解説記事2017年03月20日 【未公開裁決事例紹介】 ポイント交換で受け取る金員は役務提供の「対価」(2017年3月20日号・№683)
未公開裁決事例紹介
ポイント交換で受け取る金員は役務提供の「対価」
ポイント付与による決済額の割引は役務提供
○提携法人からの依頼を受けて行うポイント交換により受け取った金員が消費税法2条1項8号に規定する「対価」に当たるか否かで争われた裁決で、国税不服審判所は、提携法人からの依頼により顧客にポイントを付与し、その付与したポイントに基づき行う決済額からの割引は「役務の提供」に該当することは明らかであると指摘。仮に、本件金員にポイント還元の原資の側面があったとしても、本件金員は、当該役務提供を条件として提携法人から請求人に支払われたという対応関係があるものと認めることができることから、本件金員は消費税法2条1項8号に規定する「対価」に当たると判断した(平成28年5月27日、棄却)。
基礎事実等
(1)事案の概要 本件は、××審査請求人(以下「請求人」という。)が、他の法人と共同で、顧客に対する企業ポイントの交換サービスを実施し、これに伴い他の法人から受領した金員を、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に含めて消費税等の確定申告をしたが、その後、当該金員は課税資産の譲渡等の対価に該当しないとして、更正の請求をしたところ、原処分庁から、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、当該処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2)基礎事実 以下の事実については、請求人と原処分庁との間に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ ××は、××の発行等を目的に、××等を会員として構成された団体であり、請求人は、同協議会から事務局業務を受託すること等を目的として設立された法人である。
ロ 請求人は、××から委託を受けて、「××」との名称の××(以下「××」という。)を発行している。
××は、その会員(以下「××」という。)において、××、××や加盟店における商品購入代金等の支払に利用することができる。そして、利用額の決済は、後日、指定口座からの口座振替等により行われる。
ハ 請求人は、××が××において××で商品購入代金等を支払う都度、××に対し、「××」との名称の企業ポイント(以下「本件ポイント」という。)を、利用金額に応じて(通常は利用金額××につき××)付与している。
本件ポイントは、××たまると、これを××相当(××当たり××)として、××で支払った××の後日の決済額(以下「本件後払決済額」という。)から××還元される(なお、ごく一部、他社の企業ポイントと交換されるものもある。)。
ニ 請求人は、次のとおり、××ほか9杜(以下、併せて「本件各提携法人」という。)との間で締結した各業務提携契約(以下、併せて「本件各契約」という。)に基づき、本件各提携法人と共同で、本件各提携法人の会員であるとともに××でもある者(以下「本件双方会員」という。)に対し、本件双方会員が本件各提携法人から付与された企業ポイント(以下「提携ポイント」という。)と引換えに、請求人から本件ポイントの付与を受けることができるというポイント交換サービス(以下「本件ポイント交換」という。)を実施している。
(イ)××との間で締結した平成17年11月30日付「ポイント交換に関する契約書」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌月末日期限で支払う。
(ロ)××との間で締結した平成18年3月31日付「××」に係る契約(平成21年3月31日付覚書により、契約内容の一部が変更されている。)
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
4月1日から翌年3月31日までの累計××までの部分
××に対し本件ポイント××
4月1日から翌年3月31日までの累計××を超える部分
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌々月末日期限で支払う。
(ハ)××との間で締結した平成21年4月1日付「ポイント移行に関する覚書」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌月末日期限で支払う。
(ニ)××との間で締結した平成18年2月14日付「××」に係る契約(平成21年11月11日付覚書により、契約内容の一部が変更されている。)
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
4月から翌年3月までの累計××までの部分
××に対し本件ポイント××
4月から翌年3月までの累計××以降の部分
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌々月末日期限で支払う。
(ホ)××との間で締結した平成18年11月29日付「××」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌々月末日期限で支払う。
(ヘ)××(××)との間で締結した平成19年5月31日付「××」に基づく「××」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌月末日期限で支払う。
(ト)××との間で締結した平成19年11月1日付「××」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月25日締め・翌月末日期限で支払う。
