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解説記事2017年02月06日 【税務マエストロ】 外国子会社合算税制の総合的見直し①(2017年2月6日号・№677)

税務マエストロ 税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ
外国子会社合算税制の総合的見直し①

#182 品川克己
PwC税理士法人

略歴 89年より大蔵省主税局に勤務。90年7月より同国際租税課にて国際課税関係の政策立案・立法及び租税条約交渉等に従事。96年ハーバード・ロースクールにて客員研究員として日米租税条約について研究。97年より00年までOECD租税委員会に主任行政官として出向(在フランス)し、「OECD移転価格ガイドライン」及び「OECDモデル条約」の改定、及び関連会議の運営に従事。01年9月財務省を辞職し現職。

次回のテーマ
#183 
相殺取引(2)
税理士 熊王征秀 消費税率引上げ、それに伴う課税の適正化など、消費税法の改正が続く。消費税マエストロが実務ポイントを解説する。

※取り上げて欲しいテーマを編集部にお寄せください。
 e-mail:ta@lotus21.co.jp

マエストロの解説
 平成29年度税制改正では、国際課税分野における主要かつ重要な改正項目として、「内国法人の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例」、いわゆる外国子会社合算税制(従前は「タックスヘイブン対策税制」として導入、執行されていた)が大きく改正されることになった。この税制は、外国に所在する子会社の所得を日本法人である親会社の所得に合算して課税するものであるが、外国に所在する法人の株式を一定以上所有する個人(居住者)にも適用される(雑所得として確定申告により納税)ことから、税制改正大綱では、「外国子会社合算税制等の総合的見直し」(下線筆者)とされている。これは、外国子会社を保有する日本法人のみでなく、海外法人の持分という形態で海外投資を行う個人も対象となることを明確に示唆するもので、富裕層による海外への資産移転に対抗しようとする課税当局の意図が感じられるところでもある。

1 総合的見直しの背景
(1)税制改正大綱での指摘 
 平成29年度税制改正の議論の過程では、「パナマ文書」等が示唆する海外への資本や財産の移転等を通じた「租税回避」の問題も取り上げられ、今後の国際課税のあり方についても今回の税制改正では深く議論されたようである。その結果、「国際課税」分野の政策に重点が置かれた。その点について大綱では、「日本企業の健全な海外展開を支え、その果実の国内還流を促すとともに、租税回避に対してはこれまで以上に効果的に対応していく」という基本的な考え方のもと、個別の制度改正に当たっての検討ポイントとして、次の3つの基本方針が示されている。
① BEPSプロジェクトの合意事項の着実な実施を通じた国際協調の推進
② BEPSプロジェクトの基本的考え方(経済活動や価値創造の場と税が支払われる場所を一致させる)を踏まえ、健全な海外展開を歪める誘因を除去
③ 税に関する透明性の向上に向けた国際的な協調
 このように、国際課税分野の改正は、「BEPSプロジェクト」及び「国際協調」がキーワードと考えられ、今回の外国子会社合算税制の改正も、「BEPSプロジェクト」で示された提言内容に大きく依拠しているところである。なお、大綱で述べられている具体的事項は、次のように要約することができる。
 「外国子会社の経済実態に即して課税すべき」との「BEPSプロジェクト」の基本的考え方を踏まえ、(a)経済実体のない、いわゆる受動的所得は合算対象とする一方で、(b)実体のある事業からの所得であれば、子会社の税負担率にかかわらず合算対象外とする。その際、たとえば、金融機関が本業から得る金融所得は合算対象から除く等、(c)企業のビジネス実態を十分に踏まえて合算対象を決定するとともに、企業にとっての予見可能性にも留意する。また、(d)租税回避にかかわっていない企業の子会社に事務負担が発生しないよう、所要の措置を講ずる。
 具体的には、外国子会社を通じた租税回避リスクを、子会社の租税負担割合や会社全体の事業実態といった「会社の外形」によって判断するアプローチから、個々の所得の内容や稼得方法といった「所得の内容」に応じて把握するアプローチへと改める。その際、企業にとっての予見可能性に留意するとともに、租税回避に関わっていない企業の子会社に過度な事務負担が発生しないよう、所要の措置を講ずる。これにより、外国子会社の租税負担割合が一定以上であれば経済実態を伴わない所得であっても一律・自動的に合算せず申告も求めない一方、一定の航空機リース事業等、実体ある事業から得た所得であっても会社単位で合算課税してしまう場合があるという、現行制度の問題点に対処する。また、税に関する透明性向上に関する国際協調の観点から、透明性向上に向けた進捗が見られない国・地域に対して、他のG20諸国と足並みを揃えて「防御的措置」を講ずることができるよう、当該国・地域に所在する子会社に合算課税を発動する制度を改正の一環として導入する。
(2)「BEPSプロジェクト」で示されたポイント  「BEPSプロジェクト」の最終報告書では、一般的なCFCルール(日本では、タックスヘイブン対策税制ないしは外国子会社合算税制)を①対象となる外国子会社(日本の制度では外国関係会社)、②適用除外・足切基準、③対象所得の定義・範囲、④合算所得の計算方法、⑤合算割合・納税義務者の範囲、⑥二重課税の排除方法といった六つの構成要素に分解し、それぞれについていくつかの選択肢、ベストアプローチが示された。
 特に、③の対象所得の定義、範囲については、配当、利子、保険所得等の法形式に基づいて分類された所得ごとに合算して課税する「カテゴリーアプローチ」を中心としつつ、適用除外規定としての「実質アプローチ」(たとえば所得の取得に実際に必要となった事業施設やスキルのある従業員の有無により合算所得を判定する)や資本投下に見合う所得を超える所得を合算する「超過利潤アプローチ」が勧告されている。 

