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資料2015年10月19日 【重要資料】 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A(3)(2015年10月19日号・№614)

下記資料は611号から分割して掲載するものです。(編集部)

重要資料

国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A(3)

 平成27年5月
 (平成27年9月改訂)
 国税庁消費税室

Ⅳ 特定課税仕入れに係る申告等

(リバースチャージ方式の概要) 問5再掲
問17 「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受ける場合、リバースチャージ方式と呼ばれる課税方式が導入されると聞きました。概要を教えてください。
【答】  事業者が平成27年10月1日以後に国内において行った課税仕入れのうち、国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、その役務の提供を受けた国内事業者が、その「事業者向け電気通信利用役務の提供」に係る支払対価の額を課税標準として、消費税及び地方消費税の申告・納税を行うこととなります(法5①、28②、45①一)。
 なお、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合も他の課税仕入れと同様に、役務の提供を受けた事業者において仕入税額控除の対象となります(法30①)。
 ただし、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合に、リバースチャージ方式により申告を行う必要があるは、一般課税により申告を行う事業者で、その課税期間の課税売上割合が95%未満の事業者に限られます(改正法附則42、44②)。
※ 事業者が、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合であっても、次の①又は②に該当する課税期間については、当分の間、「事業者向け電気通信利用役務の提供」はなかったものとされますので、リバースチャージ方式による申告を行う必要はありません。また、その仕入税額控除も行えません(改正法附則42、44②)。
 ① 一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間
 ② 簡易課税制度が適用される課税期間


(参考) 例えば、輸入貨物に係る消費税については、輸入者(仕入れを行った者等)が、課税貨物に係る消費税額等を輸入時に納税するとともに、輸入時に納税した消費税額について、確定申告の際に仕入税額控除を行います。
    リバースチャージ方式は、この輸入時の納税を確定申告の際に行っていると考えると分かりやすいのではないでしょうか。
    すなわち、一つの行為によって、その取引等に課された(課される)消費税が、納税と控除の両面で登場することになります。

(特定課税仕入れに係る消費税の課税標準)
問18 特定課税仕入れに係る消費税の課税標準について教えてください。
【答】  特定課税仕入れに係る消費税の課税標準は、特定課税仕入れに係る「支払対価の額」となります。「支払対価の額」とは、対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額をいいます(法28②、基通10-2-1)。
 なお、特定課税仕入れについては、当該特定課税仕入れを行った事業者に納税義務が課されていますので、支払った対価の額には消費税等に相当する金額は含まれていません。
 したがって、課税資産の譲渡等の対価の額のように108分の100を乗じて税抜計算する必要はなく、支払った(支払うべき)金額がそのまま課税標準額となります。

(特定課税仕入れに係る消費税額)
問19 課税標準額に対する消費税額から控除する特定課税仕入れに係る消費税額について教えてください。
【答】  課税標準額に対する消費税額から控除する特定課税仕入れに係る消費税額は、特定課税仕入れに係る「支払対価の額」に100分の6.3を乗じて算出した金額となります(法30①)。
 特定課税仕入れについては、当該特定課税仕入れを行った事業者に納税義務が課されていますので、支払った対価の額には消費税等に相当する金額は含まれていません。
 したがって、特定課税仕入れ以外の課税仕入れのように108分の6.3を乗じて計算することにはなりませんのでご注意ください。

