生法の認定事業者であるもののうち上記(1)の措置の適用を受ける又は受けたものが、その適用を受ける事業年度以後の事業年度で同法の地方活力向上地域特定業務施設整備計画(移転型計画に限る。)の認定を受けた日から同日の翌日以後2年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度において、雇用保険法の適用事業を行っている場合には、その事業年度の所得に対する法人税額から30万円にその法人の地方事業所特別基準雇用者数を乗じて計算した金額(地方事業所特別税額控除限度額)を控除することができるというものである(措法42の12の2③)。
連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の措置が講じられている(措法68の15の3)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人の地域再生法の一部を改正する法律の施行の日以後に終了する事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則77①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則87①)。
Ⅵ 国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却又は法人税額の特別控除制度(生産等設備投資促進税制)
1 改正の内容 本制度は、適用期限(平成27年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法42の12の2、旧措令27の12の2)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の15の3、旧措令39の45の3)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人の平成27年4月1日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則72)。連結納税制度の場合には、連結親法人事業年度が平成27年4月1日前に開始した連結事業年度において連結法人が取得等をした生産等資産については、なお従前の例によることとされている(改正法附則88)。
Ⅶ 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:特定中小連結法人が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度
1 改正の内容
(1)適用対象法人の見直し 適用対象となる法人から、認定経営革新等支援機関及び認定経営革新等支援機関が行う経営の改善に関する指導及び助言に準ずる指導及び助言を行うことができる法人(以下「認定経営革新等支援機関等」という。)が除外された(措法42の12の3①)。
これに伴い、本制度の適用対象法人である中小企業等協同組合等から、農業協同組合、漁業協同組合及び森林組合が除外された(措令27の12の3②)。
(2)適用対象資産の見直し 適用対象となる資産が、認定経営革新等支援機関等による経営の改善に関する指導及び助言を受けた旨を明らかにする書類に経営の改善に資する資産として記載されたものに限ることとされた(措法42の12の3①)。
(3)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法42の12の3①)。
(4)国際課税原則の見直しに伴う整備 本制度が国際課税原則の帰属主義への移行に関する改正の施行の日である平成28年4月1日を超えて延長されたことに伴い、外国法人の税額控除の順序について、まず、本制度による控除をし、次に外国法人に係る所得税額の控除及び外国税額の控除をすること等の所要の整備が行われた(措法42の12の3⑩)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の15の4①)。
2 適用関係 上記1(1)及び(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする経営改善設備について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした経営改善設備については、なお従前の例によることとされている(改正法附則78)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則89)。
Ⅷ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(所得拡大促進税制)
1 改正の内容 次の事業年度における雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合(増加促進割合)に係る要件が次のとおり引き下げられた(措法42の12の4①②五)。
(1)平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度 4%(その法人が中小企業者等である場合には、3%)以上(改正前:5%以上)
(2)平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度 5%(その法人が中小企業者等である場合には、3%)以上(改正前:5%以上)
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の15の5①②五)。
2 適用関係 上記1の改正は、平成27年4月1日から施行されている(改正法附則1)。
第二 特別償却関係
Ⅰ 特定設備等の特別償却制度
1 改正の内容
(1)対象となる外航船舶の範囲の見直し 特定設備等の特別償却制度の対象となる外航船舶から国際総トン数が1万トン未満の外航船舶が除外された(措法43①表二、措令28③)。
(2)対象となる船舶に係る経営合理化・環境負荷低減要件の見直し
特定設備等の特別償却制度の対象となる外航船舶及び内航船舶の事業の経営の合理化及び環境への負荷の低減に係る要件(以下「経営合理化・環境負荷低減要件」という。)について、次の見直しが行われた(平27.3国土交通告473)。
① 外航船舶