(チ)××(××)との間で締結した平成20年2月1日付「ポイント交換に関する契約書」に係る契約(平成24年10月1日付覚書により、契約内容の一部が変更されている。)
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌月末日期限で支払う。
(リ)××との間で締結した平成20年3月31日付「ポイント交換に関する契約書」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月25日締め・翌月末日期限で支払う。
(ヌ)××との間で締結した平成24年2月8日付「××」に基づく「××」に係る契約(平成25年10月1日以降、同時期に締結した「××」により、契約内容の一部が変更されており、変更部分の表示については、変更前を旧契約、変更後を新契約としている。)
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
旧契約
××に対し本件ポイント××
新契約
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌月末日期限で支払う。
ホ 本件ポイント交換が行われた場合、本件各提携法人は、請求人に対し、上記ニの(イ)から(ヌ)の各Cのとおり、請求人が本件双方会員に付与した本件ポイント××当たり××の割合による金員(以下「本件金員」という。)を支払う。
(3)審査請求に至る経緯 イ 請求人は、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)の消費税等について、本件各提携法人から収受した本件金員を課税資産の譲渡等の対価の額に含めて、別表(略)の「確定申告」の欄のとおり、法定申告期限までに確定申告をした。
ロ 請求人は、平成26年10月8日、原処分庁に対し、本件課税期間の消費税等について、本件金員が消費税法第2条第1項第8号に規定する資産の譲渡等の対価に該当しないことを理由に、別表(略)の「更正の請求」の欄のとおり、更正の請求(以下「本件更正の請求」という。)をした。
ハ これに対し、原処分庁は、平成26年12月22日付で、更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。
本件通知処分に係る通知書の理由欄には、「他の事業者から金銭を得て利用者に対してポイントを付与する取引における当該金銭は、他の事業者が貴法人に対して利用者へのサービス提供を依頼したことに係る対価であるとして、役務の提供に係る対価であると認められることから、消費税法第2条第8号に規定する資産の譲渡等となります。したがって、国税に関する法律の規定に従っていない又は当該計算に誤りがあるとは認められません。」と記載されている。
ニ 請求人は、本件通知処分を不服として、平成27年2月20日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年5月13日付で、棄却の異議決定をした。
ホ 請求人は、異議決定を経た後の本件通知処分に不服があるとして、平成27年6月12日に審査請求をした。
(4)関係法令等(略)
争点および主張
(1)争点1 調査手続に本件通知処分を取り消すべき違法があるか否か。(略)
(2)争点2 本件通知処分に理由提示の不備の違法があるか否か。(略)
(3)争点3 本件ポイント交換が消費税法第2条第1項第8号に規定する「資産の譲渡等」に当たるか否か、具体的には、本件金員が同号に規定する「対価」に当たるか否か。 当事者の主張は表のとおりである。
審判所の判断
(1)争点1(調査手続に本件通知処分を取り消すべき違法があるか否か。)について(略)
(2)争点2(本件通知処分に理由提示の不備の違法があるか否か。)について(略)
(3)争点3(本件ポイント交換が、消費税法第2条第1項第8号に規定する「資産の譲渡等」に当たるか否か、具体的には、本件金員が同号に規定する「対価」に当たるか否か。)について
イ 法令解釈 (イ)消費税は、国内における消費全般に税負担を求めるため、広く薄く課税対象を設定し、最終的に消費者への転嫁が予定されている租税である。かかる消費税の性格に鑑みると、事業者が収受する経済的利益が消費税の課税要件としての資産の譲渡等における「対価」に該当するといえるためには、事業者が収受する経済的利益と事業者が行った当該個別具体的な資産の譲渡等との間に対応関係があること、換言すると、当該個別具体的な資産の譲渡等があることを条件として、当該経済的利益が収受されたといい得る対応関係があることが必要ではあるが、それ以上の要件は要求されていないものと解するのが相当である。
(ロ)消費税法基本通達5-5-1は、消費税法第2条第1項第8号に規定する「役務の提供」とは、例えば、土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述その他のサービスを提供することをいう旨定め、「役務の提供」が、他人に対する労務、便益、サービスの提供と捉えられるものの一切を含む概念であることを明らかにしているところ、かかる解釈は、上記(イ)でみた消費税の性格に沿うものであるから、当審判所においても相当と認める。
ロ 検討 (イ)本件ポイント交換は、提携ポイントと引換えに請求人から本件ポイントの付与を受けることができるサービスであり、請求人は、本件ポイント交換を希望する本件双方会員に対し、本件各契約所定の交換比率に応じた本件ポイントを付与し、これを、同ハのとおり、本件後払決済額から割り引くことにより還元するものであるところ、上記イの(ロ)のとおり、消費税法第2条第1項第8号に規定する「役務の提供」が、他人に対する労務、便益、サービスの提供と捉えられるものの一切を含む概念であることからすれば、上記本件ポイントの付与に基づく本件後払決済額からの割引が「役務の提供」に当たることは明らかである(以下では、上記本件ポイントの付与に基づく本件後払決済額からの割引を「本件役務提供」という。)。