(「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当するかどうかの判断)
問20 当社は、国外事業者と様々な取引を行っています。当社が提供を受けた「電気通信利用役務の提供」が「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当するかどうかはどのように判定すればよいですか。
【答】  その電気通信利用役務の提供が、例えば、広告の配信やインターネット上でゲームやソフトウエアの販売場所を提供するサービスなど、その役務の性質から事業者向けであると判断できるもの以外については、取引条件等から判断することとなります(法2①八の四)。
 例えば、クラウドサービス等であっても広く消費者も申し込めるものは当然に「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当しませんが、例えば、取引当事者間において提供する役務の内容を個別に交渉し、取引当事者間固有の契約を結ぶもので、取引当事者間で契約過程及びその最終的な契約書等において、事業者向けであることが明らかなものは「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当します。
 このように、取引条件等から「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当するものは、取引に関与している当事者間で契約書等により「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当していることが明確となるものですので、これら契約書や契約過程の連絡文書等により確認することとなります。
 なお、事業者向け電気通信利用役務の提供を行う国外事業者には、あらかじめ課税仕入れを行う国内事業者に対して、当該国内事業者が納税義務者となる旨(当該取引がリバースチャージ方式の対象であること)を表示する義務が課されていますので、取引開始時等にこれら表示を確認いただくことも有用です(法62)。

(事業者向け電気通信利用役務の提供である旨の表示)
問21 国内において「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行う国外事業者は、当該役務の提供に際し、あらかじめ、「当該役務の提供に係る特定課税仕入れを行う事業者が消費税を納める義務がある旨」を表示する必要がありますが、どのような方法で行えばよいですか。
【答】  例えば、インターネット等において役務の提供の内容等を紹介している場合には、その規約や価格表示されている場所など、また、カタログ等を発行している場合にはそのカタログなどの取引相手が容易に認識できる場所に、「日本の消費税は役務の提供を受けた貴社が納税することとなります。」や「日本の消費税のリバースチャージ方式の対象取引です。」などの表示をしていただくこととなります。
 その他、対面やメール等で取引内容等の交渉を行うのであれば、当該交渉を開始する段階において取り交わす、書類やメールなどにこれらの文言を明記していただくこととなります。
 いずれにしても、取引の相手方が、あらかじめ当該取引が自身に納税義務が課されるものであることが認識できるような表示を行っていただくこととなります(法62、基通5-8-2)。

(役務の提供を受けた者が納税義務者となる旨の表示がない場合)
問22 事業者向け電気通信利用役務の提供を受ける際に、「当該役務の提供に係る特定課税仕入れを行う事業者が消費税の納税義務者となる旨」の表示がない場合、この取引についてリバースチャージ方式による申告を行う必要がありますか。
【答】  今般の改正により、事業者向け電気通信利用役務の提供を含む「特定資産の譲渡等」を行う国外事業者は、当該特定資産の譲渡等を行う場合、あらかじめ、当該特定資産の譲渡等を受ける事業者において、特定課税仕入れとして消費税を納める義務がある旨の表示を行わなければならないこととされています(法62、基通5-8-2)。
 一方で、ご質問の場合のように、国外事業者がその取引について特定課税仕入れとして消費税を納める義務がある旨の表示を行っていないとしても、当該表示の有無は納税義務の成立に影響を及ぼすものではありませんので、当該役務の提供が特定課税仕入れ(例えば、事業者向け電気通信利用役務の提供)に該当するものであれば、仕入れた事業者において消費税を納める義務が生じます。
 なお、経過措置により、当分の間は、
 ① 一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間、又は
 ② 簡易課税制度が適用される課税期間
に行った「特定課税仕入れ」はなかったものとして消費税法が適用されますので、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合に、リバースチャージ方式により申告を行う必要があるのは、一般課税により申告を行う事業者で、その課税期間の課税売上割合が95%未満の事業者に限られます(改正法附則42、44②)。

(課税売上割合に準ずる割合が95%以上である場合のリバースチャージ方式の申告)
問23 一般課税で申告する場合でも課税売上割合が95%以上であれば、その課税期間の「特定課税仕入れ」はなかったものとされ、リバースチャージ方式による申告は必要ないこととされていますが、「課税売上割合に準ずる割合」の承認を受けている場合において、「課税売上割合に準ずる割合」が95%以上である場合も同様にリバースチャージ方式による申告は必要ありませんか。
【答】  「課税売上割合に準ずる割合」が95%以上であっても、「課税売上割合」が95%未満であれば、「特定課税仕入れ」がなかったものとされる経過措置の適用はありません。したがって、その課税期間に「特定課税仕入れ」があればリバースチャージ方式による申告を行う必要があります(改正法附則42)。
 なお、「課税売上割合に準ずる割合」を適用して計算することとしている場合には、その「特定課税仕入れ」に係る仕入控除税額の計算も、当該承認を受けている「課税売上割合に準ずる割合」に基づいて行うこととなります(法30③)。

