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解説記事2016年07月25日 【最新判決研究】 競馬の馬券の的中による払戻金に係る所得区分と控除(必要経費)金額(2016年7月25日号・№652)

最新判決研究
競馬の馬券の的中による払戻金に係る所得区分と控除(必要経費)金額

東京高裁平成28年4月21日判決(平成27年(行コ)第236号)
東京地裁平成27年5月14日判決(平成24年(行ウ)第849号)

 筑波大学名誉教授・弁護士 品川芳宣

一、事実

(1)X(原告、控訴人)は、平成17年分から平成22年分(以下「本件係争年分」という。)までの所得税につき、平成23年3月7日付で、競馬の勝馬投票券(以下「馬券」という。)の的中による払戻金に係る所得(以下「本件競馬所得」という。)を雑所得に該当するとして、当該払戻金に係る総収入金額から外れ馬券の購入代金を含む全馬券の購入金額を必要経費として控除し、期限後申告又は期限内申告をした(各年分の所得金額は、2118万円余ないし2億1188万円余)。
 これに対し、処分行政庁は、平成23年3月14日付で本件各係争年分所得税につき、本件競馬所得は一時所得に当たるとし、当該総収入金額から当たり馬券の購入代金のみを控除して所得金額(4670万円余ないし2億9041万円余)を算定して、更正(以下「本件各更正」といい、個々の更正については、「17年分更正」等という。)等をした。Xは、前審手続を経て、平成24年12月19日、国(被告、被控訴人)に対し、本件更正等の取消しを求めて本訴を提起した。
(2)Xは、日本中央競馬会(以下「JRA」という。)との間で、「日本中央競馬会PAT方式電話投票に関する約定」(以下「A-PAT約定」という。)又は「日本中央競馬会即PAT方式電話投票に関する約定」(以下「即PAT約定」という。)を結んだ者(以下「加入者」という。)であり、電話やパーソナルコンピュータを利用したPAT方式により、馬券の購入を申し込むことができた。
 Xは、A-PATの加入者であり、JRAの指示により、平成7年にX名義の普通預金口座(以下「本件PAT口座」という。)を開設し、以後、PAT方式により馬券を購入し、当該馬券の購入代金及び払戻金は本件PAT口座において入出金していた。本件PAT口座における入出金状況は、各年の入出金回数は概ね50回、出金(購入代金)は各年3億4541万円余ないし21億7355万円余(総額72億6924万円余)であり、入金(払戻金)は各年3億6416万円余ないし22億9545万円余(総額78億3782万円余)であった。

二、争点と当事者の主張

1 争  点
 本件の争点は、次のとおりである。
① 本件競馬所得か、一時所得に該当するか、雑所得に該当するか。
② 本件競馬所得に係る所得の金額の計算上、本件競馬所得に係る総収入金額から外れ馬券の購入代金を控除することができるか。

2 国の主張 (1)馬券購入行為は、客観的にみて継続的、安定的に収入を発生させ得る行為とはいえないから、「営利を目的とする継続的行為」とはいえず、これによって生じた馬券の的中による払戻金は、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」ではなく、それ以外の「一時の所得」である。仮に、馬券の的中による払戻金が「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」になる余地があるとしても、Xと、最高裁平成27年3月10日第三小法廷判決(平成26年(あ)第948号、裁判所時報1623号52頁。以下「別件最高裁判決」という。)に係る当事者(以下「別件当事者」という。)とでは、馬券購入行為の態様に相違があるほか、Xが本訴訟において馬券購入行為の態様等を明らかにする客観的な資料の不存在を自認していることからすると、別件当事者の馬券の的中による払戻金とは異なり、Xの本件競馬所得は「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」には当たらない。
(2)所得税法(以下「法」という。)上、本件競馬所得は雑所得ではなく一時所得であり、一時所得の総収入金額から控除されるのは「その収入を得るために支出した金額」に限られるところ、Xが当該払戻金を得るために支出したのは的中馬券の購入代金だけであるから、外れ馬券の購入代金は一時所得に係る総収入金額から控除されない。仮に、本件競馬所得が雑所得に該当するとしても、外れ馬券の購入代金は、「総収入金額を得るため直接に要した費用」でも、「所得を生ずべき業務について生じた費用」でもないから、法37条1項の規定する必要経費には算入されない。

