解説記事2017年12月11日 【未公開裁決事例紹介】 給与の支給期は各営業日、源泉徴収税額表は乙欄に(2017年12月11日号・№718)
未公開裁決事例紹介
給与の支給期は各営業日、源泉徴収税額表は乙欄に
給与所得者の扶養控除等申告書を受理せず
○源泉所得税及び源泉所得税等の額の算定に当たり、常勤従業員については源泉徴収税額表(日額表)乙欄を適用すべきか否か争われた事案。国税不服審判所は、請求人は就業規則等により支給期を特段定めていないなど、常勤従業員の給料の支給期は各営業日とみるのが相当であると指摘。その上で、給与所得の源泉徴収税額表の甲欄は、給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者に対して適用されるところ、請求人は常勤従業員から同申告書を受理していないから、源泉徴収税額表(日額表)の乙欄を適用するとの判断を示した(平成29年2月3日、棄却)。
基礎事実等
(1)事案の概要 本件は、飲食業を営んでいた審査請求人(以下「請求人」という。)が従業員に支給した給料について、原処分庁が、請求人は従業員から給与所得者の扶養控除等申告書を受理しておらず、また、当該給料の支給期は各営業日であるとして源泉徴収に係る所得税(以下「源泉所得税」という。)並びに源泉所得税及び復興特別所得税(以下「源泉所得税等」という。)の各納税告知処分を行ったのに対し、請求人が、原処分庁の調査手続には違法があり、また、当該給料に係る源泉所得税及び源泉所得税等の額の算出方法には誤りがあるとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2)関係法令(略)
(3)基礎事実 当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 請求人は、平成15年11月から平成28年1月までの期間、×××において、「××××」の屋号を用いてスタンドバーを営んでいた(以下、請求人が営んでいた事業を「本件事業」という。)。
ロ 本件事業の営業日は月曜日から土曜日で、休業日は日曜日及び祝日であったが、休業日に営業することもあった。
ハ 請求人は、常勤の従業員として、×××を平成18年頃から平成28年1月まで、×××を平成24年1月から平成28年1月まで継続して雇用し、給料を支給していた(以下、×××と×××を併せて「常勤従業員」という。)。
ニ 常勤従業員の勤務時間は、×××は午後7時30分から翌午前0時30分までの5時間、×××は午後8時00分から翌午前0時30分までの4時間30分である。
ホ 常勤従業員の給料は時給1,500円で、1日当たり、×××が7,500円、×××が6,750円となるが、残業や早退のときは、時給を基に増額又は減額していた。
へ 請求人は、常勤従業員のほかに体験入店従業員と称する臨時の従業員(以下「臨時従業員」といい、常勤従業員と併せて「本件各従業員」という。)を雇用することがあったが、臨時従業員は日雇で、勤務した時間によって日額5,000円又は7,500円の給料を、勤務した日に支給していた。
なお、継続して2か月を超えて雇用していた臨時従業員はいない。
ト 請求人は、本件各従業員に対する給料を、全て現金で支給していた。
チ 請求人は、営業日ごとに本件各従業員の給料の総額を記載した給料台帳(以下「本件給料台帳」という。)を作成していた。
リ 請求人は、本件各従業員への給料の支払の際、平成24年の各月分の源泉所得税及び平成25年1月から平成27年7月までの各月分の源泉所得税等の徴収をしておらず、原処分庁にこれらの納付もしていなかった。また、請求人は、本件各従業員から給与所得者の扶養控除等申告書を含む給与所得者の源泉徴収に関する申告書を受理していなかった。
ヌ 原処分庁所属の調査担当職員(以下「本件調査担当職員」という。)は、平成27年7月13日、請求人に対して、実地の調査を開始する日時、調査を行う場所、調査の目的、調査の対象となる税目及び期間並びに調査の対象となる帳簿書類その他の物件等を事前に通知した。
ル 本件調査担当職員は、平成27年7月15日、請求人の自宅に臨場して、調査を開始した。その際、請求人のバッグ内及び財布内並びに自宅内にあったごみ箱の中(以下「バッグ内等」という。)の調査を行った。
