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解説記事2018年03月05日 【税務マエストロ】 トランプ大統領が署名:米国税制改革法の成立②(2018年3月5日号・№729)

税務マエストロ 税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ
トランプ大統領が署名:米国税制改革法の成立②

#208 品川克己
PwC税理士法人

略歴 89年より大蔵省主税局に勤務。90年7月より同国際租税課にて国際課税関係の政策立案・立法及び租税条約交渉等に従事。96年ハーバード・ロースクールにて客員研究員として日米租税条約について研究。97年より00年までOECD租税委員会に主任行政官として出向(在フランス)し、「OECD移転価格ガイドライン」及び「OECDモデル条約」の改定、及び関連会議の運営に従事。01年9月財務省を辞職し現職。

次回のテーマ
#209
非課税(8)

税理士 熊王征秀 消費税率引上げ、それに伴う課税の適正化など、消費税法の改正が続く。消費税マエストロが実務ポイントを解説する。

※取り上げて欲しいテーマを編集部にお寄せください。
 ta@lotus21.co.jp

マエストロの解説
 今回の上下院の改正法案を統一化した最終の税制改正法案(以下「改正法」)は、国際課税の観点から、きわめて重要な変更点がある。これまでの制度を抜本的に変更する改正点としてテリトリアル課税の導入及び関連する改正が挙げられる。これにより、主要国はすべて全世界所得課税制度から、テリトリアル課税へ変更されたといえよう。また、この改正は、海外関連法人を持つ米国企業の繰延税金負債の減少をもたらすため、米国子会社をもつ日本企業にとっても、直接的な影響がでよう。その他、国際課税の観点からは、BEPSでの議論を踏まえた新たな制度がいくつか創設されている点にも留意する必要があろう。

1 海外配当益金不算入制度(テリトリアル課税)の創設(内国歳入法245条A)  従前の制度は、全世界所得課税制度を採用しており、海外子会社等からの配当は米国で課税されると共に、海外子会社が負担した法人税については間接外国税額控除、支払配当にともなう源泉税については直接外国税額控除により二重課税を排除する措置が採られていた。改正法においては、米国法人が10%以上の株式を保有する外国法人(Specified 10-percent Owned Foreign Corporation、以下「10%保有外国法人」、当該法人の株主を「米国株主」)から受取る配当の全額が益金不算入となる。ただし、国内源泉の配当、および、配当支払外国法人で損金算入されている配当(Hybrid Dividends)は適用除外とされている。保有期間要件として、配当の支払確定日の365日前から起算した731日間のうち最低365日間において継続して10%保有外国法人であることが必要となる。
 なお、本制度の創設に伴い、当該配当に課された外国源泉税、および当該外国法人が支払った外国法人所得税については直接あるいは間接外国税額控除は認められない。
 本制度は2018年1月1日以降に支払われる海外子会社配当から適用となる。
 これは日本の「国外配当益金不算入制度」(法人税法23条の2)と概ね同様の制度であるが、相違点として次の3点があげられる。
・日本の場合は、益金不算入額は配当の95%であるが、米国は配当全額が非課税となる。
・対象となる国外子会社の範囲については、日本では25%の所有であるが、米国は10%所有となる。
・対象株式の所有期間は、日本の場合は、配当を受ける者が確定する日前6か月の所有であるが、米国は配当の支払確定日の365日前から起算した731日間のうち最低365日間の所有とされる。
 なお、日本のタックスヘイブン対策税制上の部分合算課税制度(受動的所得の合算課税)では、外国関係会社(部分対象外国関係会社)が受領する配当(25%未満の所有)は日本の親会社の益金に算入される。米国法人が所有する米国外法人の持分が10%以上25%未満である場合には、米国で非課税であっても日本で合算課税が生じることとなろう。

2 外国法人株式譲渡にかかる特則の創設  海外配当益金不算入制度の創設に伴い、改正法では外国法人の株式譲渡にかかる複数の特則が設けられている。
① 海外配当益金不算入制度の対象となる10%保有外国法人の株式の売却損の計算上、益金不算入となった当該10%保有外国法人から支払われた配当の累積額だけ同株式の税務簿価を減額させることとなる。その結果、益金不算入の配当を事前に行って外国法人の譲渡対価を減額させても、売却損を増やすことはできないこととなる。
② 米国法人が特定外国子会社(米国法人が50%超の持分を有する外国法人、以下「CFC」)の株式を譲渡した場合、譲渡益のうちCFCの留保利益の当該米国株主の持分相当額までは配当所得とみなされる(内国歳入法1248条)が、当該みなし配当についても保有期間要件を満たす場合は海外配当益金不算入制度の対象となる。
③ CFCが他のCFC株式を譲渡した場合、譲渡益のうち譲渡されたCFCの留保利益の持分相当額までは配当とみなされる(内国歳入法964条)。当該みなし配当については米国株主において合算対象とされたうえで、保有期間要件を満たす場合は外国配当益金不算入制度の対象となる。