イ 対象となる外航船舶のうち平成27年4月1日以後に建造契約を結び建造をする船舶(建造契約がない船舶にあっては、平成27年10月1日以後に建造に着手されたもの)の経営合理化・環境負荷低減要件にバラスト水管理条約の締約国が承認をしたバラスト水処理装置を有していることが追加された(平27.3国土交通告473別表1)。
ロ 対象となる外航船舶のうち二酸化炭素放出抑制対象船舶で海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第19条の26第1項に規定する国土交通大臣の確認を受けなければならない船舶(一定の船舶に限る。)の二酸化炭素放出抑制指標の値に係る要件が一定の船舶の用途及び船舶の大きさの区分に応じ、一定の二酸化炭素放出抑制指標の値以下であることとされた(平27.3国土交通告473別表1)。
② 内航船舶
対象となる内航船舶の経営合理化・環境負荷低減要件に、LED照明器具(船内居住空間に設置する全ての照明器具をLED照明器具とする場合のそのLED照明器具に限る。)を有していることとする要件が追加され、対象となる内航船舶のうち船舶安全法(昭和8年法律第11号)第9条第1項の船舶検査証書において平水区域のうち湖又は川のみを航行区域とする旨の記載のある船舶以外の船舶にあっては、船舶自動識別装置を有し、かつ、加水分解型の摩擦抵抗低減塗料を船底外板及び船側外板の外面で満載喫水線規則第65条の2第1項(同令第66条において読み替えて準用する場合を含む。)の規定に基づく海水満載喫水線より下方の部分に塗布していることとする要件が追加された(平27.3国土交通告473別表2、3)。
(3)適用に係る対象船舶の指定期限の延長
特定設備等の特別償却制度の適用に係る対象船舶の指定期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(昭48.5大蔵告69別表2)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の16①表二、措令39の49③)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする船舶について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした船舶については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79①、改正措令附則32①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90①、改正措令附則41①)。
(2)上記1(2)の改正は、平成27年4月1日から適用することとされている(平27.3国土交通告473前文)。
Ⅱ 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度
1 改正の内容
(1)適用対象資産の見直し 適用対象となる研究施設が、新設又は増設に係るものに限定された(措法44①)。
(2)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法44①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の19①)。
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする研究施設について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした研究施設については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90②)。
Ⅲ 共同利用施設の特別償却制度
1 改正の内容
(1)適用対象資産の見直し 適用対象となる資産が、一の共同利用施設の取得価額が100万円以上のものに限定された(措法44の3①、措令28の5)。
(2)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法44の3①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の24①、措令39の52)。
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする共同利用施設について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした共同利用施設については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90③)。
Ⅳ 特定農産加工品生産設備等の特別償却制度(改正後:特定農産加工品生産設備の特別償却制度)
1 改正の内容 新用途米穀加工品等製造設備の特別償却制度は、適用期限(平成27年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法44の4②、旧措令28の7③~⑤、旧措規20の14②)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の25②、旧措令39の52③④、旧措規22の33②)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人が平成27年4月1日前に取得又は製作をした新用途米穀加工品等製造設備については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79④)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90④)。
Ⅴ 特定信頼性向上設備等の特別償却制度
1 改正の内容 特定信頼性向上設備の特別償却制度について、次の改正が行われた。
(1)適用対象地域の見直し 適用対象となる地域が、首都直下地震対策特別措置法第3条第1項の規定により首都直下地震緊急対策区域として指定された区域(改正前:東京圏)以外の地域とされた(措令28の8②、平23.8総務告400、平23.8総務告401)。
(2)特別償却割合の見直し 特別償却割合が、10%(改正前:15%)に引き下げられた(措法44の5①)。