(4)審査請求に至る経緯 イ 原処分庁は、平成27年12月11日付で、常勤従業員の給料について、別表1(略)及び別表2(略)の「納税告知処分」欄のとおり、平成24年2月から平成24年12月までの各月分の源泉所得税、並びに平成25年1月から平成26年2月まで、平成26年4月から平成26年12月まで及び平成27年2月から平成27年7月までの各月分の源泉所得税等の各納税告知処分をした(以下、当該各納税告知処分をした各月分を併せて「本件各月分」という。)。
ロ 請求人は、平成27年12月11日、本件各従業員の給料について、別表1(略)の「納付」 欄に記載の各月分の源泉所得税及び別表2(略)の「納付」欄に記載の各月分の源泉所得税等を原処分庁に納付した。
なお、原処分庁に納付された本件各月分の源泉所得税及び源泉所得税等の額は、本件給料台帳に記載された金額に基づき、常勤従業員に支給した本件各月分の給料の額を各人別にそれぞれ集計し、その各人別の集計額に、平成27年1月1日以後に支払うべき給与等について適用する「源泉徴収税額表(月額表)」の甲欄(扶養親族等の数0人)をそれぞれ適用して算出した額及び各月において臨時従業員に支給したそれぞれの給料の額(日額)に、平成27年1月1日以後に支払うべき給与等について適用する「源泉徴収税額表(日額表)」の乙欄を適用して算出した額を合計したものである。
ハ 請求人は、上記イの各納税告知処分を不服として、平成28年1月13日に異議申立てをした。
ニ 原処分庁は、平成28年1月22日付で、別表1(略)及び別表2(略)の「訂正告知処分」欄のとおり、上記イの各納税告知処分のうち、請求人が平成27年12月11日に納付した上記ロの源泉所得税及び源泉所得税等の額を減額する各訂正告知処分をした(以下、当該各訂正告知処分により減額された後の上記イの各納税告知処分を「本件各納税告知処分」という。)。
ホ 異議審理庁は、請求人の納付すべき本件各月分の源泉所得税及び源泉所得税等の額は、別表1(略)及び別表2(略)の「異議審理庁認定額」欄のとおりであり、これらの額はいずれも本件各納税告知処分の額と同額又は上回ることから、平成28年4月12日付で、上記ハの異議申立てをいずれも棄却とする異議決定をした。
へ 請求人は、異議決定を経た後の本件各納税告知処分に不服があるとして、平成28年5月12日に審査請求をした。
争点および主張 争点1 源泉所得税及び源泉所得税等に係る調査(以下「本件調査」という。)の手続に本件各納税告知処分を取り消すべき違法があるか否か。(略)
争点2 源泉所得税及び源泉所得税等の額の算定に当たり、常勤従業員については源泉徴収税額表(日額表)乙欄を適用すべきか否か、また、臨時従業員については源泉徴収税額表(日額表)丙欄を適用すべきか否か。
当事者の主張は表のとおり。
審判所の判断
(1)争点1について(略)
(2)争点2について
イ 認定事実 原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ)請求人は、本件各従業員に対する給料の支払を証する帳簿等として、本件給料台帳を作成及び保存するのみで、ほかに本件事業に係る現金出納帳や支給日及び支給額を記録したメモ、手帳等は作成していなかった。
(ロ)請求人は、就業規則等を定めておらず、常勤従業員に対する給料の支給期は特段定めていない。
(ハ)請求人及び原処分庁がそれぞれ主張する本件各月分に係る本件各従業員に対する給料の支給額は、別表3(略)の本件各従業員に対する給料の各「支給額」欄のとおり、その一部に開差が生じるものの、これは、請求人が主張する給料の支給額に同表の請求人主張額の部分に注書きした集計誤り等があることによるものと認められ、これを補正すると、本件各月分に係る本件各従業員に対する給料の支給額は、請求人及び原処分庁ともに同額となる。
ロ 請求人の答述の内容 請求人の当審判所に対する答述の内容の要旨は、次のとおりである。
(イ)×××に対する給料は、月曜日から土曜日までの分を土曜日に、現金で支給していた。
(ロ)×××に対する給料は、当初は週1回払か日払かは覚えていないが、閉店(平成28年1月)前の1年間ないし2年間は、月曜日から水曜日までの分を水曜日に、木曜日から土曜日までの分を土曜日に、現金で支給していた。ただし、売上状況が良くなければ、支払を待ってもらうこともあった。
(ハ)給料の支給日が休業日である場合は、現金があれば直前の営業日に支給し、現金がなければ休業日後に支給していた。