(免税事業者から提供を受けた特定課税仕入れ)
問24 国外の免税事業者にインターネットによる広告配信を依頼しました。当社は、当課税期間について簡易課税制度の適用がなく、課税売上割合も95%未満ですが、免税事業者から提供を受けた事業者向け電気通信利用役務の提供についてもリバースチャージ方式により申告を行う必要があるのでしょうか。
【答】  リバースチャージ方式による申告が必要です。
 今般の改正により、事業者向け電気通信利用役務の提供等については、役務の提供を受けた事業者において、「特定課税仕入れ」として納税義務が課されることとされました(法5①、基通5-8-1)。
 ところで、「特定課税仕入れ」とは、課税仕入れのうち事業として他の者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」及び「特定役務の提供」をいうこととされています(法4①)。したがって、その提供者が免税事業者であっても提供される役務の提供が「事業者向け電気通信利用役務の提供」等に該当するのであれば、役務の提供を受けた事業者において「特定課税仕入れ」として納税義務が課されますので、ご質問のように当課税期間に簡易課税制度の適用がなく、課税売上割合が95%未満であれば、リバースチャージ方式による申告・納税を行っていただくこととなります。

(特定課税仕入れがなかったものとされた課税期間における特定課税仕入れの仕入税額控除)
問25 一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間で、特定課税仕入れについてリバースチャージ方式による申告が必要ない場合であっても、特定課税仕入れに係る消費税額について、仕入税額控除を行うことができますか。
【答】  特定課税仕入れに係る消費税額について、仕入税額控除を行うことはできません。
 ① 一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間、又は
 ② 簡易課税制度が適用される課税期間
に行った「特定課税仕入れ」はなかったものとして消費税法が適用されますので、当該特定課税仕入れについては課税標準として申告する必要がなく、また、当該特定課税仕入れについて仕入税額控除を行うこともできません(改正法附則42、44②、基通5-8-1(注))。

(特定課税仕入れがある場合の簡易課税制度による申告)
問26 簡易課税制度の適用を受ける課税期間において、特定課税仕入れに係る消費税額がある場合の申告方法等について教えてください。
【答】  簡易課税制度が適用される課税期間については、当分の間、その「特定課税仕入れ」はなかったものとされます(改正法附則44②、基通5-8-1(注))。
 したがって、簡易課税制度が適用される課税期間において「特定課税仕入れ」があったとしても、これまで同様、自身が行った課税資産の譲渡等のみから納付税額の計算を行うこととなります。
 今般の見直しに伴い、簡易課税制度における控除税額の計算についても次のとおり改正が行われていますが、経過措置により、簡易課税制度が適用される課税期間においては当分の間、その「特定課税仕入れ」はなかったものとされますので、一般的には、「特定課税仕入れ」については考慮する必要はありません。
 改正後の簡易課税制度における控除税額は次の①と②の合計金額とされています(法37①)。
① 課税資産の譲渡等に係る課税標準である金額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額を控除した残額にみなし仕入率を乗じて計算した金額
② 特定課税仕入れに係る課税標準である金額に対する消費税額から特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額を控除した残額


(免税事業者が提供を受けた特定課税仕入れ)
問27 当社は免税事業者ですが、国外の事業者にインターネットによる広告配信を依頼しています。今般、このような取引について消費税法の改正が行われたとのことですが、免税事業者でも申告等が必要になりますか。
【答】  免税事業者は、課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れのいずれについてもその納税義務が免除されていますので、国外事業者から特定課税仕入れ(インターネットによる広告の配信)を受けたとしても、消費税の申告を行う必要はありません(法9①)。