(3)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成28年5月31日まで1年2月延長された(措法44の5①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の26①、措令39の55②)。
2 適用関係 上記1(1)及び(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定信頼性向上設備について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定信頼性向上設備については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79⑤、改正措令附則32②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑤、改正措令附則41②)。
Ⅵ 特定地域における工業用機械等の特別償却制度
1 改正の内容
(1)過疎地域に係る措置 過疎地域に係る措置について、適用期限が平成29年3月31日まで2年延長されました(措令28の9①一)。なお、その地域のうち下記(2)の措置における対象地区に該当する地区は、この措置の対象となる地域から除かれることとされた(措法45①表一)。
(2)振興山村に係る措置 振興山村に係る措置について、山村振興法の特定振興山村市町村が作成する特定山村振興計画に記載された区域及び事業に係る割増償却措置に改組された(措法45②表四、措令28の9⑫四⑬⑭四


(3)半島振興対策実施地域に係る措置 半島振興対策実施地域に係る措置について、半島振興法の認定産業振興促進計画に記載された区域及び事業に係る措置に改組された(措法45②表一、措令28の9⑫一⑭一⑮⑯


(4)離島振興対策実施地域及び奄美群島に係る措置 離島振興対策実施地域及び奄美群島に係る措置の適用期限が平成29年3月31日まで2年延長された(措法45②、措令28の9⑫二・三)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の27②、措令39の56②二・三)。
2 適用関係
(1)上記1(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得等をする産業振興機械等について適用し、法人が同日前に取得等をした工業用機械等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79⑥⑦)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑥⑦)。
(2)上記1(3)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得等をする産業振興機械等について適用し、法人が同日前に取得等をした産業振興機械等については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則79⑦⑧、改正措令附則32④、改正措規附則19①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑦⑧、改正措令附則41④、改正措規附則23①)。
Ⅶ 医療用機器等の特別償却制度(改正後:医療用機器の特別償却制度)
1 改正の内容
(1)対象機器の見直し(58機器) 高度な医療の提供に資する機器又は先進的な機器に係る措置の対象機器のうち高度な医療の提供に資する機器について、一定の見直しが行われた(平27.3厚生労働告229)。連結納税制度の場合についても同様である。
(2)医療の安全の確保に資する機器に係る措置の除外 医療の安全の確保に資する機器に係る措置は、本制度から除外された(旧措法45の2①二、旧措令28の10③、旧平21.3厚生労働告248別表2)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の29①二、旧措令39の58③)。
(3)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法45の2①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の29①)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、平成27年4月1日から適用することとされている(改正告示前文)。連結納税制度の場合についても同様である。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成27年4月1日前に取得又は製作をした医療用機器等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79⑨)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑨)。
Ⅷ 支援事業所取引金額が増加した場合の3年以内取得資産の割増償却制度
1 改正の内容 本制度は、適用期限(平成27年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法46の2、旧措令29の2、旧措規20の18)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われた(旧措法68の32、旧措令39の61、旧措規22の39)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人の平成27年4月1日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則72)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則72)。
Ⅸ 次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の建物等の割増償却制度(改正後:次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の次世代育成支援対策資産の割増償却制度)
1 改正の内容 次世代育成支援対策推進法の改正等を踏まえ、本制度が次のように見直された。