ハ 当てはめ (イ)請求人は、常勤従業員の給料について、上記イの(ロ)のとおり、支給期を特段定めておらず、同(イ)のとおり、本件給料台帳の記載のほかに常勤従業員に対する給料の支給日及び支給額を明らかにする帳簿等は存しないことから、当審判所の調査によっても実際の支給期及び支給額が特定できない。また、請求人は、上記ロのとおり、「常勤従業員に対する給料は、数日分をまとめて支給していた」旨答述するのであるから、常勤従業員の給料については、少なくとも毎月支給と定められていたとは認められない。これらのことからすると、常勤従業員の給料は、本件給料台帳の記載に基づいて営業日ごとに支給されていたとみることが相当である。
(ロ)そして、常勤従業員の給料については、上記のとおり、請求人は常勤従業員から給与所得者の扶養控除等申告書を受理しておらず、また、上記(イ)のとおり、その支給期は各営業日とみるのが相当であることから、源泉所得税の額は、所得税法第185条第1項第2号への規定により、所得税法別表第三の乙欄を適用して算出することとなり、源泉所得税等の額は、所得税法第185条第1項第2号へ及び復興財源確保法第29条第1項第1号の規定により、財務省告示第115号別表第二の乙欄を適用して算出することとなる。
また、臨時従業員の給料については、上記のとおり、日雇の者について勤務した時間によって算定され、かつ、勤務した日ごとに支給されているから、源泉所得税の額は、所得税法第185条第1項第3号及び所得税法施行令第309条の規定により、所得税法別表第三の丙欄を適用して算出することとなり、源泉所得税等の額は、所得税法第185条第1項第3号及び所得税法施行令第309条並びに復興財源確保法第29条第1項第1号の規定により、財務省告示第115号別表第二の丙欄を適用して算出することとなる。
給与の支給期は各営業日、源泉徴収税額表は乙欄に
給与所得者の扶養控除等申告書を受理せず
○源泉所得税及び源泉所得税等の額の算定に当たり、常勤従業員については源泉徴収税額表(日額表)乙欄を適用すべきか否か争われた事案。国税不服審判所は、請求人は就業規則等により支給期を特段定めていないなど、常勤従業員の給料の支給期は各営業日とみるのが相当であると指摘。その上で、給与所得の源泉徴収税額表の甲欄は、給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者に対して適用されるところ、請求人は常勤従業員から同申告書を受理していないから、源泉徴収税額表(日額表)の乙欄を適用するとの判断を示した(平成29年2月3日、棄却)。
基礎事実等
(1)事案の概要 本件は、飲食業を営んでいた審査請求人(以下「請求人」という。)が従業員に支給した給料について、原処分庁が、請求人は従業員から給与所得者の扶養控除等申告書を受理しておらず、また、当該給料の支給期は各営業日であるとして源泉徴収に係る所得税(以下「源泉所得税」という。)並びに源泉所得税及び復興特別所得税(以下「源泉所得税等」という。)の各納税告知処分を行ったのに対し、請求人が、原処分庁の調査手続には違法があり、また、当該給料に係る源泉所得税及び源泉所得税等の額の算出方法には誤りがあるとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2)関係法令(略)
(3)基礎事実 当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 請求人は、平成15年11月から平成28年1月までの期間、×××において、「××××」の屋号を用いてスタンドバーを営んでいた(以下、請求人が営んでいた事業を「本件事業」という。)。
ロ 本件事業の営業日は月曜日から土曜日で、休業日は日曜日及び祝日であったが、休業日に営業することもあった。
ハ 請求人は、常勤の従業員として、×××を平成18年頃から平成28年1月まで、×××を平成24年1月から平成28年1月まで継続して雇用し、給料を支給していた(以下、×××と×××を併せて「常勤従業員」という。)。
ニ 常勤従業員の勤務時間は、×××は午後7時30分から翌午前0時30分までの5時間、×××は午後8時00分から翌午前0時30分までの4時間30分である。
ホ 常勤従業員の給料は時給1,500円で、1日当たり、×××が7,500円、×××が6,750円となるが、残業や早退のときは、時給を基に増額又は減額していた。
へ 請求人は、常勤従業員のほかに体験入店従業員と称する臨時の従業員(以下「臨時従業員」といい、常勤従業員と併せて「本件各従業員」という。)を雇用することがあったが、臨時従業員は日雇で、勤務した時間によって日額5,000円又は7,500円の給料を、勤務した日に支給していた。