(ロ)そして、本件ポイント交換が行われた場合に本件各提携法人が請求人に対し精算金として支払う本件金員は、請求人が本件双方会員に付与した本件ポイント××当たり××という、本件ポイント及び本件後払決済額に相当する金額(本件ポイント××当たり××=本件ポイント××当たり××)であることからすると、本件金員は、本件役務提供による本件後払決済額からの割引額に対応した経済的利益であると認められるから、本件役務提供があることを条件として、本件金員が収受されたという対応関係があるものと認めることができる。
(ハ)したがって、本件金員は、消費税法第2条第1項第8号に規定する「対価」に当たる。
(ニ)請求人の主張について
請求人は、本件金員は、請求人が行うポイント還元の原資であることから、本件役務提供の対価ではない旨主張する。
しかしながら、上記イの(イ)のとおり、対価性が認められるためには、当該経済的利益と当該資産の譲渡等との間に対応関係が認められれば足り、それ以上の要件は要求されていないものと解され、仮に本件金員にポイント還元の原資の側面があったとしても、本件役務提供との間の対応関係を肯定することができることは上記(ロ)のとおりであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
(ホ)小括
以上によれば、本件ポイント交換は、消費税法第2条第1項第8号に規定する「資産の譲渡等」に当たる。
(4)本件通知処分の適法性について 上記(1)及び(2)のとおり、本件通知処分に手続的違法はなく、上記(3)のとおり、本件金員に係る消費税等について、確定申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった又は当該計算に誤りがあったとは認められず、また、争点以外の課税要件事実及び税額計算の基礎となる金額等について、請求人は争わず、当審判所の調査の結果によっても、違法ないし不当な点は認められないから、本件更正の請求について更正をすべき理由はない。
したがって、本件通知処分は適法である。
(5)結論 よって、本件審査請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり裁決する。
ポイント交換で受け取る金員は役務提供の「対価」
ポイント付与による決済額の割引は役務提供
○提携法人からの依頼を受けて行うポイント交換により受け取った金員が消費税法2条1項8号に規定する「対価」に当たるか否かで争われた裁決で、国税不服審判所は、提携法人からの依頼により顧客にポイントを付与し、その付与したポイントに基づき行う決済額からの割引は「役務の提供」に該当することは明らかであると指摘。仮に、本件金員にポイント還元の原資の側面があったとしても、本件金員は、当該役務提供を条件として提携法人から請求人に支払われたという対応関係があるものと認めることができることから、本件金員は消費税法2条1項8号に規定する「対価」に当たると判断した(平成28年5月27日、棄却)。
基礎事実等
(1)事案の概要 本件は、××審査請求人(以下「請求人」という。)が、他の法人と共同で、顧客に対する企業ポイントの交換サービスを実施し、これに伴い他の法人から受領した金員を、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に含めて消費税等の確定申告をしたが、その後、当該金員は課税資産の譲渡等の対価に該当しないとして、更正の請求をしたところ、原処分庁から、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、当該処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2)基礎事実 以下の事実については、請求人と原処分庁との間に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ ××は、××の発行等を目的に、××等を会員として構成された団体であり、請求人は、同協議会から事務局業務を受託すること等を目的として設立された法人である。
ロ 請求人は、××から委託を受けて、「××」との名称の××(以下「××」という。)を発行している。
××は、その会員(以下「××」という。)において、××、××や加盟店における商品購入代金等の支払に利用することができる。そして、利用額の決済は、後日、指定口座からの口座振替等により行われる。
ハ 請求人は、××が××において××で商品購入代金等を支払う都度、××に対し、「××」との名称の企業ポイント(以下「本件ポイント」という。)を、利用金額に応じて(通常は利用金額××につき××)付与している。
本件ポイントは、××たまると、これを××相当(××当たり××)として、××で支払った××の後日の決済額(以下「本件後払決済額」という。)から××還元される(なお、ごく一部、他社の企業ポイントと交換されるものもある。)。
ニ 請求人は、次のとおり、××ほか9杜(以下、併せて「本件各提携法人」という。)との間で締結した各業務提携契約(以下、併せて「本件各契約」という。)に基づき、本件各提携法人と共同で、本件各提携法人の会員であるとともに××でもある者(以下「本件双方会員」という。)に対し、本件双方会員が本件各提携法人から付与された企業ポイント(以下「提携ポイント」という。)と引換えに、請求人から本件ポイントの付与を受けることができるというポイント交換サービス(以下「本件ポイント交換」という。)を実施している。