(「特定課税仕入れ」に係る帳簿及び請求書等の保存)
問28 特定課税仕入れに係る消費税額の仕入税額控除を行う場合の帳簿及び請求書等の保存について教えてください。
【答】  課税仕入れ等の税額が特定課税仕入れに係るものである場合には、法令に規定された事項が記載された帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができます(法30⑦)。
 この場合の記載事項は消費税法第30条第8項第2号に次のとおり定められています。
 イ 特定課税仕入れの相手方の氏名又は名称
 ロ 特定課税仕入れを行った年月日
 ハ 特定課税仕入れの内容
 ニ 第一項に規定する特定課税仕入れに係る支払対価の額
 ホ 特定課税仕入れに係るものである旨
 特定課税仕入れに係るものである旨の記載については、例えば、帳簿に
特定
と付記するなど、事後にその課税仕入れが特定課税仕入れに該当することが確認できる表示で差し支えありません。

Ⅴ 課税売上割合の計算方法

(課税売上割合の計算方法)
問29 特定課税仕入れがある場合の課税売上割合の計算について教えてください。
【答】  課税売上割合の計算については、原則として、その事業者の資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等の対価の額により計算しますので、課税売上割合の計算において、その事業者の資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等ではない特定課税仕入れに係る金額は考慮する必要はありません(法30)。
 また、国外事業者においても、課税売上割合を計算する際の資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等からは「特定資産の譲渡等」(「事業者向け電気通信利用役務の提供」及び「特定役務の提供」)が除かれていますので、特定資産の譲渡等を除いたところで課税売上割合の計算を行うこととなります(法30⑥、令48①)。

Ⅵ 「消費者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合の取扱い等

(「消費者向け電気通信利用役務の提供」の税額控除)
問30 国外事業者から提供を受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外の「電気通信利用役務の提供」、いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合の仕入税額控除について教えてください。
【答】  事業者が、国内において行った課税仕入れのうち、国外事業者から受けた「消費者向け電気通信利用役務の提供」に係るものについては、当分の間、仕入税額控除の適用は認められません(改正法附則38①、基通11-1-3(注)2)。
 ただし、「登録国外事業者」から受けた「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、仕入税額控除の適用が認められます(改正法附則38①ただし書)。
 この場合、他の課税仕入れと同様に帳簿及び請求書等を保存しておく必要があります。この場合の帳簿及び請求書等は、他の課税仕入れに係る記載事項に加えて、帳簿については「登録国外事業者」に付された「登録番号」、請求書等については、「登録番号」と「当該役務の提供を行った事業者において消費税を納める義務があること」(法30⑦~⑨、改正法附則38②)の記載が要件とされています。「消費者向け電気通信利用役務の提供」に係る請求書等の記載事項は次のとおりです。

イ 書類の作成者の氏名又は名称及び登録番号
ロ 課税資産の譲渡等を行った年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
ニ 課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。)
ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
へ 課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨  ※ 下線部が、他の課税仕入れに係る請求書等の記載事項と異なる部分です。
 なお、「消費者向け電気通信利用役務の提供」という取引の性質を鑑みて、取引相手から交付される請求書等の保存については、紙によるものに代えて、法令に規定された記載事項を満たした電子的な請求書等の保存によることができることとされています(改正法附則38③、改正省令附則2①)。
 また、「登録国外事業者」は、その役務の提供を受ける事業者の求めに応じ、必要な事項が記載された請求書等を交付する義務が課されています(改正法附則38④)。

(「登録国外事業者」の意義)
問31 「登録国外事業者」とは、どのような事業者ですか。
【答】  「登録国外事業者」とは、「消費者向け電気通信利用役務の提供」を行う課税事業者である国外事業者で、国税庁長官の登録を受けた事業者をいいます(改正法附則39①)。
 国外事業者から受けた「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、「登録国外事業者」から受けたもののみが仕入税額控除の対象となります。
 「登録国外事業者」については、登録次第、国税庁ホームページで、当該事業者の氏名又は名称、登録番号及び登録年月日等について公表することとしています。

