解説記事2016年05月23日 【SCOPE】 除雪機は「機械及び装置」、「器具及び備品」のどちら?(2016年5月23日号・№643)
耐用年数や中小特例の適用で大きく異なる
除雪機は「機械及び装置」、「器具及び備品」のどちら?
雪国では欠かすことのできない除雪機だが、なかには耐用年数表上の「種類」を巡り税務当局と争うケースも見受けられる。今回紹介する裁決事例は、ハンドガイド式の自力走行型除雪機が「機械及び装置」又は「器具及び備品」のどちらに該当するかが論点となったもの(関裁(法)平26第41号)。「機械及び装置」に該当すれば耐用年数は6年となるが、この点、国税不服審判所は「器具及び備品」(耐用年数は10年)に該当すると判断。中小企業等投資促進税制の対象資産にもならないとしている。
「機械及び装置」は複数の機械等が設備を形成し、一部としてその働きをなすもの
今回の事案は、請求人(舗装工事業及び土木工事業を営む同族会社)が取得したハンドガイド式の自力走行型除雪機(下図参照)について、「機械及び装置」に該当するものとして、中小企業等投資促進税制(措法42条の6②)を適用して申告したが、原処分庁は、当該除雪機は「機械及び装置」に該当しないため当該規定を適用することはできないとして法人税の更正処分等を行ったものである。
中小特例の「器具及び備品」には該当せず
国税不服審判所は、耐用年数省令は別表第一で種々の事業に共通する有形固定資産を特掲し、これらの資産については、個別資産ごとに耐用年数を定めているのに対し、別表第二は「機械及び装置」を対象とし、「設備の種類」に掲げる設備ごとにその業用設備全体に適用する耐用年数として、その設備全体の平均的な耐用年数を定めていると指摘。この点を踏まえると、耐用年数省令の別表第一に掲げる「器具及び備品」は、それ自体で固有の機能を果たし独立して使用するものをいい、また、別表第ニに掲げる「機械及び装置」は、業用設備に属する複数の機械及び装置が設備を形成して、その設備の一部としてその働きをなすものをいうとそれぞれ解するのが相当であるとした。
その上で、本件除雪機は、ハンドガイド式の自力走行型除雪機で、単体で除雪作業を行
うものであり、それ自体で固有の機能を果たし独立して使用するものと認められると判断。このため、「器具及び備品」に該当し、ある業用設備に属する複数の機械及び装置が設備を形成して、その設備の一部としてその働きをなすものとは認められないから、「機械及び装置」に該当しないとした。
また、本件除雪機は中小企業等投資促進税制の対象資産となっている「器具及び備品」(措規20条の3第1項2号~4号)にも該当しないため、同特例措置は適用できず本件法人税更正処分は適法であるとした。
ハンドガイド式除雪機の耐用年数は10年 また、本件除雪機については、耐用年数省令の別表第一に掲げる「器具及び備品」の構造及び用途の1から10に掲げる細目に特掲されているものには該当せず、「11 前掲のもの以外のもの」の細目「その他のもの」に該当し、主要な部分の材質は金属製であるから「主として金属製のもの」に該当すると判断している。したがって、この場合の耐用年数は10年となる。
除雪機は「機械及び装置」、「器具及び備品」のどちら?
雪国では欠かすことのできない除雪機だが、なかには耐用年数表上の「種類」を巡り税務当局と争うケースも見受けられる。今回紹介する裁決事例は、ハンドガイド式の自力走行型除雪機が「機械及び装置」又は「器具及び備品」のどちらに該当するかが論点となったもの(関裁(法)平26第41号)。「機械及び装置」に該当すれば耐用年数は6年となるが、この点、国税不服審判所は「器具及び備品」(耐用年数は10年)に該当すると判断。中小企業等投資促進税制の対象資産にもならないとしている。
「機械及び装置」は複数の機械等が設備を形成し、一部としてその働きをなすもの
今回の事案は、請求人(舗装工事業及び土木工事業を営む同族会社)が取得したハンドガイド式の自力走行型除雪機(下図参照)について、「機械及び装置」に該当するものとして、中小企業等投資促進税制(措法42条の6②)を適用して申告したが、原処分庁は、当該除雪機は「機械及び装置」に該当しないため当該規定を適用することはできないとして法人税の更正処分等を行ったものである。

【表】当事者の主張(除雪機は措置法42条の6に規定する「機械及び装置」に該当するか) |
原処分庁の主張 | 請求人の主張 |
本件除雪機は、除雪作業を行うためのもので、単体で個別に作動して当該作業を行うものであり、他のものと連動あるいは連携して一体となって設備を形成しているとは認められず、それ自体で固有の機能を果たし独立して使用されるものであることから、「機械及び装置」には該当せず、「器具及び備品」の区分の1つである「自走式作業用機械設備」に該当しない。 なお、本件除雪機が、「器具及び備品」に該当するのは、本件除雪機自体で固有の機能を果たし独立して使用されるものであることを理由とするものであるから、本件除雪機の規模・性能(除雪能力)によってその判断が異なることはない。 | 「自走式作業用機械設備」とは、作業現場において掘削、積込み、てん圧等の作業を行う機械で、自らの動力により移動することができるものをいうとされているところ、積雪地帯で舗装工事を施工する場合には除雪作業が必須の作業であり、本件除雪機は舗装工事現場において除雪作業を行うハンドガイド式の自力走行型除雪機であるから、「自走式作業用機械設備」に該当し、耐用年数省令の別表第ニに掲げる「機械及び装置」の「総合工事業用設備」に該当する。 |
その上で、本件除雪機は、ハンドガイド式の自力走行型除雪機で、単体で除雪作業を行
うものであり、それ自体で固有の機能を果たし独立して使用するものと認められると判断。このため、「器具及び備品」に該当し、ある業用設備に属する複数の機械及び装置が設備を形成して、その設備の一部としてその働きをなすものとは認められないから、「機械及び装置」に該当しないとした。
また、本件除雪機は中小企業等投資促進税制の対象資産となっている「器具及び備品」(措規20条の3第1項2号~4号)にも該当しないため、同特例措置は適用できず本件法人税更正処分は適法であるとした。
ハンドガイド式除雪機の耐用年数は10年 また、本件除雪機については、耐用年数省令の別表第一に掲げる「器具及び備品」の構造及び用途の1から10に掲げる細目に特掲されているものには該当せず、「11 前掲のもの以外のもの」の細目「その他のもの」に該当し、主要な部分の材質は金属製であるから「主として金属製のもの」に該当すると判断している。したがって、この場合の耐用年数は10年となる。
ロータリ除雪車は「車両及び運搬具」の特殊自動車に該当 |
過去には、ロータリ除雪車が「機械及び装置」に該当するか否かで争われた裁決事例もある(仙裁(法)平25第5号)。 この裁決では、ロータリ除雪車は車体の前部に除雪装置を装備し除雪現場において除雪作業を行うことを主目的とし、それ自体が固有の機能を果たし独立して使用するものであり、ある業用設備等に属する複数の機械及び装置が設備を形成して、その設備の一部としてその働きをなすものということはできないことから、「機械及び装置」には該当しないと判断。ロータリ除雪車は、道路運送車両法及び自動車登録令上の大型特殊自動車に該当するため、耐用年数省令の別表第一の「車両及び運搬具」の特殊自動車に該当し、細目は除雪車(耐用年数は4年)になるとしている。 |
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