(イ)××との間で締結した平成17年11月30日付「ポイント交換に関する契約書」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌月末日期限で支払う。
(ロ)××との間で締結した平成18年3月31日付「××」に係る契約(平成21年3月31日付覚書により、契約内容の一部が変更されている。)
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
4月1日から翌年3月31日までの累計××までの部分
××に対し本件ポイント××
4月1日から翌年3月31日までの累計××を超える部分
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌々月末日期限で支払う。
(ハ)××との間で締結した平成21年4月1日付「ポイント移行に関する覚書」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌月末日期限で支払う。
(ニ)××との間で締結した平成18年2月14日付「××」に係る契約(平成21年11月11日付覚書により、契約内容の一部が変更されている。)
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
4月から翌年3月までの累計××までの部分
××に対し本件ポイント××
4月から翌年3月までの累計××以降の部分
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌々月末日期限で支払う。
(ホ)××との間で締結した平成18年11月29日付「××」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌々月末日期限で支払う。
(ヘ)××(××)との間で締結した平成19年5月31日付「××」に基づく「××」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌月末日期限で支払う。
(ト)××との間で締結した平成19年11月1日付「××」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月25日締め・翌月末日期限で支払う。
(チ)××(××)との間で締結した平成20年2月1日付「ポイント交換に関する契約書」に係る契約(平成24年10月1日付覚書により、契約内容の一部が変更されている。)
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌月末日期限で支払う。
(リ)××との間で締結した平成20年3月31日付「ポイント交換に関する契約書」に係る契約
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月25日締め・翌月末日期限で支払う。
(ヌ)××との間で締結した平成24年2月8日付「××」に基づく「××」に係る契約(平成25年10月1日以降、同時期に締結した「××」により、契約内容の一部が変更されており、変更部分の表示については、変更前を旧契約、変更後を新契約としている。)
A 提携ポイントの名称
××
B 交換比率
旧契約
××に対し本件ポイント××
新契約
××に対し本件ポイント××
C 精算金の支払
ポイント交換を行った場合、××は、請求人に対し、ポイント交換に係る本件ポイント××当たり××を、各月末日締め・翌月末日期限で支払う。
ホ 本件ポイント交換が行われた場合、本件各提携法人は、請求人に対し、上記ニの(イ)から(ヌ)の各Cのとおり、請求人が本件双方会員に付与した本件ポイント××当たり××の割合による金員(以下「本件金員」という。)を支払う。
(3)審査請求に至る経緯 イ 請求人は、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)の消費税等について、本件各提携法人から収受した本件金員を課税資産の譲渡等の対価の額に含めて、別表(略)の「確定申告」の欄のとおり、法定申告期限までに確定申告をした。
ロ 請求人は、平成26年10月8日、原処分庁に対し、本件課税期間の消費税等について、本件金員が消費税法第2条第1項第8号に規定する資産の譲渡等の対価に該当しないことを理由に、別表(略)の「更正の請求」の欄のとおり、更正の請求(以下「本件更正の請求」という。)をした。
ハ これに対し、原処分庁は、平成26年12月22日付で、更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。
本件通知処分に係る通知書の理由欄には、「他の事業者から金銭を得て利用者に対してポイントを付与する取引における当該金銭は、他の事業者が貴法人に対して利用者へのサービス提供を依頼したことに係る対価であるとして、役務の提供に係る対価であると認められることから、消費税法第2条第8号に規定する資産の譲渡等となります。したがって、国税に関する法律の規定に従っていない又は当該計算に誤りがあるとは認められません。」と記載されている。
ニ 請求人は、本件通知処分を不服として、平成27年2月20日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年5月13日付で、棄却の異議決定をした。
ホ 請求人は、異議決定を経た後の本件通知処分に不服があるとして、平成27年6月12日に審査請求をした。
(4)関係法令等(略)
争点および主張
(1)争点1 調査手続に本件通知処分を取り消すべき違法があるか否か。(略)
(2)争点2 本件通知処分に理由提示の不備の違法があるか否か。(略)
(3)争点3 本件ポイント交換が消費税法第2条第1項第8号に規定する「資産の譲渡等」に当たるか否か、具体的には、本件金員が同号に規定する「対価」に当たるか否か。 当事者の主張は表のとおりである。