(「登録国外事業者」の確認方法)
問32 取引先が「登録国外事業者」であるかどのように確認すればよいですか。
【答】  「登録国外事業者」については、当該事業者の氏名又は名称、登録番号及び登録年月日等について、国税庁ホームページで公表しますので、国税庁ホームページで確認してください。
 また、登録国外事業者から受けた消費者向け電気通信利用役務の提供について、仕入税額控除を行うためには、氏名又は名称等の他に、登録番号と登録国外事業者自身が納税義務者であることが記載された請求書等の保存が必要となります。また、登録国外事業者は、取引相手からの求めに応じて当該請求書等を発行する義務が課されていますので、これら請求書等も併せて確認してください(改正法附則38④)。

(登録日以前の「消費者向け電気通信利用役務の提供」の仕入税額控除)
問33 インターネットで確認したところ、相手事業者が登録国外事業者であることを確認できました。登録年月日以前にも同じ国外事業者から役務の提供を受けていますが、遡って仕入税額控除は可能ですか。
【答】  仕入税額控除を行うことはできません。
 国内における課税仕入れのうち、国外事業者から受けた消費者向け電気通信利用役務の提供で仕入税額控除を行うことができるのは、登録国外事業者から提供を受けたもののみです。
 また、登録日の前日までは当該事業者は登録国外事業者ではありませんので、登録日前に当該事業者から受けた消費者向け電気通信利用役務の提供は、たとえ遡って請求書等の発行を受けたとしても仕入税額控除の対象とはなりません(改正法附則38①)。

(登録番号の記載のない請求書等)
問34 消費者向け電気通信利用役務の提供を国外事業者から受けましたが、国外事業者から電子メールで届いた請求書には登録番号の記載がなかったので、インターネットで確認したところ、登録国外事業者であることは確認できました。登録番号の記載がない請求書により仕入税額控除は可能ですか。
【答】  国外事業者から受けた消費者向け電気通信利用役務の提供で仕入税額控除を行うことができるのは、登録国外事業者から提供を受けたもののみです。
 また、このような課税仕入れについても法令に定められた事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が義務付けられています。
 この記載事項に登録番号も含まれていますので、当該課税仕入れについて仕入税額控除を行うためには、登録番号を含めた法令に定められた事項が記載された請求書等の再交付の要求を行っていただいた上で、当該請求書等の保存をしておく必要があります。
 なお、登録国外事業者は、取引当事者からの求めに応じて請求書等を交付する義務、及び誤った請求書等を交付した場合には内容を修正した請求書等を交付する義務が課されています(改正法附則38④、⑤)。

Ⅶ 特定課税仕入れに係る支払対価の返還等を受けた場合の取扱い

(経過措置により、特定課税仕入れがなかったものとされた課税期間以後の課税期間において、当該特定課税仕入れに係る支払対価の額の返還等を受けた場合)
問35 一般課税で申告する課税売上割合が95%以上の課税期間や簡易課税制度が適用される課税期間においては、経過措置により、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされますが、このような課税期間に提供を受けた特定課税仕入れに係る支払対価について、その後の課税期間において値引き等により、対価の一部の返還等を受けた場合に、消費税の申告を行う際に「仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」や「特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除」の規定の適用はどのようになるのでしょうか。
【答】  課税売上割合が95%以上である課税期間(簡易課税制度の適用がない課税期間に限る。)及び簡易課税制度が適用される課税期間においては、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとして消費税法を適用することとされています(改正法附則42、44②)。
 したがって、これらの課税期間において行った特定課税仕入れに係る支払対価について、その後の課税期間に対価の返還等を受けた場合であっても、既になかったものとされた特定課税仕入れに係るものですので、消費税法第32条《仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例》、消費税法第38条の2第1項《特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除》の規定は適用されません。