3 Xの主張 (1)Xは、中央競馬の競走馬や騎手、レースを分析した上、的中率が低いと判断されるレースを除き、中央競馬における1年間のほぼ全てのレースにおいて、独自のノウハウに基づいて着順の予想をし、6年間にわたり、馬券を大量に機械的かつ継続的に購入しており、Xにとって馬券の購入は、遊興的、娯楽的性格を一切帯びるものではなく、専ら投資としての性質を有するものであった。そして、Xは、現実に、平成17年から平成22年までの間、多額の利益を上げていたことからすると、Xの馬券購入行為は、営利を目的とした継続的行為であり、それによって生じた本件競馬所得は「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」といえる。したがって、本件競馬所得は、雑所得に該当する。
(2)本件競馬所得は雑所得であるところ、Xが本件競馬所得を得るためには外れ馬券は必然的に生じるものであり、外れ馬券を含む購入した全馬券の購入代金が払戻金を得るために必要不可欠な支出であったといえるから、外れ馬券を含めた全馬券の購入代金が払戻金を得るために「直接に要した費用」に該当し、法37条1項の規定する必要経費に算入される。

三、一審判決要旨

請求棄却。
1 本件競馬所得の一時所得該当性
(1)法34条1項及び35条1項の規定からすると、所得税法上、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得は、一時所得ではなく雑所得に該当するところ、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否かは、当該行為ないし所得の性質を踏まえた上で、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の事情を総合考慮して判断するのが相当である。
 また、所得税法の沿革を見ても、およそ営利を目的とする継続的行為から生じた所得に関し、所得や行為の本来の性質を本質的な考慮要素として判断すべきであるという解釈がされていたとは認められない上、いずれの所得区分に該当するかを判断するに当たっては、所得の種類に応じた課税を定めている所得税法の趣旨、目的に照らし、所得及びそれを生じた行為の具体的な態様も考察すべきであるから、馬券の的中による払戻金の本来的な性質が一時的、偶発的な所得であるとの一事から営利を目的とする継続的行為から生じた所得には当たらないと解釈すべきではない(別件最高裁判決参照)。
(2)そこで検討するに、前提事実によれば、Xは、自身の判断に基づいて、A-PAT方式により、各節に開催される中央競馬のレースについて、数年間にわたり、各節当たり数百万円から数千万円の馬券を継続的に購入していたところ、その購入代金は、平成17年の後半からは各節当たり数千万円となることがほとんどで、多いときには1億円を超えており、平成17年には総額3億4541万円余、平成18年には総額6億4613万円余、平成19年には総額21億7355万円余、平成20年には総額15億6142万円余、平成21年には総額14億9462万円余、平成22年には総額10億4808万円余、これらの総額として72億6924万円余となっており、払戻金の金額も、平成17年には総額3億6416万円余、平成18年には総額7億0504万円余、平成19年には総額22億9545万円余、平成20年には総額16億6688万円余、平成21年には総額17億0254万円余、平成22年には総額11億0373万円余、これらの総額として78億3782万円余となっており、節によって利益が出る場合と損失となる場合があるものの、年単位でみると、平成17年には総額1874万円余、平成18年には総額5890万円余、平成19年には総額1億2189万円余、平成20年には総額1億0545万円余、平成21年には総額2億0792万円余、平成22年には総額5565万円余、これらの総額として5億6858万円余の利益を得ていた。
 上記のようなXによる馬券の購入代金及び払戻金の各金額並びに得ていた利益の状況に加え、Xは、独自のノウハウに基づいて着順を予測して馬券を購入していたと主張し、これに沿う陳述をする。
 しかしながら、上記のとおり、Xが、数年間にわたって各節に継続して、相当多額の中央競馬の馬券を購入していたことは確かであるが、Xは具体的な馬券の購入を裏付ける資料を保存していないため、実際にどの馬券を購入したのか、どのような数、種類の馬券を購入していたのか、競馬場やレースについて機械的、網羅的に馬券を購入していたのか不明であり、Xが陳述するような方法で馬券を購入していたのかについては、客観的な証拠がなく、これを認めることができない。
 また、Xの主張によれば、Xは、コンピュータソフトを使用して自動的に馬券を購入していたというわけではなく、騎手の能力を評価して四半期に1回程度改訂するという騎手評価一覧や中央競馬の競馬場毎に作成したコース別レースシミュレーションは作成していたようであるが、中央競馬の各競馬場で行われるレースをテレビ(録画を含む。)で見たり、競馬新聞、競馬雑誌を購入したりして競争馬に関する情報を集めた上、集めた情報に基づき、レース毎に、① 馬の能力、② 騎手(技術)、③ コース適性、④ 枠順(ゲート番号)、⑤ 馬場状態への適性、⑥ レース展開、⑦ 補正、⑧ その日の馬のコンディションという考慮要素に基づいて各競走馬を評価した後、レースの結果を予想して、予想の確度に応じた馬券の購入パターンにより、馬券の種類に応じて購入条件となる倍率を決めた購入基準に基づき、どのように馬券を購入するのかを個別に判断していたというのであり、規模の点を別にすれば、このような馬券購入態様は、一般的な競馬愛好家による馬券購入の態様と質的に大きな差があるものとは認められない。
 そして、競馬は公営賭博であり、馬券の的中による払戻金の発生は、本来的に偶然性を排除することができない上、払戻金の総額が馬券の発売金額の約75%になるものとされていることに鑑みても、そもそも競馬における馬券購入は営利を目的とする行為とはなり難い性質のものであるところ、これを踏まえて検討するに、まず、Xが数年間にわたって各節に継続して相当多額の馬券を購入し、結果的に多額の利益を得ていたことは確かであるが、上記のような競馬における馬券購入の性質からすると、それらのみをもって直ちに、本件競馬所得が営利を目的とする継続的行為から生じた所得に該当するものと認めることはできない。
(3)Xは、本件競馬所得が別件最高裁判決の別件当事者の所得に類似する旨主張する。そこで検討するに、別件の各事実によれば、別件当事者は、馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げていたということができるところ、別件最高裁判決は、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるなどの別件当事者に係る事実関係の下では、払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として一時所得ではなく雑所得に当たる旨判断を示した。
 ところが、Xは、別件当事者と同等以上の金額の馬券を購入し、同等以上の利益を得ていたものの、Xの具体的な馬券の購入履歴等が保存されていないため、Xが具体的にどのように馬券を購入していたかは明らかでなく、Xが別件当事者のように馬券を機械的、網羅的に購入していたとまでは認めることができないので、本件競馬所得が営利を目的とする継続的行為から生じた所得には該当するものということはできない。