(1)適用対象法人の追加 適用対象となる法人の範囲に、青色申告書を提出する法人で、平成27年4月1日から平成30年3月31日までの期間(以下「特例指定期間」という。)内に次世代育成支援対策に係る次世代育成支援対策推進法第15条の2に規定する基準に適合するものである旨の認定(以下「特例基準適合認定」という。)を受けた法人が追加された(措法46の2①)。
(2)適用対象資産の見直し 適用対象となる資産が、次のいずれにも該当するもので事業の用に供されているもの(以下「次世代育成支援対策資産」という。)とされた(措法46の2①)。
① 次の事業年度終了の日においてその法人の有する建物、建物附属設備、車両及び運搬具並びに器具及び備品
イ 次世代育成支援対策に係る次世代育成支援対策推進法第13条に規定する基準に適合するものである旨の認定(以下「基準適合認定」という。)を受けた日を含む事業年度(以下「適用事業年度」という。)
ロ 特例基準適合認定を受けた日以後3年以内に終了する各事業年度(以下「特例認定適用事業年度」という。)
② その法人の基準適合認定又は特例基準適合認定に係る一般事業主行動計画に記載されたもの
③ 次世代育成支援対策に資するものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して指定するもの(措令29の3①④、平27.3厚生労働告233)。
(3)割増償却割合の見直し 割増償却割合が次の次世代育成支援対策資産の区分に応じ次のとおりとされた(措法46の2①)。
① 建物及び建物附属設備 次の事業年度の区分に応じそれぞれ次の割合
イ 適用事業年度 24%(その一般事業主行動計画が次世代育成支援対策推進法第12条第4項の規定により届出をされたものである場合には、32%)
ロ 特例認定適用事業年度 15%
② 車両及び運搬具並びに器具及び備品 次の事業年度の区分に応じそれぞれ次に定める割合
イ 適用事業年度 18%(その一般事業主行動計画が次世代育成支援対策推進法第12条第4項の規定により届出をされたものである場合には、24%)
ロ 特例認定適用事業年度 12%
(4)書類の添付 特例基準適合認定を受けた法人がこの制度の適用を受ける場合には、その適用を受けようとする最初の事業年度の確定申告書等に、厚生労働大臣のその法人につき特例基準適合認定をした旨を証する書類の写し及びその特例基準適合認定に係る一般事業主行動計画の計画期間が明らかとなる書類を添付しなければならないこととされた(措令29の3②、措規20の19)。
(5)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成30年3月31日まで3年延長された(措法46の2①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(5)までと同様の改正が行われている(措法68の33①、措令39の62、措規22の40)。
2 適用関係 上記1(1)から(4)までの改正は、平成27年4月1日以後に基準適合認定又は特例基準適合認定を受ける法人の同日以後に開始する事業年度(同日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度を含む。)終了の日において有する次世代育成支援対策資産について適用し、同日前に基準適合認定を受けた法人の同日前に開始した事業年度終了の日において有する特定建物等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則79⑩)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑩)。
Ⅹ 特定再開発建築物等の割増償却制度(改正後:特定都市再生建築物等の割増償却制度)
1 改正の内容
(1)適用対象となる措置の除外 本制度の適用対象から、都市再開発法の市街地再開発事業によって建築される建築物に係る措置が除外された(旧措法47の2③一、旧措令29の5①②、旧措規20の21⑤一)。
(2)割増償却割合の見直し 都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置のうち、同法第2条第3項に規定する都市再生緊急整備地域(同条第5項に規定する特定都市再生緊急整備地域に該当するものを除く。)内において整備される建築物に係る措置の割増償却割合が30%(改正前:40%)に引き下げられた(措法47の2①③一)。
(3)適用対象資産の見直し 雨水貯留浸透利用施設に係る措置について、水防法等の一部を改正する法律第2条の規定による下水道法の改正に伴い、次のとおり見直された。
① 対象区域が、下水道法第25条の2に規定する浸水被害対策区域とされた(措法47の2③三)。
② 適用対象となる資産から土地の浸透性舗装が除外された(旧措令29の5⑦二、旧措規20の21④)。
③ 適用対象となる資産からその建築又は設置に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他これらに準ずるもの(以下「補助金等」という。)をもって建築し、又は設置されるその補助金等の交付の目的に適合した構築物が除外された(措令29の5④二)。
(4)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法47の2①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(4)までと同様の改正が行われている(措法68の35、措令39の64、措規22の42)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日前に取得又は新築をした建築物については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則79⑫、改正措令附則32⑤、改正措規附則19③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑫、改正措令附則41⑤、改正措規附則23③)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は新築をする特定都市再生建築物等について適用し、法人が同日前に取得又は新築をした建築物については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則79⑪⑫、改正措令附則32⑤、改正措規附則19③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑪⑫、改正措令附則41⑤、改正措規附則23③)。