(免税事業者であった課税期間において行った特定課税仕入れについて対価の返還等を受けた場合)
問36 免税事業者であった課税期間において行った特定課税仕入れについて、課税事業者となった課税期間に値引きがあり支払対価の一部の返還等を受けましたが、「仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」など、消費税の申告の際に何らかの調整計算等を行う必要があるでしょうか。
【答】  免税事業者であった課税期間において行った特定課税仕入れについては、当該特定課税仕入れを行った課税期間が免税事業者であったことから、当該特定課税仕入れに係る消費税額等は生じていませんので、課税事業者となった課税期間において特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合であっても、当該対価の返還等の金額について消費税法第32条《仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例》、消費税法第38条の2第1項《特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除》の規定の適用はありません(基通12-1-8、14-1-12)。

(免税事業者となった後に特定課税仕入れに係る支払対価の額の返還等を受けた場合)
問37 課税事業者である課税期間において特定課税仕入れを行いました。また、その課税期間について一般課税で申告し、課税売上割合が95%未満でしたので、当該特定課税仕入れについて確定申告を行いました。その後、免税事業者となった課税期間において値引きがあり支払対価の一部の返還を受けましたが、特定課税仕入れに係る対価の返還等について、消費税の申告等を行う必要があるでしょうか。
【答】  免税事業者は、消費税の納税義務がなく、消費税の確定申告を行えませんので、免税事業者となった後において、課税事業者であった課税期間における特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合であっても、その返還等の金額については、消費税法第32条《仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例》、消費税法第38条の2第1項《特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除》の規定は適用されません(基通12-1-9、14-1-13)。

Ⅷ その他経過措置

(継続的電気通信利用役務の提供に関する経過措置)
問38 継続的に電気通信利用役務の提供を行っている場合の課税に関する経過措置について、詳細を教えてください。
【答】  国外事業者が平成27年3月31日までに締結した電気通信利用役務の提供で、平成27年10月1日前から同日以後引き続き行う電気通信利用役務の提供については、改正前の消費税法が適用されます。例えば、データ保存等を行うクラウドサービスについて、平成27年3月31日までに、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの1年間の利用契約を締結していた場合などは、改正前の内外判定基準が適用されますので、国外事業者が国外から提供するものであれば、平成28年3月31日までは、国外取引として消費税は課されません(改正令附則2)。
 なお、平成27年4月1日以降に対価の額について契約内容等の変更が行われた場合には、契約内容等の変更が行われた以降の取引については、経過措置は適用されません。
※ 月ごとに更新するものや、月ごとに自動継続するようなものなど、月ごとに役務の提供を了している、又は、月ごとに契約を更新しているものと認められるものは、平成27年4月1日以後に毎月契約を行っていることとなりますので経過措置の適用はありません。

(消費税簡易課税制度選択届出書に関する経過措置)
問39 国外から日本国内向けに「消費者向け電気通信利用役務の提供」を行っている12月決算の国外事業者です。
 改正前の消費税法に規定された内外判定基準に基づき当課税期間(平成27年1月1日~ 12月31日)の基準期間(平成25年1月1日~ 12月31日)及び特定期間(平成26年1月1日~ 6月30日)の課税売上高を計算すると1,000万円以下となりましたが、改正後の消費税法に規定された新たな内外判定基準に基づき基準期間の課税売上高を計算すると3,000万円となりましたので、平成27年10月1日以後に行う「消費者向け電気通信利用役務の提供」等の国内において行う課税資産の譲渡等について納税義務が生じます。
 この場合に、当課税期間について簡易課税制度を選択して申告を行うことはできますか。
【答】  今般の改正に伴い設けられた経過措置により、平成27年10月1日を含む課税期間の同日以後に行う課税資産の譲渡等について納税義務が生じる事業者(問16の事例2を参照してください。)にあっては、当該課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を納税地を所轄する税務署に提出することにより、当該課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができる経過措置が設けられています(改正令附則4)。
 貴社の場合、当課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下(3,000万円)ですので、当課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば、当課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。

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