2 本件競馬所得の金額の計算上控除すべき馬券の購入代金の範囲  本件競馬所得を構成する収入は馬券が的中したことによる払戻金であるところ、前記で説示したとおり、Xによる一連の馬券の購入は一体の経済活動の実態を有するものとまでは認められず、馬券が的中したことによる払戻金に関して「その収入を生じた行為をするため直接要した金額」は、結局のところ、的中馬券の購入代金ということになるから、本件競馬所得に係る総収入金額から控除されるのは的中馬券の購入代金に限られることになる。

四、控訴審判決要旨

原判決取消し(請求認容)。
(1)当裁判所は、本件競馬所得は雑所得に該当し、外れ馬券の購入代金は必要経費として雑所得に係る総収入金額から控除することができるものであり、本件各更正のうち総所得金額及び納付すべき税額が確定申告額を超える部分並びに本件の各賦課決定処分はいずれも違法な処分として取消しを免れないから、Xの請求はいずれも認容すべきものと判断する。その理由は、以下のとおりである。
(2)本件競馬所得が、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得であることは当事者間に争いがない。したがって、本件競馬所得が、法34条1項にいう「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当するのであれば、一時所得ではなく雑所得に区分されるものと解される。そして、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」であるか否かは、文理に照らし、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して判断するのが相当であり、馬券の的中による払戻金に係る所得の本来的な性質が一時的、偶発的な所得であるとの一事から「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」には当たらないと解釈すべきではないものと解される(別件最高裁判決参照)。
(3)本件の前提事実及び証拠によれば、本件の事実関係の概要は、次のとおりと認められる。
① Xは、自宅のパソコン、携帯電話等を用いたインターネットを介しての馬券の購入が可能で購入代金及び的中馬券の払戻金の決済を銀行口座で行うことができるというJRAが提供するサービス(A-PAT)を利用し、平成17年から平成22年までの6年間にわたり、各節に開催される中央競馬のレースについて、各節当たりおおむね数百万円から数千万円、1年当たり3億円から21億円程度の馬券を購入し続けていた。JRAに記録が残る平成21年の1年間においては、Xは、同年中に開催された中央競馬の全レース3453レースのうち2445レース(全レースの71%)で馬券を購入し、そのうちの的中したレースでは、平均して2~3種類の勝馬投票法に係る馬券を的中させていた。このような馬券の購入により、Xは、平成17年に約1800万円、平成18年に約5800万円、平成19年に約1億2000万円、平成20年に約1億円、平成21年に約2億円、平成22年に約5500万円の利益を上げており、いずれの年の回収率(外れ馬券を含む全ての有効馬券の購入代金の合計額に対する的中馬券の払戻金の合計額の比率)も100%を超えていた。
② Xの陳述によれば、Xの馬券購入方法の概要は、次のとおりである。
  JRAに登録された全ての競走馬の特徴(潜在能力、距離適性、馬場適性、競馬場適性、道悪の巧拙、器用さ、性格、癖等)、騎手の特徴(馬を動かす技術、馬を制御する技術、コース取りの技術、位置取りのセンス、ゲートを出す技術、勝負強さ、冷静さ、集中力、手抜きの頻度等)、競馬場のコースごとのレース傾向等に関する情報を継続的に収集、蓄積する。そして、その情報を自ら分析して評価し、レースごとに、馬の能力、騎手(技術)、コース適性、枠順(ゲート番号)、馬場状態への適性、レース展開、これらの補正、その日の馬のコンディション等の考慮要素について各競走馬を評価、比較することにより、レースの着順を予想する。その上で、予想の確度の高低と予想が的中した際の配当金額(オッズ)の大小との組合せにより自ら定めた購入パターンに従い、当該レースにおける馬券の購入金額、購入する馬券の種類及び割合等を決定する。馬券購入の回数及び頻度は、運による影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入することを目標とし、上記の購入パターンを適宜併用することで、年間トータルでの収支がプラスになるように工夫する。
(4)中央競馬における馬券の的中による払戻金は、勝馬投票法の種類ごとに、勝馬投票の的中者に対し、重勝式勝馬投票法において加算金がある場合(いわゆるキャリーオーバー)を除いて、その競争についての馬券の売得金の総額よりも少ない金額の払戻対象総額を、当該勝馬に対する各馬券(的中馬券)に按分して交付するものである。したがって、勝馬投票法の種類ごとの各馬若しくは枠番号又はこれらの組合せのそれぞれの得票率(人気)が当該馬等の勝馬になる確率に等しいと仮定すると、各馬券の購入代金に対する払戻金の期待値の比率(以下「期待回収率」という。)は、その競争についての馬券の売得金の総額に対する払戻対象総額の比率(以下「払戻率」という。)と等しくなり、その値は100%より小さい値となる。例えば、あるレースの単勝式勝馬投票法の払戻率が80%であり、同投票法によるある馬の得票率が20%であったとすると、その馬の馬券の購入代金に対する当該馬券が的中した時の払戻金の比率(いわゆるオッズ)は400%(4倍。100×0.8÷0.2)となるが、当該馬が勝馬となる確率を得票率と同じ20%と仮定すると、当該馬券の期待回収率は80%(400×0.2)となり払戻率と等しくなる。
 しかしながら、実際のレースにおいては、ある馬等の得票率とその馬等が勝馬になる真の確率とが乖離するために、期待回収率が100%を超える馬券が存在し得るものと解される。例えば、上記の例で、当該馬が勝馬となる真の確率が30%であったとすると、当該馬券のオッズは400%(4倍)のままであるが、期待回収率は120%(400×0.3)となり100%を超えることになる。そして、仮に、十分に多数のレースにおいて、期待回収率が100%を超える馬券を選別することができ、これを購入し続けることができれば、現実の回収率も100%を超える値に収束し、恒常的に利益を得ることができるようになる可能性が高まるものと解される。
 これに対し、全く無作為に又は期待回収率が100%を超える馬券を十分に選別できないままに馬券を購入し続けたとしても、現実の回収率が収束する値は100%に満たない払戻率に近い値にとどまり、恒常的に利益を得ることはできないものと解される。
(5)Xは、平成17年から平成22年までの6年間にわたり、多数の中央競馬のレースにおいて、各レースごとに単一又は複数の種類の馬券を購入し続けていたにもかかわらず、上記各年における回収率がいずれも100%を超え、多額の利益を恒常的に得ていたことが認められるのであり、この事実は、Xにおいて、期待回収率が100%を超える馬券を有効に選別し得る何らかのノウハウを有していたことを推認させるものである。そして、このような観点からすれば、Xが具体的な馬券の購入を裏付ける資料を保存していないため、具体的な購入馬券を特定することはできないものの、馬券の購入方法に関する前記のXの陳述をにわかに排斥することは困難であり、Xは、おおむね前記のとおりの方法により、その有するノウハウを駆使し、十分に多数のレースにおいて期待回収率が100%を超える馬券の選別に成功したことにより、上記のとおり多額の利益を恒常的に得ることができたものと認められる。
 以上を要するに、Xは、期待回収率が100%を超える馬券を有効に選別し得る独自のノウハウに基づいて長期間にわたり多数回かつ頻繁に当該選別に係る馬券の網羅的な購入をして100%を超える回収率を実現することにより多額の利益を恒常的に上げていたものであり、このような一連の馬券の購入は一体の経済活動の実態を有するということができる。なお、原判決が認定した別件最高裁判決に係る別件当事者による馬券の購入状況等によれば、別件当事者が馬券を自動的に購入するソフトを使用する際に用いた独自の条件設定と計算式も、期待回収率が100%を超える馬券を有効に選別し得る独自のノウハウといい得るものであり、Xと別件当事者の馬券の購入方法に本質的な違いはないものと認められる。
 したがって、本件競馬所得は、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」として、一時所得ではなく雑所得に該当するというべきである。
(6)雑所得については、法37条1項の必要経費に当たる費用は、法35条2項2号により、雑所得に係る総収入金額から控除される。本件においては、Xの馬券の購入の実態は、前記のとおりの大量的かつ網羅的な購入であって、個々の馬券の購入に分解して観察すべきものではなく、外れ馬券を含む一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するのであるから、的中馬券の購入代金の費用のみならず、外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金の費用が、的中馬券の払戻金という収入に対応するものとして、法37条1項の必要経費に当たると解するのが相当である(別件最高裁判決参照)。
 したがって、雑所得に該当する本件競馬所得に係る所得の金額の計算においては、その総収入金額から外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金を必要経費として控除することができるというべきである。

