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解説記事2016年01月11日 【税制改正解説】 平成28年度税制改正大綱をこう読む(2016年1月11日号・№625)

税制改正解説
平成28年度税制改正大綱をこう読む
 一般社団法人日本経済団体連合会 常務理事 阿部泰久

はじめに

 「平成28年度税制改正大綱(以下、大綱)」の目玉は、いうまでもなく消費税の軽減税率導入と法人実効税率引き下げである。そして、この二つともが、今までの税制の決定方式を大きく覆す「政治決着」となった。そこで、本稿ではこの二つを中心に、改正案の概要と大綱に示されたその考え方を整理しておきたい。

Ⅰ 法人税-課税ベースの拡大と実効税率の引き下げ
 「成長志向の法人税改革」として、「法人課税をより広く負担を分かち合う構造へと改革し『稼ぐ力』のある企業等の税負担を軽減することにより、企業に対して、収益力拡大に向けた前向きな投資や、継続的・積極的な賃上げが可能な体質への転換を促す(大綱)」ために、当初の想定を超えた大幅な改正となった。

1 経 緯  もともと、平成27年度改正大綱では、法人実効税率を28年度に31.33%まで引き下げることを決めた上で、「28年度改正においても、課税ベースの拡大等により財源を確保して、28年度における税率引下げ幅のさらなる上乗せを図る。さらに、その後の年度の税制改正においても、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続する。」とされていた。
 これを受けて、当初は平成28年度改正では大きな改正はなく、29年度以降において減価償却制度や研究開発税制等の見直しにより、実効税率20%台を目指すものと考えられていた。
 しかし、昨年6月の「日本再興戦略改訂2015」において法人税改革の早期実現が明示されたこともあって、夏以降は、減価償却制度の見直し(建物附属設備、構築物の定額法化、等)および生産性向上設備投資促進税制の縮減を主な財源として国税の法人税率を23.5%まで引き下げ、法人実効税率30.88%とすることを目標に調整が進められていた。
 さらに、11月26日に官邸で開催された「未来投資に向けた官民対話」において、経団連から民間設備投資拡大(2018年度にリーマン・ショック前を上回る80兆円程度)および今年を上回る賃金引上げへ向けた環境整備として法人税実効税率を来年度に20%台とすること等を求めたことに対して、安倍総理から「28年度の引下げ幅を確実に上乗せし、税率を早期に20%台に引き下げる道筋をつける」との答えがなされたことから、一気に弾みがつき、28年度での20%台を目指すこととなった(図1参照)。

 ただし、「企業部門に対していわゆる先行減税を含む『財源なき減税』を重ねることは、現下の厳しい財政事情や企業部門の内部留保(手元資金)の状況等に鑑みて、国民の理解を得られない。このため税率引下げに当たっては、制度改正を通じた課税ベースの拡大等により財源をしっかりと確保すること(大綱)」とされ、あくまでも税収中立が貫かれた。当然のことながら全体としては税収中立であっても、外形標準課税の拡大により赤字企業は増税となり、また収益の低い企業でも負担増になる場合が多い。
 なお、「経済界には、法人実効税率『20%台』の実現を受けて、改革の趣旨を踏まえ、経済の『好循環』定着に向けて一層貢献するよう強く求める(大綱)」とされ、投資拡大、賃上げ、取引先企業への支払単価の改善などに積極的に取り組むことが求められている。さらに、「経済界の取組状況等を見極めつつ企業の意識や行動を変革していくための方策等についても検討を行う(大綱)」とされている。経団連として、いわゆる「内部留保金課税」は受け入れることができないが、まずは政府から求められた、投資拡大、賃上げ、取引先企業への支払単価の改善等を促していくこととしたい。

2 外形標準課税の拡大  平成27年度税制改正では、実効税率引き下げのために、法人事業税において所得割:外形標準課税の比率を従来の6:2から、27年度には5:3、28年度には4:4と順次拡大することで、所得割の税率を7.2%から27年度は6.0%、28年度には4.8%と引き下げていくこととされていた。
 しかし、平成28年度改正で実効税率20%台を目指すとすれば、国税のみでの対応では中小法人に係る特例までを見直さなければ不可能であり、それが困難である以上は、主要な財源として外形標準課税をさらに拡大し、所得割:外形標準課税の比率を3:5とし、所得割の税率を3.6%まで引き下げることが必要となった(図2参照)。

 外形標準課税の適用対象となる資本金額1億円超の基準は変わりない。また、「地域で雇用を支える中堅企業への影響に十分配慮(大綱)」するために、付加価値額40億円未満の企業に対しては、平成30年度末までの3年間にわたり、以下のような激変緩和措置が講じられることとなった。
① 付加価値額が30億円以下の企業  適用年度の課税標準に、平成27年度の税率と適用年度の税率を乗じ、後者の方が負担が重くなる場合には、負担増加額から平成28年度:75%、29年度:50%、30年度:25%を控除。
② 付加価値が30億円超40億円未満の企業   控除率をなだらかに逓減