なお、継続して2か月を超えて雇用していた臨時従業員はいない。
ト 請求人は、本件各従業員に対する給料を、全て現金で支給していた。
チ 請求人は、営業日ごとに本件各従業員の給料の総額を記載した給料台帳(以下「本件給料台帳」という。)を作成していた。
リ 請求人は、本件各従業員への給料の支払の際、平成24年の各月分の源泉所得税及び平成25年1月から平成27年7月までの各月分の源泉所得税等の徴収をしておらず、原処分庁にこれらの納付もしていなかった。また、請求人は、本件各従業員から給与所得者の扶養控除等申告書を含む給与所得者の源泉徴収に関する申告書を受理していなかった。
ヌ 原処分庁所属の調査担当職員(以下「本件調査担当職員」という。)は、平成27年7月13日、請求人に対して、実地の調査を開始する日時、調査を行う場所、調査の目的、調査の対象となる税目及び期間並びに調査の対象となる帳簿書類その他の物件等を事前に通知した。
ル 本件調査担当職員は、平成27年7月15日、請求人の自宅に臨場して、調査を開始した。その際、請求人のバッグ内及び財布内並びに自宅内にあったごみ箱の中(以下「バッグ内等」という。)の調査を行った。
(4)審査請求に至る経緯 イ 原処分庁は、平成27年12月11日付で、常勤従業員の給料について、別表1(略)及び別表2(略)の「納税告知処分」欄のとおり、平成24年2月から平成24年12月までの各月分の源泉所得税、並びに平成25年1月から平成26年2月まで、平成26年4月から平成26年12月まで及び平成27年2月から平成27年7月までの各月分の源泉所得税等の各納税告知処分をした(以下、当該各納税告知処分をした各月分を併せて「本件各月分」という。)。
ロ 請求人は、平成27年12月11日、本件各従業員の給料について、別表1(略)の「納付」 欄に記載の各月分の源泉所得税及び別表2(略)の「納付」欄に記載の各月分の源泉所得税等を原処分庁に納付した。
なお、原処分庁に納付された本件各月分の源泉所得税及び源泉所得税等の額は、本件給料台帳に記載された金額に基づき、常勤従業員に支給した本件各月分の給料の額を各人別にそれぞれ集計し、その各人別の集計額に、平成27年1月1日以後に支払うべき給与等について適用する「源泉徴収税額表(月額表)」の甲欄(扶養親族等の数0人)をそれぞれ適用して算出した額及び各月において臨時従業員に支給したそれぞれの給料の額(日額)に、平成27年1月1日以後に支払うべき給与等について適用する「源泉徴収税額表(日額表)」の乙欄を適用して算出した額を合計したものである。
ハ 請求人は、上記イの各納税告知処分を不服として、平成28年1月13日に異議申立てをした。
ニ 原処分庁は、平成28年1月22日付で、別表1(略)及び別表2(略)の「訂正告知処分」欄のとおり、上記イの各納税告知処分のうち、請求人が平成27年12月11日に納付した上記ロの源泉所得税及び源泉所得税等の額を減額する各訂正告知処分をした(以下、当該各訂正告知処分により減額された後の上記イの各納税告知処分を「本件各納税告知処分」という。)。
ホ 異議審理庁は、請求人の納付すべき本件各月分の源泉所得税及び源泉所得税等の額は、別表1(略)及び別表2(略)の「異議審理庁認定額」欄のとおりであり、これらの額はいずれも本件各納税告知処分の額と同額又は上回ることから、平成28年4月12日付で、上記ハの異議申立てをいずれも棄却とする異議決定をした。
へ 請求人は、異議決定を経た後の本件各納税告知処分に不服があるとして、平成28年5月12日に審査請求をした。
争点および主張 争点1 源泉所得税及び源泉所得税等に係る調査(以下「本件調査」という。)の手続に本件各納税告知処分を取り消すべき違法があるか否か。(略)
争点2 源泉所得税及び源泉所得税等の額の算定に当たり、常勤従業員については源泉徴収税額表(日額表)乙欄を適用すべきか否か、また、臨時従業員については源泉徴収税額表(日額表)丙欄を適用すべきか否か。
当事者の主張は表のとおり。
【表】争点2における当事者の主張 |
原処分庁 | 請 求 人 |