五、解説

はじめに
 かつての国税庁の取扱いでは、射倖性の高い競馬や競輪等から生じる所得は、当然の如くその全てが一時所得として取り扱われていた(注1)。しかし、競馬や競輪とも云えども、それを半ば業として暮らしている者もいるわけであり、それらの者は、日夜、当たり馬券等を得るために必死にノウハウを磨いているわけであるから、その労苦(役務)とコスト(主として、外れ馬券等の購入代金)が当たり馬券等の払戻金等に係る一時所得の金額の計算上全く考慮されていないことを不当に思っていたはずである。そのことは、当該当事者だけではなく、同様に射倖性の高い株式売買や商品取引等から生じる所得が雑所得等として取り扱われていることと対比した場合にも、問題があると考えられていた。
 そのためか、平成27年3月の別件最高裁判決が、競馬から生じる所得について雑所得として認めて納税者の請求を認容したことについても、「青天の霹靂」というよりも、「当然の答が出された」ものと受容することができたはずである。そして、国税庁は、後述するように、従来の取扱いを変更することとした。そのため、競馬場通いを常連とするいわゆる競馬屋が当たり馬券から生じる所得は、これからは、原則として、雑所得として取り扱われるものと思われた。
 ところが、本件におけるXは、外形的には、別件最高裁判決における別件当事者と類似の競馬活動を行い、本件競馬所得を得たように見えたが、本件の一審判決は、前述のように、これを一時所得と認定した。この判断は、前述のように、控訴審判決によって覆されるのであるが、競馬から生じる所得の所得区分の紛らわしさを考えさせられるものがある。
 そこで、本稿では、本件の事案と別件最高裁判決の事案を対比させながら、当該所得区分のあり方について論じることとする。