3 欠損金の制限  外形標準課税の拡大による法人事業税率の引き下げに加えて、国税で当初予定されていた減価償却制度の見直し、生産性向上設備投資促進税制の縮減を財源とする法人税率の23.5%への引き下げを行ったとしても、なお実効税率は30%台にとどまる。
 そこで、法人税率を23.4%まで引き下げるため、窮余の策として欠損金の繰越控除の制限を平成27年度改正で決められていた平成28年度65%からさらに引き下げることとなり、調整の末、図3のように平成28年度60%、29年度55%、30年度50%とし、繰越期間は30年度より10年とすることとなった。


Ⅱ その他の企業課税の主要項目

1 役員報酬
 昨年6月の「日本再興戦略改訂2015」において、いわゆる「攻めの経営」に向けた戦略の一環として役員報酬の見直しが明示されていたことを受けて、以下の2点が改正されることとなった。
① 役員から受ける将来の役務の提供の対価として交付する一定の譲渡制限付株式による給与についての事前確定の届出を不要とするとともに、利益連動給与の対象指標の範囲について、純粋な利益指標(営業利益、経常利益等)に加え、ROE、ROA等の一定の利益関連指標が含まれることを明確化する。
② 法人が、個人から受ける将来の役務の提供の対価として一定の譲渡制限付株式(いわゆるリストリクテッド・ストック)を交付した場合には、その役務の提供に係る費用の額は、原則として、その譲渡制限付株式の譲渡制限が解除された日の属する事業年度の損金の額に算入する(平成28年4月1日以後に交付の決議がされる譲渡制限付株式について適用)。

2 中小企業に対する償却資産税の軽減  「ローカル・アベノミクスの更なる浸透による地域経済の活性化に向けて、地域の中小企業による設備投資の促進を図るため、固定資産税の時限的な特例措置を創設する(大綱)」こととされた。
 具体的には、中小企業の生産性向上に関する法律(仮称)の制定を前提に、中小企業者等が、同法の施行の日から平成30年度末までの間において、同法に規定する認定生産性向上計画(仮称)に記載された生産性向上設備(仮称)のうち一定の機械及び装置の取得をした場合には、その固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格の2分の1とする措置が講じられる。 
 「中小企業者等」とは、以下の法人又は個人をいう。 
① 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
② 資本・出資を有しない法人の場合、常時使用する従業員が1,000人以下の法人
③ 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人
 「一定の機械及び装置」とは、次の①から③までのいずれにも該当するものである。 
① 販売開始から10年以内のもの
② 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するもの
③ 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
 償却資産課税の減免は、経済界の長年の要望であったが、今回はあくまでも中小企業の特例とされた上に、大綱では「なお、固定資産税が市町村財政を支える安定した基幹税であることに鑑み、償却資産に対する固定資産税の制度は堅持する」とされている。

3 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税制度)の創設  地方公共団体が行う地方創生を推進する上で効果の高い一定の事業(改正地域再生法の認定地域再生計画に記載された地方創生推進寄附活用事業)に対して、青色申告書を提出する法人が、改正地域再生法施行の日から平成31年度末までの間に、その事業に関連する寄附金を支出した場合には、現行の寄附金の損金算入措置に加え、法人事業税・法人住民税及び法人税の税額控除を導入し、寄付金額の約6割の負担を軽減することとされた(参照)。


4 地方法人課税の偏在是正  平成29年度以降、法人住民税法人税割を現行12.9%から7.0%(標準税率)へ縮小する一方、地方法人税(国税)を現行4.4%から10.3%へ拡充し、地方交付税の原資とする。また平成29年度以降、地方法人特別税・地方法人特別譲与税は廃止され、法人事業税に復元される。

5 国際課税(移転価格税制に係る文書化)  BEPS行動13(移転価格の文書化)を踏まえた国内税制の整備として、直前会計年度の連結総収入金額が1,000億円以上である多国籍企業グループの最終親会社は、平成28年4月1日以後に開始する最終親会社の会計年度より、カントリー・バイ・カントリーレポート(国別報告書)、マスターファイル、ローカルファイルの作成・提出が求められることとなる。
 ① 国別報告書 
 多国籍企業グループの最終親事業体である内国法人等は、当該多国籍企業グループが事業を行う国ごとの収入金額、税引前当期利益の額、納付税額その他必要な事項(国別報告事項)を、最終親事業体の会計年度終了の日の翌日から1年を経過する日までに、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、税務署長に提供しなければならないこととする。 
 ② 事業概況報告事項(マスターファイル)  多国籍企業グループの構成事業体である内国法人等は、当該多国籍企業グループの組織構造、事業の概要、財務状況その他必要な事項(事業概況報告事項)を、最終親事業体の会計年度終了の日の翌日から1年を経過する日までに、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、税務署長に提供しなければならないこととする。 
 ③ 独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル) 国外関連取引に係る独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(電磁的記録を含む。)を確定申告書の提出期限までに作成し、原則として、7年間保存しなければならないこととする等の所要の整備を行う。