常勤従業員に対する給料について、請求人は、常勤従業員から給与所得者の扶養控除等申告書を受理しておらず、請求人が作成していた本件給料台帳には、営業日ごとの本件各従業員の給料の総額が記載されているところ、請求人自身も本件各従業員に支給する給料の額を当該営業日ごとに計算して、その合計額を本件給料台帳に記載していた旨申述していることから、常勤従業員に対する給料の支給期は各営業日とするのが相当である。そうすると、所得税法第185条第1項第2号ホに規定する「給与等の支給期が毎日と定められている場合」に該当し、源泉所得税及び源泉所得税等の額は、源泉徴収税額表(日額表)の乙欄を適用して算出することとなる。 | 常勤従業員の給料に係る源泉所得税及び源泉所得税等の額については、請求人は常勤従業員から給与所得者の扶養控除等申告書の提出を受理していないものの、常勤従業員を何年にもわたり雇用しており、いずれも扶養親族等がいないことを把握していたこと、常勤従業員の給料の支給日を確定できなかったことから、1か月ごとの給料の総額に源泉徴収税額表(月額表)の甲欄(扶養親族等の数0人)を適用して算出すべきである。 |
審判所の判断
(1)争点1について(略)
(2)争点2について
イ 認定事実 原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ)請求人は、本件各従業員に対する給料の支払を証する帳簿等として、本件給料台帳を作成及び保存するのみで、ほかに本件事業に係る現金出納帳や支給日及び支給額を記録したメモ、手帳等は作成していなかった。
(ロ)請求人は、就業規則等を定めておらず、常勤従業員に対する給料の支給期は特段定めていない。
(ハ)請求人及び原処分庁がそれぞれ主張する本件各月分に係る本件各従業員に対する給料の支給額は、別表3(略)の本件各従業員に対する給料の各「支給額」欄のとおり、その一部に開差が生じるものの、これは、請求人が主張する給料の支給額に同表の請求人主張額の部分に注書きした集計誤り等があることによるものと認められ、これを補正すると、本件各月分に係る本件各従業員に対する給料の支給額は、請求人及び原処分庁ともに同額となる。
ロ 請求人の答述の内容 請求人の当審判所に対する答述の内容の要旨は、次のとおりである。
(イ)×××に対する給料は、月曜日から土曜日までの分を土曜日に、現金で支給していた。
(ロ)×××に対する給料は、当初は週1回払か日払かは覚えていないが、閉店(平成28年1月)前の1年間ないし2年間は、月曜日から水曜日までの分を水曜日に、木曜日から土曜日までの分を土曜日に、現金で支給していた。ただし、売上状況が良くなければ、支払を待ってもらうこともあった。
(ハ)給料の支給日が休業日である場合は、現金があれば直前の営業日に支給し、現金がなければ休業日後に支給していた。
ハ 当てはめ (イ)請求人は、常勤従業員の給料について、上記イの(ロ)のとおり、支給期を特段定めておらず、同(イ)のとおり、本件給料台帳の記載のほかに常勤従業員に対する給料の支給日及び支給額を明らかにする帳簿等は存しないことから、当審判所の調査によっても実際の支給期及び支給額が特定できない。また、請求人は、上記ロのとおり、「常勤従業員に対する給料は、数日分をまとめて支給していた」旨答述するのであるから、常勤従業員の給料については、少なくとも毎月支給と定められていたとは認められない。これらのことからすると、常勤従業員の給料は、本件給料台帳の記載に基づいて営業日ごとに支給されていたとみることが相当である。
(ロ)そして、常勤従業員の給料については、上記のとおり、請求人は常勤従業員から給与所得者の扶養控除等申告書を受理しておらず、また、上記(イ)のとおり、その支給期は各営業日とみるのが相当であることから、源泉所得税の額は、所得税法第185条第1項第2号への規定により、所得税法別表第三の乙欄を適用して算出することとなり、源泉所得税等の額は、所得税法第185条第1項第2号へ及び復興財源確保法第29条第1項第1号の規定により、財務省告示第115号別表第二の乙欄を適用して算出することとなる。
また、臨時従業員の給料については、上記のとおり、日雇の者について勤務した時間によって算定され、かつ、勤務した日ごとに支給されているから、源泉所得税の額は、所得税法第185条第1項第3号及び所得税法施行令第309条の規定により、所得税法別表第三の丙欄を適用して算出することとなり、源泉所得税等の額は、所得税法第185条第1項第3号及び所得税法施行令第309条並びに復興財源確保法第29条第1項第1号の規定により、財務省告示第115号別表第二の丙欄を適用して算出することとなる。
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