1 所得税法上の一時所得と雑所得の区分 (1)所得税法は、法23条から35条までの間に、10種類の所得を定め、かつ、それぞれの所得の金額の計算方法を定めている。そして、法34条1項は、「一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」と定めている。
 また、同条2項は、「一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。」と定めている。
 他方、法35条1項は、「雑所得とは、利子所得、……及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。」と定めている。そして、同条2項2号は、「その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額」と定めている。
 以上の規定から、一時所得及び雑所得とも、それら以外の8種類の所得が積極的な定義規定によって区分されているのに対し、当該8種類の所得以外の所得であるということで、その点において共通性を有している。そして、一時所得が、①営利を目的とする継続的行為から生じた所得でないこと、②一時の所得であること、及び③労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないこと、と定められているので、雑所得とは、上記8種類の所得以外の所得で、かつ、上記①から③までに該当しないものであるということになる。
(2)このような一時所得と雑所得の差異を反映し、それぞれの所得の金額についても、一時所得の金額が、総収入金額から「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」に限って控除して計算されるのに対し、公的年金等を除く雑所得の金額は、総収入金額から必要経費を控除して計算されることになる。そして、必要経費とは、当該所得の「総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(〈略〉)の額とする。」(所法37①)と定められている。
 これらの規定の差異からみて、一時所得の総収入金額から控除される金額は、極めて限定されているのに対し、雑所得の総収入金額から控除される金額は、事業所得等の所得と同様、「必要経費」という概念から、当該総収入金額と相当因果関係のある費用の全てが控除されることになる。
(3)また、前述したように、一時所得と雑所得については、それら以外の8種類の所得以外ということでは共通性はあるが、両者の区分については、①営利と継続性の有無、②一時性(臨時性)、③労務等の対価性等によって判断されることになる。これらの所得区分の判断については、実務上、所得税基本通達の取扱いに依存することが多い。
 すなわち、平成27年改正前の所得税基本通達34-1は、一時所得に該当するものとして、①懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)、②競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等、③法人からの贈与により取得する金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)、等の12項目を例示している。
 他方、平成27年改正前の所得税基本通達35-1は、雑所得に該当するものとして、①法人の役員等の勤務先預け金の利子で利子所得とされないもの、②就職に伴う転居のための旅行の費用として支払を受ける金銭等のうち、その旅行に通常必要であると認められる範囲を超えるもの、③役員又は使用人が自己の職務に関連して使用者の取引先等からの贈与等により取得する金品、等の12項目を例示している。
 以上の一時所得と雑所得についての例示による区分については、多くの場合は首肯できるものであるが、それぞれ他の所得との区分と紛わしいものもある。その中で、一時所得と雑所得との区分については、一時所得とされる競馬の馬券等の払戻金、法人からの贈与により取得する金品等については、それらの継続性、対価性等を考慮すると、必ずしも明確に区分することが困難な場合も考えられる。