Ⅲ 消費税
 「日々の生活において幅広い消費者が消費・利活用しているものに係る消費税負担を軽減するとともに、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの利点があることから(大綱)」、消費税率10%引き上げ時に軽減税率が導入されることとなったが、ここに至るまでの間の迷走は、税制改正の決定方法を大きく覆すものであった。

1 経 緯  軽減税率に関する与党協議は2年以上にわたり続けられていたが、自民党・公明党間の溝はまったく埋まっていなかった。9月には、財務省がマイナンバー・カードを利用した還付制度を提案したが、公明党に一蹴され、さらに10月の自民党税調会長の交代を経て、10月13日には、総理から宮沢新会長に対して軽減税率導入を前提に公明党と協議するよう指示が下された。
 しかし、対象品目について、生鮮食品に限るべきとする自民党と、加工食品を含めた外食・酒類を除いたすべての食品を求める公明党との隔たりが大きく、与党税制協議会では決着が着かないまま、両党幹事長での交渉となり、12月12日に至り、「軽減税率制度についての大枠(以下、大枠)」が谷垣自民党幹事長と井上公明党幹事長との間で合意された。

2 対象品目・税率  軽減税率の対象品目は、大枠では「食品表示基準に規定する生鮮食品及び加工食品(酒類及び外食を除く)」とされていたが、さらに新聞(定期購読契約が締結された週2回以上発行するもの)が追加され、適用税率は8%とされた。
 大綱では、外食については「食品衛生法上の飲食店営業、喫茶店営業その他の食事の提供を行う事業を営む事業者が、一定の飲食設備のある場所等において行う食事の提供」とし、また、「飲食料品と飲食料品以外の資産が一体となっている資産については、飲食料品に該当しない。ただし、一定金額以下の少額の資産であって、当該資産の主たる部分が飲食料品から構成されているものについては、その全体を飲食料品として軽減税率の対象とする」とされているが、消費税法改正法案の段階ではこれ以上の定義は想定されておらず、詳細が確定するのは法案成立後の政省令さらには通達、国税庁のQ&A等を待つことになろう。
 なお、書籍・雑誌については、「その日常生活における意義、有害図書排除の仕組みの構築状況等を総合的に勘案しつつ、引き続き検討する(大綱)」とされており、将来に含みがもたされている。

3 区分経理の方法  区分経理の方法は、平成33年4月からのインボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入を前提とし、それまでの間は「当面は、執行可能性に配慮し、簡素な方法によること(大綱)」とされる。
 具体的には、「仕入税額控除制度については、現行の請求書等保存方式を基本的に維持しつつ、区分経理に対応するための措置を講ずる(大綱)」とされ、原則は「区分記載請求書等保存方式」とされた。
≪区分記載請求書等保存方式-帳簿及び請求書等の記載事項の追加≫ 
① 課税仕入れが軽減税率対象品目に係るものである場合には、帳簿に記載すべき事項として「軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨」を追加。
② 課税仕入れが軽減税率対象品目に係るものである場合には、請求書等に記載されるべき事項として「軽減対象課税資産の譲渡等である旨」及び「税率の異なるごとに合計した対価の額」を追加。
③ 上記②の記載事項については、請求書等の交付を受けた事業者が事実に基づき追記することを認める。
 
 さらに、売り上げや仕入れを税率の異なるごとに区分することが困難な中小事業者として、課税売上高5,000万円以下である軽減対象課税資産の譲渡等を行う事業者(免税事業者を除く)に向けて、より簡素な仕組みが講じられている。
≪売上げを税率の異なるごとに区分することが困難な中小事業者に対する売上税額の簡便計算に係る経過措置-軽減税率制度入から4年間の特例≫ 
① 仕入れを管理できる卸売事業者・小売事業者
  軽減税率売上割合=軽減税率対象品目の仕入額/仕入総額
② ①以外の事業者
  軽減税率売上割合=通常の連続10営業日の軽減税率対象品目の売上額
 /その連続10営業日の売上総額
③ ①・②の計算が困難な事業者
  軽減税率売上割合=50%
 なお、中小事業者以外についても、軽減税率制度の導入から1年間に限り、上記の特例を利用できる。
≪仕入れを税率の異なるごとに区分することが困難な中小事業者に対する仕入税額の簡便計算に係る経過措置-軽減税率制度導入から1年間のみの特例≫ 
① 売上げを管理できる卸売事業者・小売事業者
  軽減税率仕入割合=軽減税率対象品目の売上額/売上総額
② ①の計算が困難な事業者
  課税売上高が5,000万円以下である事業者(免税事業者を除く)が、平成29年4月1日から平成30年3月31日までの日の属する課税期間の末日までに、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を納税地を所轄する税務署長に提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を認める。
 なお、中小企業以外についても、①の特例および②の簡易課税制度に準じた方法が認められる。