【表】当事者の主張(本件ポイント交換が消費税法第2条第1項第8号に規定する「資産の譲渡等」に当たるか否か、具体的には、本件金員が同号に規定する「対価」に当たるか否か) |
請 求 人 | 原 処 分 庁 |
本件ポイント交換において、請求人が本件各提携法人に代わり本件ポイントの還元等を行うことが役務の提供に当たり得るとしても、請求人は、本件各提携法人からその対価となる金銭を得てはいない。 請求人が本件各提携法人から収受する本件金員は、請求人が本件双方会員に対して還元する本件ポイントの原資であることから、役務の提供の対価ではない。 | 請求人は、本件各提携法人から依頼を受けて、本件双方会員に対し、本件各提携法人が提供すべきサービス等に見合う本件ポイントの付与という役務の提供を行い、当該役務の提供に対応する金銭として本件金員を受け取っていることから、本件金員は、単に本件双方会員に本件ポイントを還元するために預かったものとは認められず、上記役務の提供の対価に当たる。 |
審判所の判断
(1)争点1(調査手続に本件通知処分を取り消すべき違法があるか否か。)について(略)
(2)争点2(本件通知処分に理由提示の不備の違法があるか否か。)について(略)
(3)争点3(本件ポイント交換が、消費税法第2条第1項第8号に規定する「資産の譲渡等」に当たるか否か、具体的には、本件金員が同号に規定する「対価」に当たるか否か。)について
イ 法令解釈 (イ)消費税は、国内における消費全般に税負担を求めるため、広く薄く課税対象を設定し、最終的に消費者への転嫁が予定されている租税である。かかる消費税の性格に鑑みると、事業者が収受する経済的利益が消費税の課税要件としての資産の譲渡等における「対価」に該当するといえるためには、事業者が収受する経済的利益と事業者が行った当該個別具体的な資産の譲渡等との間に対応関係があること、換言すると、当該個別具体的な資産の譲渡等があることを条件として、当該経済的利益が収受されたといい得る対応関係があることが必要ではあるが、それ以上の要件は要求されていないものと解するのが相当である。
(ロ)消費税法基本通達5-5-1は、消費税法第2条第1項第8号に規定する「役務の提供」とは、例えば、土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述その他のサービスを提供することをいう旨定め、「役務の提供」が、他人に対する労務、便益、サービスの提供と捉えられるものの一切を含む概念であることを明らかにしているところ、かかる解釈は、上記(イ)でみた消費税の性格に沿うものであるから、当審判所においても相当と認める。
ロ 検討 (イ)本件ポイント交換は、提携ポイントと引換えに請求人から本件ポイントの付与を受けることができるサービスであり、請求人は、本件ポイント交換を希望する本件双方会員に対し、本件各契約所定の交換比率に応じた本件ポイントを付与し、これを、同ハのとおり、本件後払決済額から割り引くことにより還元するものであるところ、上記イの(ロ)のとおり、消費税法第2条第1項第8号に規定する「役務の提供」が、他人に対する労務、便益、サービスの提供と捉えられるものの一切を含む概念であることからすれば、上記本件ポイントの付与に基づく本件後払決済額からの割引が「役務の提供」に当たることは明らかである(以下では、上記本件ポイントの付与に基づく本件後払決済額からの割引を「本件役務提供」という。)。
(ロ)そして、本件ポイント交換が行われた場合に本件各提携法人が請求人に対し精算金として支払う本件金員は、請求人が本件双方会員に付与した本件ポイント××当たり××という、本件ポイント及び本件後払決済額に相当する金額(本件ポイント××当たり××=本件ポイント××当たり××)であることからすると、本件金員は、本件役務提供による本件後払決済額からの割引額に対応した経済的利益であると認められるから、本件役務提供があることを条件として、本件金員が収受されたという対応関係があるものと認めることができる。
(ハ)したがって、本件金員は、消費税法第2条第1項第8号に規定する「対価」に当たる。
(ニ)請求人の主張について
請求人は、本件金員は、請求人が行うポイント還元の原資であることから、本件役務提供の対価ではない旨主張する。
しかしながら、上記イの(イ)のとおり、対価性が認められるためには、当該経済的利益と当該資産の譲渡等との間に対応関係が認められれば足り、それ以上の要件は要求されていないものと解され、仮に本件金員にポイント還元の原資の側面があったとしても、本件役務提供との間の対応関係を肯定することができることは上記(ロ)のとおりであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
(ホ)小括
以上によれば、本件ポイント交換は、消費税法第2条第1項第8号に規定する「資産の譲渡等」に当たる。
(4)本件通知処分の適法性について 上記(1)及び(2)のとおり、本件通知処分に手続的違法はなく、上記(3)のとおり、本件金員に係る消費税等について、確定申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった又は当該計算に誤りがあったとは認められず、また、争点以外の課税要件事実及び税額計算の基礎となる金額等について、請求人は争わず、当審判所の調査の結果によっても、違法ないし不当な点は認められないから、本件更正の請求について更正をすべき理由はない。
したがって、本件通知処分は適法である。
(5)結論 よって、本件審査請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり裁決する。
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