2 別件最高裁判決と所得税基本通達の改正 (1)前述したように、本件競馬所得の所得区分については、別件最高裁判決の事案との類似性が問題とされたが、本件の一審判決直後に改正された所得税基本通達の取扱いとの関係も問題とされた。まず、別件最高裁判決の事案は、次のとおりである。
 別件当事者は、自宅のパソコン等を用いてインターネットを介してチケットレスでの購入が可能で代金及び当たり馬券の払戻金の決済を銀行口座で行えるというJRAが提供するサービスを利用し、馬券を自動的に購入できる市販のソフトを使用して馬券を購入していた。同人は、同ソフトを使用して馬券を購入するに際し、馬券の購入代金の合計額に対する払戻金の合計額の比率である回収率を高めるように、インターネット上の競馬情報配信サービス等から得られたデータを自らが分析した結果に基づき、同ソフトに条件を設定してこれに合致する馬券を抽出させ、自らが作成した計算式によって購入額を自動的に算出していた。この方法により、同人は、毎週土日に開催される中央競馬の全ての競馬場のほとんどのレースについて、数年以上にわたって大量かつ網羅的に、一日当たり数百万円から数千万円、一年当たり10億円前後の馬券を購入し続けていた。同人は、このような購入の態様をとることにより、当たり馬券の発生に関する偶発的要素を可能な限り減殺しようとするとともに、購入した個々の馬券を的中させて払戻金を得ようとするのではなく、長期的に見て、当たり馬券の払戻金の合計額と外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金の合計額との差額を利益とすることを意図し、実際に本件の公訴事実とされた平成19年から平成21年までの3年間は、平成19年に約1億円、平成20年に約2600万円、平成21年に約1300万円の利益を上げていた。
(2)このような事案につき、別件最高裁判決は、次のとおり判示している。
 「所得税法の沿革を見ても、およそ営利を目的とする継続的行為から生じた所得に関し、所得や行為の本来の性質を本質的な考慮要素として判断すべきであるという解釈がされていたとは認められない上、いずれの所得区分に該当するかを判断するに当たっては、所得の種類に応じた課税を定めている所得税法の趣旨、目的に照らし、所得及びそれを生じた行為の具体的な態様も考察すべきであるから、当たり馬券の払戻金の本来的な性質が一時的、偶発的な所得であるとの一事から営利を目的とする継続的行為から生じた所得には当たらないと解釈すべきではない。また、画一的な課税事務の便宜等をもって一時所得に当たるか雑所得に当たるかを決するのは相当でない。よって、検察官の主張は採用できない。
 以上によれば、被告人が馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるなどの本件事実関係の下では、払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たるとした原判断は正当である。」
 「雑所得については、所得税法37条1項の必要経費に当たる費用は同法35条2項2号により収入金額から控除される。本件においては、外れ馬券を含む一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するのであるから、当たり馬券の購入代金の費用だけでなく、外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金の費用が当たり馬券の払戻金という収入に対応するということができ、本件外れ馬券の購入代金は同法37条1項の必要経費に当たると解するのが相当である。
 これに対し、検察官は、当たり馬券の払戻金に対応する費用は当たり馬券の購入代金のみであると主張するが、被告人の購入の実態は、上記のとおりの大量的かつ網羅的な購入であって個々の馬券の購入に分解して観察するのは相当でない。また、検察官は、外れ馬券の購入代金は、同法45条1項1号により必要経費に算入されない家事費又は家事関連費に当たると主張するが、本件の購入態様からすれば、当たり馬券の払戻金とは関係のない娯楽費等の消費生活上の費用であるとはいえないから、家事費等には当たらない。
 以上によれば、外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金という費用が当たり馬券の払戻金という収入に対応するなどの本件事実関係の下では、外れ馬券の購入代金について当たり馬券の払戻金から所得税法上の必要経費として控除することができるとした原判断は正当である。」
(3)かくして、国税庁は平成27年5月29日付で、前述の所得税基本通達34-1について、次のとおり改正した。アンダーライン部分が、別件最高裁判決に対応して改正した部分である。
34-1 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(1)懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)
(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。) (注)1 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。   2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。 (3)~(12)(略)」