(3)上記1(3)の改正は、法人が水防法等の一部を改正する法律(平成27年法律第22号)の施行の日以後に取得又は新築をする特定都市再生建築物等について適用し、法人が同日前に取得又は新築をした構築物又は機械及び装置については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則79⑬⑭、改正措令附則32⑥、改正措規附則19④)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則90⑬⑭、改正措令附則41⑥、改正措規附則23④)。
XI 倉庫用建物等の割増償却制度
1 改正の内容
(1)適用対象資産の要件の見直し 床面積及び容積に関する要件が次のとおり見直された(措令29の6②)。
① 普通倉庫(多階建て) 6,000㎡以上(改正前:3,000㎡以上)
② 普通倉庫(平屋建て) 3,000㎡以上(改正前:1,500㎡以上)
③ 冷蔵倉庫6,000㎥以上(改正前:3,000㎥以上)
(2)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法48①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の36①)。
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は建設をする倉庫用建物等について適用し、法人が同日前に取得又は建設をした倉庫用建物等については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則32⑦)。連結納税制度の場合についても同様である。
第三 準備金等関係
Ⅰ 中小企業等の貸倒引当金の特例(連結:中小連結法人等の貸倒引当金の特例)
1 改正の内容
(1)中小企業等の法定繰入率の適用に関する特例における簡便法の基準年度の見直し 中小企業等の法定繰入率の適用に関する特例における実質的に債権とみられない金額の算定に関する簡便法を適用する場合に基準となる事業年度が、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度(改正前:平成10年4月1日から平成12年3月31日までの間に開始した各事業年度)とされた(措令33の7③二)。
これに伴い、簡便法を適用できる法人は、平成27年4月1日に存する法人とされた(措令33の7③)。
(2)公益法人等又は協同組合等の割増率の適用に関する特例の適用期限の延長 公益法人等又は協同組合等の割増率の適用に関する特例の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法57の9③)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の59③、措令39の86②)。
2 適用関係 上記(1)の改正は、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則33)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則42)。
Ⅱ 農業経営基盤強化準備金制度
1 改正の内容
(1)対象法人の見直し 対象となる法人から、農業生産法人以外の特定農業法人が除外された(措法61の2①)。
(2)対象交付金等の見直し 対象となる交付金等から、環境保全型農業直接支援対策交付金(地方公共団体がこれと一体的に交付するものを含む。)が除外された(措規21の18の2①、旧農業経営基盤強化促進法施行規則25の2四)。
(3)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長された(措法61の2①)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の64①)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、特定農業法人(農業生産法人を除く。)が平成27年4月1日前に交付を受けた交付金等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則81①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則92①)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に交付を受ける交付金等について適用し、法人が同日前に交付を受けた交付金等については、なお従前の例によることとされている(改正措規附則20)。連結納税制度の場合についても同様である。
Ⅲ 農用地等を取得した場合の課税の特例
1 改正の内容 対象となる資産のうち特定農業用機械等が、農業用の機械及び装置、器具及び備品、建物及びその附属設備、構築物並びにソフトウエア(改正前:農業用の機械その他の減価償却資産)とされた(措法61の3①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の65①)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人が平成27年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定農業用機械等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定農業用機械等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則81②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則92②)。
第四 土地税制関係
Ⅰ 土地の譲渡等がある場合の特別税率