2 改正点の詳細
(1)改正の全体像
 本制度の具体的改正点は、制度の骨格の改正から所要の整備といった細かい点まで多岐にわたるところであるが、重要なポイントとしては概ね次の点に集約される。
① 外国関係会社の範囲の見直し
② 会社単位の合算課税制度への変更
③ 特定の外国関係会社の特例的課税
④ 一定所得の部分合算課税制度の範囲の拡充
 これら改正点については、税制改正大綱では、「会社の外形」によって判断するアプローチから個々の所得の内容や稼得方法といった「所得の内容」に応じて把握するアプローチへと改めるとされているが、上記会社単位の合算課税制度は現行制度と大差なく、一定所得の部分合算課税制度は現行制度における資産性所得の合算課税と同様のものと考えられる。また、これらの改正にあたっては、企業実態や企業活動へ配慮しているといわれているが、結果的に改正後の新しい制度は、現行制度より厳しいものとなるのではないかと考えられる。

 なお、外国子会社合算税制に係る改正は、外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用される。外国関係会社の事業年度が基準となり、かつ、平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるため、実際の合算課税は2年程度先となると考えられる。
(2)外国関係会社の範囲の見直し
 ① 間接保有の判定基準
 外国関係会社の判定上、間接保有割合の判定においては、外国法人(内国法人等との間に50%超の株式等の保有を通じた連鎖関係がある外国法人)が有する判定対象となる外国法人に対する持株割合等に基づいて算定することとなる。これは、現行制度では、間接保有については計算上の持分(持分を掛け算する)により判定していたが、改正後は、連鎖の最終位置の外国法人が有する対象となる外国関係会社の持分により判定することとなる。これは、50%以上の連鎖関係がある場合、当該外国関係会社に対する実質的な支配の度合いは最終段階での持分で判断できる点を考慮したものといえる。
 ② 実質支配関係基準による判定  外国関係会社の判定において、その資本持分を基準とせず、内国法人(又は居住者)がその外国法人の残余財産の概ね全部を請求することができる場合には、その外国法人を外国関係会社に含める。
 ③ トリガー税率(租税負担割合)の廃止  現行制度では、いわゆるタックスヘイブンとされる軽課税国に所在する外国関係会社を「特定外国子会社等」として本制度の対象としているが、この「特定外国子会社等」とは租税負担割合が20%未満であるものとしている。トリガー税率の廃止は、この「特定外国子会社等」の概念を廃止し、外国関係会社の所在地、つまりは租税負担割合にかかわらず、すべての外国関係会社をいったんは本制度の対象とし、別途の基準により合算課税の適否を判定することを意味している。しかしながら、合算課税の免除基準(後述)として「20%」という基準を設けていることから、当該改正点は「トリガー税率」の廃止というより、内容的には単なる計算手順の変更と捉えることもできる。

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