 なお、国税庁は、前記所得税基本通達の改正に当たり、類似の事件についての所得税の還付手続について、次のような情報を出している(平成27年5月「競馬の馬券の払戻金に係る課税の取扱い等について」)
3 所得税の還付手続  所得税基本通達の改正は法令解釈の変更に当たることから、本件判決と同様の購入行為の態様や規模等により馬券の払戻金等を得ていた方については、その所得を一時所得ではなく、雑所得として取り扱い、法令上、可能な範囲で対応します。
 具体的には、今般の通達改正により、過去の所得税の申告の内容に異動が生じ、所得税が納め過ぎになっている場合には、国税通則法の規定に基づき、この取扱いの変更を知った日の翌日から2か月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることにより、当該納め過ぎとなっている所得税が還付されます。
 更正の請求をする場合には、過去に申告された馬券の払戻金等が本件判決と同様の購入行為の態様や規模等により得ていたものである旨や外れ馬券に係る金額等が分る書類を併せて御提出ください。
 なお、法定申告期限等から既に5年を経過している年分の所得税については、法令上、減額できないこととされていますので、御注意ください。」
 上記の情報は、国税通則法23条2項3号、71条1項2号、同法施行令6条1項5号、30条、24条、4項の定めに基づいている。
3 本件競馬所得の所得区分 (1)前述したように、Xは、平成17年から平成22年にかけて、JRAとの間で、A-PAT約定を締結し、電話やパーソナルコンピュータを利用して、本件PAT口座を通じて、ほぼ毎週馬券の購入・払戻しを繰り返してきたものである。それらの金額も、購入金額が、毎年3億円余ないし21億円余(合計72億円余)、払戻金額が、毎年3億円余ないし22億円余(総額78億円余)というものであり、その回数、金額からみて、趣味・道楽の類で競馬通いをしていたものとも考えられない。
 ただ、国が主張するように、Xは、上記6年間の競馬取引において、当該馬券の取引等において、その実態を明らかにするための客観的な資料を保存していたわけではないので、別件最高裁判決における別件当事者の取引との比較が正確に行われ難いという問題があった。
 また、本訴は、平成24年12月に提起されているので、別件最高裁判決の事案と時期的には併行して審理が行われたようである。ただ、別件最高裁判決が、平成27年3月10日に当該競馬所得について雑所得に該当する旨判断しているだけに、本件の一審判決も、別件最高裁判決と同様な判断が示されるものとも推測された。
(2)ところが、一審判決は、本件競馬所得が、従前の所得税基本通達の取扱いと同様、一時所得に当たると判断し、当該総収入金額から控除される「その収入を得るために支出した金額」も、当該払戻金に係る馬券の購入代金に限られるとした。その理由について、同判決は、「Xの具体的な馬券の購入履歴等が保存されていないため、Xが具体的にどのように馬券を購入していたかは明らかでなく、Xが別件当事者のように馬券を機械的、網羅的に購入していたとまでは認めることができないという本件の事実関係及び証拠関係の下では、Xによる一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するとまでは認めることができず、本件競馬所得が営利を目的とする継続的行為から生じた所得に該当するものということはできない。」と判示している(注2)。
 これに対し、控訴審判決は、期待回収率(各馬券の購入代金に対する払戻金の期待値の比率)が100%を超えることができれば恒常的な利益を挙げることができるところ、単に無作為に馬券を購入するだけではそれを実現できない旨判示し、本件については、「Xは、期待回収率が100%を超える馬券を有効に選別し得る独自のノウハウに基づいて長期間にわたり多数回かつ頻繁に当該選別に係る馬券の網羅的な購入をして100%を超える回収率を実現することにより多額の利益を恒常的に上げていたものであり、このような一連の馬券の購入は一体の経済活動の実態を有するということができる。」と判示し、本件競馬所得は別件最高裁判決の事案と同様に雑所得に当たる旨判示した。
 以上のように、本件競馬所得の所得区分について、一審判決と控除審判決とは、その考え方と結論とを異にするものであるが、それは、畢竟、競馬に対する考え方(競馬観)に依拠しているものと考えられる。思うに、競馬における当たり馬券を得ることは単にフロック的なものと考えれば、競馬から得られる所得をできるだけ一時所得であると考えるであろうし、そうではなく、当たり馬券を得ることについて何らかの方則、ノウハウ等があると考え、それが長期かつ集中した経験等によって得られると考えれば、いわゆる競馬屋が得る所得が単に一時的なものでなく、役務提供を伴う反覆・継続した行動から得られるものと考えるであろう。
 結局、別件最高裁判決及び本件の控訴審判決(当該裁判官)は、上記のような競馬における方則性、ノウハウの重要性を認識したものと評価できる。また、その方が、一見、フロック的な所得であるとも考えられる株式取引、商品取引等から得られる所得が、その取引形態に応じて、譲渡所得ではなく、雑所得又は事業所得として区分されていることにも共通し、説得力があるものと考えられる。