1 改正の内容 優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡の場合の適用除外措置の対象に、国家戦略特別区域法第11条第1項に規定する認定区域計画に定められている同法第2条第2項に規定する特定事業又はその特定事業の実施に伴い必要となる施設を整備する事業で、施行区域の面積が500㎡以上であることなどの産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に特に資するものとして一定の要件を満たす事業を行う者に対する土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等がその事業の用に供されるものが追加された(措法62の3④八の二)。連結納税制度の場合についても同様である。
2 適用関係 本制度は、適用停止中であることから、経過措置は設けられていない。連結納税制度の場合についても同様である。
Ⅱ 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等
1 改正の内容
(1)適用対象の追加 特例の適用対象に福島復興再生特別措置法の一団地の復興再生拠点市街地形成施設の整備に関する事業により土地等が買い取られる場合が追加された。
(2)簡易証明制度の対象となる事業の追加 所得税関係の改正において、簡易証明制度の対象となる事業(いわゆる特掲事業)の範囲に、福島復興再生特別措置法の一団地の復興再生拠点市街地形成施設の整備に関する事業が追加され、法人税関係についても同様となる(措規14⑤四の九、22の2④一、22の64③)。
2 適用関係 上記1(2)の所得税関係の改正は、個人が福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律の施行の日(平成27年5月7日)以後に行う資産の譲渡について適用することとされている(改正措規附則9①)。法人税関係についても同様となる。
Ⅲ 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例
1 改正の内容 内国法人が法人税法第61条の13第1項に規定する譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額につき同項の規定の適用を受けた場合において、同条第2項に規定する譲受法人の有するその適用に係る譲渡損益調整資産の一定の換地処分等による譲渡につき本制度の適用を受けたときは、その譲渡利益額を、引き続き計上しないこととする措置が創設された(措法65⑩)。連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の72⑩)。
2 適用関係 上記1の改正は、譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額につき法人税法第61条の13第1項の規定の適用を受けた内国法人の平成27年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則82①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則93①)。
Ⅳ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(1,500万円特別控除制度)
1 改正の内容
(1)適用期限の延長 本制度の適用対象となる一団の宅地の造成に関する事業の用に供するために土地が買い取られる場合に係る措置の適用期限が、平成29年12月31日まで3年延長された(措法65の4①三)。連結納税制度の場合についても同様である。
(2)確定申告書等の添付書類の見直し 本制度の適用対象となる国土利用計画法の規制区域内の土地等が地方公共団体に買い取られる場合に係る措置について、同法の規定により土地等が買い取られた場合における確定申告書等に添付すべき買取りに係る書類の発行者として政令指定都市の長が追加された(措規22の5①二十二)。連結納税制度の場合についても同様である。
2 適用関係 上記1(2)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用し、法人が同日前に行った土地等の譲渡に係る法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措規附則21)。連結納税制度の場合についても同様である。
Ⅴ 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例
1 改正の内容
(1)買換資産の見直し 所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物又は構築物から国内にある一定の土地等、建物、構築物又は機械装置等への買換えに係る措置の対象となる買換資産から、機械及び装置並びにコンテナ用の貨車が除外された(措法65の7①表九下欄、措令39の7⑦)。
(2)圧縮割合の見直し 所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物又は構築物から国内にある一定の土地等、建物又は構築物等への買換えに係る措置の圧縮割合が、次のとおり見直された(措法65の7⑭、65の8⑱)。
① 譲渡資産が集中地域以外の地域内にある資産に該当し、取得をした又は取得をする見込みである買換資産が地域再生法第17条の2第1項第1号に規定する地域内にある資産に該当する場合には、圧縮割合が70%(改正前:80%)に引き下げられた。
② 譲渡資産が集中地域以外の地域内にある資産に該当し、取得をした又は取得をする見込みである買換資産が集中地域(地域再生法第17条の2第1項第1号に規定する地域を除く。)内にある資産に該当する場合には、圧縮割合が75%(改正前:80%)に引き下げられた。
(3)添付書類の見直し 上記(2)の改正に伴い、所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物又は構築物から国内にある一定の土地等、建物又は構築物等への買換えに係る措置の適用を受ける場合に確定申告書等に添付しなければならない書類について、一定の場合にそれぞれ一定の書類が追加された(措規22の7⑤二)。
