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解説記事2019年03月25日 【SCOPE】 取締役報酬として発行する株式無償発行の会計基準開発へ(2019年3月25日号・№780)

法務省がASBJに依頼する方針
取締役報酬として発行する株式無償発行の会計基準開発へ

 法務省では、改正会社法で導入される予定の取締役の報酬等として株式を無償発行する場合の会計処理について、企業会計基準委員会(ASBJ)に検討するよう依頼する方針。会社法の一部改正法案の提出時期は未定ではあるものの、今後、企業会計基準委員会において取締役の報酬等として株式の無償発行がなされた場合の会計基準等の開発が行われることになりそうだ。

会社法改正で上場会社は株式等の無償発行が可能になる方向
 法務省は2月14日に「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案」を決定。今通常国会には日程の関係で提出はしないものの、早ければ秋の臨時国会に要綱を踏まえた会社法の一部改正案を提出することになりそうだ。
 要綱案においては、新たに取締役の報酬等である株式及び新株予約権に関する特則が設けられている(参照)。現行、株式会社が株式報酬を取締役に付与しようとする場合には、会社法上、募集株式を無償で発行することができないと解されているため、会社は、取締役に対して一旦金銭又は金銭債権を報酬として付与するとともに、当該取締役を引受人として募集株式を発行し、引受人である取締役が報酬として付与された金銭を払込み又は金銭債権を現物出資として給付する形をとる必要があるとされている。また、新株予約権についても、その行使に際しては財産の出資が求められているため、実務上は行使価額を1円にすることが行われている。このため、今回の要綱案によれば、上場会社は定款又は株主総会の決議により無償で株式又は新株予約権を取締役の報酬として交付できるようになる。パフォーマンス・シェア(業績連動株式報酬)やリストリクテッド・ストック(譲渡制限付株式)などが想定されている模様だ(参照)。

【表】想定される典型的な株式報酬の形態
(事前交付型) ・事前に譲渡制限を付した株式を交付
・一定期間の勤務や一定の業績目標等の達成等によって譲渡制限を解除
・譲渡制限が解除されなかった株式は会社が無償取得
(事後交付型) ・一定の業績目標等を達成した場合など、事後に株式を交付

ストック・オプション会計基準がベース
 会社法が改正された場合に問題となるのは会計処理の取扱いだ。会社法制部会の議論では、取締役の報酬等として株式の無償発行がされた場合の資本金及び資本準備金の合計額については、株主となる取締役が提供した役務の対価の額(報酬費用として計上する額)とすることで特に異論はなかった模様だ。また、株式報酬の会社処理としては、ストック・オプション会計基準を参考として検討。取締役から提供を受ける役務をその提供に応じて費用計上するとともに、費用に対応する額を資本金又は資本準備金として計上。各会計期間における費用計上額は、交付された株式の公正な評価額のうち、合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額として算定することになるのではないかとしている。
 ただ法務省では、会計基準等の開発として企業会計基準委員会での検討が必要であると判断。将来的に同委員会に対して会計基準等の開発を依頼するとしている。

【参考】「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案」における「取締役の報酬等」(抜粋)
第1 取締役等への適切なインセンティブの付与
1 取締役の報酬等
(1)報酬等の決定方針(略)
(2)金銭でない報酬等に係る株主総会の決議による定め(略)
(3)取締役の報酬等である株式及び新株予約権に関する特則
 ① 金融商品取引所(金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所をいう。以下同じ。)に上場されている株式を発行している株式会社(以下(3)において「上場会社」という。)は、定款又は株主総会の決議による(2)アに掲げる事項(編注:報酬等のうち当該株式会社の株式又は当該株式の取得に要する資金に充てるための金銭については、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項)についての定めに従いその発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をするときは、第199条第1項第2号及び第4号に掲げる事項を定めることを要しないものとする。この場合において、当該株式会社は、募集株式について次に掲げる事項を定めなければならないものとする。
  ア 募集株式と引換えにする出資の履行(第208条第3項に規定する出資の履行をいう。)を要しない旨
  イ 募集株式を割り当てる日(以下①において「割当日」という。)
  (注1)~(注3)(略)
 ② 上場会社は、定款又は株主総会の決議による(2)イ(編注:報酬等のうち当該株式会社の新株予約権又は当該新株予約権の取得に要する資金に充てるための金銭については,当該新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項)に掲げる事項についての定めに従い新株予約権を発行するときは、第236条第1項第2号に掲げる事項を当該新株予約権の内容とすることを要しないものとする。この場合において、当該株式会社は、次に掲げる事項を当該新株予約権の内容としなければならないものとする。
  ア 当該新株予約権の行使に際してする出資を要しない旨
  イ 定款又は株主総会の決議による(2)イに掲げる事項についての定めに係る取締役(取締役であった者を含む。)以外の者は、当該新株予約権を行使することができない旨

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