4 本判決の意義と問題点  以上のように、本件は、本件係争年において、ほぼ毎週(年間約50回)、かつ、年平均約10億円にのぼる馬券を購入し、年平均1億円に近い所得(本件競馬所得)を得ている場合に、当該所得が一時所得に当たるか、雑所得に当たるか、ということと、当該所得に係る総収入金額から控除できる経費(外れ馬券の購入代金を含めることができるか否か)の範囲が争われたものである。もっとも、後者の問題は、前者の問題が解決されれば、自ずから答の出るところでもある。
 本件各判決は、一審判決が一時所得に当たると判断し、控訴審判決が雑所得に当たると判断したものであるが、いずれの判決も、別件最高裁判決が、類似の事案における競馬所得を雑所得に当たると判断していただけに、両判決の判断が分かれたことが注目された。両判決の判断の分かれは、結局、前述したように、それぞれの競馬観の違いを反映したものとも解される。
 ともあれ、別件最高裁判決と本件の控訴審判決によって、「競馬による所得は一時所得である」という固定観念が覆されたことには意義がある。もっとも、別件最高裁判決とそれを引用した平成27年5月改正後の所得税基本通達34-1(注)にいう「一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有する」か否かが、一時所得と雑所得の判断基準となるので、個々の事実関係をめぐって今後とも争いが続くものと考えられる。
(注1)平成27年改正前の所得税基本通達34-1は、一時所得に該当する例として12項目掲げているが、そのうちの一つとして「競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等」を掲げているが、それが当然一時所得に当たるということで、国税庁担当者も他の項目と異なって何ら解説していない(後藤昇他共編「所得税基本通達逐条解説 平成24年版」(大蔵財務協会)229頁等参照)。
(注2)一審判決について批判的評釈として、長島弘・税務事例2015年7月号36頁等参照。

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