(4)適用期限の延長 所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物又は構築物から国内にある一定の土地等、建物又は構築物等への買換えに係る措置の適用期限が、平成29年3月31日まで2年3月延長された(措法65の7①、65の8①、65の9)。
なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(4)までと同様の改正が行われている(措法68の78①⑭、68の79①⑲、68の80、措令39の106③


2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、法人が平成27年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をして、同日以後に買換資産の取得をする場合のその買換資産及びその買換資産に係る特別勘定又は期中特別勘定について適用し、法人が同日前に譲渡資産の譲渡をした場合における同日前に取得をした買換資産又は同日以後に取得をする買換資産及びこれらの買換資産に係る特別勘定又は期中特別勘定並びに法人が同日以後に譲渡資産の譲渡をする場合における同日前に取得をした買換資産については、なお従前の例によることとされている(改正法附則82②、改正措令附則34)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則93②、改正措令附則43)。
(2)上記1(2)及び(3)の改正は、法人が地域再生法の一部を改正する法律の施行の日以後に譲渡資産の譲渡をして、同日以後に買換資産の取得をする場合のその買換資産及びその買換資産に係る特別勘定又は期中特別勘定について適用することとされている(改正法附則82③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則93③)。
第五 その他の特別措置関係
Ⅰ 認定研究開発事業法人等の課税の特例(連結:連結法人である認定研究開発事業法人等の課税の特例)
1 改正の内容 この制度は、廃止された(旧措法61、旧措令37)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の63の3、旧措令39の90の3)。
2 適用関係 上記1の改正は、法人の平成27年4月1日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則72)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則72)。
Ⅱ 技術研究組合の所得の計算の特例(連結:技術研究組合の連結所得の計算の特例)
1 改正の内容
(1)試験研究用資産の範囲の見直し 試験研究用資産の範囲から、土地の上に存する権利が除外された(措令39の21)。連結納税制度の場合についても同様である。
(2)適用期限の延長 制度の適用期限が、平成30年3月31日まで3年延長された(措法66の10①)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の94①)。
2 適用関係 上記1(1)の改正は、法人が平成27年4月1日以後に技術研究組合法の規定により賦課する金額をもって取得又は製作をする試験研究用資産について適用し、法人が同日前に同法の規定により賦課した金額をもって取得又は製作をした試験研究用資産については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則37)。連結納税制度の場合についても同様である。
Ⅲ 特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例
1 改正の内容 制度の対象から独立行政法人農畜産業振興機構法第10条第2号に掲げる業務のうち畜産業の振興に資する事業に係る業務に係る基金に充てるための負担金が除外された(旧措令39の22②八)。連結納税制度の場合についても同様である。
2 適用関係 上記1の改正は、法人が平成27年4月1日前に支出した負担金については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則38)。連結納税制度の場合についても同様である。
Ⅳ 特定目的会社に係る課税の特例
1 改正の内容 平成22年4月1日前に設立された特定目的会社で平成27年3月31日までに資産の流動化に関する法律第4条第2項に規定する業務開始届出をしなかったものにあっては、平成27年4月1日に終了する事業年度において、基準特定出資に係る国内募集50%超要件を適用することとされた(平成22年改正法附則96①、平成22年改正措令附則38)。
Ⅴ 投資法人に係る課税の特例
1 改正の内容
(1)損金算入の対象となる配当等の額の範囲等の見直し 投資法人に係る課税の特例により損金の額に算入される配当等の額は、法人税法第23条第1項第2号に掲げる金額及びみなし配当等の額並びにいわゆる合併交付金の額とされた(措法67の15①、措令39の32の3①)。
また、投資法人の出資等減少分配について、みなし配当等の額を計算する場合には、前事業年度末ではなく前々事業年度末の簿価純資産価額を用いること、前々事業年度末以後の利益積立金額の変動は考慮しないこととされた(措令39の32の3⑪⑫)。
(2)支払配当要件の見直し 支払配当の額が配当可能利益の90%相当額を超えていることとする要件における配当可能利益の額の計算について、一定の見直しが行われた(措規22の19)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、平成27年4月1日以後に行われる金銭の分配について適用することとされている(改正法附則23、25、改正法令附則3①、4①)。
(2)上記1(2)の改正は、投資法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、投資法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措規附則22①)。
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