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解説記事2019年02月11日 【未公開裁決事例紹介】 義母名義の預金口座明細で義父の扶養控除は適用不可(2019年2月11日号・№774)

未公開裁決事例紹介
義母名義の預金口座明細で義父の扶養控除は適用不可
審判所、生活費の支払を明らかにしたものといえず

○国外に居住する請求人の義父を扶養控除及び障害者控除の対象とするに当たり、義母名義の預金口座の取引明細書が請求人と生計を一にすることを明らかにする書類に該当するか否か争われた事案。国税不服審判所は、本件取引明細書は義母名義の預金口座の取引明細書の写しであるから、請求人が本件義父の生活費に充てるための支払を、必要の都度、本件義父に対して行ったことを明らかにしたものということはできないと判断した(平成30年2月27日、棄却)。

基礎事実等
(1)事案の概要
 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、平成28年分の所得税及び復興特別所得税について、××××に居住する請求人の妻の父に係る障害者控除及び扶養控除の適用を求めて更正の請求をしたところ、原処分庁が、当該父と生計を一にすることを明らかにする書類の添付又は提示がないから障害者控除及び扶養控除を適用することはできないとして更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったのに対し、請求人がその全部の取消しを求めた事案である。
(2)関係法令等の要旨(略)
(3)基礎事実及び審査請求に至る経緯
 当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 請求人は、平成28年分の所得税及び復興特別所得税について、確定申告書に別表(編注:略、以下同じ)の「確定申告」欄のとおり記載して法定申告期限までに申告した。
ロ 請求人は、平成29年4月10日に、××××に居住する請求人の妻の父(以下「本件義父」という。)に係る障害者控除及び扶養控除(以下、これらを併せて「本件各控除」という。)を適用して、更正の請求書に別表の「更正請求」欄のとおり請求額を記載し、本件義父及び請求人の妻のIDカードと称するものの写しを添付して更正の請求をした(以下「本件更正請求」という。)。
  なお、上記IDカードと称するものの写しの余白には、「48万円の扶養控除+27万円(障害者分)を適用して更正の申請をしたい。」旨記載されていた。
ハ 請求人は、平成29年6月1日に、請求人の妻の母(以下「本件義母」という。)名義の×××××の預金口座に係る当該銀行発行の「STATEMENT OF SAVING ACCOUNT」(以下「本件取引明細書」という。)の写し及び本件義父であるとする人物の写真の写し等を原処分庁へ提出した。
ニ 請求人は、平成29年6月27日に、本件義父の身体障害手帳と称するものの写し及び本件義母の身分証明書と称するものの写し等を原処分庁へ提出した。
ホ 原処分庁は、本件取引明細書は本件義父に係る送金関係書類に該当せず、請求人は本件義父に係る本件各控除の適用を受けることができないとして、平成29年8月29日付で更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。
へ 請求人は、本件通知処分を不服として、平成29年9月4日に審査請求をした。
ト 原処分庁は、平成29年11月2日付で、配当所得の金額等に誤りがあるとして、別表の「更正処分」欄のとおりの更正処分(減額)(以下「本件減額更正処分」という。)をした。
 そこで、本件減額更正処分についてもあわせ審理する。

争点および主張  本件取引明細書は、送金関係書類に該当するか否か。
 当事者の主張はのとおり。

【表】当事者の主張(本件取引明細書は、送金関係書類に該当するか否か)
請 求 人 原処分庁
イ 本件義母は、身体障害手帳に記載されているとおり、本件義父の受任者であり、本件義母への送金は本件義父への送金になるから、本件義母名義の本件取引明細書は、本件義父が請求人と生計を一にすることを明らかにする書類であって、送金関係書類に該当する。

