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解説記事2019年04月22日 【ニュース特集】 国外送金等調書に係る文書照会→調査への流れ(2019年4月22日号・№784)

ニュース特集
当局の解明手順をQ&Aで確認
国外送金等調書に係る文書照会→調査への流れ

 課税当局が、海外取引に係る収入金額の除外、海外保有資産の隠蔽などの不正の端緒をつかむためのツールとして活用している国外送金等調書。平成29事務年度の国外送金等調書の提出枚数は722万件に上っている。課税当局では、国外送金等調書と所得税申告書等との照合を行い、申告書等と一致しない場合に文書照会を実施。無回答や回答に疑義がある者に対して、調査による接触を検討している。
 本特集では、国外送金等調書制度の概要および文書照会等に係る処理手順を課税当局の資料に基づきQ&Aで確認する。

Q1
 国外送金等調書制度の概要を教えてください。
A
 金融機関を通じて国外へ送金したり、国外からの送金を受領した場合、「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」第4条第1項の規定により、金融機関等は「国外送金等調書」を税務署へ提出する必要があります(図1参照)。国外送金等調書には、送金者および受金者の氏名・住所、取引金額、取引の年月日、相手方の氏名・住所などが記載されます。
 なお、国外送金等調書の対象取引には、ATM等を利用した国内・国外口座からの現金引き出しも含まれます(参照)。


Q2
 提出された国外送金等調書はどのように管理されますか。また、国外送金等調書の内容は納税者に開示されますか。
A
 提出された国外送金等調書は、KSK資料調査システムに入力され、「資料情報カード」(次頁参照)等として出力されるようです。
 また、国外送金等調書は法定資料であることから、課税当局では、その資料内容を調査対象者等に開示することができるとしています。
 ただし、課税当局は、調査対象者等に「資料情報カード」を直接見せるようなことはやめるよう調査担当者に促しています。


Q3
 プライベートバンクへの送金等も確認されますか。
A
 国外送金等調書には、国外送金等に係る相手国名、国外の金融機関の名称が記載されます。課税当局では、タックスヘイブン(SG:シンガポール、CYM:ケイマン諸島、VGB:イギリス領ヴァージン諸島など)への送金等も確認しています。
 また、スイスのプライベートバンク、プライベートバンキング部門を持つ銀行についてもチェックしているようです。

Q4
 課税当局では、国外送金等調書の事務処理担当者を決めているのですか。
A
 個人課税部門の場合、所得税担当の国際税務専門官・海外取引事案担当者が設置されている税務署では、その者が国外送金等調書の解明に係る事務処理を担当します。海外取引事案担当者が設置されていない税務署では、個人課税(総括)担当統括国税調査官が事務処理担当者を指名しています。
 資産課税部門も同様に、資産税担当の国際税務専門官・海外取引事案担当者または資産課税(総括)担当統括国税調査官が指名した者が国外送金等調書に係る事務処理を担当しています。

Q5
 国外送金等調書に係る文書照会(お尋ね)が行われるのはどのような場合ですか。
A
 国外送金等調書に係る事務処理では、国外送金等調書のうち、実態解明の対象とする資料(解明対象資料)を抽出した上で、所得税申告書等との照合が行われます。照合に当たっては、過去の接触状況、国外財産調書、財産債務調書、自動的情報交換資料、その他の資料情報等を活用して、納税者の特定が行われます。
 照合の結果、不突合(申告書等と不一致)の解明対象資料等については、過去の接触状況、資料情報、申告内容等を踏まえて、文書照会による行政指導または調査による解明が行われます。
 なお、解明対象資料のうち、国外送金等調書の国外送金等年月日が進行年分に係るものや送金原因から直ちに課税関係が生じないと想定されるものについては、翌事務年度以後に申告書等との照合等を行う「継続管理資料」として管理されます。

Q6
 文書照会に回答しなかった場合、督促は行われますか。
A
 文書照会では、「国外送金等に関するお尋ね」、「国外からの送金受領の内容について(回答)」および「国外への送金の内容について(回答)」が対象者に送付されます。また、国税庁作成リーフレット「ご存じですか?『国外財産調書』」も同封されるようです。
 この文書照会は、任意の情報提供依頼として回答を求めるものであることから、未回答者に対して書面による提出督促は行われず、電話による回答の提出の確認が行われます。
 なお、課税当局は、未回答者に対しては調査による接触を検討するとしています。

Q7
 お尋ねに対する回答は、どのように扱われますか。
A
 回答の審理が行われます。
 課税当局は、回答内容から修正申告または期限後申告が必要と認められるものについて、電話または所定の用紙を用いて修正申告書、期限後申告書の自発的な提出を要請します。
 なお、自発的な修正申告書、期限後申告書の提出の要請に応じなかった場合、課税当局は、調査による接触を検討します。

Q8
 修正申告書の提出要請に応じない場合のほか、調査が検討されるケースはありますか。
A
 申告状況やその他の資料情報等から、回答内容に疑義があると認められるものや回答内容が不明確なものについては、調査による接触が検討されます。
 なお、翌事務年度以後に再度申告書等と照合を行う必要があるものについては、前述の「継続管理資料」(Q5参照)と同様に、翌事務年度に引き継がれます。

Q9
 調査が行われる場合、実地調査となりますか。
A
 事案に応じて調査等の分担判定が行われ、個人課税部門、資産課税部門において、実地調査、事後処理(実地調査以外の調査)が行われます(図2参照)。課税当局から所定の用紙を使用して来署依頼されることもあります。

 また、調査対象税目・調査対象期間に係る申告書に税務代理権限証書が添付されている場合、課税当局は、納税者に調査として接触する旨等を税務代理人に対しても説明する必要があります。
 なお、文書照会や調査状況等を管理する「国外送金等調書処理状況整理簿」には、お尋ねの発送・回答、自発的な修正等の要請・提出、調査着手・終了の年月日、調査後の処理区分、増差所得または課税価格、増差税額などが記載されます。

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