4 今後の対応  大綱では、軽減税率制度の円滑な導入・運用のため、平成28年度税制改正法案において以下に掲げる旨を規定することとされている。 
① 軽減税率制度の導入に当たり混乱が生じないよう、政府・与党が一体となって万全の準備を進めるため、政府・与党に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、必要に応じて、軽減税率制度の円滑な導入・運用に資するための必要な措置を講ずる。 
② 軽減税率制度の円滑な運用及び適正な課税の確保の観点から、中小・小規模事業者の経営の高度化を促進しつつ、軽減税率制度の導入後3年以内を目途に、適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入に係る事業者の準備状況及び事業者取引への影響の可能性、軽減税率制度導入による簡易課税制度への影響、経過措置の適用状況などを検証し、必要と認められるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他必要な措置を講ずる。
 なお、最大の問題である財源策は、「財政健全化目標を堅持し、安定的な恒久財源を確保することについて、自民党・公明党両党で責任を持って対応する。(大枠)」とされ、平成29年度以降の税制改正あるいは予算編成での課題とされた。

Ⅳ その他の主要事項

1 森林吸収源対策
 3年越しの争点であったが、「森林整備等に関する市町村の役割の強化や、地域の森林・林業を支える人材の育成確保策について必要な施策を講じた上で、市町村が主体となった森林・林業施策を推進することとし、これに必要な財源として、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求め、市町村による継続的かつ安定的な森林整備等の財源に充てる税制(森林環境税(仮称))等の新たな仕組みを検討する。その時期については、適切に判断する(大綱)」とされ、新税の創設は見送られ、引き続き今後の検討とされた。

2 車体課税  毎年のように争点となっていたが、消費税率10%への引き上げに合わせて、平成29年4月に自動車取得税を廃止する一方、自動車税及び軽自動車税にそれぞれ環境性能割(仮称)が創設される。
≪環境性能割(仮称)の概要≫
・税率は、燃費基準値達成度等に応じて決定し、非課税、1%、2%、3%の4段階を基本とする(営業車・軽自動車の税率は、当分の間2%を上限)。
・新車・中古車を問わず対象とする。
・税率を決定する燃費基準値達成度等については、技術開発の動向や地方財政への影響等を踏まえ、2年ごとに見直しを行う。
・軽自動車税環境性能割(仮称)は、当分の間、都道府県が賦課徴収等を行う。
・自動車税環境性能割(仮称)について、税収の一定割合を市町村へ交付する制度を設ける。
 平成27年度末で期限切れとなる自動車税・軽自動車税のグリーン化特例については、基準の切り替えと重点化を行った上で1年間延長される。環境性能割を導入する平成29年度以後については、環境性能割を補完する制度であることを明確化した上で、平成29年度税制改正において具体的な結論を得ることとされた。
 自動車重量税に係るエコカー減税の見直しについては、「燃費水準が年々向上していることを踏まえ、燃費性能がより優れた自動車の普及を継続的に促す構造を確立する観点から(大綱)」、平成29年度税制改正において具体的な結論を得ることとされた。 
 なお、消費税率引上げ前後における「駆け込み需要及び反動減の動向、自動車をめぐるグローバルな環境、登録車と軽自動車との課税のバランス、自動車に係る行政サービス等を踏まえ、簡素化、自動車ユーザーの負担の軽減、グリーン化を図る観点から、平成29年度税制改正において、安定的な財源を確保し、地方財政に影響を与えないよう配慮しつつ、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる(大綱)」こととされた。

おわりに
 平成28年度税制改正大綱は、消費税の軽減税率をめぐる混乱により、当初予定より大幅に遅れて12月16日に取りまとめられた。にもかかわらず、与党内での議論は極めて内容に乏しく、与党税制調査会によって実質的な決定を見たものは限られている。また、消費税軽減税率導入による財源は完全に先送りされている。
 平成29年度税制改正は、このほかにも、今回手が付けられないままに終わった配偶者控除をはじめとする所得税の人的諸控除の見直し、あるいは法人課税における中小法人や公益法人の問題などの重い課題を負うこととなった。
 これらの改革を進めるためにも、政府税制調査会のみならず与党税制調査会において早期に検討が開始されることを期待したい。

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