3 海外留保所得にかかる強制みなし配当課税制度の創設(内国歳入法965条)  海外配当益金不算入制度の創設に伴い、同制度導入以前に蓄積された未課税の海外利益(Accumulated Deferred Foreign Income:以下「累積海外留保所得」)については、同制度導入直前に配当されたとみなされ(強制みなし配当)、米国株主レベルで課税の対象となる。テリトリアル課税への変更に伴う1回課税である。すなわち、CFCおよび10%保有外国法人(以下「特定外国法人」、ただし、受動的外国投資会社(PFIC)は除外)の累積海外留保所得のうち米国株主の持分相当額は、海外配当益金不算入制度導入の前年度(2018年1月1日より前に開始する直近の課税年度)におけるみなし配当所得として課税される。
 累積海外留保所得は、2017年11月2日または2017年12月31日時点の米国税法上の留保利益(E&P:これまでCFCルールによる合算対象とならず、かつ、米国事業にも関連しないもの、すなわち米国で課税対象となっていないもの)のうちいずれか高い額となる。他の特定外国法人に税務上の累損(E&P deficit)がある場合は、累積海外留保所得の計算上は相殺することになる。
 適用税率は、みなし配当のうち金銭・金銭同等物から成るとみなされる部分は15.5%の税率で課税され、それ以外は8%の税率で課税される。金銭・金銭同等物は2018年1月1日より前に開始する特定外国法人の直近の課税年度の最終日の数値、または2017年11月2日より前に終了する直近2年度の最終日の平均値いずれかを用いて算定され、金銭同等物には売掛金、一年未満の貸付金等も含まれる。
 なお、特定外国法人の支払った外国法人所得税のうち、みなし配当として課税対象とされた部分に対応する部分は間接外国税額控除の対象となる。
 この課税は、累積所得に対する1回だけの課税であるため、分納制度が設けられている。すなわち、同制度における税額は、選択により、下記の割合で8年間での分割納税が可能となる。なお、支払の滞納、米国株主の事業の停止などの事象が発生する場合には即時支払が要求され、強制みなし配当課税に係る税務調査の除斥期間は6年とされている(通常は3年)。

1年目から5年目 税額の8%
6年目 15%
7年目 20%
8年目 25%

4 CFCの定義の拡大  改正法においては、CFCの判定上、米国法人の親会社が保有する他の法人も当該米国法人によって保有されているとみなされることとなった。したがって、日本法人が親会社である米国法人にとって、当該日本法人の傘下にある他の米国外法人(米国法人の兄弟会社に該当)が、潜在的にCFCと判定される可能性があることとなる。一方、上記のみなし保有規定の拡大によりCFCと判定されたとしても、米国法人が当該CFCの株式を直接保有していない限り合算課税の対象とはなることはない。
 なお、下院法案では、今回の改正によって新たにCFCとみなされた外国法人について、従前のCFCと同様の情報開示が要求される可能性が指摘されていたが、上院法案および改正法では、そのような追加の情報開示は要求されていない。
 上記の改正は2017年12月31日以前に開始する直近の課税年度より適用される。

5 Subpart F所得に関する改正  改正法においては、Subpart F所得に関する改正として以下の内容が織り込まれており、結果的に、CFC税制が強化される内容といえよう。
① 外国ベース所得(Foreign base income)に関するCFC税制の適用除外基準のうち、$1,000,000のDe minimis基準はインフレーション調整の対象となる
② 従前の議決権の保有率によるCFCの判定基準に加えて、対象となる米国株主の定義に10%以上の海外子会社の株式時価を保有する米国者(US Person)を追加
③ 合算課税要件に係るCFCの30日支配要件の廃止
④ Subpart所得の判定に関するLook-throughルールの恒久化

6 グローバル無形資産低課税所得(GILTI)の創設(内国歳入法951条A)  改正法では、低率で課税されたグローバル無形資産所得(Global Intangible Low-taxed Income、以下「GILTI」)への課税制度が創設された。CFCに帰属するGILTIは、Subpart F所得と同様、米国株主において合算課税の対象となる。本税制の目的は、CFCの課税対象所得(Subpart F所得やECI所得)、もしくは、益金不算入制度で米国では課税対象外となる所得以外の所得のうち、CFCの事業資産から生じる通常レベルの所得を超える部分を米国で合算課税するというものといえる。
 2018年1月1日以降開始課税年度から2025年12月31日以前開始課税年度までは、合算対象となるGILTI所得の50%は控除され、2026年1月1日以降開始課税年度からは控除額は37.5%に減額される。なお個人株主にもGILTIは適用されるが、控除額は設けられておらずその100%が課税される。
 なお、GILTIにかかる外国税額はグロスアップされて課税所得に算入され、当該外国税額の80%を限度として外国税額控除が適用できる。GILTIに関する外国税額は、控除限度額の計算上は別個のカテゴリーとしてトラッキングされることとなるが、GILTIに対する21%の新税率、上記所得控除額および下記のFDIIに関する所得控除を考慮すると、従前のCFC税制で課税されていなかったCFCの所得のうち、あらたにGILTIとなる部分は13.125%の税率((1-37.5%)×21%)で課税されることとなる。
 本制度は2018年1月1日以降に開始するCFCの課税年度の最終日を含む米国株主の課税年度から適用される。