ロ 本件義父は、僧侶であり信仰上お金に直接触れることはできず、また、××××の障害者であり、本件義父名義の預金口座があったとしても本人が直接取引できる状態でないため、本件義父と同居している本件義父の受任者である本件義母に本件義父の生活費を送金しているという事情があることから、本件取引明細書が本件義父に係る送金関係書類に該当しないとして本件各控除の適用を認めないとする本件通知処分は、酷であり取り消されるべきである。
イ 請求人は、本件更正請求において、本件取引明細書を提出しているものの、本件取引明細書は、送金先の名義人を本件義母とする内容のものであり、請求人が本件義父の生活費に充てるための支払をしたことを明らかにする書類には当たらないから、本件義父に係る送金関係書類には該当しない。
ロ 請求人は、本件通知処分は酷であり、取り消されるべきである旨主張するが、所得税法第120条第3項第2号及び所得税法施行令第262条第2項において、国外居住扶養親族に係る扶養控除の適用を受ける居住者は、当該国外居住扶養親族の各人別に親族関係書類及び送金関係書類を確定申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際に提示しなければならない旨規定しているところ、これらを添付又は提示できなかった場合の規定は設けられていないから、請求人の主張には理由がない。

審判所の判断
 イ 検討
(イ)所得税法第120条第3項第2号及び所得税法施行令第262条第2項は、確定申告書に非居住者である親族に係る障害者控除又は扶養控除に関する事項の記載をする居住者は、当該非居住者に係る親族関係書類及び送金関係書類を当該控除の適用を受ける各人別に当該申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際に提示しなければならない旨規定している。そして、所得税法施行規則第47条の2第5項は、送金関係書類は、①金融機関の書類又はその写しで、当該金融機関が行う為替取引によって当該居住者から当該国外居住扶養親族に支払をしたことを明らかにするもの、又は②クレジットカード等購入あっせん業者の書類又はその写しで同項第2号に定める内容のもののいずれかであって、確定申告書を提出する居住者がその年において国外居住扶養親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものとする旨規定している。
  上記法令の趣旨は、国内に居住している扶養親族等については市町村等と国税当局との連携により扶養控除等の要件を満たしているかの確認を行うことができる一方で、国外に居住している扶養親族等については事実確認や実態把握が容易であるとはいえない状況にあることを踏まえ、国外に居住している親族に係る扶養控除等の適用を受ける際には、確定申告書等に当該申告書を提出する居住者の親族であること及び当該居住者と生計を一にすることを確認できる書類の添付等を義務付けるものである。
  そして、所得税基本通達120-8は、国外居住扶養親族に係る扶養控除等の適用を受けようとする居住者が一の国外居住扶養親族に対して他の国外居住扶養親族の生活費又は教育費に充てるための支払を行った場合における当該支払に係る送金関係書類については、他の国外居住扶養親族に係る送金関係書類には該当しないことを明らかにしたものであり、当審判所においても、かかる取扱いは上記の法令の趣旨に照らして相当であると認められる。
(ロ)これを本件についてみると、請求人が本件義父に係る送金関係書類であると主張する本件取引明細書は、上記のとおり、本件義母名義の預金口座の取引明細書の写しであるから、所得税法施行規則第47条の2第5項第1号に規定する金融機関が行う為替取引によって、請求人が、本件義父の生活費に充てるための支払を必要の都度、本件義父に対して行ったことを明らかにしたものとはいえず、本件義父に係る送金関係書類であるとは認められない。
(ハ)この点、請求人は、本件義父は、僧侶であり信仰上お金に直接触れることはできないこと、××××の障害者であり、本件義父名義の預金口座があったとしても本人が直接取引できる状態でないことから、本件義父と同居している本件義父の受任者である本件義母に本件義父の生活費を送金しているという事情があり、本件各控除の適用を認めないことは酷である旨主張する。
  しかしながら、本件取引明細書は本件義父に係る送金関係書類に該当せず、また、所得税法第120条第3項第2号には、国外居住扶養親族に係る扶養控除等の適用を受けようとする居住者は、送金関係書類を、当該控除の適用を受ける各人別に確定申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際に提示しなければならない旨規定されており、その例外を認める規定は設けられていないのであるから、請求人が主張するような事情等があったとしても、本件義父に係る送金関係書類の添付又は提示を免れるものではない。
  したがって、請求人の主張は採用することができない。
 ロ 小括  以上審理したところによれば、本件取引明細書は本件義父に係る送金関係書類に該当せず、上記のとおり請求人が提出したその他の書類も送金関係書類に該当しないことが明らかであるから、請求人は、本件義父に係る送金関係書類を平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書及び更正請求書に添付し、又はこれらの提出の際に提示したと認められず、本件義父に係る本件各控除の適用を受けることはできない。

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