7 外国源泉の無形資産関連所得に関する所得控除(FDII)の創設(内国歳入法250条)  改正法において、米国法人(RICs及びREITsを除く)の外国源泉の無形資産関連所得(Forign-derived Intangible Income、以下「FDII」)については37.5%の所得控除が認められた。GILTIは財源浸食防止対策としてCFCの超過収益に課税する制度である一方、FDII控除は、米国法人の事業資産からの経常的な所得を超える所得のうち国外で稼得したとみなされる部分をFDIIとして一定の税務上の恩典を与えるものとなっている。なお、所得控除額は2026年1月1日以降に開始する課税年度からは21.875%に減額される。
 本制度は2018年1月1日以降に開始する課税年度から適用される。

8 外国税額控除計算上の海外支店利益  改正法においては、外国税額控除の控除限度額計算上、国外支店に係る所得は国外に所在する適格事業単位(Qualified Business Unit)に帰属する所得として現行制度における既存の受動所得、一般所得等とは別個のカテゴリーに分類して外国税額控除限度額を算出することとなる。

9 税源浸食(BEPS)対応の新税制
(1)税源浸食濫用防止規定(Base Erosion and Anti Abuse Tax(“BEAT”))(内国歳入法59条A)
 改正法では、BEPSにおける議論に対応した新税制(税源浸食防止規定)が設けられた。大きな特徴といえる。この税源浸食防止規定については、下院法案(Excise Tax(物品税)/ECI課税)及び上院法案(BEAT課税)それぞれで独自の提案が織り込まれていたが、改正法においては結果的に上院法案のBEAT課税が採用されることとなった。具体的には、当初の上院法案と同様、法人は下記のAがBを超える場合、超過額を追加の租税負担額として申告する義務が生じることとなる。なお、改正法において適用税率が当初上院案より若干修正されている。
 これは、軽課税国等に所在する関連者への特定の支払により、米国の課税ベースを圧縮することを防止する制度といえる。
 ① 制度の概要  次のように計算される。
A:調整後課税所得(=通常の課税所得に「税源浸食的支払」を加算した額)の10%(注1)
B:通常の法人税額(R&D税額控除、エネルギー関連の税額控除など一定の税額控除適用前の額(注2))
(注1)適用税率は、2018年暦年に開始する課税年度は5%、2026年1月1日以降に開始する課税年度より12.5% (銀行業または証券ディーラーを含む関連グループのメンバーにおいては適用税率が1%上乗せされ、それぞれ6%、13.5%となる。)
(注2)2026年1月1日以降に開始する課税年度では、あらゆる税額控除適用後の法人税額
 ② 対象法人  適用対象法人は、過去3年間の平均年間総収入が5億ドルを超え、かつ、税源浸食割合(Base Erosion Percentage(注3))が3%以上(銀行業の場合は2%以上)となる法人とされている(上院法案の4%よりも縮小している)。なお、投資会社(RIC)、不動産投資信託(REIT)又は小規模法人(S Corporation)は、適用対象法人から除外されている。
(注3)税源浸食割合=当該年度の税源浸食的支払の総額/当該年度の損金控除総額
 ③ 税源浸食的支払  税源浸食的支払(Base Erosion Tax Payments)とは、国外の関連者への支払で、総所得(gross income)から控除(deduction)可能なもの(償却資産の取得に係る支払いや支払利子を含む)とされている。売上原価など、総所得からの控除ではなく総所得の計算上、総収入(gross revenue)から減額(reduction)される支払は原則として対象外とされている。具体的には、国外の関連者に対する支払利息、ロイヤルティ、再保険料、保証料などが該当すると考えられる。
 関連者とは、法人の25%以上の持分(議決権又は時価)を有する株主(25%株主)、25%株主と50%超の持分関係で繋がる関連者、および、当該法人と50%超の持分関係で繋がる関連者とされている。また、BEAT課税の計算に必要となる情報の開示義務も新たに設けられ、開示漏れによる罰則が通常の$10,000から$25,000に増額されている。
 BEAT課税は2018年1月1日以降に開始する課税年度において発生した財源浸食的支払に適用される。
(2)無形資産の定義及び評価方法の明確化  従前の内国歳入法482条と関連財務省規則で規定される移転価格税制、及び、内国歳入法367条(d)における無形資産の定義は内国歳入法936条(h)(3)(B)で規定されている。改正法においても、現行制度から基本原則は変更なしとしているものの、無形資産の定義が若干明確化されている。具体的には、労働力(Workforce in place)、内国及び国外のれん、および企業継続価値(Going Concern Value)が無形資産の定義に含まれることとされた。また、財務省に適切な手法を用いて無形資産の評価を決める権限を付与することを明確化している。評価方法に関しては、複数の無形資産が移転された場合に総合的な評価(Aggregate basis approach)と資産ごとの評価(Asset-by-asset approach)のいずれか信頼性がある手法かを判断して適切な評価方法を判定することが要求されている。
 本条項は2018年1月1日以降に開始する課税年度から適用される。

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